年を取らない子供たち~EC(エターナルチルドレン)~

折原さゆみ

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第2章 いじめの代償~日直~

1(22)転校生②

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 転校してから1か月が経過した。そろそろ依頼をどのように遂行するか考えていくべき頃合いだ。

 1か月を過ごしてきて、このクラスの様子がつかめてきた。クラスの中の自分の立ち位置やクラスメイトのそれぞれの役割も把握した。

「おはよう、水無月。今日も相変わらず無表情でクールね。」
「おはようございます。」

 今日も紫苑すみれは私に気付くとすぐに挨拶をくれる。もちろん私もクラスのスクールカースト頂点に挨拶をしないほど馬鹿ではないのでしっかりと挨拶を返す。


「おはよう。」
「おはようございます。」

 彼女の他にも私に挨拶をするクラスメイトにはきちんと一人一人に挨拶を返す。黒板を見ると、どうやら今日は私が日直のようである。昨日の段階では確か私は今日、日直の予定ではなかったはずだ。

「今日は私が日直みたいだから、学級日誌をとりに職員室に行ってくるね。」

「行ってらっしゃい。あとで水無月と一緒の日直当番も手伝いに行くと思うよ。」 

 私が今日、日直であることにクラスメイトは驚いていなかった。クラス全員で私に日直を押し付けようとしているのか。それとも、すでに私に対するいじめが始まりだしたということか。どちらにせよ、今はまだ様子を見るべきである。



「先生、学級日誌をとりにきました。」

 職員室に入ると、担任はパソコンに向かって何かを入力していた。学級通信を作っている最中だったようだ。画面をのぞき込もうと顔を近づけると、開いていた画面を閉じられてデスクトップの状態にされてしまった。

「学級日誌だったよな。これだ。もらったらさっさと教室に戻れ。」

 そういった先生は私に学級日誌を渡すと、用は済んだとばかりに手を振られる。

「先生は今日、私が日直であることに疑問はありませんか。」

「別にないけど、ああ、日直がやりたくないからそう言っているのか。ダメだぞ。日直はクラスの大事な仕事の一つだ。嫌でもしっかりと責任を持ってやることだ。」

 
 軽くあしらわれてしまった。先生も一緒になって私をいじめようとしている。そういえば、本来の今日の日直は彼女だったはず。ただ単に彼女が日直の面倒くさい仕事を私に押し付けただけで、いじめとは関係ないのかもしれない。しかし、それを私がいじめと感じていれば、それは立派ないじめとして成立する。

 職員室の帰りにばったりと今日私と一緒に日直を担当するクラスメイトが小走りで近づいてきた。そのクラスメイトも私の記憶では今日は本来日直ではなかったはずだ。彼はクラスの中でも要領が悪く、いつ彼女に標的にされてもおかしくはない状態の男子だった。


「ごめん。ぼく、朝が苦手で学校に来るのがいつもぎりぎりになっちゃうんだ。それに今日日直だったなんて知らなくて。今日学校にきて初めて知った。」

 彼も知らされていなかったということか。彼に任せると、日直の仕事を彼一人でさせていると思われてしまうだろうか。逆に私一人で日直の仕事をこなしてしまうと、彼が私一人にやらせていると言われるだろうか。どちらにせよ、私と彼で均等に日直の仕事を行うのがよさそうだ。面倒くさいことこの上ない。

 彼は確かに要領が悪かった。仕事を頼んでも丁寧なのかただ単に遅いのか、黒板消し一つ頼んでも時間がかかる。学級日誌は私が記入することにした。私が日直の仕事をすべてやった方がいいと思うくらいに何をさせても遅かった。しかも彼はことあるごとに私に何か話したそうに見つめてくる。帰りのHRが終わり、教室から出るころになってやっと彼は話しかけてきた。

「水無月さん、何かあったらぼくに話してください。ぼくが水無月さんの学校生活を楽しいものにして見せます。だからいじめられていると感じたらすぐにぼくに話してください。」

 まずはその要領の悪さを直してからにしろよ。内心そう思いながらも私はにっこり微笑んで頷いたのだった。

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