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第15話【心酔】
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「それじゃあ、どういう風にやろうか。ひとまずアンナは固定で一人ずつ抜けるのでいいか?」
「ちょっと待っておくれよ。さっきはよく分かってなかったからなんも言わなかったけど、サラちゃんもやるのかい? 【薬師】だろ?」
団体戦に参加するため闘技場に来ていた私たちに向かって、アンナは至極真っ当な言葉を吐いた。
【薬師】は生産職で、戦闘職ではないからだ。
正確に言えばこのゲームは全ての職業が戦闘用のスキルを多かれ少なかれ持っている。
だから【薬師】だろうが、【鍛冶師】だろうが、戦おうと思えば戦える。
ただ、そのダメージは極端に劣る。
【鍛冶師】はまだ打撃攻撃があるけれど、薬師に至ってはポーション投げ以外はろくなものがない。
そんな私が団体戦に、しかもランクAに出るというのだから驚くのも無理はない。
この辺りはもうレベルカンストのプレイヤーしかほとんど居ない。
「大丈夫ですよ。アンナさん。サラさんはお強い。いえ、サラさんのおかげで私たちが強くなれるのです。信じてください」
「ふーん? 分かったよ。まぁ、何も見ないで決めつけは良くないからね。でもダメだと思ったらすぐに言うよ? わたしゃ思ったことはすぐに口に出すタイプなんだ」
「あはは。分かったよ。アンナがダメだと思ったら今後私は出ない。それでいいでしょう?」
「ああ。悪いね。私が居ない時に三人で出るのは構わないけど、それでランクを落としたりしないでおくれよ?」
アンナは本当にはっきりした性格のようだ。
正直なところ羨ましく感じる。
私もこのくらいはっきりした性格だったら、もう少し変わっていただろうか。
今度秘訣を教えてもらおう。
「それじゃあ、最初にサラさんと一緒に行ってみようか。それと俺で。そっちの方がサラさんの凄さが分かるでしょ」
「そうですね。それがいいと私も思いますよ」
「わたしゃどれから先でも構わないよ。そうだ、強化薬も売ってくれるのかい?」
「あ、薬は私が出場する時は自分で使わないでください」
「なんだって?」
「大丈夫、大丈夫。まずはやってみようぜ」
アンナは合点が行かない様子だったけれど、ひとまずやれば分かるとセシルが面白そうな笑みを浮かべながら言うので黙っていた。
渋々と言った感じで、アンナは団体戦を受けるための手続きに向かう。
「それじゃあ、いつも通り最初に使うよ。今回は大盤振る舞い! 全部使うよ!!」
「おーいいねー!」
「なんなんだい? ちゃんと説明しておくれよ!」
対戦のカウントダウンが始まる中、のんきな私とセシルに向かってアンナが不服そうな声を上げる。
団体戦などは、事前のアイテムや魔法の効果は全て取り除かれた状態から始まる。
そうじゃなければ、いくらでも強化可能になってしまうから。
カウントダウン中も動作はできるが、この間に使ったアイテムやいずれのスキルも無効になる。
やがて、カウントが終わり、戦闘が始まる。
敵は少し離れた場所に居るので、待つか迎え撃つかの二択だ。
「待つのは嫌いなんだ。突っ込むよ!!」
「待って! アンナ、まだ動かないで!」
早速特攻をかけようとしたアンナに、セシルは待ったをかける。
不満そうにこちらを向くアンナに、私は用意しておいた強化薬を順に投げ付けた。
「な、なんだいこれ? このエフェクトは、強化薬!? でも、数値がおかしいよ! こんな効果のある強化薬なんて聞いたことがない!!」
「あ、それ私のパッシブスキル【薬の知識】の効果だよ。薬の効果が二倍。今使ったのは【神薬】と【強薬】だね」
元々高い部分は割合増加の【神薬】、低い部分は定値増加の【強薬】を使い分け、より効率的に上げるのが私のやり方だ。
これでアンナの攻撃力などは跳ね上がってるし、低めの敏捷なども元より随分上がってるはずだ。
「す、凄いねこれは……これじゃあ、負ける気がしないよ!」
「うふふ。良かった。あ、来たみたい。じゃあ、頑張ろうね」
相手は全員近接タイプ。
そこへアンナは突っ込んでいく。
「はは! セシル! あんたは言ったね! サラちゃんが凄いと!! 意味が分かったよ! こんな事ができるなら、一人でだって勝ってやるさ!!」
「おいおい。それじゃあ、団体戦の意味ないだろ。俺も戦うからな。手柄独り占めするなよ!」
「やれやれ……二人は何をしてるのでしょうか……」
ふと振り向くとハドラーが首を横に振っているのが見えた。
確かにどっちが多く倒すかを競うコンテンツじゃないからね。
「私も戦うからね! えいっ!!」
「うわぁ!? な、何も見えねぇ!?」
私の投げた【ダゴンの墨】が見事命中した一人は、失明状態になり右往左往する。
その間にアンナの戦斧が大きく振られ、吹っ飛びながら倒れる。
どうやら一発で倒してしまったようだ。
斧に雷のような電撃が走っていたから、なにか大技のスキルを使ったのだろう。
「最高だよ!! サラちゃん!! こんなハイになったの初めてさ!! もう絶対あんたの元を離れないよ!」
「え、えーっと。うん。ありがとう」
戦神もかくやと言うような動きで、アンナは残りの二人も倒してしまった。
言っていた通り、相手の攻撃など意に介さないような攻撃で、ずっとアンナは主導権を握っていた。
私がアンナのHPを注意して、危なくなる前にきちんと回復薬を投げて置いたから、回復する手間も要らずにやりやすかったと後から絶賛された。
「だから! 一人で倒すゲームじゃねぇって!」
一方、攻撃に巻き込まれないように、近づく事が出来ずにいたセシルは、叫び声をあげるしか出来なかったみたいだ。
戦闘が終了した間際にハドラーの方をもう一度見たら、口に手を当てて笑いを必死で堪えているのが見えた。
何はともあれ、仲間が一人増えて良かった。
これであと一人加入してくれれば、とうとう攻城戦に挑むことが出来ることになる。
そしてそれは、すぐにやってくることとなった。
「ちょっと待っておくれよ。さっきはよく分かってなかったからなんも言わなかったけど、サラちゃんもやるのかい? 【薬師】だろ?」
団体戦に参加するため闘技場に来ていた私たちに向かって、アンナは至極真っ当な言葉を吐いた。
【薬師】は生産職で、戦闘職ではないからだ。
正確に言えばこのゲームは全ての職業が戦闘用のスキルを多かれ少なかれ持っている。
だから【薬師】だろうが、【鍛冶師】だろうが、戦おうと思えば戦える。
ただ、そのダメージは極端に劣る。
【鍛冶師】はまだ打撃攻撃があるけれど、薬師に至ってはポーション投げ以外はろくなものがない。
そんな私が団体戦に、しかもランクAに出るというのだから驚くのも無理はない。
この辺りはもうレベルカンストのプレイヤーしかほとんど居ない。
「大丈夫ですよ。アンナさん。サラさんはお強い。いえ、サラさんのおかげで私たちが強くなれるのです。信じてください」
「ふーん? 分かったよ。まぁ、何も見ないで決めつけは良くないからね。でもダメだと思ったらすぐに言うよ? わたしゃ思ったことはすぐに口に出すタイプなんだ」
「あはは。分かったよ。アンナがダメだと思ったら今後私は出ない。それでいいでしょう?」
「ああ。悪いね。私が居ない時に三人で出るのは構わないけど、それでランクを落としたりしないでおくれよ?」
アンナは本当にはっきりした性格のようだ。
正直なところ羨ましく感じる。
私もこのくらいはっきりした性格だったら、もう少し変わっていただろうか。
今度秘訣を教えてもらおう。
「それじゃあ、最初にサラさんと一緒に行ってみようか。それと俺で。そっちの方がサラさんの凄さが分かるでしょ」
「そうですね。それがいいと私も思いますよ」
「わたしゃどれから先でも構わないよ。そうだ、強化薬も売ってくれるのかい?」
「あ、薬は私が出場する時は自分で使わないでください」
「なんだって?」
「大丈夫、大丈夫。まずはやってみようぜ」
アンナは合点が行かない様子だったけれど、ひとまずやれば分かるとセシルが面白そうな笑みを浮かべながら言うので黙っていた。
渋々と言った感じで、アンナは団体戦を受けるための手続きに向かう。
「それじゃあ、いつも通り最初に使うよ。今回は大盤振る舞い! 全部使うよ!!」
「おーいいねー!」
「なんなんだい? ちゃんと説明しておくれよ!」
対戦のカウントダウンが始まる中、のんきな私とセシルに向かってアンナが不服そうな声を上げる。
団体戦などは、事前のアイテムや魔法の効果は全て取り除かれた状態から始まる。
そうじゃなければ、いくらでも強化可能になってしまうから。
カウントダウン中も動作はできるが、この間に使ったアイテムやいずれのスキルも無効になる。
やがて、カウントが終わり、戦闘が始まる。
敵は少し離れた場所に居るので、待つか迎え撃つかの二択だ。
「待つのは嫌いなんだ。突っ込むよ!!」
「待って! アンナ、まだ動かないで!」
早速特攻をかけようとしたアンナに、セシルは待ったをかける。
不満そうにこちらを向くアンナに、私は用意しておいた強化薬を順に投げ付けた。
「な、なんだいこれ? このエフェクトは、強化薬!? でも、数値がおかしいよ! こんな効果のある強化薬なんて聞いたことがない!!」
「あ、それ私のパッシブスキル【薬の知識】の効果だよ。薬の効果が二倍。今使ったのは【神薬】と【強薬】だね」
元々高い部分は割合増加の【神薬】、低い部分は定値増加の【強薬】を使い分け、より効率的に上げるのが私のやり方だ。
これでアンナの攻撃力などは跳ね上がってるし、低めの敏捷なども元より随分上がってるはずだ。
「す、凄いねこれは……これじゃあ、負ける気がしないよ!」
「うふふ。良かった。あ、来たみたい。じゃあ、頑張ろうね」
相手は全員近接タイプ。
そこへアンナは突っ込んでいく。
「はは! セシル! あんたは言ったね! サラちゃんが凄いと!! 意味が分かったよ! こんな事ができるなら、一人でだって勝ってやるさ!!」
「おいおい。それじゃあ、団体戦の意味ないだろ。俺も戦うからな。手柄独り占めするなよ!」
「やれやれ……二人は何をしてるのでしょうか……」
ふと振り向くとハドラーが首を横に振っているのが見えた。
確かにどっちが多く倒すかを競うコンテンツじゃないからね。
「私も戦うからね! えいっ!!」
「うわぁ!? な、何も見えねぇ!?」
私の投げた【ダゴンの墨】が見事命中した一人は、失明状態になり右往左往する。
その間にアンナの戦斧が大きく振られ、吹っ飛びながら倒れる。
どうやら一発で倒してしまったようだ。
斧に雷のような電撃が走っていたから、なにか大技のスキルを使ったのだろう。
「最高だよ!! サラちゃん!! こんなハイになったの初めてさ!! もう絶対あんたの元を離れないよ!」
「え、えーっと。うん。ありがとう」
戦神もかくやと言うような動きで、アンナは残りの二人も倒してしまった。
言っていた通り、相手の攻撃など意に介さないような攻撃で、ずっとアンナは主導権を握っていた。
私がアンナのHPを注意して、危なくなる前にきちんと回復薬を投げて置いたから、回復する手間も要らずにやりやすかったと後から絶賛された。
「だから! 一人で倒すゲームじゃねぇって!」
一方、攻撃に巻き込まれないように、近づく事が出来ずにいたセシルは、叫び声をあげるしか出来なかったみたいだ。
戦闘が終了した間際にハドラーの方をもう一度見たら、口に手を当てて笑いを必死で堪えているのが見えた。
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これであと一人加入してくれれば、とうとう攻城戦に挑むことが出来ることになる。
そしてそれは、すぐにやってくることとなった。
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