20 / 21
第20話【それから】
しおりを挟む
「エリス様! 足元にお気を付けください!! 裾を踏まれていますよ!」
「まぁ。カリナ。二人っきりの時は様は要らないっていつも言ってるじゃない」
私は顔にかけたヴェールの奥から、カリナに不満の目線を向ける。
しかし、そんな目線を無視するかのようにカリナは平然と言い放つ。
「いいえ。今日という日が来たからには、今までのようには行きませんよ。エリス様は私の主になるのですから」
「えー。そんなふうに言うなら今日のイベントはやっぱりキャンセルしようかなー」
私の軽口に、カリナは慌てた顔をみせる。
それが可笑しくて、私は笑ってしまった。
「大丈夫だよ、カリナ。エリスは悪い冗談言ってるだけだから。僕が言うんだから間違いない」
「まぁ! エア様には感謝しないといけませんね。私はアベル様の前でこれ以上ない謝罪を申し出ないと行けないところでした」
「あはは。そうそう。冗談だよ。ごめんね。お詫びに今度新しく出来た、【マカロン】っていうお菓子のお店に食べに行こうよ」
「まぁ。それはエリス様が食べに行きたいだけじゃないですか?」
私のせっかくの申し出に、何故か不満そうだ。
「えー。じゃあ、カリナは食べたくないの? しょうがない。カリナは行かないのかぁ。残念だなぁ」
「え!? いえ! もちろんお供させていただきますよ!!」
「あはは。ごめんごめん。からかったりして。でも、こうでもしないと緊張しちゃって」
「まぁ……エリス様はいつも通りに振舞っていれば問題ありませんよ」
そう言われて私は少しだけ肩の荷が軽くなった。
カリナに長いドレスの裾を持ってもらいながら、みんなが待つ広場へ向かう。
私がたどり着くと、そこにはすでに多くの人たちが待っていた。
だけど、まさかロイズ王子まで来てくれているとは思わなかった。
「やぁ。綺麗だね。惜しいことをしたな。アベルより早く出会っていれば、私にもチャンスがあったのかな?」
「な、何をいうんですか。殿下。冗談はそのくらいにしてくださいね」
「あっはっは! この国きっての天才錬金術師となれば、どこへ出ても引く手数多だろう。アベルは全く果報者だ」
「そのくらいにしてくださいね。エリスが困ってるじゃありませんか」
王子と話していると、アベルが近寄ってきた。
その顔には少々不満が滲んでいる。
アベルの姿を見て、私はついつい見惚れてしまった。
漆黒の髪と大きな瞳、それとは対照的な純白のタキシードを着こなしているアベルは一層素敵に見えた。
「エリス、殿下は人をからかうのが生きがいなのだから、まともに取り合ってはいけないよ?」
「あっはっは。これは参ったな。まぁ、今日の主役はお前たちだ。少しくらいの暴言は多めにみよう」
「さぁ、エリス。こっちだよ。みんな新婦の登場を心待ちにしている……エリス?」
「あ、は、はい!」
見惚れていたままの私にあべるが声をかけていたようだ。
そんな私を見て、三人は声を出して笑う。
「あはは。なんだい。緊張しているの? 大丈夫だよ。いつも通りにしていれば」
「緊張してたんじゃないよ。ただ、アベルに見惚れてただけ」
カリナと同じことを言うアベルに、私は思わずそんなことを口にした。
すると、アベルは顔を真っ赤にしてしまった。
それを見た王子がさらに笑う。
「あっはっは。全く。エリスが居ると、面白いアベルが見られて飽きないな。二人とも仲良く暮らせよ?」
「はい! 殿下」
私は元気よく返事をすると、アベルに手を取られ、広場の中央に進んでいく。
周りの人々たちからたくさんの花びらが頭上へとまかれた。
「おめでとう! アベル様!」
「おめでとう! 錬金術師様!」
集まった人の中には、私が錬金術師として正体を明かして生活することを決めてから、役に立つことができた色々な人たちもいるようだ。
私はこの国に来てから自分がしてきたことを誇りに思いながら、最愛の人と結ばれる今日という日を迎えることができた。
思えば、あの日追放された時、エアは何も言わなかった。
きっと今日という日が来ることを知っていたのだろう。
追放されなければアベルと会うことも、こうやって多くの人の役に立つことも出来なかった。
今思えば、追放されて良かった。
ただ、一つだけ気がかりなのは、サルタレロが大飢饉に見舞われてしまったと噂に聞いたことだ。
そのせいで人々のせいかつは困窮し、今まで豊かさにあぐらをかいていた王政に不満が集中したのだとか。
結果、急死したサルベー王の後を継いだサルーン王は、内乱の最中にその若い命を散らしてしまったらしい。
その後も色々あったみたいだけれど、アベルの話によると、ロイズ王子つまりこの国が介入し、サルタレロはこの国の属国になるのだとか。
「それにしても、なんで俺とカリナだけ、エアが見えたり話ができるようになったんだろうな?」
「私も分からないけど、私はすごく嬉しいよ!」
アベルの言葉に私は声を弾ませて答える。
当の本人であるエアは、相変わらずの定位置である私の右肩ですまし顔だ。
左肩に居るサラマンダーとは、まだ私も話すことができないけれど、エアの話によるとそのうち話せるようになるらしい。
そんな話をしていると、この国の婚姻の証である、愛の誓いが始まった。
「アベル。汝、エリスを妻とし、永遠の愛を誓いますか?」
「誓います」
先にアベルが宣誓する。
続いて私の番だ。
「エリス。汝、アベルを夫とし、永遠の愛を誓いますか?」
「誓います!」
元気よく答えた瞬間、私は身体ごとアベルに強く引き寄せられ、そして唇に熱く柔らかな感触を感じた。
国を追放された聖女の私は、隣国で天才錬金術師として、愛する人と共に【幸せに】暮らしていくようです。
☆☆☆
無事完結です!!
ここまでお読みいただきありがとうございました!
実は今までに恋愛ものにトライしたことは何度かありましたが、無事に完結できたのはこれが初めてです。
途中更新が途切れてしまったりしましたが、こうして完結のボタンを押せるのは嬉しい限りです。
これも応援いただいた皆様のおかげです。
本当にありがとうございました。
そして、宣伝です!
別作品ですが、今開催中のファンタジー小説大賞に応募しています!!
面白いのでぜひ読んでいただき、気に入ったら読者投票もしていただけると嬉しいです!!
『後方支援なら任せてください~幼馴染にS級クランを追放された【薬師】の私は、拾ってくれたクラマスを影から支えて成り上がらせることにしました~』
よろしければお願いします!!
「まぁ。カリナ。二人っきりの時は様は要らないっていつも言ってるじゃない」
私は顔にかけたヴェールの奥から、カリナに不満の目線を向ける。
しかし、そんな目線を無視するかのようにカリナは平然と言い放つ。
「いいえ。今日という日が来たからには、今までのようには行きませんよ。エリス様は私の主になるのですから」
「えー。そんなふうに言うなら今日のイベントはやっぱりキャンセルしようかなー」
私の軽口に、カリナは慌てた顔をみせる。
それが可笑しくて、私は笑ってしまった。
「大丈夫だよ、カリナ。エリスは悪い冗談言ってるだけだから。僕が言うんだから間違いない」
「まぁ! エア様には感謝しないといけませんね。私はアベル様の前でこれ以上ない謝罪を申し出ないと行けないところでした」
「あはは。そうそう。冗談だよ。ごめんね。お詫びに今度新しく出来た、【マカロン】っていうお菓子のお店に食べに行こうよ」
「まぁ。それはエリス様が食べに行きたいだけじゃないですか?」
私のせっかくの申し出に、何故か不満そうだ。
「えー。じゃあ、カリナは食べたくないの? しょうがない。カリナは行かないのかぁ。残念だなぁ」
「え!? いえ! もちろんお供させていただきますよ!!」
「あはは。ごめんごめん。からかったりして。でも、こうでもしないと緊張しちゃって」
「まぁ……エリス様はいつも通りに振舞っていれば問題ありませんよ」
そう言われて私は少しだけ肩の荷が軽くなった。
カリナに長いドレスの裾を持ってもらいながら、みんなが待つ広場へ向かう。
私がたどり着くと、そこにはすでに多くの人たちが待っていた。
だけど、まさかロイズ王子まで来てくれているとは思わなかった。
「やぁ。綺麗だね。惜しいことをしたな。アベルより早く出会っていれば、私にもチャンスがあったのかな?」
「な、何をいうんですか。殿下。冗談はそのくらいにしてくださいね」
「あっはっは! この国きっての天才錬金術師となれば、どこへ出ても引く手数多だろう。アベルは全く果報者だ」
「そのくらいにしてくださいね。エリスが困ってるじゃありませんか」
王子と話していると、アベルが近寄ってきた。
その顔には少々不満が滲んでいる。
アベルの姿を見て、私はついつい見惚れてしまった。
漆黒の髪と大きな瞳、それとは対照的な純白のタキシードを着こなしているアベルは一層素敵に見えた。
「エリス、殿下は人をからかうのが生きがいなのだから、まともに取り合ってはいけないよ?」
「あっはっは。これは参ったな。まぁ、今日の主役はお前たちだ。少しくらいの暴言は多めにみよう」
「さぁ、エリス。こっちだよ。みんな新婦の登場を心待ちにしている……エリス?」
「あ、は、はい!」
見惚れていたままの私にあべるが声をかけていたようだ。
そんな私を見て、三人は声を出して笑う。
「あはは。なんだい。緊張しているの? 大丈夫だよ。いつも通りにしていれば」
「緊張してたんじゃないよ。ただ、アベルに見惚れてただけ」
カリナと同じことを言うアベルに、私は思わずそんなことを口にした。
すると、アベルは顔を真っ赤にしてしまった。
それを見た王子がさらに笑う。
「あっはっは。全く。エリスが居ると、面白いアベルが見られて飽きないな。二人とも仲良く暮らせよ?」
「はい! 殿下」
私は元気よく返事をすると、アベルに手を取られ、広場の中央に進んでいく。
周りの人々たちからたくさんの花びらが頭上へとまかれた。
「おめでとう! アベル様!」
「おめでとう! 錬金術師様!」
集まった人の中には、私が錬金術師として正体を明かして生活することを決めてから、役に立つことができた色々な人たちもいるようだ。
私はこの国に来てから自分がしてきたことを誇りに思いながら、最愛の人と結ばれる今日という日を迎えることができた。
思えば、あの日追放された時、エアは何も言わなかった。
きっと今日という日が来ることを知っていたのだろう。
追放されなければアベルと会うことも、こうやって多くの人の役に立つことも出来なかった。
今思えば、追放されて良かった。
ただ、一つだけ気がかりなのは、サルタレロが大飢饉に見舞われてしまったと噂に聞いたことだ。
そのせいで人々のせいかつは困窮し、今まで豊かさにあぐらをかいていた王政に不満が集中したのだとか。
結果、急死したサルベー王の後を継いだサルーン王は、内乱の最中にその若い命を散らしてしまったらしい。
その後も色々あったみたいだけれど、アベルの話によると、ロイズ王子つまりこの国が介入し、サルタレロはこの国の属国になるのだとか。
「それにしても、なんで俺とカリナだけ、エアが見えたり話ができるようになったんだろうな?」
「私も分からないけど、私はすごく嬉しいよ!」
アベルの言葉に私は声を弾ませて答える。
当の本人であるエアは、相変わらずの定位置である私の右肩ですまし顔だ。
左肩に居るサラマンダーとは、まだ私も話すことができないけれど、エアの話によるとそのうち話せるようになるらしい。
そんな話をしていると、この国の婚姻の証である、愛の誓いが始まった。
「アベル。汝、エリスを妻とし、永遠の愛を誓いますか?」
「誓います」
先にアベルが宣誓する。
続いて私の番だ。
「エリス。汝、アベルを夫とし、永遠の愛を誓いますか?」
「誓います!」
元気よく答えた瞬間、私は身体ごとアベルに強く引き寄せられ、そして唇に熱く柔らかな感触を感じた。
国を追放された聖女の私は、隣国で天才錬金術師として、愛する人と共に【幸せに】暮らしていくようです。
☆☆☆
無事完結です!!
ここまでお読みいただきありがとうございました!
実は今までに恋愛ものにトライしたことは何度かありましたが、無事に完結できたのはこれが初めてです。
途中更新が途切れてしまったりしましたが、こうして完結のボタンを押せるのは嬉しい限りです。
これも応援いただいた皆様のおかげです。
本当にありがとうございました。
そして、宣伝です!
別作品ですが、今開催中のファンタジー小説大賞に応募しています!!
面白いのでぜひ読んでいただき、気に入ったら読者投票もしていただけると嬉しいです!!
『後方支援なら任せてください~幼馴染にS級クランを追放された【薬師】の私は、拾ってくれたクラマスを影から支えて成り上がらせることにしました~』
よろしければお願いします!!
41
あなたにおすすめの小説
孤島送りになった聖女は、新生活を楽しみます
天宮有
恋愛
聖女の私ミレッサは、アールド国を聖女の力で平和にしていた。
それなのに国王は、平和なのは私が人々を生贄に力をつけているからと罪を捏造する。
公爵令嬢リノスを新しい聖女にしたいようで、私は孤島送りとなってしまう。
島から出られない呪いを受けてから、転移魔法で私は孤島に飛ばさていた。
その後――孤島で新しい生活を楽しんでいると、アールド国の惨状を知る。
私の罪が捏造だと判明して国王は苦しんでいるようだけど、戻る気はなかった。
召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?
浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。
「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」
ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。
【完結】私を虐げる姉が今の婚約者はいらないと押し付けてきましたが、とても優しい殿方で幸せです 〜それはそれとして、家族に復讐はします〜
ゆうき
恋愛
侯爵家の令嬢であるシエルは、愛人との間に生まれたせいで、父や義母、異母姉妹から酷い仕打ちをされる生活を送っていた。
そんなシエルには婚約者がいた。まるで本物の兄のように仲良くしていたが、ある日突然彼は亡くなってしまった。
悲しみに暮れるシエル。そこに姉のアイシャがやってきて、とんでもない発言をした。
「ワタクシ、とある殿方と真実の愛に目覚めましたの。だから、今ワタクシが婚約している殿方との結婚を、あなたに代わりに受けさせてあげますわ」
こうしてシエルは、必死の抗議も虚しく、身勝手な理由で、新しい婚約者の元に向かうこととなった……横暴で散々虐げてきた家族に、復讐を誓いながら。
新しい婚約者は、社交界でとても恐れられている相手。うまくやっていけるのかと不安に思っていたが、なぜかとても溺愛されはじめて……!?
⭐︎全三十九話、すでに完結まで予約投稿済みです。11/12 HOTランキング一位ありがとうございます!⭐︎
二周目聖女は恋愛小説家! ~探されてますが、前世で断罪されたのでもう名乗り出ません~
今川幸乃
恋愛
下級貴族令嬢のイリスは聖女として国のために祈りを捧げていたが、陰謀により婚約者でもあった王子アレクセイに偽聖女であると断罪されて死んだ。
こんなことなら聖女に名乗り出なければ良かった、と思ったイリスは突如、聖女に名乗り出る直前に巻き戻ってしまう。
「絶対に名乗り出ない」と思うイリスは部屋に籠り、怪しまれないよう恋愛小説を書いているという嘘をついてしまう。
が、嘘をごまかすために仕方なく書き始めた恋愛小説はなぜかどんどん人気になっていく。
「恥ずかしいからむしろ誰にも読まれないで欲しいんだけど……」
一方そのころ、本物の聖女が現れないため王子アレクセイらは必死で聖女を探していた。
※序盤の断罪以外はギャグ寄り。だいぶ前に書いたもののリメイク版です
追放聖女の再就職 〜長年仕えた王家からニセモノと追い出されたわたしですが頑張りますね、魔王さま!〜
三崎ちさ
恋愛
メリアは王宮に勤める聖女、だった。
「真なる聖女はこの世に一人、エミリーのみ! お前はニセモノだ!」
ある日突然いきりたった王子から国外追放、そして婚約破棄もオマケのように言い渡される。
「困ったわ、追放されても生きてはいけるけど、どうやってお金を稼ごうかしら」
メリアには病気の両親がいる。王宮で聖女として働いていたのも両親の治療費のためだった。国の外には魔物がウロウロ、しかし聖女として活躍してきたメリアには魔物は大した脅威ではない。ただ心配なことは『お金の稼ぎ方』だけである。
そんな中、メリアはひょんなことから封印されていたはずの魔族と出会い、魔王のもとで働くことになる。
「頑張りますね、魔王さま!」
「……」(かわいい……)
一方、メリアを独断で追放した王子は父の激昂を招いていた。
「メリアを魔族と引き合わせるわけにはいかん!」
国王はメリアと魔族について、何か秘密があるようで……?
即オチ真面目魔王さまと両親のためにお金を稼ぎたい!ニセモノ疑惑聖女のラブコメです。
※小説家になろうさんにも掲載
【完結】薬学はお遊びだと言われたので、疫病の地でその価値を証明します!
きまま
恋愛
薄暗い部屋の隅、背の高い本棚に囲まれて一人。エリシアは読書に耽っていた。
周囲の貴族令嬢たちは舞踏会で盛り上がっている時刻。そんな中、彼女は埃の匂いに包まれて、分厚い薬草学の本に指先を滑らせていた。文字を追う彼女の姿は繊細で、金の髪を揺らし、酷くここには場違いのように見える。
「――その薬草は、熱病にも効くとされている」
低い声が突然、彼女の背後から降ってくる。
振り返った先に立っていたのは、辺境の領主の紋章をつけた青年、エルンだった。
不躾な言葉に眉をひそめかけたが、その瞳は真剣で、嘲りの色はなかった。
「ご存じなのですか?」
思わず彼女は問い返す。
「私の方では大事な薬草だから。けれど、君ほど薬草に詳しくはないみたいだ。——私は君のその花飾りの名前を知らない」
彼は本を覗き込み、素直にそう言った。
胸の奥がかすかに震える。
――馬鹿にされなかった。
初めての感覚に、彼女は言葉を失い、本を閉じる手が少しだけ震え、戸惑った笑みを見せた。
※拙い文章です。読みにくい文章があるかもしれません。
※自分都合の解釈や設定などがあります。ご容赦ください。
※本作品は別サイトにも掲載中です。
怠惰な聖女の代わりに業務を担っていた私は、たまの気まぐれで働いた聖女の失敗を押し付けられて追放されました。
木山楽斗
恋愛
イルアナ・フォルアドは、怠惰な聖女の代わりに業務を行っていた。
ある日、気まぐれで聖女が国を守る結界を張ると言い出した。
長らく業務にあたっていない聖女に、そんなことができるのか。そういう心配をしていたイルアナの不安は的中し、聖女は業務に失敗してしまった。
聖女は、失敗の責任をイルアナに被せてきた。
公爵家の令嬢でもある彼女はその権力を使い、イルアナに罪を被せてきたのだ。
国を守る結界を一時的に消失させる。その重大な過失と、罪を認めなかったことにより、イルアナは国外追放を言い渡されてしまった。
国外に追放されたイルアナだったが、なんとか隣国まで辿り着いた。
そこで暮らすようになった彼女が聞いたのは、祖国の結界が維持できなくなったという知らせだった。
どうやら、イルアナが追放されたため、国が崩壊してしまったようである。
婚約者を奪われるのは運命ですか?
ぽんぽこ狸
恋愛
転生者であるエリアナは、婚約者のカイルと聖女ベルティーナが仲睦まじげに横並びで座っている様子に表情を硬くしていた。
そしてカイルは、エリアナが今までカイルに指一本触れさせなかったことを引き合いに婚約破棄を申し出てきた。
終始イチャイチャしている彼らを腹立たしく思いながらも、了承できないと伝えると「ヤれない女には意味がない」ときっぱり言われ、エリアナは産まれて十五年寄り添ってきた婚約者を失うことになった。
自身の屋敷に帰ると、転生者であるエリアナをよく思っていない兄に絡まれ、感情のままに荷物を纏めて従者たちと屋敷を出た。
頭の中には「こうなる運命だったのよ」というベルティーナの言葉が反芻される。
そう言われてしまうと、エリアナには”やはり”そうなのかと思ってしまう理由があったのだった。
こちらの作品は第18回恋愛小説大賞にエントリーさせていただいております。よろしければ投票ボタンをぽちっと押していただけますと、大変うれしいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる