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第17話【カインの実力】
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かなり驚く出来事だったけれど、ようやくクランのメンバーが五人集まった。
これで攻城戦に出られる。
私たちは一度クランの専用スペースに移動して、今後の流れについて話し合った。
ハドラーが以前買っていた、ボードが役に立つ。
「わぁ。予想以上に何もないね? クランギラないの?」
「うるさいなぁ。嫌だったら元のクランに戻ればいいだろ?」
専用スペースに訪れてそうそう、カインは辺りを見渡してそんな軽口を叩く。
セシルはどうやらカインにまだ不満があるらしく、真に受けてあからさまに機嫌を悪くしていた。
「いいよ。何も無くても。だってここにはサラがいるんだから」
「あっはっは。困ったね。サラちゃん。モテモテじゃないか!」
入る理由からずっとカインはこんな感じだ。
からかいたいのか知らないけれど、セシルがその度に過剰反応を示すからお互いやめて欲しい。
セシルはカインの加入を渋ったけれど、でもやっぱり攻城戦に出られるようになるのは大きい。
それに最強クラン【理想郷】のサブマスターなんて、百人力と言っても過言じゃないし。
どうも私がカインの加入についてセシルを説得したのも気に入らなかったみたいだけど、最後は折れて加入を認めてくれた。
『サラさんがそう言うなら……』と言った時の顔は、すごく複雑そうな表情だったけれど。
「それじゃあさ、今から狩りに行こうか? カインの実力も見たいしさ。攻城戦は週末だから、まだ時間あるもんね」
「お、いいねぇ! サラちゃんの支援を受けての狩りは捗りそうだ!!」
アンナがさっそく賛同してくれた。
他のメンバーも特に異存はないみたいだ。
「何処がいいかな? あ、カインが【忍び】ってことは罠解除も出来るんだよね? 前行った遺跡の中に行こうか?」
「遺跡って【アンシャンテ遺跡】?」
セシルが聞いてくる。
そう、この間ユースケと決別をした場所だ。
「あそこなら亜人も多いし、ただこのメンバーだと外じゃレベル的に物足りないから。中は罠があるから、解除できるメンバーが必須なんだよね」
「任せてよ。僕こう見えて罠解除は得意だよ」
カインは何故か嬉しそうに目を細めている。
ハドラーは相変わらずの何を考えているか読めない表情だが、不満はないらしい。
このゲームのパーティの最大は五人。
そしてこのゲームの最大の魅力である攻城戦に出るための最低人数も五人。
何かが始まるそんなワクワクが私の中に生まれていた。
そういえばかなり昔に同じようなワクワクを、どこかで感じたことがあったような気がする。
「それじゃあ、早速行こうか!」
☆
遺跡の中に入り、改めてカインの凄さに驚かされた。
まずは罠の解除の速さと正確さ。
攻城戦は敵のコアに向けた進軍を行うのだけれど、互いに自陣に罠を設置することが出来る。
それを解かなければ、多大な被害を与えるような罠も多い。
そこで活躍するのが【盗賊】系と呼ばれる職業だ。
彼らは罠解除のスキルを持ち、仕掛けられた罠を解除していく。
攻城戦で優秀な成績を取っているのだから当たり前といえば当たり前だけれど、カインの罠解除は一級品だった。
次々と外されていく罠は両手の指の数を超えた。
「あいつ。口だけじゃなくかなりやるな」
戦闘においても、セシルがそう認める発言をつい漏らしてしまうほどに、カインは強かった。
得意の素早さを生かし、敵の攻撃は避け、そして自分の攻撃はほとんどがクリティカルヒットになるように与えていった。
【忍び】も含めて【盗賊】系は敏捷性が高く、速く動ける代わりに攻撃力はそれほど高くない。
手数と正確さでダメージを稼いでいくようなタイプだ。
防御力も低く、HPも比較的低め。
受けるより避ける、そしてこちらは全てを当てていくような戦いが理想とされるけれど、まさにその理想を体現しているようだった。
「すごいよサラ! 君の薬の効果のおかげで、こいつらの攻撃当たる気がしないね!」
「ううん。すごいのはカインの方よ。頭の処理が追いつくなんて」
このゲームは敏捷性が高いほど速く動ける。
つまり相対的に相手が遅くなるのだけれど、一つ問題があった。
それは実際の時間との整合性。
自分が速く動けると言っても、流れる時間は一緒だ。
ではどうするかと言うと、仮想空間での処理速度を変えるのだ。
つまり速く動ければ動けるだけ、一つの動作に必要な実際の時間が短くなる。
ある程度の速度上昇ならば問題ないが、敏捷性が低い者の処理速度を大きく下げるわけにはいかないため、結果的に速い者が対応しなければならない。
敏捷特化のカインは、私の薬の効果のおかげもあり、まさに神速の動きを見せている。
それに対応するだけの反射神経と、脳の処理能力を兼ね備えているということだろう。
「それにしても、こんなすごいメンバーの脱退を【理想郷】のマスターはよく認めましたね」
ハドラーが私が今思ったことと同じことを口にする。
確かにこんな実力を持つカインが抜けると、かなりの痛手だろう。
「え? 認めてなんかないよ? メッセージだけ送って、勝手に抜けて来ちゃったからね。予想通りカンカンに怒ったメールを僕に送ってきたよ。あはは。ほんと、アーサーには悪いことをしたな」
「アーサー? 【理想郷】のクラマスはアーサーって言うんだね」
カインの元いたクラン、現在最強の【理想郷】のクランマスターの名前を聞いて、私は一人のプレイヤーを思い出した。
はるか前の話、私がこのゲームを始めたばかりの初心者だった頃の思い出。
そういえば、ユースケに言われて好きでもないゲームを始めてすぐに、私にこのゲームの中でワクワクを最初に教えてくれたプレイヤーも同じ名前だった。
あれっきり会っていないけれど、今頃どうしているだろうか。
私はぼんやりと、始めたばかりのことに想いをめぐらせていた。
これで攻城戦に出られる。
私たちは一度クランの専用スペースに移動して、今後の流れについて話し合った。
ハドラーが以前買っていた、ボードが役に立つ。
「わぁ。予想以上に何もないね? クランギラないの?」
「うるさいなぁ。嫌だったら元のクランに戻ればいいだろ?」
専用スペースに訪れてそうそう、カインは辺りを見渡してそんな軽口を叩く。
セシルはどうやらカインにまだ不満があるらしく、真に受けてあからさまに機嫌を悪くしていた。
「いいよ。何も無くても。だってここにはサラがいるんだから」
「あっはっは。困ったね。サラちゃん。モテモテじゃないか!」
入る理由からずっとカインはこんな感じだ。
からかいたいのか知らないけれど、セシルがその度に過剰反応を示すからお互いやめて欲しい。
セシルはカインの加入を渋ったけれど、でもやっぱり攻城戦に出られるようになるのは大きい。
それに最強クラン【理想郷】のサブマスターなんて、百人力と言っても過言じゃないし。
どうも私がカインの加入についてセシルを説得したのも気に入らなかったみたいだけど、最後は折れて加入を認めてくれた。
『サラさんがそう言うなら……』と言った時の顔は、すごく複雑そうな表情だったけれど。
「それじゃあさ、今から狩りに行こうか? カインの実力も見たいしさ。攻城戦は週末だから、まだ時間あるもんね」
「お、いいねぇ! サラちゃんの支援を受けての狩りは捗りそうだ!!」
アンナがさっそく賛同してくれた。
他のメンバーも特に異存はないみたいだ。
「何処がいいかな? あ、カインが【忍び】ってことは罠解除も出来るんだよね? 前行った遺跡の中に行こうか?」
「遺跡って【アンシャンテ遺跡】?」
セシルが聞いてくる。
そう、この間ユースケと決別をした場所だ。
「あそこなら亜人も多いし、ただこのメンバーだと外じゃレベル的に物足りないから。中は罠があるから、解除できるメンバーが必須なんだよね」
「任せてよ。僕こう見えて罠解除は得意だよ」
カインは何故か嬉しそうに目を細めている。
ハドラーは相変わらずの何を考えているか読めない表情だが、不満はないらしい。
このゲームのパーティの最大は五人。
そしてこのゲームの最大の魅力である攻城戦に出るための最低人数も五人。
何かが始まるそんなワクワクが私の中に生まれていた。
そういえばかなり昔に同じようなワクワクを、どこかで感じたことがあったような気がする。
「それじゃあ、早速行こうか!」
☆
遺跡の中に入り、改めてカインの凄さに驚かされた。
まずは罠の解除の速さと正確さ。
攻城戦は敵のコアに向けた進軍を行うのだけれど、互いに自陣に罠を設置することが出来る。
それを解かなければ、多大な被害を与えるような罠も多い。
そこで活躍するのが【盗賊】系と呼ばれる職業だ。
彼らは罠解除のスキルを持ち、仕掛けられた罠を解除していく。
攻城戦で優秀な成績を取っているのだから当たり前といえば当たり前だけれど、カインの罠解除は一級品だった。
次々と外されていく罠は両手の指の数を超えた。
「あいつ。口だけじゃなくかなりやるな」
戦闘においても、セシルがそう認める発言をつい漏らしてしまうほどに、カインは強かった。
得意の素早さを生かし、敵の攻撃は避け、そして自分の攻撃はほとんどがクリティカルヒットになるように与えていった。
【忍び】も含めて【盗賊】系は敏捷性が高く、速く動ける代わりに攻撃力はそれほど高くない。
手数と正確さでダメージを稼いでいくようなタイプだ。
防御力も低く、HPも比較的低め。
受けるより避ける、そしてこちらは全てを当てていくような戦いが理想とされるけれど、まさにその理想を体現しているようだった。
「すごいよサラ! 君の薬の効果のおかげで、こいつらの攻撃当たる気がしないね!」
「ううん。すごいのはカインの方よ。頭の処理が追いつくなんて」
このゲームは敏捷性が高いほど速く動ける。
つまり相対的に相手が遅くなるのだけれど、一つ問題があった。
それは実際の時間との整合性。
自分が速く動けると言っても、流れる時間は一緒だ。
ではどうするかと言うと、仮想空間での処理速度を変えるのだ。
つまり速く動ければ動けるだけ、一つの動作に必要な実際の時間が短くなる。
ある程度の速度上昇ならば問題ないが、敏捷性が低い者の処理速度を大きく下げるわけにはいかないため、結果的に速い者が対応しなければならない。
敏捷特化のカインは、私の薬の効果のおかげもあり、まさに神速の動きを見せている。
それに対応するだけの反射神経と、脳の処理能力を兼ね備えているということだろう。
「それにしても、こんなすごいメンバーの脱退を【理想郷】のマスターはよく認めましたね」
ハドラーが私が今思ったことと同じことを口にする。
確かにこんな実力を持つカインが抜けると、かなりの痛手だろう。
「え? 認めてなんかないよ? メッセージだけ送って、勝手に抜けて来ちゃったからね。予想通りカンカンに怒ったメールを僕に送ってきたよ。あはは。ほんと、アーサーには悪いことをしたな」
「アーサー? 【理想郷】のクラマスはアーサーって言うんだね」
カインの元いたクラン、現在最強の【理想郷】のクランマスターの名前を聞いて、私は一人のプレイヤーを思い出した。
はるか前の話、私がこのゲームを始めたばかりの初心者だった頃の思い出。
そういえば、ユースケに言われて好きでもないゲームを始めてすぐに、私にこのゲームの中でワクワクを最初に教えてくれたプレイヤーも同じ名前だった。
あれっきり会っていないけれど、今頃どうしているだろうか。
私はぼんやりと、始めたばかりのことに想いをめぐらせていた。
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