22 / 27
22服装は大事です
しおりを挟む
「さて、これで役者はそろった。ルリ、ここからがお前の本領発揮だ。姉さんを頼むぞ」
「私たちも当然、その場についていくけど、後ろからコッソリ見守るだけだから」
「責任重大ですね。頑張ります」
「ルリさん、あ、あの、本当に私のために、こ、こいびと、のふりを」
『当たり前でしょう?』
彼らのやる気には感謝している。しかし、よく考えたら、別れようと思って弟に相談した次の日に、もう別れ話に突入とは展開が急すぎる。最終確認のため、ルリさんに意思を問うが、途中で遮られる。
3人のきれいなハモリがリビングに響き渡った。何やら、彼らは私の知らない絆で結ばれているようだ。
「あ、あたり、まえ?」
「僕がもっと早く、付き合う前にあのクズのことを反対していたら、姉さんはこんなに傷つくことはなかった」
「こんなにクズなら、真珠さんが良いと言っても、私たちは真剣に交際を止めるべきでした」
「今、電話で聞いただけでもわかる、真珠さんの彼氏にはまったく相応しくない」
その後に弟達3人の彼に対しての批判が始まる。私よりも敵意に満ちた表情を見て、再度笑いがこみ上げてしまう。
「ふふふ」
「また、姉さんが、笑った」
「ああ、すみません。彼って本当にクズ、だったみたいですね。ダイヤ、アリアさん、ルリさんの3人の言葉を聞いて、周りから見てもクズだったのだなと思いまして」
他人の為にここまで親身になってくれる人がいたから、笑う余裕ができた。さて、ここ彼は気を引き締めていかなくてはならない。3人の顔を見て、表情を引き締める。
「では、準備します。わ、私はそれで、どうやって別れ話を進めていけばいい、ですか?」
そうと決まれば、ここで私がへまをしないように、事前の打ち合わせが大事になる。
「姉さんは、いつも通りにしていればいい」
「お姉さんが気をつけるべきことは一つだけです。毅然とした態度であのクズと向き合うこと!今までみたいな弱気な態度ではなく、こちらから相手を振ってやるくらいの勢いで挑みましょう」
「アリアの言う通りだね。真珠さんは何も悪いことはしていないので、堂々とした態度をしていれば何も問題ありません。それに振ってやると言うのは、あながち間違いでもありません。そのために僕がいるんですから。あとは僕が頑張ります!」
アリアさんの言葉にはっとする。今まで私は彼と一緒にいたが、私が強気に出たことはなかった。彼の言う通りに動き、彼の言葉に一喜一憂していた。彼の顔色ばかりうかがっていて、自分を押し殺していた。彼の前で、私は常に弱気な態度だったかもしれない。
「が、頑張ります」
ルリさんの言葉も頼もしい。超人気モデルに恋人役を頼むのだ。これ以上、頼もしいことはない。
「とりあえず、あのクズが言いそうな言葉を予想して、それに対しての回答を考えていくとするか」
「電話で話してわかったと思うけど、だいぶ他人に対して高圧的な態度をとるから、こういったら、きっとこう返してくると……」
私たちは彼との待ち合わせ時刻まで、綿密に計画を立てるのだった。
待ち合わせ場所に指定されたのは、私の住んでいるマンションの近くのファミレスだった。弟の家までは電車で来たので、電車で行くのかと思っていたが。
「ルリも僕もいるのに、電車だと目立つでしょ。車があるんだから、車で行くよ」
弟の言葉により、私たち4人は弟の車でファミレスまで行くことになった。
「モデルって、やっぱり儲かるよね……」
マンションの地下にある駐車場に停めてある弟の車を見て感心する。白色の高級外車で、スポーツカータイプの限定車だった。
「姉さんだって、モデルに復帰したら、これくらい帰るくらい稼げると思うけどな。僕と似ているし」
「いや、モデルはもう、やらないよ。それにしても、本当にこの服装で成功率が上がるの?」
車に乗り込む際、私は自分の服装について言及する。待ち合わせは昼の12時であり、アリアさんが私のために服を買ってくると言って出かけて行った。そして今着ているのが、アリアさんが購入してきた服というわけだ。
「似合ってますよ。昨日着ていた服も、シンプルで真珠さんに似合ってはいましたが、やはり勝負事がある日には、服にも気合を入れるべきです!」
「アリアの見立てに間違いはないな。ルリもばっちり決めているし、どこからどう見ても美男美女のお似合いカップルにしか見えない」
「僕も、ちゃんとした服を持ってきてよかった」
私はこれからお見合いにでも行くのかというコーデをしていた。薄い水色のワンピースにもこもこした白いカーディガン。その上にファーがついたベージュのコートを羽織る。靴は冬だということで、黒いブーツを履かされた。
それに対して、ルリさんは白のタートルネックニットにベージュのジャケット、紺色のスラックス。その上に黒のロングコートを羽織った。
基本的にスカートを履かない私にとって久々のスカートだ。とはいえ、確かに可愛い服を着ると、気分も上がる。隣に立つルリさんのためにも、服装くらい気に掛けたほうがいいだろう。
似合っていると言われたので、このまま車に乗り込む。ダイヤが運転席で助手席にアリアさんが座る。後部座席に先に乗り込んだルリさんが私に手をさしのべる。そういった行動をさらりとできるところが憎らしい。そして、とても様になっていた。
「ありがとう、ございます」
私たちは彼が指定したファミレスに向かうのだった。
「私たちも当然、その場についていくけど、後ろからコッソリ見守るだけだから」
「責任重大ですね。頑張ります」
「ルリさん、あ、あの、本当に私のために、こ、こいびと、のふりを」
『当たり前でしょう?』
彼らのやる気には感謝している。しかし、よく考えたら、別れようと思って弟に相談した次の日に、もう別れ話に突入とは展開が急すぎる。最終確認のため、ルリさんに意思を問うが、途中で遮られる。
3人のきれいなハモリがリビングに響き渡った。何やら、彼らは私の知らない絆で結ばれているようだ。
「あ、あたり、まえ?」
「僕がもっと早く、付き合う前にあのクズのことを反対していたら、姉さんはこんなに傷つくことはなかった」
「こんなにクズなら、真珠さんが良いと言っても、私たちは真剣に交際を止めるべきでした」
「今、電話で聞いただけでもわかる、真珠さんの彼氏にはまったく相応しくない」
その後に弟達3人の彼に対しての批判が始まる。私よりも敵意に満ちた表情を見て、再度笑いがこみ上げてしまう。
「ふふふ」
「また、姉さんが、笑った」
「ああ、すみません。彼って本当にクズ、だったみたいですね。ダイヤ、アリアさん、ルリさんの3人の言葉を聞いて、周りから見てもクズだったのだなと思いまして」
他人の為にここまで親身になってくれる人がいたから、笑う余裕ができた。さて、ここ彼は気を引き締めていかなくてはならない。3人の顔を見て、表情を引き締める。
「では、準備します。わ、私はそれで、どうやって別れ話を進めていけばいい、ですか?」
そうと決まれば、ここで私がへまをしないように、事前の打ち合わせが大事になる。
「姉さんは、いつも通りにしていればいい」
「お姉さんが気をつけるべきことは一つだけです。毅然とした態度であのクズと向き合うこと!今までみたいな弱気な態度ではなく、こちらから相手を振ってやるくらいの勢いで挑みましょう」
「アリアの言う通りだね。真珠さんは何も悪いことはしていないので、堂々とした態度をしていれば何も問題ありません。それに振ってやると言うのは、あながち間違いでもありません。そのために僕がいるんですから。あとは僕が頑張ります!」
アリアさんの言葉にはっとする。今まで私は彼と一緒にいたが、私が強気に出たことはなかった。彼の言う通りに動き、彼の言葉に一喜一憂していた。彼の顔色ばかりうかがっていて、自分を押し殺していた。彼の前で、私は常に弱気な態度だったかもしれない。
「が、頑張ります」
ルリさんの言葉も頼もしい。超人気モデルに恋人役を頼むのだ。これ以上、頼もしいことはない。
「とりあえず、あのクズが言いそうな言葉を予想して、それに対しての回答を考えていくとするか」
「電話で話してわかったと思うけど、だいぶ他人に対して高圧的な態度をとるから、こういったら、きっとこう返してくると……」
私たちは彼との待ち合わせ時刻まで、綿密に計画を立てるのだった。
待ち合わせ場所に指定されたのは、私の住んでいるマンションの近くのファミレスだった。弟の家までは電車で来たので、電車で行くのかと思っていたが。
「ルリも僕もいるのに、電車だと目立つでしょ。車があるんだから、車で行くよ」
弟の言葉により、私たち4人は弟の車でファミレスまで行くことになった。
「モデルって、やっぱり儲かるよね……」
マンションの地下にある駐車場に停めてある弟の車を見て感心する。白色の高級外車で、スポーツカータイプの限定車だった。
「姉さんだって、モデルに復帰したら、これくらい帰るくらい稼げると思うけどな。僕と似ているし」
「いや、モデルはもう、やらないよ。それにしても、本当にこの服装で成功率が上がるの?」
車に乗り込む際、私は自分の服装について言及する。待ち合わせは昼の12時であり、アリアさんが私のために服を買ってくると言って出かけて行った。そして今着ているのが、アリアさんが購入してきた服というわけだ。
「似合ってますよ。昨日着ていた服も、シンプルで真珠さんに似合ってはいましたが、やはり勝負事がある日には、服にも気合を入れるべきです!」
「アリアの見立てに間違いはないな。ルリもばっちり決めているし、どこからどう見ても美男美女のお似合いカップルにしか見えない」
「僕も、ちゃんとした服を持ってきてよかった」
私はこれからお見合いにでも行くのかというコーデをしていた。薄い水色のワンピースにもこもこした白いカーディガン。その上にファーがついたベージュのコートを羽織る。靴は冬だということで、黒いブーツを履かされた。
それに対して、ルリさんは白のタートルネックニットにベージュのジャケット、紺色のスラックス。その上に黒のロングコートを羽織った。
基本的にスカートを履かない私にとって久々のスカートだ。とはいえ、確かに可愛い服を着ると、気分も上がる。隣に立つルリさんのためにも、服装くらい気に掛けたほうがいいだろう。
似合っていると言われたので、このまま車に乗り込む。ダイヤが運転席で助手席にアリアさんが座る。後部座席に先に乗り込んだルリさんが私に手をさしのべる。そういった行動をさらりとできるところが憎らしい。そして、とても様になっていた。
「ありがとう、ございます」
私たちは彼が指定したファミレスに向かうのだった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!
satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。
働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。
早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。
そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。
大丈夫なのかなぁ?
私を嫌っていた冷徹魔導士が魅了の魔法にかかった結果、なぜか私にだけ愛を囁く
魚谷
恋愛
「好きだ、愛している」
帝国の英雄である将軍ジュリアは、幼馴染で、眉目秀麗な冷血魔導ギルフォードに抱きしめられ、愛を囁かれる。
混乱しながらも、ジュリアは長らく疎遠だった美形魔導師に胸をときめかせてしまう。
ギルフォードにもジュリアと長らく疎遠だったのには理由があって……。
これは不器用な魔導師と、そんな彼との関係を修復したいと願う主人公が、お互いに失ったものを取り戻し、恋する物語
公爵様のバッドエンドを回避したいだけだったのに、なぜか溺愛されています
六花心碧
恋愛
お気に入り小説の世界で名前すら出てこないモブキャラに転生してしまった!
『推しのバッドエンドを阻止したい』
そう思っただけなのに、悪女からは脅されるし、小説の展開はどんどん変わっていっちゃうし……。
推しキャラである公爵様の反逆を防いで、見事バッドエンドを回避できるのか……?!
ゆるくて、甘くて、ふわっとした溺愛ストーリーです➴⡱
◇2025.3 日間・週間1位いただきました!HOTランキングは最高3位いただきました!
皆様のおかげです、本当にありがとうございました(ˊᗜˋ*)
(外部URLで登録していたものを改めて登録しました! ◇他サイト様でも公開中です)
行き遅れにされた女騎士団長はやんごとなきお方に愛される
めもぐあい
恋愛
「ババアは、早く辞めたらいいのにな。辞めれる要素がないから無理か? ギャハハ」
ーーおーい。しっかり本人に聞こえてますからねー。今度の遠征の時、覚えてろよ!!
テレーズ・リヴィエ、31歳。騎士団の第4師団長で、テイム担当の魔物の騎士。
『テレーズを陰日向になって守る会』なる組織を、他の師団長達が作っていたらしく、お陰で恋愛経験0。
新人訓練に潜入していた、王弟のマクシムに外堀を埋められ、いつの間にか女性騎士団の団長に祭り上げられ、マクシムとは公認の仲に。
アラサー女騎士が、いつの間にかやんごとなきお方に愛されている話。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
婚約破棄歴八年、すっかり飲んだくれになった私をシスコン義弟が宰相に成り上がって迎えにきた
鳥羽ミワ
恋愛
ロゼ=ローラン、二十四歳。十六歳の頃に最初の婚約が破棄されて以来、数えるのも馬鹿馬鹿しいくらいの婚約破棄を経験している。
幸い両親であるローラン伯爵夫妻はありあまる愛情でロゼを受け入れてくれているし、お酒はおいしいけれど、このままではかわいい義弟のエドガーの婚姻に支障が出てしまうかもしれない。彼はもう二十を過ぎているのに、いまだ縁談のひとつも来ていないのだ。
焦ったロゼはどこでもいいから嫁ごうとするものの、行く先々にエドガーが現れる。
このままでは義弟が姉離れできないと強い危機感を覚えるロゼに、男として迫るエドガー。気づかないロゼ。構わず迫るエドガー。
エドガーはありとあらゆるギリギリ世間の許容範囲(の外)の方法で外堀を埋めていく。
「パーティーのパートナーは俺だけだよ。俺以外の男の手を取るなんて許さない」
「お茶会に行くんだったら、ロゼはこのドレスを着てね。古いのは全部処分しておいたから」
「アクセサリー選びは任せて。俺の瞳の色だけで綺麗に飾ってあげるし、もちろん俺のネクタイもロゼの瞳の色だよ」
ちょっと抜けてる真面目酒カス令嬢が、シスコン義弟に溺愛される話。
※この話はカクヨム様、アルファポリス様、エブリスタ様にも掲載されています。
※レーティングをつけるほどではないと判断しましたが、作中性的ないやがらせ、暴行の描写、ないしはそれらを想起させる描写があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる