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異世界転移をした彼女は女性の意識改革(服装改革)を行うことにした
13細かい微調整を行っていきましょう
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「それにしても、宰相が逃げ出すとは驚いた」
「ですが、これで一人、私たちの行動を阻むものがこの城からいなくなりました!」
「この調子で頑張っていきましょうね。カナデ」
宰相がその場からいなくなり、女性陣は少しほっとしていた。エリザベスは宰相の行動に驚いていたが、カナデとソフィアは宰相がいなくなったことを喜んでいた。
「カナデの用事も済んだことですし、私たちは一度、部屋に戻ります。何かありましたら、部屋にいますので、遠慮せずに呼びに来てくださって大丈夫です」
「お見苦しいところをお見せしました」
カナデとソフィアは一度、自分の部屋に戻ることにした。他の女性たちも自分の仕事を思い出したのだろう。その場で女性陣は解散することになった。エリザベスは、宰相がいなくなったことで、暇を持て余すことになるかと思われたが、女王にはやるべきことが多く、別の仕事に取りかかるらしい。レオナやイザベラも自分の警護の仕事の時間がきたようで、破廉恥ではあるが、騎士団の制服に身に包んで、警護のための仕事に向かっていく。
それぞれの仕事に向かって歩き出した女性たちだったが、カナデのおかげなのか、皆の足取りは軽かった。
カナデたちがソフィアの部屋に戻ると、いつの間にか結構な時間が経過しており、外を確認すると、日が暮れかけて薄暗くなっていた。
「それで、カナデさん、服装はうまく調整できましたか?」
部屋に戻ったカナデは、ソファに座りくつろいでいた。服装はすでにいつものダサいもといた世界のチェックシャツにパーカー、ジーンズの格好に戻っていた。近くには、先ほどまで調整していた騎士団の制服が転がっている。ソフィアもカナデの目の前のソファに座り、くつろいでいたが、カナデと違い、膝の上に二匹の猫を乗せていた。
『われもそれは聞きたかったことだ。だいぶ理想に近づいたのだろう?』
『カナデのことだ。面白いことになっているのかもしれんぞ』
二匹の猫は、ブラックとホワイトで、女神と悪魔だった。二人の言葉を聞きつつも、カナデは、ソフィアの質問に対してどう答えようか悩んでいた。
「ええと、何というか、自分が女神さまからもらった能力が、いまいち使いきれていないというか、そういえば私自身、服飾関係について何も学んでこなかったことを思い出してしまって……。私自身が女子なので、動きやすくてかわいい、男子が見ても欲情することないものに調整したんですが」
自信がなさそうに答えるカナデだが、そんな様子を見ても、ソフィアの態度が変わることはない。
「それで?」
「それでと言われましても」
「はあ」
「あ、あの私は、何か……」
ソフィアのためいきに、カナデは自分が何か失態を犯したのかと思って、自分のどこに間違いがあったのか聞こうとした。しかし、ソフィアは何を思ったのか、カナデの近くにきて、両手でカナデの顔をつかみ、無理やり目を合わせ、言葉を紡ぎ始めた。
「もっと自信を持ちなさい。あなたの女性に対する自由への渇望は、今を生きる女性やこれから生まれる女性たちに希望を与えるもの。服飾がわからなくたって、能力をうまく使いきれていないのだって、これから勉強して覚えていけばいいだけでしょう?そんなことより、カナデさんが女性として使いやすくてなおかつ、おしゃれなものを想像すればいい。そうではないかしら?」
「想像……」
女神が与えてくれた能力は、カナデの想像を具現化してくれるというチート能力だ。服飾に限定されるとはいえ、とても便利な力である。
カナデは先ほど騎士団で作った試作品の制服をソファの近くから拾い、ソフィアに差し出した。
「ソフィアさんの言う通りですね。確かに私にはまだまだ知識が足りません。でも、想像することはできます。あの、私が着るのもいいですけど、ソフィアさんも着てみてはいかがでしょうか?」
「わ、私が着るのですか?ええと、私は……」
『そうだ、どうせならソフィアもこの機会に着てみればいいのではないか?』
『よい考えだ。ソフィアもカナデとそこまで体型は違わないから、着ても問題はないだろう』
騎士団の制服の試作品を手渡されたソフィアは、制服とカナデを交互に見ながら、珍しく戸惑った声を出す。
「これは私が想像で調整した、女性用の騎士服になります。私がまた着てみて、その感想を伝えてみてもいいのですが、どうせなら、ソフィアさんにも着てもらえたらなと思いまして。きっと、可憐で可愛らしい女性騎士のかんせ。えっ!」
カナデの言葉を最後まで聞かず、ソフィアはきれいにたたまれた騎士服をカナデに返した。
「これを渡されても、私はどうしようもありません。私が騎士団になることはありません。着ても誰が得することもない。カナデさんがもう一度着用してください。それを私が見て、あの場では言えなかった外見的なアドバイスをします」
「えええ、ソフィアさんは着ないのですか?そして、私がまた着るとは。ソフィアさんの言っていることは、私にも関係あるんですけど。私も実際の騎士団ではないので、誰も得しませんよ。私の方が、可愛くないし、かっこよくないし。鍛えてもいないので、おなかは割れていないし、足もそこまで細くもないですし。見せてダレトクと思う姿になると思いますけど。まあ、この試作品では、腹も足も見えないし、むしろ隠せるので問題はないのですが」
「私はそれで構いません」
意志を変えるつもりのないソフィアにたじろぎながらも、カナデは再び騎士服を身にまとうことになった。
「やはり、これが本来の女性騎士の姿だと思いますね」
「ソフィアさんもそう思いますか。そうですよね、私も大いに同意です」
試作品の制服を身につけたカナデは、はたから見たら、本物の女性騎士のようだった。そして、見た目が破廉恥でなくなった分、頼りがいのある、守ってもらえそうな騎士に早変わりした。
「胸の部分が少し苦しかったので、緩くしました。それから、シャツの腕周りと丈も短く調整した感じです。下のスラックスについては、こちらもウエストと丈を調整して、ちょうどよい感じに仕上げました」
「目のやり場に困っていた今の女性騎士服よりましになったけど、カナデ、あなた実は自分の身体がコンプレックスなのかしら?今のままでも充分に通用していると思うけど。ここまで女性らしさを隠す必要はないのでは?」
カナデの調整により、男性の騎士団の制服をそのまま女性が着た時におこるダブダブ感はなくなったが、女性としての魅力である丸みを帯びた緩やかな曲線美も失われてしまっていた。もう少し、きつめにして、身体の線にフィットしてもいいと、ソフィアはアドバイスする。
「シャツは、もう少し身体にフィットさせてもいいと思うわ。スラックスに関しても同様ね。どうして、そこまで身体の線を隠そうとするのか疑問だけど、今は気にしないことにするわ。別にぱっつんぱっつんのシャツやスラックスで胸やお尻を強調させたいというわけではないけど、もう少し女性としての魅力を引き出しても問題ないのではないかしら?」
「ううん、そのへんはソフィアさんの考えが参考になります!どうしても、私はダブダブな感じが好みで。じゃあこんな感じですか?」
カナデが目を閉じて、創造すると身体が光り出し、服装が微妙に変化する。
「そうねえ、いい感じかも、ああでももう少し緩くても」
「こうですか?」
「そうそう!」
こうして、二人はああでもない、こうでもないと言いながら、女性用の騎士服の改良を進めるのだった。
「ですが、これで一人、私たちの行動を阻むものがこの城からいなくなりました!」
「この調子で頑張っていきましょうね。カナデ」
宰相がその場からいなくなり、女性陣は少しほっとしていた。エリザベスは宰相の行動に驚いていたが、カナデとソフィアは宰相がいなくなったことを喜んでいた。
「カナデの用事も済んだことですし、私たちは一度、部屋に戻ります。何かありましたら、部屋にいますので、遠慮せずに呼びに来てくださって大丈夫です」
「お見苦しいところをお見せしました」
カナデとソフィアは一度、自分の部屋に戻ることにした。他の女性たちも自分の仕事を思い出したのだろう。その場で女性陣は解散することになった。エリザベスは、宰相がいなくなったことで、暇を持て余すことになるかと思われたが、女王にはやるべきことが多く、別の仕事に取りかかるらしい。レオナやイザベラも自分の警護の仕事の時間がきたようで、破廉恥ではあるが、騎士団の制服に身に包んで、警護のための仕事に向かっていく。
それぞれの仕事に向かって歩き出した女性たちだったが、カナデのおかげなのか、皆の足取りは軽かった。
カナデたちがソフィアの部屋に戻ると、いつの間にか結構な時間が経過しており、外を確認すると、日が暮れかけて薄暗くなっていた。
「それで、カナデさん、服装はうまく調整できましたか?」
部屋に戻ったカナデは、ソファに座りくつろいでいた。服装はすでにいつものダサいもといた世界のチェックシャツにパーカー、ジーンズの格好に戻っていた。近くには、先ほどまで調整していた騎士団の制服が転がっている。ソフィアもカナデの目の前のソファに座り、くつろいでいたが、カナデと違い、膝の上に二匹の猫を乗せていた。
『われもそれは聞きたかったことだ。だいぶ理想に近づいたのだろう?』
『カナデのことだ。面白いことになっているのかもしれんぞ』
二匹の猫は、ブラックとホワイトで、女神と悪魔だった。二人の言葉を聞きつつも、カナデは、ソフィアの質問に対してどう答えようか悩んでいた。
「ええと、何というか、自分が女神さまからもらった能力が、いまいち使いきれていないというか、そういえば私自身、服飾関係について何も学んでこなかったことを思い出してしまって……。私自身が女子なので、動きやすくてかわいい、男子が見ても欲情することないものに調整したんですが」
自信がなさそうに答えるカナデだが、そんな様子を見ても、ソフィアの態度が変わることはない。
「それで?」
「それでと言われましても」
「はあ」
「あ、あの私は、何か……」
ソフィアのためいきに、カナデは自分が何か失態を犯したのかと思って、自分のどこに間違いがあったのか聞こうとした。しかし、ソフィアは何を思ったのか、カナデの近くにきて、両手でカナデの顔をつかみ、無理やり目を合わせ、言葉を紡ぎ始めた。
「もっと自信を持ちなさい。あなたの女性に対する自由への渇望は、今を生きる女性やこれから生まれる女性たちに希望を与えるもの。服飾がわからなくたって、能力をうまく使いきれていないのだって、これから勉強して覚えていけばいいだけでしょう?そんなことより、カナデさんが女性として使いやすくてなおかつ、おしゃれなものを想像すればいい。そうではないかしら?」
「想像……」
女神が与えてくれた能力は、カナデの想像を具現化してくれるというチート能力だ。服飾に限定されるとはいえ、とても便利な力である。
カナデは先ほど騎士団で作った試作品の制服をソファの近くから拾い、ソフィアに差し出した。
「ソフィアさんの言う通りですね。確かに私にはまだまだ知識が足りません。でも、想像することはできます。あの、私が着るのもいいですけど、ソフィアさんも着てみてはいかがでしょうか?」
「わ、私が着るのですか?ええと、私は……」
『そうだ、どうせならソフィアもこの機会に着てみればいいのではないか?』
『よい考えだ。ソフィアもカナデとそこまで体型は違わないから、着ても問題はないだろう』
騎士団の制服の試作品を手渡されたソフィアは、制服とカナデを交互に見ながら、珍しく戸惑った声を出す。
「これは私が想像で調整した、女性用の騎士服になります。私がまた着てみて、その感想を伝えてみてもいいのですが、どうせなら、ソフィアさんにも着てもらえたらなと思いまして。きっと、可憐で可愛らしい女性騎士のかんせ。えっ!」
カナデの言葉を最後まで聞かず、ソフィアはきれいにたたまれた騎士服をカナデに返した。
「これを渡されても、私はどうしようもありません。私が騎士団になることはありません。着ても誰が得することもない。カナデさんがもう一度着用してください。それを私が見て、あの場では言えなかった外見的なアドバイスをします」
「えええ、ソフィアさんは着ないのですか?そして、私がまた着るとは。ソフィアさんの言っていることは、私にも関係あるんですけど。私も実際の騎士団ではないので、誰も得しませんよ。私の方が、可愛くないし、かっこよくないし。鍛えてもいないので、おなかは割れていないし、足もそこまで細くもないですし。見せてダレトクと思う姿になると思いますけど。まあ、この試作品では、腹も足も見えないし、むしろ隠せるので問題はないのですが」
「私はそれで構いません」
意志を変えるつもりのないソフィアにたじろぎながらも、カナデは再び騎士服を身にまとうことになった。
「やはり、これが本来の女性騎士の姿だと思いますね」
「ソフィアさんもそう思いますか。そうですよね、私も大いに同意です」
試作品の制服を身につけたカナデは、はたから見たら、本物の女性騎士のようだった。そして、見た目が破廉恥でなくなった分、頼りがいのある、守ってもらえそうな騎士に早変わりした。
「胸の部分が少し苦しかったので、緩くしました。それから、シャツの腕周りと丈も短く調整した感じです。下のスラックスについては、こちらもウエストと丈を調整して、ちょうどよい感じに仕上げました」
「目のやり場に困っていた今の女性騎士服よりましになったけど、カナデ、あなた実は自分の身体がコンプレックスなのかしら?今のままでも充分に通用していると思うけど。ここまで女性らしさを隠す必要はないのでは?」
カナデの調整により、男性の騎士団の制服をそのまま女性が着た時におこるダブダブ感はなくなったが、女性としての魅力である丸みを帯びた緩やかな曲線美も失われてしまっていた。もう少し、きつめにして、身体の線にフィットしてもいいと、ソフィアはアドバイスする。
「シャツは、もう少し身体にフィットさせてもいいと思うわ。スラックスに関しても同様ね。どうして、そこまで身体の線を隠そうとするのか疑問だけど、今は気にしないことにするわ。別にぱっつんぱっつんのシャツやスラックスで胸やお尻を強調させたいというわけではないけど、もう少し女性としての魅力を引き出しても問題ないのではないかしら?」
「ううん、そのへんはソフィアさんの考えが参考になります!どうしても、私はダブダブな感じが好みで。じゃあこんな感じですか?」
カナデが目を閉じて、創造すると身体が光り出し、服装が微妙に変化する。
「そうねえ、いい感じかも、ああでももう少し緩くても」
「こうですか?」
「そうそう!」
こうして、二人はああでもない、こうでもないと言いながら、女性用の騎士服の改良を進めるのだった。
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