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壇上の告白
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レース終了後、体育館で表彰式が行われることになった。
的場さんから優勝コメントを言うように頼まれた。
正直、めんどくさいのだが。
『皆様、長い時間お疲れ様でございました。これより、表彰式を始めさせていただきます。優勝いたしました、高橋友喜様。どうぞ壇上へお上がりください。』
名前が呼ばれると、パチパチと拍手が起こった。
俺はゆっくりと壇上に上がった。
『優勝おめでとうございます。まずこちらが100万円になります。』
そう言ってプラカードを渡された。
『そしてこちらが、老舗旅館2泊3日無料宿泊券になります。』
俺は受け取った宿泊券を見つめていた。
『それでは高橋様、あちらで優勝の感想を聞かせていただけますか?』
そう言って演台へ行くように促された。
俺はマイクの前に立った。
「…ハァ。」
俺はひとつ息を吐いて喋りだした。
『え~…。皆さん、応援ありがとうございます。優勝できて嬉しいです。けど…。』
俺は無料宿泊券を皆に見えるように前に出した。
『俺にはこれは必要ありません。』
そう言って宿泊券を破いた。
会場からはどよめきが起こっている。
「おい貴様、一体何をしている。」
柊が舞台袖から出てきた。
その顔は怒っているようにも見える。
俺はマイクを取って喋りだした。
『俺はこのレースに出る前に少し聞きました 。白石さんはこの景品には乗り気じゃなかったって。あなたが勝手に決めたことだと。』
「!。…一体何を言っている。」
『片方が乗り気じゃないのに、一緒に宿泊なんて行っても面白くもなんもないですからね。』
袖の方を見ると、白石さんが困ったような顔をしていた。
俺は構わず話を続けた。
『それに、このレース不正だらけでしたしね。そんなレースの景品なんて受け取りたくはありません。』
「不正?一体なんのことだ。」
『あらかじめ決まった出すじゃんけんの手、明らかに早い箱の鍵探し、まるで避けているかのような選手たちのタックル、生徒の名前を書く異常な早さ、あれだけのゲームで一切もたついている様子がなかった。俺と僅差だったのは、観客を盛り上げるためのパフォーマンスですかね。ただ誤算だったのは、あなたの持久力がなかったことです。本当は余裕で勝てるはずだったのに。』
柊は焦った顔をしている。
信実を言い当てられて困惑しているようだ。
「な、何を口から出任せを…。」
『多分ですけど、レースに出てた選手の人はほとんど感づいてるんじゃないですか?』
見ると、レースに出ていた選手が柊を睨み付けている。
『それに、観客集めのために用意したたくさんのカメラにも不自然なところが写ってると思いますよ。』
柊は目を泳がせたまま黙っている。
「…けるな。」
「?」
「ふざけるな!俺を誰だと思ってるんだ!柊家の跡取りだぞ!俺は欲しいものはなんでも手に入れる、それほどの力を持った人間なんだ!お前らみたいな平民はな、俺様の後を一生ついていけばいいんだ!」
そう言った後、柊は口を押さえた。
俺はゆっくりと演台の下に隠れた。
「ふざけるな~!」
「このインチキ野郎~!」
「帰れ~!!」
柊に向かって皆が罵声を浴びせている、
「あ~あ。本音出ちゃったよ。 」
俺は演台の下で耳を塞いでいた。
罵声は柊が舞台袖に下がってもしばらく続いた。
こうして、長いレースは別の意味で本当に幕を閉じたのである。
余談だが、柊はそれから数ヶ月、学校で軽蔑の眼差しで見られていたという。
的場さんから優勝コメントを言うように頼まれた。
正直、めんどくさいのだが。
『皆様、長い時間お疲れ様でございました。これより、表彰式を始めさせていただきます。優勝いたしました、高橋友喜様。どうぞ壇上へお上がりください。』
名前が呼ばれると、パチパチと拍手が起こった。
俺はゆっくりと壇上に上がった。
『優勝おめでとうございます。まずこちらが100万円になります。』
そう言ってプラカードを渡された。
『そしてこちらが、老舗旅館2泊3日無料宿泊券になります。』
俺は受け取った宿泊券を見つめていた。
『それでは高橋様、あちらで優勝の感想を聞かせていただけますか?』
そう言って演台へ行くように促された。
俺はマイクの前に立った。
「…ハァ。」
俺はひとつ息を吐いて喋りだした。
『え~…。皆さん、応援ありがとうございます。優勝できて嬉しいです。けど…。』
俺は無料宿泊券を皆に見えるように前に出した。
『俺にはこれは必要ありません。』
そう言って宿泊券を破いた。
会場からはどよめきが起こっている。
「おい貴様、一体何をしている。」
柊が舞台袖から出てきた。
その顔は怒っているようにも見える。
俺はマイクを取って喋りだした。
『俺はこのレースに出る前に少し聞きました 。白石さんはこの景品には乗り気じゃなかったって。あなたが勝手に決めたことだと。』
「!。…一体何を言っている。」
『片方が乗り気じゃないのに、一緒に宿泊なんて行っても面白くもなんもないですからね。』
袖の方を見ると、白石さんが困ったような顔をしていた。
俺は構わず話を続けた。
『それに、このレース不正だらけでしたしね。そんなレースの景品なんて受け取りたくはありません。』
「不正?一体なんのことだ。」
『あらかじめ決まった出すじゃんけんの手、明らかに早い箱の鍵探し、まるで避けているかのような選手たちのタックル、生徒の名前を書く異常な早さ、あれだけのゲームで一切もたついている様子がなかった。俺と僅差だったのは、観客を盛り上げるためのパフォーマンスですかね。ただ誤算だったのは、あなたの持久力がなかったことです。本当は余裕で勝てるはずだったのに。』
柊は焦った顔をしている。
信実を言い当てられて困惑しているようだ。
「な、何を口から出任せを…。」
『多分ですけど、レースに出てた選手の人はほとんど感づいてるんじゃないですか?』
見ると、レースに出ていた選手が柊を睨み付けている。
『それに、観客集めのために用意したたくさんのカメラにも不自然なところが写ってると思いますよ。』
柊は目を泳がせたまま黙っている。
「…けるな。」
「?」
「ふざけるな!俺を誰だと思ってるんだ!柊家の跡取りだぞ!俺は欲しいものはなんでも手に入れる、それほどの力を持った人間なんだ!お前らみたいな平民はな、俺様の後を一生ついていけばいいんだ!」
そう言った後、柊は口を押さえた。
俺はゆっくりと演台の下に隠れた。
「ふざけるな~!」
「このインチキ野郎~!」
「帰れ~!!」
柊に向かって皆が罵声を浴びせている、
「あ~あ。本音出ちゃったよ。 」
俺は演台の下で耳を塞いでいた。
罵声は柊が舞台袖に下がってもしばらく続いた。
こうして、長いレースは別の意味で本当に幕を閉じたのである。
余談だが、柊はそれから数ヶ月、学校で軽蔑の眼差しで見られていたという。
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