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第四話
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「なんでこんなことになった・・・」
ハンスは途方に暮れていた。
今日、何度目か数え切れないほどの、メンバー募集への申し込みと、冒険者パーティとの面談。
そして今回もまた、パーティから、必要ない役立たずの烙印を押された。
少なくとも、これまで一週間、数十を超えるパーティに申し込んだが、その答えは皆一緒だった。
「能力は分かった。しかし、自身が戦えない者を入れる余裕など無い」
冒険者と呼ばれる職業は、自分の能力さえ高ければ、富も名声も、時には地位さえも得ることの出来る、人気の職業だった。
そのため、冒険者を志す者は後を絶たない。
ハンスも無数ある中のひとつくらい、自分を理解してくれるパーティがいるだろうと、淡い希望を抱いていた。
しかし希望は今、絶望と変わってしまった。
どんなにハンスの能力を説明しても、そもそも理解してもらえるパーティは半分程度、残りは理解されないか、嘘つき呼ばわりされた。
それは魔術師であるハンスの使うことの出来る魔法が特殊だったからだ。
西の果て、暗黒大陸に住むとされる、魔王を倒せるものを選出するため、国は冒険者育成施設というものを作った。
魔王を倒せば大英雄。
そうでなくとも、人々の安寧を脅かす魔物の討伐や、魔物自信や秘境などからもたらされる恩恵で、懐を温める者も多い。
希望者は誰でも入ることが出来、費用も国と後続を育てようという奇特な心を持った上級冒険者達の寄付で賄われているため、冒険者を目指す功名心のある若者たち後を絶たなかった。
ハンスはそこの研究生だった。
といっても、ハンス自身は冒険者になる夢を半ば諦め、魔法の研究に勤しみ、研究に関連することしか興味を示さない研究馬鹿だった。
実際ハンスは魔法の研究において多大な成果を残した。
これまでに無い魔法の原理、補助魔法の発明だ。
その発明は百年先の大発見と賞賛を受け、今頃は自身が教官となり多くの冒険者の卵を育成しているはずだった。
そう。はずだったのだ。
実際は、発明の成果は恩人と尊敬していた教官に横取りされ、多額の借金を背負わされ、その返済のために、なるつもりもなかった冒険者になるため、加入させてくれるパーティを探し、断られる毎日。
いくら努力家で、自分の研究のためには他人から見れば狂気に見えることも平気でしてきたハンスを持ってしても、挫折という二文字が頭をよぎるには十分だった。
「くそっ。俺が攻撃魔法のひとつでも使えれば……」
ハンスはこれまでの人生で何度思ったか分からない言葉を口にして、苛立ちを露にする。
冒険者となる魔術師が使う魔法、それが攻撃魔法だ。
字の通り、敵となる魔物に攻撃するための魔法。
数の多寡、威力の大小はあるものの、魔術師と名乗る者がすべからく使うことの出来る攻撃魔法を、ハンスは一切使うことが出来なかった。
覚えていないのではない。論理も魔力も十分なのに、何故か唱えても効果が発現しないのだ。
魔力量に秀で、魔法を学び行使するために必要な論理的思考や理解力も優れていたハンスは、自分が攻撃魔法が使えない理由には訳があるはずだと、その研究を始めた。
その結果明らかになったのは、既存の攻撃魔法は全て精霊の力の具現化であり、精霊との交信によって成り立つのだという事実であった。
そして、ハンスは精霊との交信が一切できない体質で、それがハンスがいかに理論的に正しく呪文を唱えても、攻撃魔法を一切放つことが出来ない理由だと知った。
常人ならばそこで諦めるものだが、ハンスはそれならばと、精霊を必要としない、新たな魔法の構築を試みた。
その結果開発されたのが補助魔法。
自身の魔力を使い、直接対象に影響を与える魔法だった。
「そもそも、先生があんな人だとは!」
道端に転がっていた少し大きめの石を思い切り蹴り上げ、ハンスは悪態を吐く。
目の前に浮かんでいる顔は、今まで恩師としてハンスの信頼と尊敬の念を一身に受けていたワードナ―だった。
今こうして、冒険者として活動するために、色んなパーティに頭を下げているのも、全て愚かにも信用していた恩師、ワードナーの裏切りが原因だった。
ハンスが開発し、魔術師大会で発表するはずだった「新しい魔法の概念及び理論、その実践」の資料をそのまま横取りされてしまった。
添削をお願いするつもりで渡した資料を、そのままワードナー名義で発表してしまったと言うのだ。
魔術師大会はまだ先だが、それに先駆け、重要な発表がある場合には、資料の送付が可能であった。
ワードナーは既に資料の送付を済ませている。
本人が訂正しない限り、ハンスが何を言おうと、成果はワードナーのものになる。
それだけならまだしも、今までハンスが研究に費やしてきた費用を、まるまるハンス名義の借金にしているという事実まで伝えられた。
つまり、ハンスが申請した費用を研究費として国から受け取り、実際は私腹を肥やして、本来は無料であるはず研究費用は全てハンスの借金としていたのだ。
七年間という長い年月に費やされた研究費は多額で、一般人が一生費やしても返せないような金額だった。
そこで成功を収めれば莫大な金を手に入れることの出来る、冒険者になることを選んだのだが、前述の通りでうまくいかない。
「それに、アベルの野郎。いくら王族とはいえ、あんな女の言いなりになるなんて。何が俺の意思は強いだ!」
ハンスが冒険者育成施設を空ける直接の要因になった勇者アベルだが、今は別行動をしている。
現国王、ルイス王の末娘、聖女エマと魔王を倒すための旅に出たのだ。
その聖女エマの一言でハンスはアベルのパーティから脱退を余儀なくされた。
アベルはハンスは魔法の天才だと弁護してくれたのだが、その言葉は届かず。
結局、ハンスを選ぶかエマと同行するかを迫られ、結果的にアベルはエマを選んだのだ。
こうしてハンスは自分の人の見る目の無さと、軽率さを恨みながら、七年間かけて手に入れるはずだった名誉も、今となっては喉から手が出るほど欲しい、仲間すら手に入れられずに、あてもなく道を歩くしか残されていなかった。
ハンスは途方に暮れていた。
今日、何度目か数え切れないほどの、メンバー募集への申し込みと、冒険者パーティとの面談。
そして今回もまた、パーティから、必要ない役立たずの烙印を押された。
少なくとも、これまで一週間、数十を超えるパーティに申し込んだが、その答えは皆一緒だった。
「能力は分かった。しかし、自身が戦えない者を入れる余裕など無い」
冒険者と呼ばれる職業は、自分の能力さえ高ければ、富も名声も、時には地位さえも得ることの出来る、人気の職業だった。
そのため、冒険者を志す者は後を絶たない。
ハンスも無数ある中のひとつくらい、自分を理解してくれるパーティがいるだろうと、淡い希望を抱いていた。
しかし希望は今、絶望と変わってしまった。
どんなにハンスの能力を説明しても、そもそも理解してもらえるパーティは半分程度、残りは理解されないか、嘘つき呼ばわりされた。
それは魔術師であるハンスの使うことの出来る魔法が特殊だったからだ。
西の果て、暗黒大陸に住むとされる、魔王を倒せるものを選出するため、国は冒険者育成施設というものを作った。
魔王を倒せば大英雄。
そうでなくとも、人々の安寧を脅かす魔物の討伐や、魔物自信や秘境などからもたらされる恩恵で、懐を温める者も多い。
希望者は誰でも入ることが出来、費用も国と後続を育てようという奇特な心を持った上級冒険者達の寄付で賄われているため、冒険者を目指す功名心のある若者たち後を絶たなかった。
ハンスはそこの研究生だった。
といっても、ハンス自身は冒険者になる夢を半ば諦め、魔法の研究に勤しみ、研究に関連することしか興味を示さない研究馬鹿だった。
実際ハンスは魔法の研究において多大な成果を残した。
これまでに無い魔法の原理、補助魔法の発明だ。
その発明は百年先の大発見と賞賛を受け、今頃は自身が教官となり多くの冒険者の卵を育成しているはずだった。
そう。はずだったのだ。
実際は、発明の成果は恩人と尊敬していた教官に横取りされ、多額の借金を背負わされ、その返済のために、なるつもりもなかった冒険者になるため、加入させてくれるパーティを探し、断られる毎日。
いくら努力家で、自分の研究のためには他人から見れば狂気に見えることも平気でしてきたハンスを持ってしても、挫折という二文字が頭をよぎるには十分だった。
「くそっ。俺が攻撃魔法のひとつでも使えれば……」
ハンスはこれまでの人生で何度思ったか分からない言葉を口にして、苛立ちを露にする。
冒険者となる魔術師が使う魔法、それが攻撃魔法だ。
字の通り、敵となる魔物に攻撃するための魔法。
数の多寡、威力の大小はあるものの、魔術師と名乗る者がすべからく使うことの出来る攻撃魔法を、ハンスは一切使うことが出来なかった。
覚えていないのではない。論理も魔力も十分なのに、何故か唱えても効果が発現しないのだ。
魔力量に秀で、魔法を学び行使するために必要な論理的思考や理解力も優れていたハンスは、自分が攻撃魔法が使えない理由には訳があるはずだと、その研究を始めた。
その結果明らかになったのは、既存の攻撃魔法は全て精霊の力の具現化であり、精霊との交信によって成り立つのだという事実であった。
そして、ハンスは精霊との交信が一切できない体質で、それがハンスがいかに理論的に正しく呪文を唱えても、攻撃魔法を一切放つことが出来ない理由だと知った。
常人ならばそこで諦めるものだが、ハンスはそれならばと、精霊を必要としない、新たな魔法の構築を試みた。
その結果開発されたのが補助魔法。
自身の魔力を使い、直接対象に影響を与える魔法だった。
「そもそも、先生があんな人だとは!」
道端に転がっていた少し大きめの石を思い切り蹴り上げ、ハンスは悪態を吐く。
目の前に浮かんでいる顔は、今まで恩師としてハンスの信頼と尊敬の念を一身に受けていたワードナ―だった。
今こうして、冒険者として活動するために、色んなパーティに頭を下げているのも、全て愚かにも信用していた恩師、ワードナーの裏切りが原因だった。
ハンスが開発し、魔術師大会で発表するはずだった「新しい魔法の概念及び理論、その実践」の資料をそのまま横取りされてしまった。
添削をお願いするつもりで渡した資料を、そのままワードナー名義で発表してしまったと言うのだ。
魔術師大会はまだ先だが、それに先駆け、重要な発表がある場合には、資料の送付が可能であった。
ワードナーは既に資料の送付を済ませている。
本人が訂正しない限り、ハンスが何を言おうと、成果はワードナーのものになる。
それだけならまだしも、今までハンスが研究に費やしてきた費用を、まるまるハンス名義の借金にしているという事実まで伝えられた。
つまり、ハンスが申請した費用を研究費として国から受け取り、実際は私腹を肥やして、本来は無料であるはず研究費用は全てハンスの借金としていたのだ。
七年間という長い年月に費やされた研究費は多額で、一般人が一生費やしても返せないような金額だった。
そこで成功を収めれば莫大な金を手に入れることの出来る、冒険者になることを選んだのだが、前述の通りでうまくいかない。
「それに、アベルの野郎。いくら王族とはいえ、あんな女の言いなりになるなんて。何が俺の意思は強いだ!」
ハンスが冒険者育成施設を空ける直接の要因になった勇者アベルだが、今は別行動をしている。
現国王、ルイス王の末娘、聖女エマと魔王を倒すための旅に出たのだ。
その聖女エマの一言でハンスはアベルのパーティから脱退を余儀なくされた。
アベルはハンスは魔法の天才だと弁護してくれたのだが、その言葉は届かず。
結局、ハンスを選ぶかエマと同行するかを迫られ、結果的にアベルはエマを選んだのだ。
こうしてハンスは自分の人の見る目の無さと、軽率さを恨みながら、七年間かけて手に入れるはずだった名誉も、今となっては喉から手が出るほど欲しい、仲間すら手に入れられずに、あてもなく道を歩くしか残されていなかった。
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