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1加藤紗那(かとうさな)⑦
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「悪かったよ、さな。だから、これ以上、しいをいじめないでくれ。オレが話さなかったのが悪いんだから」
「キーンコーンカーンコーン」
タイミング悪く、昼休み終了のチャイムが鳴ってしまった。仕方ない。理由は帰りにゆっくりと聞くことにしよう。怒りはすでに限界突破していたが、何とか冷静さを取り戻し、二人を置いて教室に戻ることにした。
「放課後、しっかり話を聞くから覚悟しなさいよ」
まるで、私が悪者みたいな感じになったが、捨て台詞を二人に吐くことを押さえることはできなかった。これくらいは仕方ないことだろう。
たまたま運のいいことに、この日は図書室を利用している人はなお君と転校生以外にいなかったようだ。図書委員が居てもおかしくはなかったが、そういえば、なお君が図書委員だったと思い出したのは、廊下を小走りで歩いている最中だった。
結局、なお君と転校生は付き合ってないということが判明した。どうやら、二人はいとこのようだ。なお君の母の妹の子供が小山内さんらしい。彼女の父親が転勤の多い仕事のようで、なかなか二人は会う機会がなかったようで、転校生としてやってきて、互いに驚いたようだ。
「ごめんね。さなさんとなおと君が付き合っていることを知らなくて。わたし、なおと君に話しかけてばっかりだったから、やきもちやいていたんだね」
「悪かった」
図書室の騒動のあったその日は、ミーちゃんの話が長引き、帰りの会が終わるとすぐに部活に行かなくてはならなかったので、二人とゆっくりと話すことができなかった。それに、図書室での自分のあまりの失態に私が気まずくなって、話を聞くどころではなかった。部活中も二人と視線を合わせないようにし、部活終了後も、急いで一人で帰宅してしまった。
週末になって、やっと私は、二人を近くの公園に呼びだして、図書室での話の内容を聞く決心がついた。すでに夏休みに突入していたが、特に二人に用事は内容で、私の提案を受け入れてくれた。
公園では、二人に自分たちがいとこ同士ということを話していないことで、私にいらぬやきもちを焼かせたこと、自分たちの話に夢中で私に不快な思いをさせたことを謝られた。私も、早とちりで二人に怒鳴ってしまったので、お互い様だということで、許してあげることにした。
「おはようございます」
「おはよう、さなちゃん。今日も元気だねえ。直人ならまだ寝ていると思うから、起こしてやってちょうだい」
「わかりました」
転校生がなお君と付き合っていないことを知って、安心した。とはいえ、これからも他の転校生がいつ来ないかとわからない。それに、今はなお君にアタックしてこない女子も、いつアタックしてくるかわからない。
転校生の件で、これからも、なお君のことを大好きアピールしていかなくてはいけないと思った。だからこそ、私は今日も一緒に学校に行くために、なお君を起こしに家まで押しかける。
「キーンコーンカーンコーン」
タイミング悪く、昼休み終了のチャイムが鳴ってしまった。仕方ない。理由は帰りにゆっくりと聞くことにしよう。怒りはすでに限界突破していたが、何とか冷静さを取り戻し、二人を置いて教室に戻ることにした。
「放課後、しっかり話を聞くから覚悟しなさいよ」
まるで、私が悪者みたいな感じになったが、捨て台詞を二人に吐くことを押さえることはできなかった。これくらいは仕方ないことだろう。
たまたま運のいいことに、この日は図書室を利用している人はなお君と転校生以外にいなかったようだ。図書委員が居てもおかしくはなかったが、そういえば、なお君が図書委員だったと思い出したのは、廊下を小走りで歩いている最中だった。
結局、なお君と転校生は付き合ってないということが判明した。どうやら、二人はいとこのようだ。なお君の母の妹の子供が小山内さんらしい。彼女の父親が転勤の多い仕事のようで、なかなか二人は会う機会がなかったようで、転校生としてやってきて、互いに驚いたようだ。
「ごめんね。さなさんとなおと君が付き合っていることを知らなくて。わたし、なおと君に話しかけてばっかりだったから、やきもちやいていたんだね」
「悪かった」
図書室の騒動のあったその日は、ミーちゃんの話が長引き、帰りの会が終わるとすぐに部活に行かなくてはならなかったので、二人とゆっくりと話すことができなかった。それに、図書室での自分のあまりの失態に私が気まずくなって、話を聞くどころではなかった。部活中も二人と視線を合わせないようにし、部活終了後も、急いで一人で帰宅してしまった。
週末になって、やっと私は、二人を近くの公園に呼びだして、図書室での話の内容を聞く決心がついた。すでに夏休みに突入していたが、特に二人に用事は内容で、私の提案を受け入れてくれた。
公園では、二人に自分たちがいとこ同士ということを話していないことで、私にいらぬやきもちを焼かせたこと、自分たちの話に夢中で私に不快な思いをさせたことを謝られた。私も、早とちりで二人に怒鳴ってしまったので、お互い様だということで、許してあげることにした。
「おはようございます」
「おはよう、さなちゃん。今日も元気だねえ。直人ならまだ寝ていると思うから、起こしてやってちょうだい」
「わかりました」
転校生がなお君と付き合っていないことを知って、安心した。とはいえ、これからも他の転校生がいつ来ないかとわからない。それに、今はなお君にアタックしてこない女子も、いつアタックしてくるかわからない。
転校生の件で、これからも、なお君のことを大好きアピールしていかなくてはいけないと思った。だからこそ、私は今日も一緒に学校に行くために、なお君を起こしに家まで押しかける。
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