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第5章
第110話
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魔道核から手を離し、よろめいたシバの額には大量の汗が浮かんでいた。
尋常じゃないシバの様子にみな心配そうな顔付きへと変化する。
「な、なんだ。今の感覚は!」
シバは今自分に起こった感覚の変化に着いていけず、その場にへたりこんでしまった。
「どうしたんです。シバさん。すごい汗ですよ。大丈夫ですか?」
カインも魔道核から手を離し、シバの元へと向かう。
すると今まで煌々と輝いていた魔道核から光が消え失せ、元の様子に戻った。
「あ! カインさん。この珠、カインさんが触れるのやめたら光らなくなりましたよ?」
「不思議なのじゃ。先ほどカイン殿が魔力を注いでいた間は、確かにその珠に魔力が蓄えられているのが見えたのじゃが……今は元のようにほとんど空になっているのじゃ」
「シバさんの様子を見りゃ、何か起こったってのは容易に想像がつく。そうだろ? 少なくともカインさんが魔力を込めれば発動するってわけだ」
「でもお父さんがずっと触れていないとすぐに使えなくなっちゃうのね……」
それまで黙って見ていたアオイが口を開き、サラがその後を追う。
シバは立ち上がり一度深呼吸をした後、全員の顔を見て話し始めた。
「信じてくれるかわからないが、今俺はこの造船所になった。何を言っているか分からないだろうが、俺もよく分かっていない。ただ、俺の意識はこの造船所そのものに変わり、中で動いている部下達もまるで俺の体の中に居るような感覚だった」
シバはここで一息つき、続きを話す。
「俺の体は造船所だから動くわけないはずなんだが、俺が念じれば今にも動き出しそうな気がしたよ。これが船だったらまさに船を手足のように自在に操れるってことだ。それ相応の訓練が必要だろうが……」
一人納得するシバだが、他の皆はイマイチ理解できずにいた。
口で説明するより実際に経験させた方が早いだろうと考えたシバは、もう一度カインに頼み魔道核に魔力を込めてもらう。
カインが魔力を込めると再び魔道核は輝き始めた。
「よし。じゃあ、誰でもいい。この魔道核に触れてみてくれ」
「俺がやろう。興味がある。なんでも経験してみたいタチなんでね」
アオイはそう言うとためらいもなく魔道核に手を置いた。
他の皆が固唾を飲んで見守る中、アオイは微動だにせず、時間だけが流れていった。
やがてアオイがおもむろに魔道核から手を離す。
全員に注目されたアオイの口から出た言葉は意外な一言だった。
「何も起きないな……」
「なっ!? そんな馬鹿な! たしかに俺はこうやって手を置いた瞬間……」
シバが魔道核に触れた瞬間、再びシバの意識は引き伸ばされ自身が造船所になった感覚になった。
慌てて手を離すシバは、とある可能性にやっと気付いた。
触れた者が魔道核の性能を使えるのだとしたら、何故魔力を込めるために先ほどからずっと触れているカインに何も起きないのか。
「すまんが、全員試しに触れてみてくれないか? なに、アオイさんと一緒で何も起きない可能性が高い」
次々と魔道核に触れていくものの、シバのような感覚を持った者は皆無だった。
「海の神に誓ってもいいが、俺が言っていることは本当だ。しかし、厄介なことにこの魔道核を使えるのはこの中では俺だけらしい」
何故かは分からなかったが魔道核は持ち主であるシバにしか使えない。
そう言うシバの言葉を疑うものはこの場には居なかった。
「とにかく、これに慣れるのも必要だが、まずは採掘と伐採再開の報告をするのが先決だったな。まだ日は長い。先にそれを済ませてしまおう」
シバの一言で、一同は商人達の元締めが集まる商館へと足を運んだ。
カイン達は本来居る必要が無かったのだが、特に急ぎでやる事もなかったため同行することにした。
「分かりました。何があったかはこの際私達には関係の無いこと。今後また正常な商売が出来ること、安心しました」
元締めはそう言うと二つ返事で今までの事を水に流すとした。
アオイは心の底から安堵し、コハンは大きく息を吐いた。
「それでは大急ぎで船を造ってやる。なに、急いだとしても仕事はきっちりやるさ。ところでさっきの話なんだが……」
シバは魔道核の練習のために誰か魔力を込める手伝いをしてくれないかと申し出た。
その場で話し合った結果、カインは準備がありソフィは実践では主戦力として戦闘に出ても貰う、二人は難しいため消去法でコハンがその任を担うことになった。
「これほど珍しい宝具を触ることが出来るなど滅多にないからの!」
幸いコハンは乗り気で、リヴァイアサンとの戦闘の際も同行してくれるとまで言った。
アイリもサラ達ともう少し一緒に居たいと言い出し、商人に両親への伝言を頼んだ。
シバの約束通り船は順調に造られ、程なくして小ぶりだが頑丈な造りの船が完成した。
シバはこの船に祖先の国の言葉で魔術師を意味する「ウィザード」と名をつけた。
カインは出来上がった船に満足すると、おお急いでリヴァイアサンとの戦闘でも耐えられるよう付与魔法をかけた。
その際に必要になった大量のミスリルは、ゼロとソフィそしてサラによってドワーフの国から何往復もかけ大量に運び込まれた。
尋常じゃないシバの様子にみな心配そうな顔付きへと変化する。
「な、なんだ。今の感覚は!」
シバは今自分に起こった感覚の変化に着いていけず、その場にへたりこんでしまった。
「どうしたんです。シバさん。すごい汗ですよ。大丈夫ですか?」
カインも魔道核から手を離し、シバの元へと向かう。
すると今まで煌々と輝いていた魔道核から光が消え失せ、元の様子に戻った。
「あ! カインさん。この珠、カインさんが触れるのやめたら光らなくなりましたよ?」
「不思議なのじゃ。先ほどカイン殿が魔力を注いでいた間は、確かにその珠に魔力が蓄えられているのが見えたのじゃが……今は元のようにほとんど空になっているのじゃ」
「シバさんの様子を見りゃ、何か起こったってのは容易に想像がつく。そうだろ? 少なくともカインさんが魔力を込めれば発動するってわけだ」
「でもお父さんがずっと触れていないとすぐに使えなくなっちゃうのね……」
それまで黙って見ていたアオイが口を開き、サラがその後を追う。
シバは立ち上がり一度深呼吸をした後、全員の顔を見て話し始めた。
「信じてくれるかわからないが、今俺はこの造船所になった。何を言っているか分からないだろうが、俺もよく分かっていない。ただ、俺の意識はこの造船所そのものに変わり、中で動いている部下達もまるで俺の体の中に居るような感覚だった」
シバはここで一息つき、続きを話す。
「俺の体は造船所だから動くわけないはずなんだが、俺が念じれば今にも動き出しそうな気がしたよ。これが船だったらまさに船を手足のように自在に操れるってことだ。それ相応の訓練が必要だろうが……」
一人納得するシバだが、他の皆はイマイチ理解できずにいた。
口で説明するより実際に経験させた方が早いだろうと考えたシバは、もう一度カインに頼み魔道核に魔力を込めてもらう。
カインが魔力を込めると再び魔道核は輝き始めた。
「よし。じゃあ、誰でもいい。この魔道核に触れてみてくれ」
「俺がやろう。興味がある。なんでも経験してみたいタチなんでね」
アオイはそう言うとためらいもなく魔道核に手を置いた。
他の皆が固唾を飲んで見守る中、アオイは微動だにせず、時間だけが流れていった。
やがてアオイがおもむろに魔道核から手を離す。
全員に注目されたアオイの口から出た言葉は意外な一言だった。
「何も起きないな……」
「なっ!? そんな馬鹿な! たしかに俺はこうやって手を置いた瞬間……」
シバが魔道核に触れた瞬間、再びシバの意識は引き伸ばされ自身が造船所になった感覚になった。
慌てて手を離すシバは、とある可能性にやっと気付いた。
触れた者が魔道核の性能を使えるのだとしたら、何故魔力を込めるために先ほどからずっと触れているカインに何も起きないのか。
「すまんが、全員試しに触れてみてくれないか? なに、アオイさんと一緒で何も起きない可能性が高い」
次々と魔道核に触れていくものの、シバのような感覚を持った者は皆無だった。
「海の神に誓ってもいいが、俺が言っていることは本当だ。しかし、厄介なことにこの魔道核を使えるのはこの中では俺だけらしい」
何故かは分からなかったが魔道核は持ち主であるシバにしか使えない。
そう言うシバの言葉を疑うものはこの場には居なかった。
「とにかく、これに慣れるのも必要だが、まずは採掘と伐採再開の報告をするのが先決だったな。まだ日は長い。先にそれを済ませてしまおう」
シバの一言で、一同は商人達の元締めが集まる商館へと足を運んだ。
カイン達は本来居る必要が無かったのだが、特に急ぎでやる事もなかったため同行することにした。
「分かりました。何があったかはこの際私達には関係の無いこと。今後また正常な商売が出来ること、安心しました」
元締めはそう言うと二つ返事で今までの事を水に流すとした。
アオイは心の底から安堵し、コハンは大きく息を吐いた。
「それでは大急ぎで船を造ってやる。なに、急いだとしても仕事はきっちりやるさ。ところでさっきの話なんだが……」
シバは魔道核の練習のために誰か魔力を込める手伝いをしてくれないかと申し出た。
その場で話し合った結果、カインは準備がありソフィは実践では主戦力として戦闘に出ても貰う、二人は難しいため消去法でコハンがその任を担うことになった。
「これほど珍しい宝具を触ることが出来るなど滅多にないからの!」
幸いコハンは乗り気で、リヴァイアサンとの戦闘の際も同行してくれるとまで言った。
アイリもサラ達ともう少し一緒に居たいと言い出し、商人に両親への伝言を頼んだ。
シバの約束通り船は順調に造られ、程なくして小ぶりだが頑丈な造りの船が完成した。
シバはこの船に祖先の国の言葉で魔術師を意味する「ウィザード」と名をつけた。
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