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異世界転移をした彼女は女性の意識改革(服装改革)を行うことにした
14女性視点の快適さを求めた結果です
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次の日、カナデとソフィアは出来上がった服をエリザベスの元に持っていくことにした。ソフィアの地位は特殊なもので、この城の中で、しいてはこの国の最も権力のあるエリザベスへの謁見もすんなりと許可を取ることができた。
「ソフィアにカナデか。昨日はごくろうだった。まさか、宰相がこの城から出ていくとは思わなかったが。致し方のないことかもしれないな」
しかし、エリザベスは、堅苦しいことはなしにしたいとのことで、自らがソフィアの部屋に足を運び、カナデたちが試作した騎士団の制服を見ることに決めた。そのため、三人は今、ソフィアの部屋にいた。
「宰相様の件については、後ほどいろいろとお話ししたいことがございますが、まずはこの完成品をお見せしたくこの場にいる次第でございます」
「そうかしこまるな。騎士団の女性の制服が完成したと聞いたが、それがこれか。見た目は男性のものと変わらないな。女性用があまりにあれで、これが女性用だとはにわかに信じがたい」
エリザベスと向かい合わせにソフィアとカナデは座り、さっそく完成品を見せると、エリザベスは不思議そうに完成を見ながら感想を述べる。
「確かに見た目は男性用と変わりありませんが、カナデと試行錯誤を重ねております。まずは、カナデが試着してみますので、見た目のご感想をお聞かせ願えますか?」
ソフィアがエリザベスに進言すると、彼女はカナデに制服を手渡した。もらった制服を抱え、衝立の向こうで着替えを行い、すぐにカナデが彼女たちの前に姿を現した。
「お前、本当にあのカナデか?」
「カナデでございます。エリザベス様」
カナデの恰好を見て、エリザベスが驚きの声を上げた。騎士団の制服を身にまとった目の前の女性からカナデの声が聞こえる。
「いつの間にか魔法が使えるようになったのだ。いや、姿を変える魔法はあるが、そんなものをここで使う意味がわからぬな。お主、本当にカナデで間違いないだろうな」
「ふふ、エリザベスが驚くのも無理はありません。今までのカナデがダサすぎて、そのイメージが抜けていないのでしょう」
「ソフィアさん、笑わないでください!」
ソフィアの言葉にカナデが憤慨する様子を見て、やっと目の前の女性がカナデだと確信するが、やはりにわかには信じられないエリザベスだった。
カナデはソフィアの助言のもと、何度も調整を続けていた。ダブダブで身体の線が見えにくい服装を好んでいたカナデに容赦なく、言葉の嵐が降り注いだ。それらを思い出し、カナデは苦笑とともに服装の解説をする。
「僭越ながら、説明させていただきますと、こちらの服装はソフィアさんが的確にアドバイスしてくれたお陰であり、彼女の目が遭ったからこその代物となります。改良点ですが、男性と女性の身体のつくりが違うことによる、細部の違いを意識して想像しました。男性とは違い、女性は胸囲があるので、胸囲については少しゆるく設計いたしました。さらに、腕の太さや袖の丈も女性向けに細くし、短く調整しました」
カナデは自信満々に話を続けていく。ソフィアも隣でうんうんと頷きながら、説明を聞いている。エリザベスも同様にカナデの話に真剣に耳を傾ける。
「これだけでかなり女性にとってのシルエットを生かしつつも、動きやすさも確保できます。次に、素材の改良です。この世界では男性も女性も下着にあまりこだわらないようですが、ここでは下着が透けて見えないようにという配慮をいたしております。触ってみてもわかるように、手を入れてみても、透けることはありません!」
カナデは着ているシャツのボタンをはずし、裏側に手を添えるが、手が透けて見えることがなかった。
「そういえば、女性の制服のシャツはずいぶんと胸が開いていたようだが、それはなくなっているな」
ボタンをはずし、手を中に差し入れたことで、女性の今の制服の構造を思い出したエリザベスが質問する。
「お気づきでしたか。そうです、あの意味不明に空いていた胸の空白は廃止しました。そもそも、男性用にはそのような空白がありませんので、女性用も作らないことにしました」
カナデが異世界ものの服装で気になっていた点の一つに、女性の胸元があった。異世界の学園に通う生徒たちが着用する制服で多いと感じていた、胸の空白部分だった。なぜか、胸の谷間の部分だけぽっかりと布がなくなっているものが多いのだ。あれだと、どうぞ胸をガン見してくださいと言っているようなものだと常々思っていた。この世界の騎士団の制服も礼にもれず、布がなかったので絶対に布を減らすまいと決めていた。
「そうか、それが当たり前すぎて何も思わなかったが、確かに女性の服は胸元が開いているものが多いな。逆にカナデが今着ているようにボタンをそこまで留めていると違和感な程度にはな」
「そうですよね。ボタンの規定もこの機会に決めようと思いました。いくら胸元に布があっても、ボタンをはずして見せていては意味がありません。なので、留めて欲しいボタンまでの色を変えてみました」
カナデが着ている制服をよく見ると、確かにボタンの色が上の方と下の方では多少色が違っていた。留める必要があるボタンは黒、シャツの上の二つほどはグレーのボタンとなっていた。
「ほう、面白いアイデアだな。ついでに言うと、われたちのこのドレスの胸元や肩の露出も気になっていたので、カナデにまた頼むことにしよう」
自分の着ているドレスを確認したエリザベスのつぶやきは、ソフィアに拾われ、否定された。
「エリザベス様、それはなかなか難しいかもしれません。そのお召し物はおそらく、カナデがもといた世界のもの、欧州の昔の貴族が着ていたものを模しております。多少は変更も可能ですが、もともと露出が高いドレスですので、変更とするならば、いっそ、ドレスの着用を廃止にした方が無難かと」
「やけに詳しいな。だが、変更は難しいのか。ならば、カナデが着ているあのダサい服を正装にしてみたもいいのかもしれないな。そうすれば、肩や胸が冷えることもないだろう?」
『それは絶対にダメです!』
エリザベスのやばすぎる発言に、カナデとソフィアは心からの叫びを口にした。見事にハモりを見せて、部屋に木霊した。
それからも、カナデの制服に対する説明は続いていく。
「それにしても、カナデはわりと胸が大きい方だと思っていたが、そこまで強調されていないな。それは胸元を緩くしているからか?」
「緩めには設計していますが、おそらく、中に着ている下着が影響しているのだと思います」
「下着か。ああ、もしかして、騎士団の女性がよく巻いているさらしという奴か。あれは、胸が圧迫されて苦しいと言っているものがいて、あまり評判が良くないと聞くが」
エリザベスの的確な指摘にカナデもしっかりと説明を施していく。
「その件ですが、さらしで胸をつぶすというのは、胸によくありません。わざわざそのようなことをしなくてもよいように、胸元の設計を緩くしてありますが、シャツの下に身につけているこの下着はぜひお薦めしたい」
ずいと、カナデは白い何かをエリザベスに手渡した。それを見たエリザベスは頭にはてなを浮かべていた。何に使うのかわからないようだ。
「この世界にはなぜか、ブラジャーというものは存在していましたが、スポーツブラというものが存在しなかったので、私のものを改良して生み出しました。動きの激しい彼女たちにとって、重宝されることは間違いないでしょう」
「私はこれには驚きました。まさか、下着まで改良して物にしてしまうなんて。ですがエリザベス様、カナデが言っている下着をくれぐれもドレスの下に着用するのはやめてくださいね。これはあくまで身体を激しく動かすために特化した下着ですから」
エリザベスが興味津々でカナデから差し出された下着を見入っているので、ソフィアは慌てて忠告した。
「そろそろ時間ですね。もう来られてもおかしくないとは思いますが」
「失礼します。およびと聞きましたので、参上したのですが」
三人の前に新たな人物が現れた。
「ソフィアにカナデか。昨日はごくろうだった。まさか、宰相がこの城から出ていくとは思わなかったが。致し方のないことかもしれないな」
しかし、エリザベスは、堅苦しいことはなしにしたいとのことで、自らがソフィアの部屋に足を運び、カナデたちが試作した騎士団の制服を見ることに決めた。そのため、三人は今、ソフィアの部屋にいた。
「宰相様の件については、後ほどいろいろとお話ししたいことがございますが、まずはこの完成品をお見せしたくこの場にいる次第でございます」
「そうかしこまるな。騎士団の女性の制服が完成したと聞いたが、それがこれか。見た目は男性のものと変わらないな。女性用があまりにあれで、これが女性用だとはにわかに信じがたい」
エリザベスと向かい合わせにソフィアとカナデは座り、さっそく完成品を見せると、エリザベスは不思議そうに完成を見ながら感想を述べる。
「確かに見た目は男性用と変わりありませんが、カナデと試行錯誤を重ねております。まずは、カナデが試着してみますので、見た目のご感想をお聞かせ願えますか?」
ソフィアがエリザベスに進言すると、彼女はカナデに制服を手渡した。もらった制服を抱え、衝立の向こうで着替えを行い、すぐにカナデが彼女たちの前に姿を現した。
「お前、本当にあのカナデか?」
「カナデでございます。エリザベス様」
カナデの恰好を見て、エリザベスが驚きの声を上げた。騎士団の制服を身にまとった目の前の女性からカナデの声が聞こえる。
「いつの間にか魔法が使えるようになったのだ。いや、姿を変える魔法はあるが、そんなものをここで使う意味がわからぬな。お主、本当にカナデで間違いないだろうな」
「ふふ、エリザベスが驚くのも無理はありません。今までのカナデがダサすぎて、そのイメージが抜けていないのでしょう」
「ソフィアさん、笑わないでください!」
ソフィアの言葉にカナデが憤慨する様子を見て、やっと目の前の女性がカナデだと確信するが、やはりにわかには信じられないエリザベスだった。
カナデはソフィアの助言のもと、何度も調整を続けていた。ダブダブで身体の線が見えにくい服装を好んでいたカナデに容赦なく、言葉の嵐が降り注いだ。それらを思い出し、カナデは苦笑とともに服装の解説をする。
「僭越ながら、説明させていただきますと、こちらの服装はソフィアさんが的確にアドバイスしてくれたお陰であり、彼女の目が遭ったからこその代物となります。改良点ですが、男性と女性の身体のつくりが違うことによる、細部の違いを意識して想像しました。男性とは違い、女性は胸囲があるので、胸囲については少しゆるく設計いたしました。さらに、腕の太さや袖の丈も女性向けに細くし、短く調整しました」
カナデは自信満々に話を続けていく。ソフィアも隣でうんうんと頷きながら、説明を聞いている。エリザベスも同様にカナデの話に真剣に耳を傾ける。
「これだけでかなり女性にとってのシルエットを生かしつつも、動きやすさも確保できます。次に、素材の改良です。この世界では男性も女性も下着にあまりこだわらないようですが、ここでは下着が透けて見えないようにという配慮をいたしております。触ってみてもわかるように、手を入れてみても、透けることはありません!」
カナデは着ているシャツのボタンをはずし、裏側に手を添えるが、手が透けて見えることがなかった。
「そういえば、女性の制服のシャツはずいぶんと胸が開いていたようだが、それはなくなっているな」
ボタンをはずし、手を中に差し入れたことで、女性の今の制服の構造を思い出したエリザベスが質問する。
「お気づきでしたか。そうです、あの意味不明に空いていた胸の空白は廃止しました。そもそも、男性用にはそのような空白がありませんので、女性用も作らないことにしました」
カナデが異世界ものの服装で気になっていた点の一つに、女性の胸元があった。異世界の学園に通う生徒たちが着用する制服で多いと感じていた、胸の空白部分だった。なぜか、胸の谷間の部分だけぽっかりと布がなくなっているものが多いのだ。あれだと、どうぞ胸をガン見してくださいと言っているようなものだと常々思っていた。この世界の騎士団の制服も礼にもれず、布がなかったので絶対に布を減らすまいと決めていた。
「そうか、それが当たり前すぎて何も思わなかったが、確かに女性の服は胸元が開いているものが多いな。逆にカナデが今着ているようにボタンをそこまで留めていると違和感な程度にはな」
「そうですよね。ボタンの規定もこの機会に決めようと思いました。いくら胸元に布があっても、ボタンをはずして見せていては意味がありません。なので、留めて欲しいボタンまでの色を変えてみました」
カナデが着ている制服をよく見ると、確かにボタンの色が上の方と下の方では多少色が違っていた。留める必要があるボタンは黒、シャツの上の二つほどはグレーのボタンとなっていた。
「ほう、面白いアイデアだな。ついでに言うと、われたちのこのドレスの胸元や肩の露出も気になっていたので、カナデにまた頼むことにしよう」
自分の着ているドレスを確認したエリザベスのつぶやきは、ソフィアに拾われ、否定された。
「エリザベス様、それはなかなか難しいかもしれません。そのお召し物はおそらく、カナデがもといた世界のもの、欧州の昔の貴族が着ていたものを模しております。多少は変更も可能ですが、もともと露出が高いドレスですので、変更とするならば、いっそ、ドレスの着用を廃止にした方が無難かと」
「やけに詳しいな。だが、変更は難しいのか。ならば、カナデが着ているあのダサい服を正装にしてみたもいいのかもしれないな。そうすれば、肩や胸が冷えることもないだろう?」
『それは絶対にダメです!』
エリザベスのやばすぎる発言に、カナデとソフィアは心からの叫びを口にした。見事にハモりを見せて、部屋に木霊した。
それからも、カナデの制服に対する説明は続いていく。
「それにしても、カナデはわりと胸が大きい方だと思っていたが、そこまで強調されていないな。それは胸元を緩くしているからか?」
「緩めには設計していますが、おそらく、中に着ている下着が影響しているのだと思います」
「下着か。ああ、もしかして、騎士団の女性がよく巻いているさらしという奴か。あれは、胸が圧迫されて苦しいと言っているものがいて、あまり評判が良くないと聞くが」
エリザベスの的確な指摘にカナデもしっかりと説明を施していく。
「その件ですが、さらしで胸をつぶすというのは、胸によくありません。わざわざそのようなことをしなくてもよいように、胸元の設計を緩くしてありますが、シャツの下に身につけているこの下着はぜひお薦めしたい」
ずいと、カナデは白い何かをエリザベスに手渡した。それを見たエリザベスは頭にはてなを浮かべていた。何に使うのかわからないようだ。
「この世界にはなぜか、ブラジャーというものは存在していましたが、スポーツブラというものが存在しなかったので、私のものを改良して生み出しました。動きの激しい彼女たちにとって、重宝されることは間違いないでしょう」
「私はこれには驚きました。まさか、下着まで改良して物にしてしまうなんて。ですがエリザベス様、カナデが言っている下着をくれぐれもドレスの下に着用するのはやめてくださいね。これはあくまで身体を激しく動かすために特化した下着ですから」
エリザベスが興味津々でカナデから差し出された下着を見入っているので、ソフィアは慌てて忠告した。
「そろそろ時間ですね。もう来られてもおかしくないとは思いますが」
「失礼します。およびと聞きましたので、参上したのですが」
三人の前に新たな人物が現れた。
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