後方支援なら任せてください〜幼馴染にS級クランを追放された【薬師】の私は、拾ってくれたクラマスを影から支えて成り上がらせることにしました〜

黄舞

文字の大きさ
6 / 72

第6話【クラン設立】

しおりを挟む
「なんだよそれ。隠し持ってたのか? 俺には使う必要なんか無いと思ってましたってか。馬鹿にしやがって! 使うのが遅かったと後悔して、逝け!!」
「そうじゃない。そうじゃないが、後悔はしたくないんでな。勝たせて貰うぞ!!」

 【暗殺者】の身体が溶けるように消えていく。
 相手が使ったスキル【ハイディング】の効果だ。

 使ってから10秒間、姿が見えなくなる。
 見えなくても攻撃は当たり、あちらが攻撃した場合も姿が見えるようになる使いどころが難しいスキルだ。

「う……!?」
「ふはははは。どこから飛んでくるか分からない攻撃は恐怖だろう!」

 効果が切れるギリギリを狙ってセシルの背後に移動していた相手は、背中に斬りかかった。
 間一髪でその攻撃を受けたセシルから距離を取り、相手は再び同じスキルを使い姿をくらます。

 あの技は簡単に見破れる方法があるのだけれど、今のセシルにそれを伝える方法がない。
 そしてまだレベルが低いため、範囲攻撃を持っていないセシルにはなかなか初見では厳しい相手だった。

「そこだぁ!!」
「う……ばかな……なぜ分かった……?」

 ところがセシルは二回見ただけでこのスキルの致命的欠点を見破ってしまった。
 そして、相手に向かって【三段突き】を使う。

 素早い突きが三回相手を突き刺す。
 攻撃が当たり消えていた姿も見えるようになった。

「影が消えてない。運営のミスなのか、仕様なのか知らないけれど、ハズレスキルだな……」
「う、うるせぇ!!」

 そこからは一方的だった。
 正攻法に切り替えた相手だったが、【強薬】で強化したセシルの敵ではなかった。

 さっきとは立場が逆転し、セシルは全ての攻撃を躱し、そして相手は全てを避けることはできなくなっていた。
 やがて心臓に当てた突きが致命傷となり、セシルは見事逆転を果たした。

「やった! 凄いよ!! 負け無しじゃない!」
「いや……正直、サラさんの言うことを最初から聞いていればもっと簡単に勝てた。ごめん……」

 何故かセシルは私に謝ってきた。
 そんなこと、全然必要ないのに。

 深々と下げたセシルの頭は、私が腕を上げれば届く位置にある。
 私は恐る恐る、セシルの頭を撫でてみた。

 鱗に覆われた髪の毛のない頭皮は、奇妙な感触だった。
 私に頭を撫でられたセシルは、驚いて顔を上げる。

「きゃっ!」
「あ、ごめん」

 急に頭が上がったため、手を上に引き寄せられる形になり、私はバランスを崩しセシルに抱きついてしまった。
 謝るのは私の方のはずなのに、何故か謝ったのはセシルの方だった。

「あの……もう大丈夫かな……?」
「あ! ごめん!!」

 恥ずかしい気持ちになりながら離してもらう。
 このゲームは感情が表情に出るからしばらく顔を隠さないと。

「じゃ、じゃあ。次も頑張ってね。あと4勝。いけるいける!」
「あ、うん! 頑張ってくるよ!」

 そう言うとセシルは次の試合に向かう。
 そこからは始めから強化薬を使い、見事15連勝を決め、無事に10万ギラを手に入れることが出来た。

「やったね。じゃあ次はクエストだよ。行こうか!」
「うん。ありがとう。サラさんの薬、凄かったよ。こんな凄い力に気付かないなんて、やっぱりクソ野郎だな……」

「え? 最後なんて言ったの? 小さくて聞こえなかった」
「ううん。なんでもない。じゃあ行こうか」

 こうして私とセシルは、クラン設立に必要なクエストも難なくこなし、クラン設立へと至った。
 クランマスターはセシル。サブマスターは不在にしておいた。

 良い人が来たら、その人にサブマスターをお願いするつもりだ。
 まだ出来たてホヤホヤでクランレベルは当然の1。

 攻城戦に出るためには最低5人のメンバーが必要だけれど、急ぐことはしない。
 きちんと一緒に戦いたいと思う人を、セシルと一緒に決めて入ってもらう予定だ。

 その間にクランレベルもあげないといけないし、セシルのレベルや装備もある。
 やることは盛りだくさん。さーて、頑張りましょうかね。



~その頃ユースケは~

「いやー。今日の攻城戦は、マジで神がかってましたわー。薬のおかげっすね。マスター感謝っす!」
「お、おう! そうだろ? 感謝しろよ。全く!」

「もちろんっすよ! 次回もよろしく頼みますよ!」
「お? あ、ああ。任せろ……多分な……」

 前回の惨敗を受け、何人か不平不満を言っていたが、今回は今まで通りに薬が供給され、見事勝利を掴んだ。
 しかし、勝利を喜ぶクランメンバーとは裏腹に、ユースケの気持ちは焦りに満ちていた。

 というのも、自分でつくりあげた自分、つまり薬を自腹でクランメンバーに配布するマスターというのを、実際に行う羽目になったからだ。
 しかも買うのは消費アイテムなのに、と思いたくなるほど高い価格の最高級薬。

 既に元々持っていた資金は底を尽き、いつかサブキャラクターを作った時に使わせようと思っていたドロップアイテムの武具を、オークションに出して得たお金にまで手を付けていた。

「くそっ! なんで俺が! こんな目に!!」

 自分で蒔いた種なのは間違いないのに、どこまでも人のせいにして生きてきたユースケには、責任を取るという言葉の意味が理解できない。
 ただただ文句を言っては、クランマスター用のスペースで、備え付けられていた備品に八つ当たりをしていた。

「来週どうする……? 金が……くそっ! くそがぁああ!!」

 誰もいない専用スペースでユースケの絶叫が響き渡った。
しおりを挟む
感想 132

あなたにおすすめの小説

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。

アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。 それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。 するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。 それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき… 遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。 ……とまぁ、ここまでは良くある話。 僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき… 遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。 「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」 それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。 なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…? 2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。 皆様お陰です、有り難う御座います。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

処理中です...