放課後の事件簿〜この美人探偵は凄腕なのにやる気がない〜

黄舞

文字の大きさ
4 / 13

第4話【絵梨花のアリバイ】

しおりを挟む
「なるほど……ありがとうございました。毛利様。申し訳ありませんが、笹山様にお話と、当時の状況の説明をもう一度、車も含めていただくことは出来ますでしょうか?」
「ええ。いいわよ。でもあの殺人鬼が今ものうのうとうちの会社で働いているのが理解できないわ。あなた達もせいぜい殺されないように気を付ける事ね」

 そういうと絵梨花さんは会議室から足早に出ていってしまいました。残された僕たちは笹山さんが来る間に今の話の整理をすることにしました。

「どうでしょう……? 私は毛利夫人が怪しいと踏んでいるのですが、いかんせん証拠はありませんもので」
「ふん。お前のことだ。あの女が犯人なら保険金を一銭も払わなくていいと考えているだけだろうが」

「いえいえ。そんなことはありませんよ。第六感。私の第六感が毛利夫人がこの事件に関与していると言っているのです」
「まぁ、今話した感じ、まだ分からん。もし黒だとしたら大した女だ」

 僕は自分のためにメモしたものを頭に中で反芻はんすうしました。
 絵里香さんと浮気相手の横尾よこおさんが台北に旅行に出かけたのが7月25日の朝10時出発の便。それに間に合わせるため、二人はそれぞれ家を朝6時頃には出ていた。絵梨花さんつまり毛利夫妻の自宅はこの会社の裏手に地続きであり、横尾さんの自宅もここから徒歩7分という所だった。

 台北から帰ってきたのは7月27日の夕方8時頃、事件が発覚した時には空の上にいて連絡が付かなかった。空港に着いた絵梨花さんが着信に気付き掛け直したところ、毛利社長の死を知ることとなった。
 警察と轟さんの会社がすでに航空会社に連絡を取り、二人が確かにその時刻の往復の飛行機に乗っていたのは確認済み。

「うーん。轟さん。絵里香さんも横尾さんもアリバイがしっかりしていて、どんなに怪しくても、現実的に毛利社長を殺すのは無理ですよね?」
「そんなことより轟、死亡推定時刻はどうやって決まったんだ?」

「胃の中の状態、睡眠薬の血中濃度、膀胱の中身からおそらく夕方ご飯を食べ、睡眠薬を飲んだあと数時間ほどで凍死していたと考えられました。さらに冷蔵車ということで腐敗はほとんど進んでなかったので、正確な時刻は分かりませんが、事件が起こった冷蔵車の荷台の中に出発の1時間前に確認した時には姿がなかったこと、外傷はなく死因は凍死で間違いないということで、お伝えした時刻になったようです」

 僕はその内容もせっせとメモに取ります。こういう話を全て覚えてられる先生の頭は本当にすごいと思います。何故その能力が普段の生活に生かせないのでしょうか?
 先生は本当によくものの置いた場所を忘れるので、適当に置いた大事なものは全て僕がすぐに定位置に戻します。それでも「無いぞ。どこいった!?」という先生の気がしれません。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します

スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」 眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。 隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。 エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。 しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。 彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。 「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」 裏切りへのカウントダウンが今、始まる。 スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜

丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。 与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。 専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、 失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。 そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、 セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。 「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」 彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、 彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。 嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、 広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、 独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。 栄養と愛情を取り戻したセレナは、 誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、 社交界で注目される存在となる。 一方、セレナを失った伯爵家は、 彼女の能力なしでは立ち行かず、 ゆっくりと没落していくのだった――。 虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。

【完結】ドアマットに気付かない系夫の謝罪は死んだ妻には届かない 

堀 和三盆
恋愛
 一年にわたる長期出張から戻ると、愛する妻のシェルタが帰らぬ人になっていた。流行病に罹ったらしく、感染を避けるためにと火葬をされて骨になった妻は墓の下。  信じられなかった。  母を責め使用人を責めて暴れ回って、僕は自らの身に降りかかった突然の不幸を嘆いた。まだ、結婚して3年もたっていないというのに……。  そんな中。僕は遺品の整理中に隠すようにして仕舞われていた妻の日記帳を見つけてしまう。愛する妻が最後に何を考えていたのかを知る手段になるかもしれない。そんな軽い気持ちで日記を開いて戦慄した。  日記には妻がこの家に嫁いでから病に倒れるまでの――母や使用人からの壮絶な嫌がらせの数々が綴られていたのだ。

処理中です...