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28西園寺雅人の目的
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私とジャスミンは、大学近くのファミレスに来ていた。ここは、何かと面倒事を引き込むことが多い場所だ。九尾と初めて会った時に一緒に食べたことが懐かしい。
「ああ、いたいた。ここだよ!」
すでに西園寺雅人は来ていて、ファミレスの入り口から一番遠い、窓側の席に座っていた。西園寺雅人の隣には、見知った顔があった。
「雨水君に、ゆきこちゃんがなぜこんなところに」
「いったい、何を考えているのかしら?」
「お客様、二名様でよろしいでしょうか?」
「は、はい。あの一番奥の席の人達と約束をしていて」
「かしこまりました。ご案内いたします」
店員に西園寺雅人と同席であることを伝え、店員とともに、彼らのいる席に歩いていく。店員はごゆっくりと伝えると、その場を去っていく。私たちが雨水君とうゆきこちゃんがいることに驚いていると、西園寺雅人自身が彼らを呼んだことを白状した。
「ああ、驚いているね。彼らは、僕が呼んだんだよ。そっちの方が面白いからね。それより、そんなところにいつまでも突っ立っていないで、早く座りなよ」
西園寺雅人に促され、私たちは席に着く。私とジャスミンが隣同士に座り、その正面に西園寺雅人、雨水君、ゆきこちゃんが座っている。
「じゃあ、まずは夕食を食べてしまおうか。『腹が減っては戦はできぬ』ということわざもあるしね。好きなものを頼みなよ」
西園寺雅人は、これから戦いでもするかのような物言いをして、私たちに食事を先にしようと提案する。確かに今は、夕食時でお腹は減っている。話を聞く前に、腹ごしらえを済ますことに異論のない私たちは、テーブルにあったメニュー表を見ながら料理を決めていく。
店員を呼んで、私たちは各自食べたいものを店員に伝えていく。私とジャスミンは、味噌煮込みうどん、西園寺雅人はエビフライ定食、雨水君と雪子ちゃんは、海鮮丼を注文していた。
『いただきます』
注文した料理がそれぞれの前に置かれ、私たちは料理を食べることを優先した。誰も話さず、黙々と料理を片付けていく。食器を使う音、咀嚼音などの音だけがその場を支配する。私たちの他にも客はいて、楽しそうな会話がそこかしこから聞こえてくる。しかし、私たちは誰も話そうとはしなかった。
全員が食事を終えて、一息ついたところを見計らい、西園寺雅人が最初に口を開いた。
「さて、食事も終えたことだし、何から話していこうか。そうだな。僕から話し始めてもいいけど、それじゃあ、話が単調になってしまうから、朔夜さんたちが僕たちに質問してよ。それに僕が答える形で話していこう!」
「俺もわかる範囲で答えるから、聞きたいことがあれば何でも言ってくれ」
「ゆきこも答えるよお!」
西園寺雅人から話を聞かされると思っていた私は戸惑っていた。そんな風に突然言われても、聞きたいことがたくさんあって、自分自身でも把握しきれていない。何を質問しようかと迷っていると、ジャスミンが何を思ったのか急に席を立つ。
「私は蒼紗のためなら、何でもするわよ。だから、これ以上、蒼紗に迷惑かけるなら容赦しない。話をする前に、これだけは言っておくわ」
西園寺雅人を睨み、びしっと人差し指を彼に向けて大声で謎の宣言をした。
「じゃ、ジャスミン。そんな大声出したら、周りから注目されてしまうし、店員に注意を受けてしまいます!」
ジャスミンの大声に周りから注目されたらどうしようかとひやひやしたのは私だけだった。西園寺雅人も当の本人も、雨水君もゆきこちゃんも特に周囲を気にしてはいなかった。周りを見渡すが、ジャスミンの大声に注目する人はおらず、相変わらず他の客は食事をしながら、楽しそうに談笑していた。その姿に違和感があったが、気にされていないことにほっとして、その事実について深く考えることはしなかった。
「そんなことを言われても、僕の目的は朔夜さんのとこにいる狐の回収だから、朔夜さんが狐を僕に引き渡してくれたら、僕はすぐに京都に帰るんだけどね」
大声を気にしない西園寺雅人が平然とジャスミンの宣言に対して反論していた。ちらと私に視線をよこされるが、九尾のことをどうにかできるほど、私に力があるわけがない。仮にも神様という存在らしい九尾を従わせることは、ただの人間の私にできるはずがない。
「それで、朔夜さん、何か僕に聞きたいことはない?例えば、最近、巷で噂の『受験の悪魔』とか。ちょっと前に流行っていた『サンタ』とかの話は聞きたくない?」
「その話をするということは、それらに自分がかかわっていたと言っているようなものですが、聞いてもいいのですか?」
「おい、それを話してもいいのか」
雨水君は渋い顔をしながら、西園寺雅人をたしなめる。雪子ちゃんは何のことかわからないのか、食後に持ってくるよう注文していたジュースを無言ですすっていた。
「私も蒼紗と同じ意見だわ。話は聞きたいところだけど、それを話せるということは、あんた、もしくは西園寺家が絡んでいると言っているようなものでしょう?わざわざ私たちに話すメリットはあるのかしら?」
「ご名答。さすが、朔夜さんのそばにいるだけはあるんだね。ただの娘じゃないみたいだ」
西園寺雅人とジャスミンは仲が悪いようで、火花を散らして睨み合っている。らちが明かないので、仕方なく止めることにした。どこかでこんな光景を見た気がするが、ジャスミンは、嫌いな相手に敵意をむき出しにしすぎである。
「ジャスミン、もう少し、大人な対応をしてください」
「その辺にしておけ。佐藤も能力者だってことは報告しているだろう。本気を出されたら、ここに居る俺たち全員、跡形もなく溶かされるぞ」
雨水君も西園寺雅人のことを止めていた。
「そんなことにはならないよ。だって、僕を誰だと思っているの。西園寺雅人だよ」
『西園寺雅人様、万歳!』
突然、何人ものそろった声が聞こえた。声の出どころを探そうと辺りを見渡すと、そこには、明らかに一般人とは言い難い人々が、ファミレスの席に座って談笑している光景だった。黒いスーツを上下に身につけ、顔には黒いサングラスを着用していた。いかにも誰かの護衛ですと言った格好をした人々がファミレスで穏やかに談笑している様子はシュールだった。そんな人がファミレスにいたことに驚きだった。声の正体は確認することができなかった。
「いったいいつから彼らは……。あの服装なら、すぐにわかるはずですが……。それに、私たちが入ってきたときも、食事を注文しているときも、注文した商品が届いて食事をしている最中も、先ほど、ジャスミンが叫んだ時も、一般人が談笑していたはずでした」
先ほどの違和感と、西園寺雅人との会話、それらと今の状況を照らし合わせると、浮かび上がることがあった。
「まさか、私たちをここに呼びよせて、九尾たちをおびき寄せるつもりでしたか?」
「気づいちゃいました?ちなみに彼らは、僕のお抱えの護衛たちだよ。でも、よくわかったね。一般人に見えるように僕が術をかけていたのに」
「えっ!」
「どうかしたのですか?」
ジャスミンが驚いたような声を出すので、一体何事かと問えば、ジャスミンには周りの客が一般人にしか見えなかったようだ。
「私にはただの一般客が楽しそうに談笑している姿にしか見えないから」
「もしかして、あの狐に何か術でも施されたんじゃないかな。あいつは西園寺家に隷従していればいいんだよ」
ジャスミンや西園寺雅人に言われて、改めて、周りの客に目を向ける。私も店に入った当初は、ただの一般人がいるだけかと思っていた。それなのに、いざ、目を向けると、黒スーツに黒いサングラスのいかつい男性がたくさんいるシュールな光景となっていた。
「ああ、いたいた。ここだよ!」
すでに西園寺雅人は来ていて、ファミレスの入り口から一番遠い、窓側の席に座っていた。西園寺雅人の隣には、見知った顔があった。
「雨水君に、ゆきこちゃんがなぜこんなところに」
「いったい、何を考えているのかしら?」
「お客様、二名様でよろしいでしょうか?」
「は、はい。あの一番奥の席の人達と約束をしていて」
「かしこまりました。ご案内いたします」
店員に西園寺雅人と同席であることを伝え、店員とともに、彼らのいる席に歩いていく。店員はごゆっくりと伝えると、その場を去っていく。私たちが雨水君とうゆきこちゃんがいることに驚いていると、西園寺雅人自身が彼らを呼んだことを白状した。
「ああ、驚いているね。彼らは、僕が呼んだんだよ。そっちの方が面白いからね。それより、そんなところにいつまでも突っ立っていないで、早く座りなよ」
西園寺雅人に促され、私たちは席に着く。私とジャスミンが隣同士に座り、その正面に西園寺雅人、雨水君、ゆきこちゃんが座っている。
「じゃあ、まずは夕食を食べてしまおうか。『腹が減っては戦はできぬ』ということわざもあるしね。好きなものを頼みなよ」
西園寺雅人は、これから戦いでもするかのような物言いをして、私たちに食事を先にしようと提案する。確かに今は、夕食時でお腹は減っている。話を聞く前に、腹ごしらえを済ますことに異論のない私たちは、テーブルにあったメニュー表を見ながら料理を決めていく。
店員を呼んで、私たちは各自食べたいものを店員に伝えていく。私とジャスミンは、味噌煮込みうどん、西園寺雅人はエビフライ定食、雨水君と雪子ちゃんは、海鮮丼を注文していた。
『いただきます』
注文した料理がそれぞれの前に置かれ、私たちは料理を食べることを優先した。誰も話さず、黙々と料理を片付けていく。食器を使う音、咀嚼音などの音だけがその場を支配する。私たちの他にも客はいて、楽しそうな会話がそこかしこから聞こえてくる。しかし、私たちは誰も話そうとはしなかった。
全員が食事を終えて、一息ついたところを見計らい、西園寺雅人が最初に口を開いた。
「さて、食事も終えたことだし、何から話していこうか。そうだな。僕から話し始めてもいいけど、それじゃあ、話が単調になってしまうから、朔夜さんたちが僕たちに質問してよ。それに僕が答える形で話していこう!」
「俺もわかる範囲で答えるから、聞きたいことがあれば何でも言ってくれ」
「ゆきこも答えるよお!」
西園寺雅人から話を聞かされると思っていた私は戸惑っていた。そんな風に突然言われても、聞きたいことがたくさんあって、自分自身でも把握しきれていない。何を質問しようかと迷っていると、ジャスミンが何を思ったのか急に席を立つ。
「私は蒼紗のためなら、何でもするわよ。だから、これ以上、蒼紗に迷惑かけるなら容赦しない。話をする前に、これだけは言っておくわ」
西園寺雅人を睨み、びしっと人差し指を彼に向けて大声で謎の宣言をした。
「じゃ、ジャスミン。そんな大声出したら、周りから注目されてしまうし、店員に注意を受けてしまいます!」
ジャスミンの大声に周りから注目されたらどうしようかとひやひやしたのは私だけだった。西園寺雅人も当の本人も、雨水君もゆきこちゃんも特に周囲を気にしてはいなかった。周りを見渡すが、ジャスミンの大声に注目する人はおらず、相変わらず他の客は食事をしながら、楽しそうに談笑していた。その姿に違和感があったが、気にされていないことにほっとして、その事実について深く考えることはしなかった。
「そんなことを言われても、僕の目的は朔夜さんのとこにいる狐の回収だから、朔夜さんが狐を僕に引き渡してくれたら、僕はすぐに京都に帰るんだけどね」
大声を気にしない西園寺雅人が平然とジャスミンの宣言に対して反論していた。ちらと私に視線をよこされるが、九尾のことをどうにかできるほど、私に力があるわけがない。仮にも神様という存在らしい九尾を従わせることは、ただの人間の私にできるはずがない。
「それで、朔夜さん、何か僕に聞きたいことはない?例えば、最近、巷で噂の『受験の悪魔』とか。ちょっと前に流行っていた『サンタ』とかの話は聞きたくない?」
「その話をするということは、それらに自分がかかわっていたと言っているようなものですが、聞いてもいいのですか?」
「おい、それを話してもいいのか」
雨水君は渋い顔をしながら、西園寺雅人をたしなめる。雪子ちゃんは何のことかわからないのか、食後に持ってくるよう注文していたジュースを無言ですすっていた。
「私も蒼紗と同じ意見だわ。話は聞きたいところだけど、それを話せるということは、あんた、もしくは西園寺家が絡んでいると言っているようなものでしょう?わざわざ私たちに話すメリットはあるのかしら?」
「ご名答。さすが、朔夜さんのそばにいるだけはあるんだね。ただの娘じゃないみたいだ」
西園寺雅人とジャスミンは仲が悪いようで、火花を散らして睨み合っている。らちが明かないので、仕方なく止めることにした。どこかでこんな光景を見た気がするが、ジャスミンは、嫌いな相手に敵意をむき出しにしすぎである。
「ジャスミン、もう少し、大人な対応をしてください」
「その辺にしておけ。佐藤も能力者だってことは報告しているだろう。本気を出されたら、ここに居る俺たち全員、跡形もなく溶かされるぞ」
雨水君も西園寺雅人のことを止めていた。
「そんなことにはならないよ。だって、僕を誰だと思っているの。西園寺雅人だよ」
『西園寺雅人様、万歳!』
突然、何人ものそろった声が聞こえた。声の出どころを探そうと辺りを見渡すと、そこには、明らかに一般人とは言い難い人々が、ファミレスの席に座って談笑している光景だった。黒いスーツを上下に身につけ、顔には黒いサングラスを着用していた。いかにも誰かの護衛ですと言った格好をした人々がファミレスで穏やかに談笑している様子はシュールだった。そんな人がファミレスにいたことに驚きだった。声の正体は確認することができなかった。
「いったいいつから彼らは……。あの服装なら、すぐにわかるはずですが……。それに、私たちが入ってきたときも、食事を注文しているときも、注文した商品が届いて食事をしている最中も、先ほど、ジャスミンが叫んだ時も、一般人が談笑していたはずでした」
先ほどの違和感と、西園寺雅人との会話、それらと今の状況を照らし合わせると、浮かび上がることがあった。
「まさか、私たちをここに呼びよせて、九尾たちをおびき寄せるつもりでしたか?」
「気づいちゃいました?ちなみに彼らは、僕のお抱えの護衛たちだよ。でも、よくわかったね。一般人に見えるように僕が術をかけていたのに」
「えっ!」
「どうかしたのですか?」
ジャスミンが驚いたような声を出すので、一体何事かと問えば、ジャスミンには周りの客が一般人にしか見えなかったようだ。
「私にはただの一般客が楽しそうに談笑している姿にしか見えないから」
「もしかして、あの狐に何か術でも施されたんじゃないかな。あいつは西園寺家に隷従していればいいんだよ」
ジャスミンや西園寺雅人に言われて、改めて、周りの客に目を向ける。私も店に入った当初は、ただの一般人がいるだけかと思っていた。それなのに、いざ、目を向けると、黒スーツに黒いサングラスのいかつい男性がたくさんいるシュールな光景となっていた。
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