7 / 49
大学生活③
しおりを挟む
「みなさん、席について。授業始めますよ。」
私が言葉を言い終えると同時に先生が話し始めた。いつの間に先生が来ていたのだろうか。これでは仕方ない。どうせ、反論したところで何か変わるとも思えない。授業後すぐに更衣室に行って、自分の服に着替えよう。雨に濡れた自分の服もだいぶ乾いているだろう。そして、服を返してしっかりと断ろう。先ほどまでは西園寺さんに流されて渡された衣装を着てしまったが、今の会話を聞いて決心した。西園寺さんはやはりかかわってはいけない人種である。決意を胸に授業を聞き始めた。
「これで授業を終わります。」
授業終わりの合図とともに教室を飛び出す算段だったが、見抜かれていたのだろう。私の行動を先読みして、腕をつかんできた。
「逃がさないわよ。次は空きコマのはずでしょ。これからたくさん私たちとお話ししましょう、蒼紗。まだまだ話したいことは山ほどあるのだから。」
これはもう、腹をくくるしかない。
「はい。」
私は西園寺さんと雨水君と空きコマを控室で一緒に過ごし、その後、食堂でお昼を食べ、午後の授業も仲良く3人で受けることになったのだった。
授業がすべて終わり、この後特に用事もなかったので家に帰ろうかと思い、2人に家に帰る旨を伝えた。さすがに放課後までは付き合わなくてもいいだろう。西園寺さんに自分の家に来るかと聞かれ、さすがにそこまではと遠慮する。すると、意外とあっさり西園寺さんは私の要求を聞き入れてくれた。しかし、この服で電車に乗るのは恥ずかしすぎるので、更衣室で自分の服に着替えなおすことにした。
「服はクリーニングに出さなくていいけど、明日からも私がもってきた服に着替えなさいよ。」
どうやら明日もこのコスプレは続くらしい。
大学を出るころになっても雨はやむ気配は一向にない。ザーザーと滝のような雨が降り続いている。帰りもずぶぬれで帰るのを覚悟で、私は駅に向かった。
電車に揺られながら、改めて今日一日を振り返ってみる。そういえば、今日は西園寺さんと雨水君としか話していない。服装が服装で話しかけにくかったのかもしれない。それでも、2人には毎時間、たくさんの学生が入れ替わり立ち代わり話しかけていた気がする。必修の授業では同じ学科の学生もいた。これから4年間一緒に過ごすのだし、仲良くとまではいかなくても、ある程度の仲にはしておきたい。
ふと、外の景色を眺めてみる。今日は本当に一日雨が降り続けていた。明日も降るのだろうか。雨の日はどうしても気分が憂鬱になる。
家に帰り、そういえば明日の天気はどうだろうとテレビをつけると、ちょうど天気予報をやっていた。どうやら明日は晴れるらしい。それと、今日の雨は私の大学付近だけで降っていたらしく、その周辺の地域は晴れていたらしい。大学上空だけ、雨雲が覆っているような変な天気だったという。怪奇現象とでもいうのだろうか。まあ、一日だけで明日は晴れるというし、特に問題はないだろう。
私が電車に揺られている頃。西園寺さんと雨水君は、まだ大学内の控室にいた。
「蒼紗、とってもかわいいわよね。しかも思った通り、私が見立てた服がよく似合うわ。」
「あまりいじめるなよ。」
「いいじゃない。こうしてストレス解消でもしないと精神がもたないわ。次の仕事ももう入っているのでしょう。」
「まあ、次の仕事はもう入っている。決行は今夜0時。雨もそんなに長く降らせ続けられないからな。一気に片づける。そして残念ながらその次も予約済みだ。」
アルバイトの話でもしているのだろうか。二人はまだしばらく控室で話していた。
それからの一週間、毎日のように二人は私に付きまとってきた。朝大学に行くと、どこからともなく現れ、服が入った服を手渡される。そして、私は無言で受け取り、更衣室で着替える。一緒に授業を受ける。お昼を一緒に食べ、その後も一緒に授業を受け、授業が終わると、解散となる。毎日この繰り返しだ。
服は毎日違っていた。西園寺さん本人に合わせた服装で、女主人と執事、メイドなど様々だった。よくもまあ、こんなに服を集められたものだ。あきれを通り越して、あきれてしまう。
最近、ちょっとした傷害事件が多発している。万引きをしているところを見つけられて、逆上して店員を殴ったり、夜中ホームレスの人が襲われて大けがを負ったり、酔っ払いが道を歩いていたら、突然背後から襲われてけがをしたりしている。世の中物騒である。
物騒ではないが、うちの大学でも変わったことがあった。私の学科の生徒がひとりやめてしまったことだ。なんと、入学式に空いていた私の隣の席の生徒だった。顔も見たことがないので、寂しいとか心配などの感情は湧かないが、それでもなぜ大学入学早々やめてしまったのかは気になる。
西園寺さんは彼と知り合いらしかった。彼が大学を辞めたことを教えてくれたのは彼女だった。さらに続けて独り言のようにつぶやいた。
「あいつはかなり乱暴者で経過観察中だったけど、やっぱり問題を起こした。ああするしかほかに手はなかった。また一人同胞者が減って寂しいけれど、殺されるよりはましだ。」
彼がやめたことについて、なぜか彼女は心を痛めているようだった。彼が大学を辞めた理由を何か知っているような雰囲気だ。そして、雨水君も彼女の言葉に顔をしかめてうつむいた。気になるが、問いかけて良い空気ではなかった。
私が言葉を言い終えると同時に先生が話し始めた。いつの間に先生が来ていたのだろうか。これでは仕方ない。どうせ、反論したところで何か変わるとも思えない。授業後すぐに更衣室に行って、自分の服に着替えよう。雨に濡れた自分の服もだいぶ乾いているだろう。そして、服を返してしっかりと断ろう。先ほどまでは西園寺さんに流されて渡された衣装を着てしまったが、今の会話を聞いて決心した。西園寺さんはやはりかかわってはいけない人種である。決意を胸に授業を聞き始めた。
「これで授業を終わります。」
授業終わりの合図とともに教室を飛び出す算段だったが、見抜かれていたのだろう。私の行動を先読みして、腕をつかんできた。
「逃がさないわよ。次は空きコマのはずでしょ。これからたくさん私たちとお話ししましょう、蒼紗。まだまだ話したいことは山ほどあるのだから。」
これはもう、腹をくくるしかない。
「はい。」
私は西園寺さんと雨水君と空きコマを控室で一緒に過ごし、その後、食堂でお昼を食べ、午後の授業も仲良く3人で受けることになったのだった。
授業がすべて終わり、この後特に用事もなかったので家に帰ろうかと思い、2人に家に帰る旨を伝えた。さすがに放課後までは付き合わなくてもいいだろう。西園寺さんに自分の家に来るかと聞かれ、さすがにそこまではと遠慮する。すると、意外とあっさり西園寺さんは私の要求を聞き入れてくれた。しかし、この服で電車に乗るのは恥ずかしすぎるので、更衣室で自分の服に着替えなおすことにした。
「服はクリーニングに出さなくていいけど、明日からも私がもってきた服に着替えなさいよ。」
どうやら明日もこのコスプレは続くらしい。
大学を出るころになっても雨はやむ気配は一向にない。ザーザーと滝のような雨が降り続いている。帰りもずぶぬれで帰るのを覚悟で、私は駅に向かった。
電車に揺られながら、改めて今日一日を振り返ってみる。そういえば、今日は西園寺さんと雨水君としか話していない。服装が服装で話しかけにくかったのかもしれない。それでも、2人には毎時間、たくさんの学生が入れ替わり立ち代わり話しかけていた気がする。必修の授業では同じ学科の学生もいた。これから4年間一緒に過ごすのだし、仲良くとまではいかなくても、ある程度の仲にはしておきたい。
ふと、外の景色を眺めてみる。今日は本当に一日雨が降り続けていた。明日も降るのだろうか。雨の日はどうしても気分が憂鬱になる。
家に帰り、そういえば明日の天気はどうだろうとテレビをつけると、ちょうど天気予報をやっていた。どうやら明日は晴れるらしい。それと、今日の雨は私の大学付近だけで降っていたらしく、その周辺の地域は晴れていたらしい。大学上空だけ、雨雲が覆っているような変な天気だったという。怪奇現象とでもいうのだろうか。まあ、一日だけで明日は晴れるというし、特に問題はないだろう。
私が電車に揺られている頃。西園寺さんと雨水君は、まだ大学内の控室にいた。
「蒼紗、とってもかわいいわよね。しかも思った通り、私が見立てた服がよく似合うわ。」
「あまりいじめるなよ。」
「いいじゃない。こうしてストレス解消でもしないと精神がもたないわ。次の仕事ももう入っているのでしょう。」
「まあ、次の仕事はもう入っている。決行は今夜0時。雨もそんなに長く降らせ続けられないからな。一気に片づける。そして残念ながらその次も予約済みだ。」
アルバイトの話でもしているのだろうか。二人はまだしばらく控室で話していた。
それからの一週間、毎日のように二人は私に付きまとってきた。朝大学に行くと、どこからともなく現れ、服が入った服を手渡される。そして、私は無言で受け取り、更衣室で着替える。一緒に授業を受ける。お昼を一緒に食べ、その後も一緒に授業を受け、授業が終わると、解散となる。毎日この繰り返しだ。
服は毎日違っていた。西園寺さん本人に合わせた服装で、女主人と執事、メイドなど様々だった。よくもまあ、こんなに服を集められたものだ。あきれを通り越して、あきれてしまう。
最近、ちょっとした傷害事件が多発している。万引きをしているところを見つけられて、逆上して店員を殴ったり、夜中ホームレスの人が襲われて大けがを負ったり、酔っ払いが道を歩いていたら、突然背後から襲われてけがをしたりしている。世の中物騒である。
物騒ではないが、うちの大学でも変わったことがあった。私の学科の生徒がひとりやめてしまったことだ。なんと、入学式に空いていた私の隣の席の生徒だった。顔も見たことがないので、寂しいとか心配などの感情は湧かないが、それでもなぜ大学入学早々やめてしまったのかは気になる。
西園寺さんは彼と知り合いらしかった。彼が大学を辞めたことを教えてくれたのは彼女だった。さらに続けて独り言のようにつぶやいた。
「あいつはかなり乱暴者で経過観察中だったけど、やっぱり問題を起こした。ああするしかほかに手はなかった。また一人同胞者が減って寂しいけれど、殺されるよりはましだ。」
彼がやめたことについて、なぜか彼女は心を痛めているようだった。彼が大学を辞めた理由を何か知っているような雰囲気だ。そして、雨水君も彼女の言葉に顔をしかめてうつむいた。気になるが、問いかけて良い空気ではなかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
ユニークアイテムな女子(絶対的替えの効かない、唯一無二の彼女)「ゆにかの」
masuta
キャラ文芸
恋と友情、そして命を懸けた決断。青春は止まらない。
世界を股にかける財閥の御曹司・嘉位は、U-15日本代表として世界一を経験した天才投手。
しかし、ある理由で野球を捨て、超エリート進学校・和井田学園へ進学する。
入学式の日、偶然ぶつかった少女・香織。
彼女は、嘉位にとって“絶対的替えの効かない、唯一無二の存在”だった。
香織は、八重の親友。
そして八重は、時に未来を暗示する不思議な夢を見る少女。
その夢が、やがて物語を大きく動かしていく。
ゴールデンウィーク、八重の見た夢は、未曾有の大災害を告げていた。
偶然か、必然か……命を守るために立ち上がる。
「誰も欠けさせない」という信念を胸に走り続ける。
やがて災害を未然に防ぎ、再びグラウンドへと導く。
その中で、恋もまた静かに進んでいく。
「ずっと、君が好きだった」告白の言葉が、災害と勝負を越えた心を震わせる。
それぞれの想いが交錯し、群像劇は加速する。
一人ひとりが主人公。人生に脇役はいない。
現代ファンタジーとリアルが交錯する青春群像劇。
本作は小説家になろう、オリジナル作品のフルリメイク版です。
ママはヤンママ女子高生! ラン&ジュリー!!
オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
キャラ文芸
神崎ラン(♂)の父親の再婚相手は幼馴染みで女子高生の高原ジュリー(♀)だった。
ジュリーは金髪美少女だが、地元では『ワイルドビーナス』の異名を取る有名なヤンキーだった。
学校ではジュリーは、ランを使いっ走りにしていた。
当然のようにアゴで使われたが、ジュリーは十八歳になったら結婚する事を告白した。
同級生のジュリーが結婚するなんて信じられない。
ランは密かにジュリーの事を憧れていたので、失恋した気分だ。
そう言えば、昨夜、ランの父親も再婚すると言っていた。
まさかとは思ったが、ランはジュリーに結婚相手を聞くと、ランの父親だと判明した。
その夜、改めて父親とジュリーのふたりは結婚すると報告された。
こうしてジュリーとの同居が決まった。
しかもジュリーの母親、エリカも現われ、ランの家は騒然となった。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
烏の王と宵の花嫁
水川サキ
キャラ文芸
吸血鬼の末裔として生まれた華族の娘、月夜は家族から虐げられ孤独に生きていた。
唯一の慰めは、年に一度届く〈からす〉からの手紙。
その送り主は太陽の化身と称される上級華族、縁樹だった。
ある日、姉の縁談相手を誤って傷つけた月夜は、父に遊郭へ売られそうになり屋敷を脱出するが、陽の下で倒れてしまう。
死を覚悟した瞬間〈からす〉の正体である縁樹が現れ、互いの思惑から契約結婚を結ぶことになる。
※初出2024年7月
完結‼️翡翠の歌姫は 後宮で声を隠す―2人の皇子と失われた記憶【1/23本編完結】
雪城 冴
キャラ文芸
本編完結‼️【中華サスペンス】
皇帝が隠した禁忌の秘密。
それを“思い出してはいけない少女”がいた。
「その眼で見るな――」
特殊な眼を持つ少女・翠蓮は、忌み嫌われ、村を追われた。
居場所を失った彼女が頼れたのは、歌だけ。
宮廷歌姫を目指して辿り着いた都でも、待っていたのは差別と孤立。
そんな翠蓮に近づいたのは、
危険な香りをまとう皇子と、天女のように美しいもう一人の皇子だった。
だが、その出会いをきっかけに皇位争い、皇后の執着、命を狙われる日々。
追い詰められる中で、翠蓮の忘れていた記憶が揺り動く。
かつて王家が封じた“力”とは?
翠蓮の正体とは?
声を隠して生き延びるか。
それとも、すべてを賭けて歌うのか。
運命に選ばれた少女が、最後に下す決断とは――?
※架空の中華風ファンタジーです
※アルファポリス様で先行公開しており、書き溜まったらなろう、カクヨム様に移しています
※表紙絵はAI生成
あやかし帝都の婚姻譚 〜浄癒の花嫁が祓魔の軍人に溺愛されるまで〜
鳴猫ツミキ
キャラ文芸
【完結】【第一章までで一区切り】時は大正。天羽家に生まれた桜子は、特異な体質から、家族に虐げられた生活を送っていた。すると女学院から帰ったある日、見合いをするよう命じられる。相手は冷酷だと評判の帝国陸軍あやかし対策部隊の四峰礼人だった。※和風シンデレラ風のお話です。恋愛要素が多いですが、あやかし要素が主体です。第9回キャラ文芸大賞に応募しているので、応援して頂けましたら嬉しいです。【第一章で一区切りで単体で読めますので、そこまででもご覧頂けると嬉しいです】。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる