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第二十七話
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西の果て。
暗黒大陸と呼ばれる、強力な魔物たちのせいで、まだ王国の領土になっていない未開の地との境界線。
王都からカナンへの道程は決して楽なものでは無い。
しかしハンスはセレナにとってそれが一番安全だと思った。
王族の中でも序列は明確に存在する。
末娘のエマは王族の中では一番下、ルイス王の次に権力を持つギルバートの打ち出す政策に口出しなど出せるはずが無い。
「聞いたか? セレナ。どうやら俺達はこの街に住むことを許されなくなったらしい。俺らはカナンを目指す。長い旅になると思うが、付いてきてくれ」
「私はハンス様の奴隷です。ハンス様が来いと言うのなら、例え暗黒大陸へでもお供しましょう」
ハンスはセレナの返事に大きく頷くと、急いで部屋へ戻り、出発の準備を始めた。
セレナの持ち物は、いくつかの着替え程度だったし、ハンスの荷物も着替えに加え、筆記用具一式程度だったから、準備は想像以上に早く終わった。
いつ全額返済できるか分からないが、街から離れることと、返済は着いた先々のギルドから払うことを説明するため、ハンスは金を借りたことになっている、国の機関へ出向いた。
案の定保証されないと、拒否されたが、交渉の結果、ハンスの借金をギルドに移管すること、その手続きや保証金として当てるため、白金貨一枚を払うことで落ち着いた。
手続きをするため、二度ほどギルドを往復したため、すでに辺りは日が落ちかけていた。
しかし、ハンスの都合など待ってはくれない。
明日の朝になれば、この街にいる亜人は全て衛兵達に捕縛され、良くて追放、悪ければ処刑されてしまう。
特にセレナは実際にエマにその姿を確認されているのだから、絶対捕まる訳にはいかなかった。
西門の馬車乗り場には既に人影はない。
明日になれば、西へ向かう馬車に乗れるかもしれないが、ここで危険を犯す訳にはいかなかった。
ハンスたちにとっては街道で出くわす可能性のある魔物達より、衛兵たちやエマの方がずっと恐ろしいのだ。
ハンスは西門の前に立つ門番たちに冒険者証を見せると、門を通してもらうようお願いした。
ハンスはすでにこの辺りでは有名な冒険者になっていたため、門番は事情も分かっていたのだろう、何も言わずハンス達を通してくれた。
ここから先は隣の町まで徒歩で三日ほどの距離だった。
借金の手続きに追われ、野宿のためのろくな道具も用意できなかった。
セレナが一人で買いに行くと言ったが、ハンスがそれを止めたのだ。
「すまないな。セレナ。ひとまずは行けるところまで歩こう。それと、悪いが、夜の見張りはセレナに長くやってもらうことになると思う。まったく。補助魔法を俺にもかけれたら良かったにな」
「いいえ。むしろそれが奴隷として当たり前なのです。ハンス様は奴隷に優しすぎです。お気になさらず、夜はしっかりおやすみください」
セレナの言葉にハンスは、再三繰り返した、セレナは奴隷だが、俺の仲間で、対等の立場だと伝えた後、体力甚大をかける。
これでセレナは、激しい運動さえしなければ、数日間は寝ずにいる事が出来た。
あくまでセレナにしかかけられないから、移動の速度はハンスが決めることになる。
ハンスは自分が開発した補助魔法の欠点を、再度認識させられた。
暗黒大陸と呼ばれる、強力な魔物たちのせいで、まだ王国の領土になっていない未開の地との境界線。
王都からカナンへの道程は決して楽なものでは無い。
しかしハンスはセレナにとってそれが一番安全だと思った。
王族の中でも序列は明確に存在する。
末娘のエマは王族の中では一番下、ルイス王の次に権力を持つギルバートの打ち出す政策に口出しなど出せるはずが無い。
「聞いたか? セレナ。どうやら俺達はこの街に住むことを許されなくなったらしい。俺らはカナンを目指す。長い旅になると思うが、付いてきてくれ」
「私はハンス様の奴隷です。ハンス様が来いと言うのなら、例え暗黒大陸へでもお供しましょう」
ハンスはセレナの返事に大きく頷くと、急いで部屋へ戻り、出発の準備を始めた。
セレナの持ち物は、いくつかの着替え程度だったし、ハンスの荷物も着替えに加え、筆記用具一式程度だったから、準備は想像以上に早く終わった。
いつ全額返済できるか分からないが、街から離れることと、返済は着いた先々のギルドから払うことを説明するため、ハンスは金を借りたことになっている、国の機関へ出向いた。
案の定保証されないと、拒否されたが、交渉の結果、ハンスの借金をギルドに移管すること、その手続きや保証金として当てるため、白金貨一枚を払うことで落ち着いた。
手続きをするため、二度ほどギルドを往復したため、すでに辺りは日が落ちかけていた。
しかし、ハンスの都合など待ってはくれない。
明日の朝になれば、この街にいる亜人は全て衛兵達に捕縛され、良くて追放、悪ければ処刑されてしまう。
特にセレナは実際にエマにその姿を確認されているのだから、絶対捕まる訳にはいかなかった。
西門の馬車乗り場には既に人影はない。
明日になれば、西へ向かう馬車に乗れるかもしれないが、ここで危険を犯す訳にはいかなかった。
ハンスたちにとっては街道で出くわす可能性のある魔物達より、衛兵たちやエマの方がずっと恐ろしいのだ。
ハンスは西門の前に立つ門番たちに冒険者証を見せると、門を通してもらうようお願いした。
ハンスはすでにこの辺りでは有名な冒険者になっていたため、門番は事情も分かっていたのだろう、何も言わずハンス達を通してくれた。
ここから先は隣の町まで徒歩で三日ほどの距離だった。
借金の手続きに追われ、野宿のためのろくな道具も用意できなかった。
セレナが一人で買いに行くと言ったが、ハンスがそれを止めたのだ。
「すまないな。セレナ。ひとまずは行けるところまで歩こう。それと、悪いが、夜の見張りはセレナに長くやってもらうことになると思う。まったく。補助魔法を俺にもかけれたら良かったにな」
「いいえ。むしろそれが奴隷として当たり前なのです。ハンス様は奴隷に優しすぎです。お気になさらず、夜はしっかりおやすみください」
セレナの言葉にハンスは、再三繰り返した、セレナは奴隷だが、俺の仲間で、対等の立場だと伝えた後、体力甚大をかける。
これでセレナは、激しい運動さえしなければ、数日間は寝ずにいる事が出来た。
あくまでセレナにしかかけられないから、移動の速度はハンスが決めることになる。
ハンスは自分が開発した補助魔法の欠点を、再度認識させられた。
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