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帝国麝教編
エピローグ
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メザイアはエメルを連れて、シガル村から去ろうとしていた。自分がいても迷惑を掛けるだろう。それに、キニスキアにやり返せたのだから、なんの悔いもなく気持ち良く旅立てる。
ただ、エルザの事は好きだった。またどこかで会いましょう。会えたらいいわ。と、それだけが心残りだった。
ただ、彼女に言えば止められるだろう。
今は黙って去る方がいい。
メザイアは自分がエルザを好きになった最初の理由を思い出した。
彼女が一人で生きているように見えたから、ではないか。自分にはエメルがいる。けれど、彼女は一人で戦っている。そう考えたら、エルザの事が見捨てられなくなった。
でも、彼女にはいい仲間がいた。
きっと、エルザはもっと強くなれるだろう。
メザイアはそう思う。
(レイがセンディングの魔法を使えるし、まだアイテムも渡してない。これで永遠の別れと言うわけでもないけど)
メザイアにも、一抹の寂しさがあった。
そう思って村を出て少し経った頃、エメルが足を止めて言った。
「姉様、誰か追いかけてきます」
メザイアは振り返る。
あれはたしか、ツバキという娘だ。彼女はレイと一緒に聖王国へ向かったはずだ。
息を切らしながら、待って下さい! と、慌てた様子で走ってくる。
「レイ様から連絡です! 神殿はお二人にも寛大な処遇をお認めになりました!」
「どういう事?」
「メザイアさんとエメルさんは、このまま帝国で自由に暮らしていい事になったんです!」
メザイアは信じられない気持ちだ。
しかし、神殿にはあのパラディンもいるはずだ。まだ、神殿はそれを知らないのだろうか。
「迷惑を掛けないうちに出て行くと決めたんだけど」
「安心して下さい。聖騎士であるサヴォア卿の上申もあり、この結果になっています」
「本当に?」
「本当っす! 行かないで下さい! お願いですから、村に戻って下さい! エルザさんも悲しみます! それに、レイ様のお話を是非聞いてほしいっす!」
ツバキに引き止められ、メザイアとエメルはシガル村に戻った。それから、翌日になり、メザイアはレイから話を聞いた。レイはこの村に住まないかと話を持ち掛けてきた。自分たちの能力を領地のために活かしてほしい、とレイは話していた。メザイアに断る理由はなかった。
メザイアはプラヴェール領、シガル村の一員となる事が決まり、彼女はプラヴェール領に貢献する事をレイに約束した。
それは暖かい風の吹く、五月の陽気の良い日の事だった。
ただ、エルザの事は好きだった。またどこかで会いましょう。会えたらいいわ。と、それだけが心残りだった。
ただ、彼女に言えば止められるだろう。
今は黙って去る方がいい。
メザイアは自分がエルザを好きになった最初の理由を思い出した。
彼女が一人で生きているように見えたから、ではないか。自分にはエメルがいる。けれど、彼女は一人で戦っている。そう考えたら、エルザの事が見捨てられなくなった。
でも、彼女にはいい仲間がいた。
きっと、エルザはもっと強くなれるだろう。
メザイアはそう思う。
(レイがセンディングの魔法を使えるし、まだアイテムも渡してない。これで永遠の別れと言うわけでもないけど)
メザイアにも、一抹の寂しさがあった。
そう思って村を出て少し経った頃、エメルが足を止めて言った。
「姉様、誰か追いかけてきます」
メザイアは振り返る。
あれはたしか、ツバキという娘だ。彼女はレイと一緒に聖王国へ向かったはずだ。
息を切らしながら、待って下さい! と、慌てた様子で走ってくる。
「レイ様から連絡です! 神殿はお二人にも寛大な処遇をお認めになりました!」
「どういう事?」
「メザイアさんとエメルさんは、このまま帝国で自由に暮らしていい事になったんです!」
メザイアは信じられない気持ちだ。
しかし、神殿にはあのパラディンもいるはずだ。まだ、神殿はそれを知らないのだろうか。
「迷惑を掛けないうちに出て行くと決めたんだけど」
「安心して下さい。聖騎士であるサヴォア卿の上申もあり、この結果になっています」
「本当に?」
「本当っす! 行かないで下さい! お願いですから、村に戻って下さい! エルザさんも悲しみます! それに、レイ様のお話を是非聞いてほしいっす!」
ツバキに引き止められ、メザイアとエメルはシガル村に戻った。それから、翌日になり、メザイアはレイから話を聞いた。レイはこの村に住まないかと話を持ち掛けてきた。自分たちの能力を領地のために活かしてほしい、とレイは話していた。メザイアに断る理由はなかった。
メザイアはプラヴェール領、シガル村の一員となる事が決まり、彼女はプラヴェール領に貢献する事をレイに約束した。
それは暖かい風の吹く、五月の陽気の良い日の事だった。
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