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37.DiE4u(4)
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ちょうど、うまく滑り入った悠一の指先は、ほんのわずかだが「内側」の感触を拾う。
奏が身体をひきつらせたのが分かって、悠一は動きを止めた。
ごくそっと少しずつ、重ね合わせた二本の指先を小刻みに蠢かせてみる。
奏の内側からは、透明な粘液が分泌され続けていた。
悠一の指はスルリと自然に、引き入れられるようにして、さらに奥へと吸い込まれる。
「あたたかい」
ただ、そう感じた。
そして――
どこをどうしたら? どのくらいの強さで? などと。
とりとめもなく、悠一の頭の中で回り続ける疑問。
他人の身体の「内側」に触れているのだ。
怪我でもさせたら……と怯む気持ちはあった。けれど不快さは嫌悪は、一切感じない。
奏は、ただただ甘やかだった。
それに。
知っているような気がしていた。似た感触をすでに。
ああ、そうか。
悠一の脳裏に蘇ったのは、かつての女性との体験。潤んだ部分。
そして、あのアルファの――藤堂尊の声がする。
――別に、抱いてみたらそう変わらないぜ?
男だろうが女だろうが。
オメガだろうがベータだろうが。
オメガの孔だったら、男も女も――ほとんど同じ――
鏡に向かう藤堂尊。
完璧なノットのタイの喉元。
スマートすぎるトレンチコート。濡れたように磨き抜かれた革靴のつま先。
そんな映像がチラついて。
悪態をつきたい気持ちが、一瞬、ムラリと沸き起こる。
すると奏が、ギュッと悠一の詰襟の上着を掴んだ。
悠一は、さらに深く奏の中に指を滑らせる。
奏が――
腰を揺らし始めた。
ゴメン、ゆういち、ごめん……と。
とてつもない辱めにあわされているかのように。
ひどく情けなく口惜しそうに。
奏は声を振るわせ、悠一に謝り続ける。
けれども、身体は止めようもない快楽を拾って、自然と動いてしまうのだろう。じきに奏は、
「ゆう、ぃ…ち、きもち、い…い」と、素直な悦楽の声をあふれさせるようになった。
座位に似た体位で悠一の上腕に縋りつき、ただただ腰を蠢かす。
自分の男茎を握るのも忘れて、ひたすらに本能的に。
悠一は唯一の「経験」である、年上の女との「かつての行為」を反芻し、奏の内襞をまさぐって刺激してやる。
午後の静けさの中、まるで交尾でしかない水音が響いた。
きもちいい、きもちいい……と。
揺れながら、奏は震えて鳴いて、甘ったるい匂いを撒き散らし続ける。
ついに奏が、深い快感に辿り着いた。
背筋をそらし、とろけるような叫びで絶頂を告げながら――
奏はズルズルとくずおれた。
*
悠一は、奏からゆっくり腕を解き、指を抜いてゴムを取る。
身を乗り出すと、机の上へと手を伸ばした。
またひとつ、コンドームを取って包みを開ける。
そして、スラックスのジッパーを下ろし、完全に萌した自分の場所に装着した。
「……わるい、奏」
そうやって、ひと言詫びて悠一は、そのまますぐに嬲って扱いて吐精する。
正直、完全に「終わった」気にはなれなかった。
だがそれでも「落ち着くべきもの」は、それなりに落ち着きをみせる。
自慰後の始末を手早くつけて、悠一は、少しけだるくベッドを振り返った。
横たわっている奏に、今一度布団をかけ直してやって、自分自身もベッドに腰かけ、上半身だけ横になる。
奏はくたりと目を閉じていた。
しかし、具合が悪そうには見えない。
長い睫毛が動き、奏の目が開く。
「……なんで」
それだけ言って、奏が口をつぐむ。
悠一は、続きを待ってみたが、奏は黙ったままだった。
「それで、なに?」
ついに悠一が、話の続きを促す。
「だから……悠一、なんでさ」
奏が逡巡に逡巡を重ねた挙句、こう続けた。
「なんで……そんな、慣れて…」
悠一は何の話なのか、一瞬見失う。
だがすぐに、さっきの「行為」の話だと理解した。
とはいえ、一体どう答えればいいのか言葉が出ない。
「……ある、の?」
奏がさらに訊ねてきた。
「ある…って、なにがだよ」
「あんな……コンドーム、とかさ。サクサク着けたり…とか」
「いや、その」
「それにあの箱、新品じゃなかった、使いかけ…だったよね」
悠一は黙り込む。
「だから……ある、ってコトだろ……その」
また少しためらってから、奏は意を決したように、
「セックス…したことが、それも結構な回数さ」と言い切った。
悠一は短く唸ったきり、何も言えない。
「やっぱり」
噛みしめるように言って、奏が眉根を寄せた。
「彼女とか、いた……ってコトだよね、え? いる…の」
「いや、彼女…っていうか」
「彼女じゃないって、じゃあ……彼氏?」
奏が微かに目を細めて首を傾げた。
「イヤ、そうじゃなくて」
悠一はクシャリ、前髪を掻きあげる。
「その……近所のさ、OLみたいな人と、中坊の時。しばらくの間だけ」
「……おーえる?」
奏が、かなり引き気味に口にする。
「やっぱ、悠一、女が好きなんじゃん」
「だから、そういうんじゃなくて!」
遮るように、悠一が少し声を張った。
「……っていうか、いいように『喰われてた』のは俺の方なんだって。マジ、身体だけっていうか。それもホントに一時期だけだよ」
そんな悠一の言い分に、奏はムスッとふてくされた顔になる。
しばらくの間、ふたりは無言のまま、小さく狭いベッドの上で、身体を寄せ合っていた。
すると奏が、「……なんかさ」と。
ポツリと、また口にする。
「差がつくよな……シレッといろいろ……大人っぽすぎるよ、悠一は」
そして、ムッと声を固くして、
「なんかさ、悔しい、ホントおれ、まるきりガキじゃん。そんな、コンドームのつけ方なんて知らないし」と、文句を続けた。
「なに言って……奏、しょうもないことでイライラすんなよ」
「するよ!」
そんな風に、さらにムキになって怒り出す奏は、どうにも可愛らしすぎた。
悠一は、漏れ出しそうな含み笑いを必死に押し隠す。
そして、
「ああ、ハイハイ、分かった分かった」
と、ふざけた宥め声でごまかしながら、奏の肩をそっと、何度も叩き続けた。
ちょうど、うまく滑り入った悠一の指先は、ほんのわずかだが「内側」の感触を拾う。
奏が身体をひきつらせたのが分かって、悠一は動きを止めた。
ごくそっと少しずつ、重ね合わせた二本の指先を小刻みに蠢かせてみる。
奏の内側からは、透明な粘液が分泌され続けていた。
悠一の指はスルリと自然に、引き入れられるようにして、さらに奥へと吸い込まれる。
「あたたかい」
ただ、そう感じた。
そして――
どこをどうしたら? どのくらいの強さで? などと。
とりとめもなく、悠一の頭の中で回り続ける疑問。
他人の身体の「内側」に触れているのだ。
怪我でもさせたら……と怯む気持ちはあった。けれど不快さは嫌悪は、一切感じない。
奏は、ただただ甘やかだった。
それに。
知っているような気がしていた。似た感触をすでに。
ああ、そうか。
悠一の脳裏に蘇ったのは、かつての女性との体験。潤んだ部分。
そして、あのアルファの――藤堂尊の声がする。
――別に、抱いてみたらそう変わらないぜ?
男だろうが女だろうが。
オメガだろうがベータだろうが。
オメガの孔だったら、男も女も――ほとんど同じ――
鏡に向かう藤堂尊。
完璧なノットのタイの喉元。
スマートすぎるトレンチコート。濡れたように磨き抜かれた革靴のつま先。
そんな映像がチラついて。
悪態をつきたい気持ちが、一瞬、ムラリと沸き起こる。
すると奏が、ギュッと悠一の詰襟の上着を掴んだ。
悠一は、さらに深く奏の中に指を滑らせる。
奏が――
腰を揺らし始めた。
ゴメン、ゆういち、ごめん……と。
とてつもない辱めにあわされているかのように。
ひどく情けなく口惜しそうに。
奏は声を振るわせ、悠一に謝り続ける。
けれども、身体は止めようもない快楽を拾って、自然と動いてしまうのだろう。じきに奏は、
「ゆう、ぃ…ち、きもち、い…い」と、素直な悦楽の声をあふれさせるようになった。
座位に似た体位で悠一の上腕に縋りつき、ただただ腰を蠢かす。
自分の男茎を握るのも忘れて、ひたすらに本能的に。
悠一は唯一の「経験」である、年上の女との「かつての行為」を反芻し、奏の内襞をまさぐって刺激してやる。
午後の静けさの中、まるで交尾でしかない水音が響いた。
きもちいい、きもちいい……と。
揺れながら、奏は震えて鳴いて、甘ったるい匂いを撒き散らし続ける。
ついに奏が、深い快感に辿り着いた。
背筋をそらし、とろけるような叫びで絶頂を告げながら――
奏はズルズルとくずおれた。
*
悠一は、奏からゆっくり腕を解き、指を抜いてゴムを取る。
身を乗り出すと、机の上へと手を伸ばした。
またひとつ、コンドームを取って包みを開ける。
そして、スラックスのジッパーを下ろし、完全に萌した自分の場所に装着した。
「……わるい、奏」
そうやって、ひと言詫びて悠一は、そのまますぐに嬲って扱いて吐精する。
正直、完全に「終わった」気にはなれなかった。
だがそれでも「落ち着くべきもの」は、それなりに落ち着きをみせる。
自慰後の始末を手早くつけて、悠一は、少しけだるくベッドを振り返った。
横たわっている奏に、今一度布団をかけ直してやって、自分自身もベッドに腰かけ、上半身だけ横になる。
奏はくたりと目を閉じていた。
しかし、具合が悪そうには見えない。
長い睫毛が動き、奏の目が開く。
「……なんで」
それだけ言って、奏が口をつぐむ。
悠一は、続きを待ってみたが、奏は黙ったままだった。
「それで、なに?」
ついに悠一が、話の続きを促す。
「だから……悠一、なんでさ」
奏が逡巡に逡巡を重ねた挙句、こう続けた。
「なんで……そんな、慣れて…」
悠一は何の話なのか、一瞬見失う。
だがすぐに、さっきの「行為」の話だと理解した。
とはいえ、一体どう答えればいいのか言葉が出ない。
「……ある、の?」
奏がさらに訊ねてきた。
「ある…って、なにがだよ」
「あんな……コンドーム、とかさ。サクサク着けたり…とか」
「いや、その」
「それにあの箱、新品じゃなかった、使いかけ…だったよね」
悠一は黙り込む。
「だから……ある、ってコトだろ……その」
また少しためらってから、奏は意を決したように、
「セックス…したことが、それも結構な回数さ」と言い切った。
悠一は短く唸ったきり、何も言えない。
「やっぱり」
噛みしめるように言って、奏が眉根を寄せた。
「彼女とか、いた……ってコトだよね、え? いる…の」
「いや、彼女…っていうか」
「彼女じゃないって、じゃあ……彼氏?」
奏が微かに目を細めて首を傾げた。
「イヤ、そうじゃなくて」
悠一はクシャリ、前髪を掻きあげる。
「その……近所のさ、OLみたいな人と、中坊の時。しばらくの間だけ」
「……おーえる?」
奏が、かなり引き気味に口にする。
「やっぱ、悠一、女が好きなんじゃん」
「だから、そういうんじゃなくて!」
遮るように、悠一が少し声を張った。
「……っていうか、いいように『喰われてた』のは俺の方なんだって。マジ、身体だけっていうか。それもホントに一時期だけだよ」
そんな悠一の言い分に、奏はムスッとふてくされた顔になる。
しばらくの間、ふたりは無言のまま、小さく狭いベッドの上で、身体を寄せ合っていた。
すると奏が、「……なんかさ」と。
ポツリと、また口にする。
「差がつくよな……シレッといろいろ……大人っぽすぎるよ、悠一は」
そして、ムッと声を固くして、
「なんかさ、悔しい、ホントおれ、まるきりガキじゃん。そんな、コンドームのつけ方なんて知らないし」と、文句を続けた。
「なに言って……奏、しょうもないことでイライラすんなよ」
「するよ!」
そんな風に、さらにムキになって怒り出す奏は、どうにも可愛らしすぎた。
悠一は、漏れ出しそうな含み笑いを必死に押し隠す。
そして、
「ああ、ハイハイ、分かった分かった」
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