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2異変
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担任が教室から出ていき、静かだった教室が再びざわめきだす。いつもとは違う光景に紫陽は驚いた。今までの場合、担任が教室から出ていくと、クラスメイトは一限目の授業の準備をして、その後は教師が来るまでスマホを各個人が机の下でいじっていた。それなのに今日は皆、興奮したように先ほどの会話の続きをしている。
「さっきの続きだけど、あれってやっぱりマジなのかな?」
「でも、実際に高橋もスマホが手から離れないって言っているじゃん。それに、あれから何件も同じ動画や投稿があるみたいだから、本当なんじゃね?」
「マジかあ!」
そんな会話がクラス内で交わされていても、紫陽もクラスメイトも、この時は、ことの重大さをわかっていなかった。まさか、この一件が世界を揺るがす大事件の始まりだとは、夢にも思わなかった。
「そっちのクラスでもいたのか。スマホが手から離れないってやつ。うちのクラスにもいたよ。なに、全世界でそんなのが流行ってるの?」
「意味不明だよね。そんなことして、何が楽しんだか。まあ、SNSで炎上して大変なことになってるみたいだけど」
「うわああ。ないわあ」
結局、今日一日中、スマホが手から離れなくなった生徒の話で、クラスの話題は持ち切りだった。紫陽のクラス以外も同じだったようだ。隣のクラスと合同で行われた体育の授業でも、スマホが手から離れなくなった生徒の話題で盛り上がっていた。どうやら、他のクラスでも、紫陽のクラスメイトの高橋と似たような状況の生徒がいるらしい。体育はバレーボール練習で、トス練習をしている最中、試合の休憩時間などを使って、隣のクラスの情報を互いに共有していた。
高橋と呼ばれていた、スマホから手が離れなくなった生徒は授業を見学していたが、左手をジャージのポケットに突っ込んでいた。まるで、手に持っている何かを隠すかのように、ポケットの上から、右手を押さえていた。
体育の教師は、具合が悪いといって休んだ生徒に対して、理由を特に追求せず、見学を許していた。普段はしつこく見学理由を聞き、教師が納得できるような理由がないと見学できないような厳しい教師だったのに、珍しいこともあるものだ。
高橋の他にも隣のクラスの男女一人ずつが見学を申し入れていた。同じように、体育教師は理由も聞かずに見学を許していた。
今日は、どの教師の様子もおかしかった。紫陽のクラスに授業に来た教師全員、落ち着きがなく、そわそわしていた。さらには今朝の担任同様に、ポケットを片手にいれている教師も何人かいた。
昼休みになっても、話題は同じだった。クラス内の会話に耳を傾けていると、どんどん被害者は増加しているようだ。この場合、誰が加害者なのかはわからないが、同じ症状の人は増え続けているらしい。
「これって、俺たちへのスマホからの警告かもな」
「マジかあ。って、バカじゃないの。スマホがそんなことするわけないだろ。スマホはあくまでスマホだろうが」
「そりゃそうだ。アハハハ!」
「うるさいわね。いつもは静かなのに、こうもいきなり騒ぎ出すと、気味悪いわ」
ぼそっと隼瀬あきらが独り言のようにつぶやく。それを偶然聞いてしまった紫陽は思わず声をかけてしまう。隼瀬あきらも、グループになって弁当を食べていない。たまたま、彼女の前を通りかかったときに聞こえてしまった。
「俺もそう思う。でも、どうして、いきなり同じ現象が各地で起こりだしたと思う?」
「そうね。理由はわからない。私も鷹崎君もスマホを持っていないから、動画やSNSの投稿を実際に見ていないから何とも言えない。でも、クラスメイトの言うことは本当かもしれないね。まあ、これだけ騒ぎになれば、今日のニュースにでも取り上げられると思うけど」
紫陽の問いかけに隼瀬あきらは素直に答えてくれた。そして、もっと話をしようとばかりに、開いている席を勧めてきた。しかし、二人の様子を憎らしそうに見つめているあやのの姿が視界に映ったので、遠慮しておくことにした。紫陽は自分の席に戻り、次の授業の準備を始めた。
「さっきの続きだけど、あれってやっぱりマジなのかな?」
「でも、実際に高橋もスマホが手から離れないって言っているじゃん。それに、あれから何件も同じ動画や投稿があるみたいだから、本当なんじゃね?」
「マジかあ!」
そんな会話がクラス内で交わされていても、紫陽もクラスメイトも、この時は、ことの重大さをわかっていなかった。まさか、この一件が世界を揺るがす大事件の始まりだとは、夢にも思わなかった。
「そっちのクラスでもいたのか。スマホが手から離れないってやつ。うちのクラスにもいたよ。なに、全世界でそんなのが流行ってるの?」
「意味不明だよね。そんなことして、何が楽しんだか。まあ、SNSで炎上して大変なことになってるみたいだけど」
「うわああ。ないわあ」
結局、今日一日中、スマホが手から離れなくなった生徒の話で、クラスの話題は持ち切りだった。紫陽のクラス以外も同じだったようだ。隣のクラスと合同で行われた体育の授業でも、スマホが手から離れなくなった生徒の話題で盛り上がっていた。どうやら、他のクラスでも、紫陽のクラスメイトの高橋と似たような状況の生徒がいるらしい。体育はバレーボール練習で、トス練習をしている最中、試合の休憩時間などを使って、隣のクラスの情報を互いに共有していた。
高橋と呼ばれていた、スマホから手が離れなくなった生徒は授業を見学していたが、左手をジャージのポケットに突っ込んでいた。まるで、手に持っている何かを隠すかのように、ポケットの上から、右手を押さえていた。
体育の教師は、具合が悪いといって休んだ生徒に対して、理由を特に追求せず、見学を許していた。普段はしつこく見学理由を聞き、教師が納得できるような理由がないと見学できないような厳しい教師だったのに、珍しいこともあるものだ。
高橋の他にも隣のクラスの男女一人ずつが見学を申し入れていた。同じように、体育教師は理由も聞かずに見学を許していた。
今日は、どの教師の様子もおかしかった。紫陽のクラスに授業に来た教師全員、落ち着きがなく、そわそわしていた。さらには今朝の担任同様に、ポケットを片手にいれている教師も何人かいた。
昼休みになっても、話題は同じだった。クラス内の会話に耳を傾けていると、どんどん被害者は増加しているようだ。この場合、誰が加害者なのかはわからないが、同じ症状の人は増え続けているらしい。
「これって、俺たちへのスマホからの警告かもな」
「マジかあ。って、バカじゃないの。スマホがそんなことするわけないだろ。スマホはあくまでスマホだろうが」
「そりゃそうだ。アハハハ!」
「うるさいわね。いつもは静かなのに、こうもいきなり騒ぎ出すと、気味悪いわ」
ぼそっと隼瀬あきらが独り言のようにつぶやく。それを偶然聞いてしまった紫陽は思わず声をかけてしまう。隼瀬あきらも、グループになって弁当を食べていない。たまたま、彼女の前を通りかかったときに聞こえてしまった。
「俺もそう思う。でも、どうして、いきなり同じ現象が各地で起こりだしたと思う?」
「そうね。理由はわからない。私も鷹崎君もスマホを持っていないから、動画やSNSの投稿を実際に見ていないから何とも言えない。でも、クラスメイトの言うことは本当かもしれないね。まあ、これだけ騒ぎになれば、今日のニュースにでも取り上げられると思うけど」
紫陽の問いかけに隼瀬あきらは素直に答えてくれた。そして、もっと話をしようとばかりに、開いている席を勧めてきた。しかし、二人の様子を憎らしそうに見つめているあやのの姿が視界に映ったので、遠慮しておくことにした。紫陽は自分の席に戻り、次の授業の準備を始めた。
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