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第40話【宣戦布告】
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私がずっと黙っていたので、アーサーは慌てた様子で説明を始めた。
「ごめん、ごめん! 驚かしたら面白いと思っただけなんだけど、そんなにびっくりした?」
あまりの慌てように私は思わず息を吐き出し笑ってしまう。
「ぷっ。あはは。そりゃそうだよ! まさかアーサーが【理想郷】のクラマスだなんて思ってなかったもん」
「そうだよね。気付いてないと思ったけど。でもさ。カインがちゃんとサラに俺のこと言ったって聞いたよ?」
たしかにカインは自分が【理想郷】のサブマスターで、クランマスターの名前がアーサーだとは言っていた。
だけどまさか自分の昔の知り合いが、最強クランのクランマスターだなんて思わなかった。
「まぁ、でもさ。ショックだったんだぜ? 自分の信頼していた仲間がさ、しかもサブマスターを任せてた男が、いきなりやめて別のクランに入るって言い出したんだから」
「そりゃそうだよね。なんか……ごめんね?」
「いやいや。抜ける残るは個人の自由だしね。クランに居る間はもちろん中での規則とかあるけど、ちゃんとした理由があれば抜けたって仲はそのままだしね」
「うふふ。アーサーのそういうところ、凄いよね」
多分カインのことだ、アーサーにはきちんと説明をしてから抜けたんだろう。
飄々としてるように見えて、実は色々と考えている人だから。
「それにしてもさ。そのセシルってクラマスには、正直嫉妬だよなぁ。俺かカインが先に見つけてたらさ。今頃こっちのクランに入れてたのに」
「それはありがと。でも、私が入ったら、誰か抜けなくちゃいけなくなるでしょう? そんなのいやよ」
「それがさ。実はカインが誘った時は一人欠員が出来てたんだよね。一人自分から抜けた奴が居てさ。なんでも、びっくりするくらい薬がタダでもらえるクランがあるとか言って。まるでサラのクランみたいだよね。でも、S級だって言ってたから違うと思うけど」
「え!? それもしかして、私の前に居たクランかも。ユースケが最強クランから一人引き抜いたって言ってたから。それで……私蹴られちゃったんだよね」
それを聞いたアーサーは少し複雑な顔をした。
「まさか、そんなところで繋がってたとはね。面白いな。まぁ、ちょっと合わないやつで抜けても困ってなかったけど、むしろそいつのおかげでいい結果になったみたいだね。今度もし会うことがあったら、礼を言っておこう」
「あはは。私は会ったことないけれど。でも、私が抜けてしばらくしたらクラン解散しちゃったみたいだし。その人も残念ね」
「自己責任ってやつだね。ゲームだけどさ。意外と人間性が出るんだよ? もちろん自分を演じてる奴もいっぱいいるだろうけど。そういうやつでも長く付き合うと大体根がどういうやつか分かるよ」
「凄いなぁ。私は人付き合いが苦手だから。でも、最近は少しづつ色んな人ともリアルで話せるようになってきたのよ。ゲームのおかげかな」
実際、最近学校でクラスメイトとたわいもない雑談をしても苦にならなくなってきた。
苦手な人も当然いるけれど、それはここと一緒で、一緒に居て楽な人と集まればいいのだ。
「とにかくさ。これで俺のサプライズはお終い。あ、でも。最強クランの座を簡単に渡さないのは本気だよ。さっき聞いた薬、確かに凄いけど。それがあっても10人しかいないクランには負ける気がしないから」
「うーん。やっぱり人数は今後の課題よね」
「それでも、S級に上がれたんだから、募集に応募するプレイヤーは増えると思うよ。そのくらいS級の看板は強いからね」
「そうだね。私は薬を作ることくらいだけど、頑張る」
「あれ? サラとアーサー?」
突然聞き覚えのある声が少し離れたところから聞こえてきた。
振り向くと、カインがこちらに近づいて来るのが見えた。
「なになに? もしかして二人は知り合いだったの!?」
「こうやって会うのは久しぶりだな。カイン。その、もしかして、だ」
アーサーの返答にカインは目を細めた。
「ちょっと、ちょっと。どういうことなの? 僕聞いてないけど。サラ。もしかして、僕に会った時からアーサーのこと知ってたの?」
「え!? いや、アーサーのことは知ってたけど、知らなかったというか……」
まるで咎められているような気がして、私はしどろもどろになってしまった。
それのせいで、カインはますます勢い付く。
「やっぱり知ってたの!? うわぁ! なんだよそれ。ひどいよ。もしかして今までの何かの茶番!?」
「ち、違うよ! そういうのじゃなくて!」
「まぁ、落ち着け。そんなに自分を出すなんて珍しいな。カイン。お前昔世話になった人の役に立ちたいからって聞いてたけど、もしかしてサラのこと……」
「うわぁ! ストップ!! 何言っちゃってんの? もう! アーサーのそういうところだからね!!」
アーサーが何かを言おうとしたのに反応し、カインは慌てた様子で両手を突き出し大きく振った。
確かに、こんなに慌ただしいカインを見るのは初めてかもしれない。
「とにかく! どういう知り合いかはちゃんと教えてね! じゃないと僕、クランのみんなにサラがアーサーと密会してたって言いふらしちゃうから!」
「え!? それは困……るのかな?」
「なにそれ! 困ってよ! セシルとか、きっと激おこだよ?」
「あ、確かにセシルは怒るかも。目的のクランのマスターと仲良くしてたなんて知ったら」
それを聞いたカインとアーサーは何故か悲しげな顔をした。
まるで、私のことを哀れむような表情だ。
「あはは。カイン。お前も苦労するな。ということは、俺もまだ立候補する権利が残ってるのかな?」
「え!? ちょっと、アーサー!? 冗談きついよ?」
「さぁ、冗談かどうか。あっはっは! でも、カイン。お前も元気そうで安心したよ」
「くそう。アーサー。見てろよ。すぐにその座から引き摺り落としてやるんだから! 後から泣いて謝っても遅いからね!」
なんだかよく分からないけれど、カインも打倒アーサー、もとい打倒【理想郷】に熱意を持ってくれたらしい。
ひとまずアーサーが【理想郷】のクランマスターだったことはびっくりしたけれど、私たちの目標は変わらない。
S級になった今がスタート地点。
これからはもっと大変な攻城戦が待っていると思う。
そのためにはもっと人を集めないと。
そしてその人たち全員に十分な薬が行き渡るように私も頑張らないと。
今日の出来事で、私はもう一度目標に向けた決意を心に強く留めた。
「ごめん、ごめん! 驚かしたら面白いと思っただけなんだけど、そんなにびっくりした?」
あまりの慌てように私は思わず息を吐き出し笑ってしまう。
「ぷっ。あはは。そりゃそうだよ! まさかアーサーが【理想郷】のクラマスだなんて思ってなかったもん」
「そうだよね。気付いてないと思ったけど。でもさ。カインがちゃんとサラに俺のこと言ったって聞いたよ?」
たしかにカインは自分が【理想郷】のサブマスターで、クランマスターの名前がアーサーだとは言っていた。
だけどまさか自分の昔の知り合いが、最強クランのクランマスターだなんて思わなかった。
「まぁ、でもさ。ショックだったんだぜ? 自分の信頼していた仲間がさ、しかもサブマスターを任せてた男が、いきなりやめて別のクランに入るって言い出したんだから」
「そりゃそうだよね。なんか……ごめんね?」
「いやいや。抜ける残るは個人の自由だしね。クランに居る間はもちろん中での規則とかあるけど、ちゃんとした理由があれば抜けたって仲はそのままだしね」
「うふふ。アーサーのそういうところ、凄いよね」
多分カインのことだ、アーサーにはきちんと説明をしてから抜けたんだろう。
飄々としてるように見えて、実は色々と考えている人だから。
「それにしてもさ。そのセシルってクラマスには、正直嫉妬だよなぁ。俺かカインが先に見つけてたらさ。今頃こっちのクランに入れてたのに」
「それはありがと。でも、私が入ったら、誰か抜けなくちゃいけなくなるでしょう? そんなのいやよ」
「それがさ。実はカインが誘った時は一人欠員が出来てたんだよね。一人自分から抜けた奴が居てさ。なんでも、びっくりするくらい薬がタダでもらえるクランがあるとか言って。まるでサラのクランみたいだよね。でも、S級だって言ってたから違うと思うけど」
「え!? それもしかして、私の前に居たクランかも。ユースケが最強クランから一人引き抜いたって言ってたから。それで……私蹴られちゃったんだよね」
それを聞いたアーサーは少し複雑な顔をした。
「まさか、そんなところで繋がってたとはね。面白いな。まぁ、ちょっと合わないやつで抜けても困ってなかったけど、むしろそいつのおかげでいい結果になったみたいだね。今度もし会うことがあったら、礼を言っておこう」
「あはは。私は会ったことないけれど。でも、私が抜けてしばらくしたらクラン解散しちゃったみたいだし。その人も残念ね」
「自己責任ってやつだね。ゲームだけどさ。意外と人間性が出るんだよ? もちろん自分を演じてる奴もいっぱいいるだろうけど。そういうやつでも長く付き合うと大体根がどういうやつか分かるよ」
「凄いなぁ。私は人付き合いが苦手だから。でも、最近は少しづつ色んな人ともリアルで話せるようになってきたのよ。ゲームのおかげかな」
実際、最近学校でクラスメイトとたわいもない雑談をしても苦にならなくなってきた。
苦手な人も当然いるけれど、それはここと一緒で、一緒に居て楽な人と集まればいいのだ。
「とにかくさ。これで俺のサプライズはお終い。あ、でも。最強クランの座を簡単に渡さないのは本気だよ。さっき聞いた薬、確かに凄いけど。それがあっても10人しかいないクランには負ける気がしないから」
「うーん。やっぱり人数は今後の課題よね」
「それでも、S級に上がれたんだから、募集に応募するプレイヤーは増えると思うよ。そのくらいS級の看板は強いからね」
「そうだね。私は薬を作ることくらいだけど、頑張る」
「あれ? サラとアーサー?」
突然聞き覚えのある声が少し離れたところから聞こえてきた。
振り向くと、カインがこちらに近づいて来るのが見えた。
「なになに? もしかして二人は知り合いだったの!?」
「こうやって会うのは久しぶりだな。カイン。その、もしかして、だ」
アーサーの返答にカインは目を細めた。
「ちょっと、ちょっと。どういうことなの? 僕聞いてないけど。サラ。もしかして、僕に会った時からアーサーのこと知ってたの?」
「え!? いや、アーサーのことは知ってたけど、知らなかったというか……」
まるで咎められているような気がして、私はしどろもどろになってしまった。
それのせいで、カインはますます勢い付く。
「やっぱり知ってたの!? うわぁ! なんだよそれ。ひどいよ。もしかして今までの何かの茶番!?」
「ち、違うよ! そういうのじゃなくて!」
「まぁ、落ち着け。そんなに自分を出すなんて珍しいな。カイン。お前昔世話になった人の役に立ちたいからって聞いてたけど、もしかしてサラのこと……」
「うわぁ! ストップ!! 何言っちゃってんの? もう! アーサーのそういうところだからね!!」
アーサーが何かを言おうとしたのに反応し、カインは慌てた様子で両手を突き出し大きく振った。
確かに、こんなに慌ただしいカインを見るのは初めてかもしれない。
「とにかく! どういう知り合いかはちゃんと教えてね! じゃないと僕、クランのみんなにサラがアーサーと密会してたって言いふらしちゃうから!」
「え!? それは困……るのかな?」
「なにそれ! 困ってよ! セシルとか、きっと激おこだよ?」
「あ、確かにセシルは怒るかも。目的のクランのマスターと仲良くしてたなんて知ったら」
それを聞いたカインとアーサーは何故か悲しげな顔をした。
まるで、私のことを哀れむような表情だ。
「あはは。カイン。お前も苦労するな。ということは、俺もまだ立候補する権利が残ってるのかな?」
「え!? ちょっと、アーサー!? 冗談きついよ?」
「さぁ、冗談かどうか。あっはっは! でも、カイン。お前も元気そうで安心したよ」
「くそう。アーサー。見てろよ。すぐにその座から引き摺り落としてやるんだから! 後から泣いて謝っても遅いからね!」
なんだかよく分からないけれど、カインも打倒アーサー、もとい打倒【理想郷】に熱意を持ってくれたらしい。
ひとまずアーサーが【理想郷】のクランマスターだったことはびっくりしたけれど、私たちの目標は変わらない。
S級になった今がスタート地点。
これからはもっと大変な攻城戦が待っていると思う。
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