27 / 27
27私は今、幸せです
しおりを挟む
「あれから、もう2年ですね。時が経つのは早いです」
「確かに、あの時は大変でしたね」
「でも、そのおかげでルリさんと付き合うことができたので……。あの時はつらかったですけど、今は幸せなので結果オーライです」
「まったく、真珠さんには敵いませんね」
ふふふと私たちはお互いを見つめ合い、自然と微笑みあう。
私は元カレと別れてから、ルリさんとすぐに付き合うことはなかった。とはいえ、お互いにあれきり会わないという選択肢は無く、定期的に二人でランチをしたり、美術館や博物館などを一緒に見に行ったりしていた。それを見ていた弟達に急かされて、私から思い切って告白した。今度こそ、幸せになってやるぞと気合を入れて。出会ってから3か月でようやく決心がついた。
「真珠さんが告白してくれた時は、すごくうれしかったです」
「ルリさんが告白をOKしてくれた時は、本当にほっとしました」
もともと、ルリさんには嫌われていないことはわかっていた。普通、好きでもない相手と二人きりで何度も会うことはない。二人きりで会ってくれている時点で勝算はあった。とはいえ、振られないという確証はなかった。だから、ルリさんも告白しようと思っていたと知った時は、信じられない気持ちでいっぱいだった。相手も私と同じ気持ちだったことにこんなに喜んだのは初めての経験だった。
ちなみに元カレと同棲していたマンションの部屋には、三回ほど荷物を持ち出しに戻るだけで、泊まることは二度となかった。元彼からの連絡はすべて拒否し、最終的に連絡先は削除して、ブロックした。だから、彼が今、誰と付き合っているのか、あのままあの部屋に住み続けているのかも不明だ。
「それにしても、ダイヤたちの結婚式、素晴らしかったですね。私たちもあんな風に出来たらいいなと……」
「出来たらじゃなくて、ダイヤたち以上の素晴らしい結婚式にしましょう!」
私は今、ルリさんと同棲している。そして、先月、籍を入れたため、晴れて私たちは恋人から夫婦になった。弟とアリアさんは、私が元彼と別れたあとに籍を入れて、結婚式をつい最近あげたばかりだ。彼らは私にとって幸せの家族像そのものだ。
「真珠さんのウェディングドレス姿、きれいでしょうね。モデル撮影している真珠さんも素敵だけど」
私はルリさんと正式に付き合うことになり、事務員を辞めて、モデルの仕事に復帰した。元彼との買い物の時にいた私のファンや、アリアさんを見て、私のことを認めてくれている人たちの存在を身近に感じた。ルリさんと付き合うにあたり、対等な関係でいるためには、昔の私から成長しなくてはならない。
現在では、昔のファンや新規のファンも増えて、徐々に私のモデルとしての人気が出始めている。ルリさんやダイヤには敵わないが、それでもファンがいてくれるだけで感謝している。
「そもそも、真珠さんのその性格が暗いとギャップがあるとか、そういう風に言う人がおかしいです。内向的で料理や家事が好きだったら、モデルをしてはいけないなんて決まりはないし、僕としてはとても助かっています!もちろん、僕だって料理とかできるように練習しますからね!」
ルリさんのおかげで私は少しずつだが、卑屈な自分に自信が持てるようになってきた。いまでも自分なんかが、とネガティブな気持ちになることもあるが、それでも前向きに生きていけるようになった。
ブー、ブー。
ルリさんと話していたら、テーブルに置かれた私のスマホがメッセージを受信した。スマホの通知画面を確認すると、アリアさんからだった。
『四人分のチケットが手に入ったので、四人の予定が空いた日に、美術館に行きませんか?』
「アリアさんからです。今度四人で美術館に行きたいそうです」
「いつもいきなり予定を入れてきますね」
「でも、四人で行くのは楽しみです。も、もちろん、ルリさんと行く二人きりでのお出かけも楽しいですけど」
「では、手始めに今からランチに出掛けますか?」
「準備するのでちょっと、待ってくださいね」
私は外出する支度をするために席を立つ。席を立つ際に、ちらりと自分の指に目を向ける。左手の薬指にはキラキラと輝くプラチナの結婚指輪が光っている。ルリさんの手元を見ると、そこにも同じように輝く結婚指輪が光っていた。
私とルリさんの幸せな生活はまだ始まったばかりだ。
「確かに、あの時は大変でしたね」
「でも、そのおかげでルリさんと付き合うことができたので……。あの時はつらかったですけど、今は幸せなので結果オーライです」
「まったく、真珠さんには敵いませんね」
ふふふと私たちはお互いを見つめ合い、自然と微笑みあう。
私は元カレと別れてから、ルリさんとすぐに付き合うことはなかった。とはいえ、お互いにあれきり会わないという選択肢は無く、定期的に二人でランチをしたり、美術館や博物館などを一緒に見に行ったりしていた。それを見ていた弟達に急かされて、私から思い切って告白した。今度こそ、幸せになってやるぞと気合を入れて。出会ってから3か月でようやく決心がついた。
「真珠さんが告白してくれた時は、すごくうれしかったです」
「ルリさんが告白をOKしてくれた時は、本当にほっとしました」
もともと、ルリさんには嫌われていないことはわかっていた。普通、好きでもない相手と二人きりで何度も会うことはない。二人きりで会ってくれている時点で勝算はあった。とはいえ、振られないという確証はなかった。だから、ルリさんも告白しようと思っていたと知った時は、信じられない気持ちでいっぱいだった。相手も私と同じ気持ちだったことにこんなに喜んだのは初めての経験だった。
ちなみに元カレと同棲していたマンションの部屋には、三回ほど荷物を持ち出しに戻るだけで、泊まることは二度となかった。元彼からの連絡はすべて拒否し、最終的に連絡先は削除して、ブロックした。だから、彼が今、誰と付き合っているのか、あのままあの部屋に住み続けているのかも不明だ。
「それにしても、ダイヤたちの結婚式、素晴らしかったですね。私たちもあんな風に出来たらいいなと……」
「出来たらじゃなくて、ダイヤたち以上の素晴らしい結婚式にしましょう!」
私は今、ルリさんと同棲している。そして、先月、籍を入れたため、晴れて私たちは恋人から夫婦になった。弟とアリアさんは、私が元彼と別れたあとに籍を入れて、結婚式をつい最近あげたばかりだ。彼らは私にとって幸せの家族像そのものだ。
「真珠さんのウェディングドレス姿、きれいでしょうね。モデル撮影している真珠さんも素敵だけど」
私はルリさんと正式に付き合うことになり、事務員を辞めて、モデルの仕事に復帰した。元彼との買い物の時にいた私のファンや、アリアさんを見て、私のことを認めてくれている人たちの存在を身近に感じた。ルリさんと付き合うにあたり、対等な関係でいるためには、昔の私から成長しなくてはならない。
現在では、昔のファンや新規のファンも増えて、徐々に私のモデルとしての人気が出始めている。ルリさんやダイヤには敵わないが、それでもファンがいてくれるだけで感謝している。
「そもそも、真珠さんのその性格が暗いとギャップがあるとか、そういう風に言う人がおかしいです。内向的で料理や家事が好きだったら、モデルをしてはいけないなんて決まりはないし、僕としてはとても助かっています!もちろん、僕だって料理とかできるように練習しますからね!」
ルリさんのおかげで私は少しずつだが、卑屈な自分に自信が持てるようになってきた。いまでも自分なんかが、とネガティブな気持ちになることもあるが、それでも前向きに生きていけるようになった。
ブー、ブー。
ルリさんと話していたら、テーブルに置かれた私のスマホがメッセージを受信した。スマホの通知画面を確認すると、アリアさんからだった。
『四人分のチケットが手に入ったので、四人の予定が空いた日に、美術館に行きませんか?』
「アリアさんからです。今度四人で美術館に行きたいそうです」
「いつもいきなり予定を入れてきますね」
「でも、四人で行くのは楽しみです。も、もちろん、ルリさんと行く二人きりでのお出かけも楽しいですけど」
「では、手始めに今からランチに出掛けますか?」
「準備するのでちょっと、待ってくださいね」
私は外出する支度をするために席を立つ。席を立つ際に、ちらりと自分の指に目を向ける。左手の薬指にはキラキラと輝くプラチナの結婚指輪が光っている。ルリさんの手元を見ると、そこにも同じように輝く結婚指輪が光っていた。
私とルリさんの幸せな生活はまだ始まったばかりだ。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!
satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。
働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。
早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。
そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。
大丈夫なのかなぁ?
私を嫌っていた冷徹魔導士が魅了の魔法にかかった結果、なぜか私にだけ愛を囁く
魚谷
恋愛
「好きだ、愛している」
帝国の英雄である将軍ジュリアは、幼馴染で、眉目秀麗な冷血魔導ギルフォードに抱きしめられ、愛を囁かれる。
混乱しながらも、ジュリアは長らく疎遠だった美形魔導師に胸をときめかせてしまう。
ギルフォードにもジュリアと長らく疎遠だったのには理由があって……。
これは不器用な魔導師と、そんな彼との関係を修復したいと願う主人公が、お互いに失ったものを取り戻し、恋する物語
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
イケメンエリート軍団??何ですかそれ??【イケメンエリートシリーズ第二弾】
便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある
IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC”
謎多き噂の飛び交う外資系一流企業
日本内外のイケメンエリートが
集まる男のみの会社
そのイケメンエリート軍団の異色男子
ジャスティン・レスターの意外なお話
矢代木の実(23歳)
借金地獄の元カレから身をひそめるため
友達の家に居候のはずが友達に彼氏ができ
今はネットカフェを放浪中
「もしかして、君って、家出少女??」
ある日、ビルの駐車場をうろついてたら
金髪のイケメンの外人さんに
声をかけられました
「寝るとこないないなら、俺ん家に来る?
あ、俺は、ここの27階で働いてる
ジャスティンって言うんだ」
「………あ、でも」
「大丈夫、何も心配ないよ。だって俺は…
女の子には興味はないから」
婚約破棄された際もらった慰謝料で田舎の土地を買い農家になった元貴族令嬢、野菜を買いにきたベジタリアン第三王子に求婚される
さら
恋愛
婚約破棄された元伯爵令嬢クラリス。
慰謝料代わりに受け取った金で田舎の小さな土地を買い、農業を始めることに。泥にまみれて種を撒き、水をやり、必死に生きる日々。貴族の煌びやかな日々は失ったけれど、土と共に過ごす穏やかな時間が、彼女に新しい幸せをくれる――はずだった。
だがある日、畑に現れたのは野菜好きで有名な第三王子レオニール。
「この野菜は……他とは違う。僕は、あなたが欲しい」
そう言って真剣な瞳で求婚してきて!?
王妃も兄王子たちも立ちはだかる。
「身分違いの恋」なんて笑われても、二人の気持ちは揺るがない。荒れ地を畑に変えるように、愛もまた努力で実を結ぶのか――。
婚約破棄歴八年、すっかり飲んだくれになった私をシスコン義弟が宰相に成り上がって迎えにきた
鳥羽ミワ
恋愛
ロゼ=ローラン、二十四歳。十六歳の頃に最初の婚約が破棄されて以来、数えるのも馬鹿馬鹿しいくらいの婚約破棄を経験している。
幸い両親であるローラン伯爵夫妻はありあまる愛情でロゼを受け入れてくれているし、お酒はおいしいけれど、このままではかわいい義弟のエドガーの婚姻に支障が出てしまうかもしれない。彼はもう二十を過ぎているのに、いまだ縁談のひとつも来ていないのだ。
焦ったロゼはどこでもいいから嫁ごうとするものの、行く先々にエドガーが現れる。
このままでは義弟が姉離れできないと強い危機感を覚えるロゼに、男として迫るエドガー。気づかないロゼ。構わず迫るエドガー。
エドガーはありとあらゆるギリギリ世間の許容範囲(の外)の方法で外堀を埋めていく。
「パーティーのパートナーは俺だけだよ。俺以外の男の手を取るなんて許さない」
「お茶会に行くんだったら、ロゼはこのドレスを着てね。古いのは全部処分しておいたから」
「アクセサリー選びは任せて。俺の瞳の色だけで綺麗に飾ってあげるし、もちろん俺のネクタイもロゼの瞳の色だよ」
ちょっと抜けてる真面目酒カス令嬢が、シスコン義弟に溺愛される話。
※この話はカクヨム様、アルファポリス様、エブリスタ様にも掲載されています。
※レーティングをつけるほどではないと判断しましたが、作中性的ないやがらせ、暴行の描写、ないしはそれらを想起させる描写があります。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる