恋にもがく中学生

折原さゆみ

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2我妻光(あがつまこう)④

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「わたしは、あなたのことが好きなの。女の子同士でって変かもしれないけど……」

 なな姉のきょうしつまであとすこしのところで、きょうしつにでんきがついていることをかくにんしたぼくは、いそいできょうしつにはしっていた。ろうかをはしっていて、ドアをあけようとしたところでこえがしたので、あわてて、ドアをあけるのをやめてしまった。

 きょうしつの中にいたのは、なな姉とみしらぬ女の子だった。いったい、なんのはなしをしているのだろうか。とっさにみたきょうしつのなかは、なな姉とその女子の二人だけだった。二人しかいないということは、だいじなはなしでもしているのだろうか。なんだかきいてはいけないきがしたが、ここまできてかえるのもなんだかもったいないきがして、はなしがおわるまで、ろうかで待つことにした。

「ええと、その、告白は素直にびっくりだけど、その、あの、なんていうか、ちょっとまって……」

「こっちこそ、いきなりこんな告白気味が悪いよね。自分でもわかっているんだ。でも、小山内さんを思う気持ちが恋かもしれないと気づいて、いてもたってもいられなくて。それで……」


「なっつつっつつ!」

 とんでもない現場にでくわしてしまったのだときづいたぼくは、そのばからうごけなくなった。いままでなな姉とはなしていた会話があたまのなかでさいせいされる。

「そうだねえ。わたしは……。かわいい子がいいなあ。わたしとちがって、かわいい子がいい。おもわず守ってあげたくなるような子がいいな」

 それとどうじに思い出したのは、転校生のことをはなしていたなな姉のかおだった。とてもたのしそうにうれしそうにはなしていた。いまおもえば、「こいするおとめ」というやつだったのかもしれない。



「そうか、なな姉がすきだったのは、女の子だったんだ。どうりでぼくがあいてにされないはずだ」

 うごかなかったからだがうごきだす。あたまでりかいすると、きゅうにかなしさがこみあげてくる。しかし、ここでこえをあげてないてもしかたがない。ばれるとなな姉もきまずいだろうし、ぼくもなんといっていいかわからない。

「それでも、ぼくはなな姉がすきだよ」

 なな姉とその女の子がつきあいませんように。うまくいきませんように。そんなひどいことをおもっている自分がいることがいやだった。外を見ると、雨はまだザーザーとふりつづいていた。

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