45 / 46
第2章
第43話【イベントの結末】
しおりを挟む
スルトたちは自信満々に近付いてくる。
何か策でもあるのだろう……って!
やばい! さっき調子に乗って【ドッペルゲンガー】使っちゃったじゃねぇか!
ということは俺は瀕死、いくらHPが高いとはいえ簡単にやられる。
危ねぇ、【金を食う】で回復しないと……って、使えねぇの忘れてた!
何が『敬意を払って』だ! バカなのか? 俺!
やばいやばいやばい。
あ、そうだ。吸収すればいいじゃない!
ということで、どん!
あれ? 全然回復しないぞ?
「ふ!無駄だ。俺が今使ったのは【大防御】。お前の攻撃で俺は倒せん」
【大防御】
身を固め鉄壁の守りで攻撃から身を守る。ダメージを1/100にするが、その場から動けなくなる
「なんだそれ! 強すぎだろー!!」
「お前がそれを言うか。まぁいい。回復できる仲間もいないんじゃあ、俺の勝ちだな」
いやいや。
お前もそれ使っている間は動けないんだろ?
それじゃあ、スルト以外を攻撃すればいい話じゃないのか?
それでスルトは放置だ、放置!
「食らえ! 【金をばら撒く】!!」
「無駄だと言っている!!」
何故か全てのダメージがスルトに集まり、それも軽減される。
ダメージを与えているので少しは回復しているが、それもままならない。
どうやらスルトはロキとは逆に、仲間のダメージを自分に集めるスキルがあるらしい。
たしかによく考えたらロキと葵だけじゃあ、他の3人は食らいたい放題だもんな。
ならば!
とさっきと同じ【札束で殴る】を使って気絶させたがこれもダメ。
あっちにはきちんと回復職がいるから、気絶させてもすぐに回復させてしまう。
あー、HPさえ万全なら負けないのに!!
「全く……こんな状況で【ドッペルゲンガー】使うとか、まじ無いし……」
「ショーニン。きちんと先のことを考えて行動しないといけませんよ?」
「がっはっは。これは見ものだな。瀕死のショーニンなんてなかなか見れないぞ」
この声は!
まさか向こうからこっちに来てくれるとは思ってなかった!
「助かった。まじで危なかったよ。今度は調子に乗らないように気をつけるさ」
ミーシャの薬のおかげで完全では無いものの、問題ない程度にHPが回復する。
さらにこっちがわざわざ言わなくても【砥石】と、回復職に【馬鹿には見えない服】をかけてくれる。
「な、なんだお前ら! 卑怯だぞ!?」
「は? 何言ってんのこいつ。まじ意味わかんないんだけど。パーティ戦じゃんね? てかそっちなんて六人フルでいるじゃん」
「ミーシャ。真面目に相手にしてはいけませんよ? いわゆるアホの子ってやつでしょうから……」
「な! きさま! 言わせておけば!! おい! 何をしている!? さっさとこいつらを殺れ!!」
言ってることはもう完全に下っ端悪党なんだが……。
やっぱりこのイベントのクライマックスは既に済んだ感じだな。
時間をかけてもつまらん。
さっさといくか。
俺はもう一度【金をばら撒く】を使う。
貫通も付与した複数攻撃、メンバー合わせて10ヒットのダメージを与えた。
それが全てスルトに集中する。
「うぉおおおおお!?」
一撃で10万オーバーの攻撃だ、それを10回。
しかし当てても大したダメージにはならない。
だが本命はそこじゃない、ミーシャは回復薬と併せて、攻撃に【猛毒】と【麻痺】が発生する薬を使っていた。
確率は100%ではないが、回数が増えれば当然確率も増える。
無事にどちらの状態異常が付与され、スルトは動けなくなりHPに応じた一定ダメージを受ける。
「回復させると思うなよ?」
「ぐあぁ!!」
スルトを回復させようとした回復職を【銭投げ】で一撃の元倒す。
これで回復も不可能だ。
「や、やべぇ!?」
「ど、どうすんのよ!?」
ジェシーとサンドラが慌てた声を上げるが、まさに後は消化試合だった。
その後も俺たちパーティ四人に敵う者などいるわけもなく、見事俺たちは初イベントパーティ対抗バトルロワイヤルで優勝を果たした。
☆
「いやぁ、なんだかんだで楽しかったなぁ」
「そんなこと言っても、私たちを置いて一人で戦ってたのは正直どうかと思いますよ? こっちは大変だったのですから」
「まじ無いしー。あのまま見殺しにしておけば良かった?」
「がっはっは。まぁ、これで俺らのありがたみも分かっただろうから良かろう」
ヒミコのアトリエで恒例のお茶会だ。
俺が一人で功を急いだことに女子二人はご立腹の様子だ。
どっかで穴埋めしておかないとな。
俺は現実では懐は限りなく寂しいが、ゲームの中では富豪だからな。
「それはそうと、なんでお前がまたいるんだよ?」
「はっ! 同じ質問を何度も繰り返すなんて、ショーニン、お前記憶力大丈夫か?」
「いやいや。そうじゃなくて、もう決着ついただろう。俺はお前より強い。はい終了。もう来んなよ」
「はっ! それについてはロキさんから説明がある。ありがたく聞くんだな!」
葵の言葉を受け、俺はロキの方に目をやる。
困ったような面白そうなそんな顔だ。
絶対ろくなことじゃないぞ……。
「なんだよ。ロキ。話って」
「それがね……ショーニン。パーティ解散しちゃってさ。ショーニンのせいで。ということで、俺と葵、ショーニンのパーティに入れてよね!」
「はぁっ!?」
アトリエに俺の叫び声が響いた。
☆☆☆
いつもありがとうございます。
しばらく週一更新になると思います。
楽しみにしている方すいません。
今週から新作【後方支援なら任せてください】
という話を書き始めました。
同じく一人称のVRゲームものです。もし良ければそちらもよろしくお願いします。
何か策でもあるのだろう……って!
やばい! さっき調子に乗って【ドッペルゲンガー】使っちゃったじゃねぇか!
ということは俺は瀕死、いくらHPが高いとはいえ簡単にやられる。
危ねぇ、【金を食う】で回復しないと……って、使えねぇの忘れてた!
何が『敬意を払って』だ! バカなのか? 俺!
やばいやばいやばい。
あ、そうだ。吸収すればいいじゃない!
ということで、どん!
あれ? 全然回復しないぞ?
「ふ!無駄だ。俺が今使ったのは【大防御】。お前の攻撃で俺は倒せん」
【大防御】
身を固め鉄壁の守りで攻撃から身を守る。ダメージを1/100にするが、その場から動けなくなる
「なんだそれ! 強すぎだろー!!」
「お前がそれを言うか。まぁいい。回復できる仲間もいないんじゃあ、俺の勝ちだな」
いやいや。
お前もそれ使っている間は動けないんだろ?
それじゃあ、スルト以外を攻撃すればいい話じゃないのか?
それでスルトは放置だ、放置!
「食らえ! 【金をばら撒く】!!」
「無駄だと言っている!!」
何故か全てのダメージがスルトに集まり、それも軽減される。
ダメージを与えているので少しは回復しているが、それもままならない。
どうやらスルトはロキとは逆に、仲間のダメージを自分に集めるスキルがあるらしい。
たしかによく考えたらロキと葵だけじゃあ、他の3人は食らいたい放題だもんな。
ならば!
とさっきと同じ【札束で殴る】を使って気絶させたがこれもダメ。
あっちにはきちんと回復職がいるから、気絶させてもすぐに回復させてしまう。
あー、HPさえ万全なら負けないのに!!
「全く……こんな状況で【ドッペルゲンガー】使うとか、まじ無いし……」
「ショーニン。きちんと先のことを考えて行動しないといけませんよ?」
「がっはっは。これは見ものだな。瀕死のショーニンなんてなかなか見れないぞ」
この声は!
まさか向こうからこっちに来てくれるとは思ってなかった!
「助かった。まじで危なかったよ。今度は調子に乗らないように気をつけるさ」
ミーシャの薬のおかげで完全では無いものの、問題ない程度にHPが回復する。
さらにこっちがわざわざ言わなくても【砥石】と、回復職に【馬鹿には見えない服】をかけてくれる。
「な、なんだお前ら! 卑怯だぞ!?」
「は? 何言ってんのこいつ。まじ意味わかんないんだけど。パーティ戦じゃんね? てかそっちなんて六人フルでいるじゃん」
「ミーシャ。真面目に相手にしてはいけませんよ? いわゆるアホの子ってやつでしょうから……」
「な! きさま! 言わせておけば!! おい! 何をしている!? さっさとこいつらを殺れ!!」
言ってることはもう完全に下っ端悪党なんだが……。
やっぱりこのイベントのクライマックスは既に済んだ感じだな。
時間をかけてもつまらん。
さっさといくか。
俺はもう一度【金をばら撒く】を使う。
貫通も付与した複数攻撃、メンバー合わせて10ヒットのダメージを与えた。
それが全てスルトに集中する。
「うぉおおおおお!?」
一撃で10万オーバーの攻撃だ、それを10回。
しかし当てても大したダメージにはならない。
だが本命はそこじゃない、ミーシャは回復薬と併せて、攻撃に【猛毒】と【麻痺】が発生する薬を使っていた。
確率は100%ではないが、回数が増えれば当然確率も増える。
無事にどちらの状態異常が付与され、スルトは動けなくなりHPに応じた一定ダメージを受ける。
「回復させると思うなよ?」
「ぐあぁ!!」
スルトを回復させようとした回復職を【銭投げ】で一撃の元倒す。
これで回復も不可能だ。
「や、やべぇ!?」
「ど、どうすんのよ!?」
ジェシーとサンドラが慌てた声を上げるが、まさに後は消化試合だった。
その後も俺たちパーティ四人に敵う者などいるわけもなく、見事俺たちは初イベントパーティ対抗バトルロワイヤルで優勝を果たした。
☆
「いやぁ、なんだかんだで楽しかったなぁ」
「そんなこと言っても、私たちを置いて一人で戦ってたのは正直どうかと思いますよ? こっちは大変だったのですから」
「まじ無いしー。あのまま見殺しにしておけば良かった?」
「がっはっは。まぁ、これで俺らのありがたみも分かっただろうから良かろう」
ヒミコのアトリエで恒例のお茶会だ。
俺が一人で功を急いだことに女子二人はご立腹の様子だ。
どっかで穴埋めしておかないとな。
俺は現実では懐は限りなく寂しいが、ゲームの中では富豪だからな。
「それはそうと、なんでお前がまたいるんだよ?」
「はっ! 同じ質問を何度も繰り返すなんて、ショーニン、お前記憶力大丈夫か?」
「いやいや。そうじゃなくて、もう決着ついただろう。俺はお前より強い。はい終了。もう来んなよ」
「はっ! それについてはロキさんから説明がある。ありがたく聞くんだな!」
葵の言葉を受け、俺はロキの方に目をやる。
困ったような面白そうなそんな顔だ。
絶対ろくなことじゃないぞ……。
「なんだよ。ロキ。話って」
「それがね……ショーニン。パーティ解散しちゃってさ。ショーニンのせいで。ということで、俺と葵、ショーニンのパーティに入れてよね!」
「はぁっ!?」
アトリエに俺の叫び声が響いた。
☆☆☆
いつもありがとうございます。
しばらく週一更新になると思います。
楽しみにしている方すいません。
今週から新作【後方支援なら任せてください】
という話を書き始めました。
同じく一人称のVRゲームものです。もし良ければそちらもよろしくお願いします。
0
あなたにおすすめの小説
ソング・バッファー・オンライン〜新人アイドルの日常〜
古森きり
BL
東雲学院芸能科に入学したミュージカル俳優志望の音無淳は、憧れの人がいた。
かつて東雲学院芸能科、星光騎士団第一騎士団というアイドルグループにいた神野栄治。
その人のようになりたいと高校も同じ場所を選び、今度歌の練習のために『ソング・バッファー・オンライン』を始めることにした。
ただし、どうせなら可愛い女の子のアバターがいいよね! と――。
BLoveさんに先行書き溜め。
なろう、アルファポリス、カクヨムにも掲載。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
───────
自筆です。
アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~
鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。
そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。
そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。
「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」
オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く!
ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。
いざ……はじまり、はじまり……。
※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる