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21直接会って、話をしよう
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「あの、家にはもう、もどら」
「もしもし、お電話変わりました。弟のダイヤと申します」
『ああん?』
「ちょ、ちょっと、ダイヤ何を。て、ていうか、その、へ、返事、ヤ、ヤバッ」
私の決意の言葉は弟の丁寧な言葉により遮られる。いったい、彼に自己紹介などして、なにをするつもりだろうか。慌てて止めようとしたが遅かった。
それにしても、相手は弟の登場に驚いていたが、ヤンキーみたいな反応に不覚にも笑ってしまう。私の笑った様子を見た3人が驚いていたので、慌てて笑う場面ではないと顔に力を入れて真顔に戻す。
どうやら、私と付き合い始めた当初は猫を被っていたらしい。元の素性はあまりよろしくないようだ。同棲をしてからも薄々感じていたが、もっと早く気づくべきだった。
「弟のダイヤです。僕のお姉さんをそんな家政婦扱いしないでください。そっちがそこまでひどい扱いをするなら、こっちにだって考えがあります。いや、考えというより、行動に移します。ルリ、こいつに自己紹介してやってくれ」
弟はそのまま、ルリさんに話を振った。ルリさんは弟と目を合わせて頷く。そして、ルリさんは弟に話しかける形を装いながら、電話越しに聞こえるような声で話し出す。
「まったく、ダイヤは強引に話を進めるね。僕としては、実際に会って、直接話ができたらと思っていたんだけど」
まるで打ち合わせをしていたかのようなスムーズな対応だ。ルリさんは苦笑しながらも目は笑っていなかった。
『誰だよ、お前。もしかして、真珠の彼氏、とかいうんじゃないだろうな』
突然、電話に出たルリさんに対しても、彼の高圧的な態度は変わらない。しかし、その態度に怒ることなく、ルリさんは柔らかい口調のまま話を続ける。
「モデルのルリ、と申します。おっしゃる通り、真珠さんの現在の彼氏で、真珠さんとお付き合いさせていただいています。しかし、どうやら真珠さんにはいまだに付き合っている男性がいるらしいと聞いていたのですが、それがあなたですか?」
『はあ?真珠に男?そんなの嘘に決まってる。どうせ、そいつの身体目当てに近付いたんだろうが。真珠の彼氏は俺だ』
「そうですか。では、あなたの方が身体目的ではないでしょうか?まったく、あなたみたいな野蛮な人と付き合っていたかと思うと、真珠さんが可哀想でなりません」
ルリさんは相手が電話越しであるにも関わらず、頭に手を当てて、大きな溜息を吐く。そして、冷たさのにじむ声で宣言する。
「真珠さんはお前みたいなクズを捨てて、僕と付き合うことになった」
丁寧な言葉で話してはいるが、ルリさんの背中にはどす黒いオーラのようなものが見えた。ちらりと弟やアリアさんの様子をうかがうと、こちらも同じような黒いオーラを纏っている。どうやら、3人とも彼のことがだいぶ嫌いのようだ。それにしても、あまりに圧に電話越しなのに自分の彼氏が可哀想になる。
『はっ。バカ言いやがれ。俺は絶対に認めないからな。大体、電話越しに別れ話とかありえないだろ。本気であいつと付き合いたいのなら、直接俺に会って言うべ』
「あ、あの、そういうこと、だか、ら、わ、私は、あなた、とわかれ、ようとおもう」
このままルリさんに電話を任せていたら、ルリさんが悪者みたいな扱いになってしまう。それではいけないと思い、彼の言葉にかぶせるように言葉を発する。この場にいる3人の気圧されてしまい、つっかえながらの言葉になってしまったが仕方ない。私の言葉に一瞬、彼は黙るが、すぐに口を開く。
『そもそも、別れ話を電話で済ませようとするのがおかしい。わかった。どうしても、そのルリとかいう彼氏を紹介したいのなら、直接会ってやるよ。丁度今日は休みだしな。時間と場所は……』
「ありがとうございます。こちらとしても、直接会ってお話ししたいと思っていました。元、真珠さんの彼氏さん」
「ツーツー」
一方的に時間と場所を伝えた彼は、その後のルリさんの言葉を聞かずに勝手に通話を切ってしまった。突然、電話を切られて私は困惑する。いくら気が立っていようが、人の話を最後まで聞こうとしないのはよくない。
(どうして、今までこんな人と付き合っていたのだろうか)
同じ問いを何度も心の中で繰り返すが、あの当時の私の精神状態が普通ではなかったからだと思いたい。
しかし、これで別れ話をすることが確定した。あとは、ルリさん達と協力して彼と別れるだけだ。彼らのやる気を見ていたら、なんだかすべてがうまくいきそうな気がした。
「もしもし、お電話変わりました。弟のダイヤと申します」
『ああん?』
「ちょ、ちょっと、ダイヤ何を。て、ていうか、その、へ、返事、ヤ、ヤバッ」
私の決意の言葉は弟の丁寧な言葉により遮られる。いったい、彼に自己紹介などして、なにをするつもりだろうか。慌てて止めようとしたが遅かった。
それにしても、相手は弟の登場に驚いていたが、ヤンキーみたいな反応に不覚にも笑ってしまう。私の笑った様子を見た3人が驚いていたので、慌てて笑う場面ではないと顔に力を入れて真顔に戻す。
どうやら、私と付き合い始めた当初は猫を被っていたらしい。元の素性はあまりよろしくないようだ。同棲をしてからも薄々感じていたが、もっと早く気づくべきだった。
「弟のダイヤです。僕のお姉さんをそんな家政婦扱いしないでください。そっちがそこまでひどい扱いをするなら、こっちにだって考えがあります。いや、考えというより、行動に移します。ルリ、こいつに自己紹介してやってくれ」
弟はそのまま、ルリさんに話を振った。ルリさんは弟と目を合わせて頷く。そして、ルリさんは弟に話しかける形を装いながら、電話越しに聞こえるような声で話し出す。
「まったく、ダイヤは強引に話を進めるね。僕としては、実際に会って、直接話ができたらと思っていたんだけど」
まるで打ち合わせをしていたかのようなスムーズな対応だ。ルリさんは苦笑しながらも目は笑っていなかった。
『誰だよ、お前。もしかして、真珠の彼氏、とかいうんじゃないだろうな』
突然、電話に出たルリさんに対しても、彼の高圧的な態度は変わらない。しかし、その態度に怒ることなく、ルリさんは柔らかい口調のまま話を続ける。
「モデルのルリ、と申します。おっしゃる通り、真珠さんの現在の彼氏で、真珠さんとお付き合いさせていただいています。しかし、どうやら真珠さんにはいまだに付き合っている男性がいるらしいと聞いていたのですが、それがあなたですか?」
『はあ?真珠に男?そんなの嘘に決まってる。どうせ、そいつの身体目当てに近付いたんだろうが。真珠の彼氏は俺だ』
「そうですか。では、あなたの方が身体目的ではないでしょうか?まったく、あなたみたいな野蛮な人と付き合っていたかと思うと、真珠さんが可哀想でなりません」
ルリさんは相手が電話越しであるにも関わらず、頭に手を当てて、大きな溜息を吐く。そして、冷たさのにじむ声で宣言する。
「真珠さんはお前みたいなクズを捨てて、僕と付き合うことになった」
丁寧な言葉で話してはいるが、ルリさんの背中にはどす黒いオーラのようなものが見えた。ちらりと弟やアリアさんの様子をうかがうと、こちらも同じような黒いオーラを纏っている。どうやら、3人とも彼のことがだいぶ嫌いのようだ。それにしても、あまりに圧に電話越しなのに自分の彼氏が可哀想になる。
『はっ。バカ言いやがれ。俺は絶対に認めないからな。大体、電話越しに別れ話とかありえないだろ。本気であいつと付き合いたいのなら、直接俺に会って言うべ』
「あ、あの、そういうこと、だか、ら、わ、私は、あなた、とわかれ、ようとおもう」
このままルリさんに電話を任せていたら、ルリさんが悪者みたいな扱いになってしまう。それではいけないと思い、彼の言葉にかぶせるように言葉を発する。この場にいる3人の気圧されてしまい、つっかえながらの言葉になってしまったが仕方ない。私の言葉に一瞬、彼は黙るが、すぐに口を開く。
『そもそも、別れ話を電話で済ませようとするのがおかしい。わかった。どうしても、そのルリとかいう彼氏を紹介したいのなら、直接会ってやるよ。丁度今日は休みだしな。時間と場所は……』
「ありがとうございます。こちらとしても、直接会ってお話ししたいと思っていました。元、真珠さんの彼氏さん」
「ツーツー」
一方的に時間と場所を伝えた彼は、その後のルリさんの言葉を聞かずに勝手に通話を切ってしまった。突然、電話を切られて私は困惑する。いくら気が立っていようが、人の話を最後まで聞こうとしないのはよくない。
(どうして、今までこんな人と付き合っていたのだろうか)
同じ問いを何度も心の中で繰り返すが、あの当時の私の精神状態が普通ではなかったからだと思いたい。
しかし、これで別れ話をすることが確定した。あとは、ルリさん達と協力して彼と別れるだけだ。彼らのやる気を見ていたら、なんだかすべてがうまくいきそうな気がした。
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