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第16話【猫耳尻尾】
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アンナと一通りの組み合わせを終え、私たちは一度休憩をとることにした。
戦闘自体はアンナを除き一人計二回だけで、それで疲れたわけじゃない。
ただ、私の強化薬の効果と、更に投げた回復薬のおかげで、アンナは狂乱状態とも言えるほど張り切っていた。
そこでクールダウンのための休憩を、とハドラーが提案してくれたのだ。
「サラちゃん! わたしゃ攻城戦いつでも行けるよ! こんな援護もらえるなら、勝利間違いなし! だね!!」
「あはは。アンナさん。でも攻城戦は最低でも五人クランメンバーの出場が必要なんだよ。今はまだ出られないからね」
アンナの勢いに負けそうになり、私は『アンナさん』とさん付けで呼ぶようになってしまった。
年上のハドラーは特にそのことを気にした様子もないので、ひとまずはこのままでいこう。
「そうなんだよなー。思ったよりクラン加入のメンバー来ないもんなー。サラさん、なんかいい案ないかな?」
「だから、許可有りにしてるからじゃない? でも、セシルのレベルも上がったし、クランレベルも順調に上がってきてるし。それに団体戦もA級で勝ててるから、そのうち誰か来ると思うよ?」
「ねぇ。ちょっといいかな? 君たちに興味があるんだけど」
「そうそう。こんなふうに……って、え!?」
声のした方を振り向くと、そこに居たのはフェルパーアバターの職業【忍び】のプレイヤーだった。
フェルパーというのは猫のような顔をしたアバターで、頭に猫耳、腰からは猫の尻尾が生えている。
敏捷性が高くその他の身体能力も高めのため、素早さが重要な職業にはもってこいの種族と言える。
名前はカイン。レベルは75、カンストだ。
「やぁ。僕カイン。さっきの君たちの戦い、たまたま見ててさ。君、サラ。サラの薬の性能凄いなって感心しちゃった」
「え? あ、ありがとう」
「それでさ。良かったら、僕の所属してるクランに移籍しない? もうS級なんだけどね。君ならみんな歓迎してくれると思うよ? どぉ?」
「え? ええ!?」
てっきり加入希望かと思ったら、まさかの引き抜きだった。
しかも私を。嬉しいけど、そんなの受ける訳にはいかない。
「ま、間に合ってます!!」
「ぷっ。何その断り方。ウケる」
つい必死になって大きめの声で断ったら、笑われてしまった。
必死な相手を笑うなんて、正直酷い。
「んー。なんか条件があるなら言ってよ。そうだなぁ。他の三人? 彼らもサラが来るなら一緒でも良いよ。僕がクラマス説得するからさ」
「そんなに余裕があるなんて珍しいね? S級なのに四人も空きがあるなんて」
「え? 無いよ? うーん。誰か辞めて貰うしかないよね。ダメなら蹴るんじゃないかなぁ。クラマスじゃないから知らないけど」
「え!? どういうこと? ダメだよそんなの!! 酷すぎる! 私絶対あなたのクランなんか行かないから!!」
私は大声で拒絶の言葉を叫んだ。
私たちが入るために誰かを蹴るなんてありえない。
そんな私のことを楽しそうに見つめるカイン。
腕を前で組み、口元を横に大きく引いてる。
「そうか。ダメかな?」
「ダメったらダメ! それに私たちはもう【龍の宿り木】っていうクランがあるんだから! あなたのクランがどんなクランだって……え!?」
私は改めてカインの頭の上に書いてある名前とレベル、その横にあるクラン名を見て目を見開いた。
そこに書いてあったのは【理想郷】、現在、いやずっと攻城戦の上位三位から落ちたことがなくほぼ一位を独占しているクランだった。
「あなた……【理想郷】のメンバーなの?」
「そうだよ。ただのメンバーじゃなくてね。マークが見えるでしょ? 僕サブマスなんだ。偉いんだよ。これでも」
【理想郷】のサブマスターが自ら誘いに来ている。
ならば加入できるのはまず間違いない。
そして加入すれば事実としてみれば、攻城戦で一位を取るという目的も達成されたも同然だ。
しかし、それでは意味が無い。セシルと作ったこのクランで一位を取ると決めたのだから。
「話の途中悪いけどさ。あんたがどんなに凄いクランのメンバーかも知らない。サラさんは俺のクランのメンバーなんだ。どこも行かせる気は無いよ」
「うーん。残念だなぁ。君たちのクランの目標とかあるの?」
「あるさ。攻城戦でランキング一位を取ることだ!」
「え!? あははははは! いいね。ほんといい!」
現在一位のクランのサブマスターに宣戦布告を叩きつけたことにセシルは気付いていないのだろう。
自分の目標が馬鹿げた夢だと笑われているのかと、不機嫌そうな顔をしている。
しかしもし私がカインでもきっと笑う。
【理想郷】の強さは別格だ。それにまだ五人揃わないクランが勝つというのだから馬鹿げている。
「あー笑った。いいね。分かったよ。君たちは僕のクランに移籍する気は無い。だからね……」
「だからなんだ」
珍しく声のトーンに険のある声でセシルが言う。
ああいう声も出るんだと、何故か感心してしまった。
セシルは私の記憶ではずっと高めで明るい声で話す人だったから、あんなにドスの効いた低めの声が出るなんて知らなかった。
セシルも男の人なんだとふと思い知らされた。
「だから、君たちがダメなら、僕が君たちのクランに入るよ。ね、いいでしょ?」
「なんだって!?」
「ちょ、ちょっと待ってください! あなた【理想郷】のサブマスターなんですよね? それがうちに入るって、なんでですか!?」
今まで黙って聞いてたハドラーが驚きの声をあげた。
私だって正直そう思う。トップの【理想郷】とうちとでは、自分で言うのもなんだけれど、それこそ天と地の差がある。
「なんでって、そりゃあ、面白そうだからだよ。それにサラ、君に興味がある。だから入れてよ。いいでしょ? 俺強いし役に立つよ?」
「え……えーっと……みんな、どうしよう?」
結局、カインに押し切られる形で、元最強クランのサブマスター、カインが【龍の宿り木】のメンバーになった。
驚いたけれど、これでやっと五人。攻城戦に参加できる人数になった。
ここから私たちの攻城戦快進撃が幕を開けることとなる。
戦闘自体はアンナを除き一人計二回だけで、それで疲れたわけじゃない。
ただ、私の強化薬の効果と、更に投げた回復薬のおかげで、アンナは狂乱状態とも言えるほど張り切っていた。
そこでクールダウンのための休憩を、とハドラーが提案してくれたのだ。
「サラちゃん! わたしゃ攻城戦いつでも行けるよ! こんな援護もらえるなら、勝利間違いなし! だね!!」
「あはは。アンナさん。でも攻城戦は最低でも五人クランメンバーの出場が必要なんだよ。今はまだ出られないからね」
アンナの勢いに負けそうになり、私は『アンナさん』とさん付けで呼ぶようになってしまった。
年上のハドラーは特にそのことを気にした様子もないので、ひとまずはこのままでいこう。
「そうなんだよなー。思ったよりクラン加入のメンバー来ないもんなー。サラさん、なんかいい案ないかな?」
「だから、許可有りにしてるからじゃない? でも、セシルのレベルも上がったし、クランレベルも順調に上がってきてるし。それに団体戦もA級で勝ててるから、そのうち誰か来ると思うよ?」
「ねぇ。ちょっといいかな? 君たちに興味があるんだけど」
「そうそう。こんなふうに……って、え!?」
声のした方を振り向くと、そこに居たのはフェルパーアバターの職業【忍び】のプレイヤーだった。
フェルパーというのは猫のような顔をしたアバターで、頭に猫耳、腰からは猫の尻尾が生えている。
敏捷性が高くその他の身体能力も高めのため、素早さが重要な職業にはもってこいの種族と言える。
名前はカイン。レベルは75、カンストだ。
「やぁ。僕カイン。さっきの君たちの戦い、たまたま見ててさ。君、サラ。サラの薬の性能凄いなって感心しちゃった」
「え? あ、ありがとう」
「それでさ。良かったら、僕の所属してるクランに移籍しない? もうS級なんだけどね。君ならみんな歓迎してくれると思うよ? どぉ?」
「え? ええ!?」
てっきり加入希望かと思ったら、まさかの引き抜きだった。
しかも私を。嬉しいけど、そんなの受ける訳にはいかない。
「ま、間に合ってます!!」
「ぷっ。何その断り方。ウケる」
つい必死になって大きめの声で断ったら、笑われてしまった。
必死な相手を笑うなんて、正直酷い。
「んー。なんか条件があるなら言ってよ。そうだなぁ。他の三人? 彼らもサラが来るなら一緒でも良いよ。僕がクラマス説得するからさ」
「そんなに余裕があるなんて珍しいね? S級なのに四人も空きがあるなんて」
「え? 無いよ? うーん。誰か辞めて貰うしかないよね。ダメなら蹴るんじゃないかなぁ。クラマスじゃないから知らないけど」
「え!? どういうこと? ダメだよそんなの!! 酷すぎる! 私絶対あなたのクランなんか行かないから!!」
私は大声で拒絶の言葉を叫んだ。
私たちが入るために誰かを蹴るなんてありえない。
そんな私のことを楽しそうに見つめるカイン。
腕を前で組み、口元を横に大きく引いてる。
「そうか。ダメかな?」
「ダメったらダメ! それに私たちはもう【龍の宿り木】っていうクランがあるんだから! あなたのクランがどんなクランだって……え!?」
私は改めてカインの頭の上に書いてある名前とレベル、その横にあるクラン名を見て目を見開いた。
そこに書いてあったのは【理想郷】、現在、いやずっと攻城戦の上位三位から落ちたことがなくほぼ一位を独占しているクランだった。
「あなた……【理想郷】のメンバーなの?」
「そうだよ。ただのメンバーじゃなくてね。マークが見えるでしょ? 僕サブマスなんだ。偉いんだよ。これでも」
【理想郷】のサブマスターが自ら誘いに来ている。
ならば加入できるのはまず間違いない。
そして加入すれば事実としてみれば、攻城戦で一位を取るという目的も達成されたも同然だ。
しかし、それでは意味が無い。セシルと作ったこのクランで一位を取ると決めたのだから。
「話の途中悪いけどさ。あんたがどんなに凄いクランのメンバーかも知らない。サラさんは俺のクランのメンバーなんだ。どこも行かせる気は無いよ」
「うーん。残念だなぁ。君たちのクランの目標とかあるの?」
「あるさ。攻城戦でランキング一位を取ることだ!」
「え!? あははははは! いいね。ほんといい!」
現在一位のクランのサブマスターに宣戦布告を叩きつけたことにセシルは気付いていないのだろう。
自分の目標が馬鹿げた夢だと笑われているのかと、不機嫌そうな顔をしている。
しかしもし私がカインでもきっと笑う。
【理想郷】の強さは別格だ。それにまだ五人揃わないクランが勝つというのだから馬鹿げている。
「あー笑った。いいね。分かったよ。君たちは僕のクランに移籍する気は無い。だからね……」
「だからなんだ」
珍しく声のトーンに険のある声でセシルが言う。
ああいう声も出るんだと、何故か感心してしまった。
セシルは私の記憶ではずっと高めで明るい声で話す人だったから、あんなにドスの効いた低めの声が出るなんて知らなかった。
セシルも男の人なんだとふと思い知らされた。
「だから、君たちがダメなら、僕が君たちのクランに入るよ。ね、いいでしょ?」
「なんだって!?」
「ちょ、ちょっと待ってください! あなた【理想郷】のサブマスターなんですよね? それがうちに入るって、なんでですか!?」
今まで黙って聞いてたハドラーが驚きの声をあげた。
私だって正直そう思う。トップの【理想郷】とうちとでは、自分で言うのもなんだけれど、それこそ天と地の差がある。
「なんでって、そりゃあ、面白そうだからだよ。それにサラ、君に興味がある。だから入れてよ。いいでしょ? 俺強いし役に立つよ?」
「え……えーっと……みんな、どうしよう?」
結局、カインに押し切られる形で、元最強クランのサブマスター、カインが【龍の宿り木】のメンバーになった。
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