Kiss

hosimure

文字の大きさ
22 / 68

オタクとのキス

しおりを挟む
わたしの彼は、普通の人とはちょっと違う趣味を持っている。

「…でね、そのマンガなんだけどさぁ」

「うんうん」

「あのアニメも…」

「へぇ、そうなんだ」

「そして例のゲームなんだけどさ!」

「スゴイねぇ!」

…てなカンジが日常茶飯事。

つまり彼はオタク。

彼の生活はパソコンを中心として、マンガ・アニメ・ゲームが回っている。

そしてその輪の中に、最近、わたしが入った。

恋人、というカタチで。
彼は気が優しくて、いろんな話題を持つ人だ。

一緒にいても、相手を飽きさせることなく、いろいろな話をしてくれる。

自分の話をするだけじゃなく、ちゃんと相手の話も聞いてくれる。

一般的に言うと、草食系のオタク男子だけど、わたしは彼のことがとっても好き。

だから告白した。

なのに彼は…。

「えっ、ええっ!? なっ何か罰ゲームさせられてるの?」

…ときた。

一生懸命説明することの1時間後、やっと信じてくれた。

そして受け入れてくれた。

「こんな僕だけど…よろしく」

そう言って、真っ赤な顔をして、握手をした。

付き合いはじめると、彼は自分の好きなものについて、熱く語ってくれるようになった。

彼からマンガやアニメのDVD、それにゲームをよく借りるようになった。

分からないところや知りたいことがあれば彼に聞けば、快く答えてくれる。

わたしのことを大事にしてくれるし、優しくもしてくれる。

不満も不安も、わたしは彼に何1つ持っていなかったの…。

「ねっねぇ」

「なあに?」

休日、わたしと彼は街にデートに来ていた。

彼が見たいというマンガ原作の映画を見た後、昼食を食べた。

そして本屋やゲームのお店を回った後、一休みすることにした。
屋台でクレープを買って、自販機でジュースを買って、公園で一休みしていた。

その時、彼が少し暗い表情で言い出したのは…。

「僕の何が良かったの?」

「…? 何がって、何のこと?」

「その、僕と付き合うことを決めたキッカケとかさ」

「わたしはただ、あなたの優しいところが好きなだけ。あと趣味に夢中なところも」

「オタク…なのに?」

「うん。あなたが趣味に夢中になっている姿って、好きよ。明るくて、すっごくイキイキしてるし。何て言っても、可愛いしね」

「かっ可愛いって…。男に使う言葉じゃないと思うけど…」

「そうかしら? でも本当に可愛いと思うんだから、仕方ないでしょ?」

そう言うと、彼の顔が真っ赤に染まった。

やっぱり可愛い♪

「かっ可愛いのはさ」

「うん?」

「キミの方だよ」

「あら、嬉しい。アリガト」

笑顔で答えて、ふと気付いた。

「アレ? 口元、クリーム付いてるわよ?」

「えっ! クレープってあんまり食べないからなぁ。どこに付いてる?」

ティッシュを取り出して、口元を拭こうとする彼の手を止めて、わたしは身を乗り出した。

そして彼の甘そうな唇に、キスをした。

…やっぱり甘いキス。

彼の口の端に付いているクリームを舌で舐め取り、離れた。

「はい、取れた」

その後はクレープを食べ続ける。

「あっ、あのねぇ!」
「ん? どおしたの? 真っ赤な顔して」

分かっているのに、あえて知らんプリをする。

「キミって人は…! 可愛いのに、とんでもないことばっかりするんだから」

「ふてくされたあなたの顔の方が、よっぽど可愛いわよ?」

「だーかーらー!」

わたしはニコニコしながら、彼の話を聞く。

彼は気付いていないんだろうか?

あなたが「可愛い」と言ってくれるわたしは、あなたと一緒にいるから可愛くなれることに。

趣味のことで、まるで子供のように夢中なあなたを見ていると、わたしまで夢中になってしまう。

そう、あなたに―。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

百合短編集

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

せんせいとおばさん

悠生ゆう
恋愛
創作百合 樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。 ※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。

処理中です...