7 / 28
第1章 いじめの代償~季節外れの転校生~
5(0-1)クラス担任①
しおりを挟む
俺は昨年この学校に赴任してきた。その時受け持った小学4年生のクラスに一人の少女がいた。いわゆる問題児という奴だ。問題児の少女の扱いについていろいろ聞かされた。さらには、その父親についての扱いも聞かされた。
「少女に対して基本的に怒らないこと」
「少女の言うことには耳を貸し、わがままを聞いてあげること」
「いじめが発覚して、犯人がたとえその少女だったとしても、見て見ぬふりを貫き通すこと」
「父親には決して歯向かわないこと」
一人の少女だけなぜそのような特別待遇をするのか、学校教師としてあるまじきことではないか。どう考えても、その少女に対して特別扱いをしてくれと言っているようなものだ。
しかし、詳しい詳細を聞き納得した。どうやら、その少女の父親がこの町で権力がある人で、娘を溺愛しているらしい。そして、娘が悪いことをしてもそれを認めることはなく、逆に他のこどもが悪いという始末。挙句の果てに、先生も悪いと怒鳴ってくるようだ。いわゆるモンスターペアレントである。
父親は先生が悪いと思ったら、権力を使ってその先生を強制的に異動させた。異動後の先生の末路はおぞましいものだった。あるものは女子児童の着替えの盗撮、あるものは万引き、あるものは飲酒運転の末に事故を起こして逮捕されているらしい。
結果として、強制的に異動させられた先生方は不祥事を起こして退職を余儀なくされていた。
そのような結末を聞いて恐ろしくなった。別の学校に異動してからの出来事とはいえ、誰もかれもが皆そのような不祥事を起こしているのは偶然か。はたまた故意に誰かが仕向けてのものか。
最初にその話を聞いた時、自分には関係ないと思った。何せ、特に昇進願望はないし、一人の児童にそこまで特別扱いはしたくないと思ったからだ。それでも自分がその少女のせいで異動になり、そこで不祥事を起こしてやめることになる結末が待っていると思うと、やはり自分の保身に走ってしまうのだった。
俺は話の通りにその少女を扱うことにした。どうやらその少女はクラスのスクールカースト頂点に君臨しているようで、やりたい放題だった。いじめは横行し、不登校も存在していた。先生だけでなく、児童もその少女の扱いには慎重だった。彼女の言うことを聞いていれば、その間は平穏な日常を過ごすことができる。小学生でもクラスの人間関係を把握していて、実にたくましいなと感心してしまったほどだ。
さて、俺はめでたくその少女の担任を一年無事に終えることができた。そして、今年もありがたくその少女のクラスを受け持つことになった。また一年間、その少女のいるクラスの担任となり、一緒にすごすことになったというわけだ。
「鈴木水無月です。よろしくお願いします。」
その少女のクラスに転校生がやってきた。転校生は女子で見た目はおとなしそうだった。それでも、その表情を見ると何とも言えない気持ちになった。必死で隠そうとはしているようだが、何を経験してきたのか、普通の小学生ではありえない、人生に何も希望を持っていない暗い瞳をしていた。家庭事情がよくないのか、それとも前の学校で何か嫌なこと、それこそいじめにでもあっていたのだろうか。
担任として、転校生の情報は知っておかなければならないのだが、その少女の転校前の資料には親の都合で転校としか書かれておらず、特にいじめ等の連絡事項はなかった。
一目見たときから、面倒くさそうな子供が転校してきたなと思った。しかし、それと同時にこの子ならもしかしたら、この異常なクラスの状況を何とかしてくれるのではないかと期待した。
「先生は、このクラスをどう思いますか。」
転校初日の放課後にそんなことを言われた。どうと言われても、どう答えていいかわからない。とはいえ、転校初日の児童に心配や不安を持たせたくはない。
「まだ新学期が始まったばかりで、どうと言われても。でも、4月から1か月間、クラスを見てきたけど、みんな仲良しで、水無月さんもすぐにクラスのみんなと仲良くなれると思うよ。」
あたりさわりのない言葉をかけることしかできなかった。実際はそんなことはない。不登校がすでに二人も存在するし、不登校予備軍も数人存在する。そんなクラスでクラスメイト同士の仲が良いわけがない。
「そうなんですね。じゃあ、そんなクラスをぶっ壊そうとしている私は異端者になってしまいますね。そうなる前に先に謝っておきます。すいません。」
そんな言葉をはいた彼女の表情はやはり小学生には到底見えなかった。いったい彼女は何を経験してそんな大人びた表情になってしまったのだろうか。俺はその言葉に苦笑いしか返すことができなかった。
「少女に対して基本的に怒らないこと」
「少女の言うことには耳を貸し、わがままを聞いてあげること」
「いじめが発覚して、犯人がたとえその少女だったとしても、見て見ぬふりを貫き通すこと」
「父親には決して歯向かわないこと」
一人の少女だけなぜそのような特別待遇をするのか、学校教師としてあるまじきことではないか。どう考えても、その少女に対して特別扱いをしてくれと言っているようなものだ。
しかし、詳しい詳細を聞き納得した。どうやら、その少女の父親がこの町で権力がある人で、娘を溺愛しているらしい。そして、娘が悪いことをしてもそれを認めることはなく、逆に他のこどもが悪いという始末。挙句の果てに、先生も悪いと怒鳴ってくるようだ。いわゆるモンスターペアレントである。
父親は先生が悪いと思ったら、権力を使ってその先生を強制的に異動させた。異動後の先生の末路はおぞましいものだった。あるものは女子児童の着替えの盗撮、あるものは万引き、あるものは飲酒運転の末に事故を起こして逮捕されているらしい。
結果として、強制的に異動させられた先生方は不祥事を起こして退職を余儀なくされていた。
そのような結末を聞いて恐ろしくなった。別の学校に異動してからの出来事とはいえ、誰もかれもが皆そのような不祥事を起こしているのは偶然か。はたまた故意に誰かが仕向けてのものか。
最初にその話を聞いた時、自分には関係ないと思った。何せ、特に昇進願望はないし、一人の児童にそこまで特別扱いはしたくないと思ったからだ。それでも自分がその少女のせいで異動になり、そこで不祥事を起こしてやめることになる結末が待っていると思うと、やはり自分の保身に走ってしまうのだった。
俺は話の通りにその少女を扱うことにした。どうやらその少女はクラスのスクールカースト頂点に君臨しているようで、やりたい放題だった。いじめは横行し、不登校も存在していた。先生だけでなく、児童もその少女の扱いには慎重だった。彼女の言うことを聞いていれば、その間は平穏な日常を過ごすことができる。小学生でもクラスの人間関係を把握していて、実にたくましいなと感心してしまったほどだ。
さて、俺はめでたくその少女の担任を一年無事に終えることができた。そして、今年もありがたくその少女のクラスを受け持つことになった。また一年間、その少女のいるクラスの担任となり、一緒にすごすことになったというわけだ。
「鈴木水無月です。よろしくお願いします。」
その少女のクラスに転校生がやってきた。転校生は女子で見た目はおとなしそうだった。それでも、その表情を見ると何とも言えない気持ちになった。必死で隠そうとはしているようだが、何を経験してきたのか、普通の小学生ではありえない、人生に何も希望を持っていない暗い瞳をしていた。家庭事情がよくないのか、それとも前の学校で何か嫌なこと、それこそいじめにでもあっていたのだろうか。
担任として、転校生の情報は知っておかなければならないのだが、その少女の転校前の資料には親の都合で転校としか書かれておらず、特にいじめ等の連絡事項はなかった。
一目見たときから、面倒くさそうな子供が転校してきたなと思った。しかし、それと同時にこの子ならもしかしたら、この異常なクラスの状況を何とかしてくれるのではないかと期待した。
「先生は、このクラスをどう思いますか。」
転校初日の放課後にそんなことを言われた。どうと言われても、どう答えていいかわからない。とはいえ、転校初日の児童に心配や不安を持たせたくはない。
「まだ新学期が始まったばかりで、どうと言われても。でも、4月から1か月間、クラスを見てきたけど、みんな仲良しで、水無月さんもすぐにクラスのみんなと仲良くなれると思うよ。」
あたりさわりのない言葉をかけることしかできなかった。実際はそんなことはない。不登校がすでに二人も存在するし、不登校予備軍も数人存在する。そんなクラスでクラスメイト同士の仲が良いわけがない。
「そうなんですね。じゃあ、そんなクラスをぶっ壊そうとしている私は異端者になってしまいますね。そうなる前に先に謝っておきます。すいません。」
そんな言葉をはいた彼女の表情はやはり小学生には到底見えなかった。いったい彼女は何を経験してそんな大人びた表情になってしまったのだろうか。俺はその言葉に苦笑いしか返すことができなかった。
0
あなたにおすすめの小説
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる