君が見つけてくれるまで

サッキー(メガネ)

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昔の思い出

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《回想》

『ねぇねぇ!』

『!』

『キミの名前は何て言うの?』

『…水沢絵津子(みずさわえつこ)』 

『オレ、衣川優太(きぬがわゆうた)!あのさ!良かったら一緒に遊ばない?』

『…うん!』


『グスッ。』

『泣かないで、えっちゃん。きっといつか会いに行くから。』

『…本当?』

『うん!約束!』

『…約束!』


≪現在≫

ピピピピ、ピピピピ…。

目覚まし時計の音が鳴り響く。

「…ん。」

カチッ。

時計の音が止んだ。

絵津子はベットから体を起こす。

「(…またこの夢か。)」

最近同じ夢ばかり見る。

小さい頃の懐かしい記憶。

忘れられない楽しい思い出。

「(…何で今になって。)」

いや、本当はその理由が分かっている。

戻るからだ。

昔の思い出の場所に。



絵津子は今日、東京を離れる。

そして、小さい頃に住んでいた場所に戻ることになったのだ。

鹿児島県伊佐市。

鹿児島県の北部に位置し、金の産出で有名な場所だ。

彼女はそこで生まれ、小学生の頃まで住んでいた。

しかし、親の仕事の都合で東京に引っ越すことになり、それから10年近く東京で生活していた。

今回、彼女が伊佐市に戻るのには理由がある。

今年の初めに父親が病気で亡くなってしまった。

その父親の墓を伊佐に作ることにしたのだが、そのときに母親が「このまま伊佐に引っ越しちゃおうか。」と言い出した。

絵津子はそれを快諾したのだ。

友達と離れるのは寂しかったが、伊佐で暮らしていたときの方が絵津子には気が楽だった。

そして、絵津子にはどうしても行きたい場所があった。

昔の大切な友達、そして初恋の相手である、衣川優太の家である。

優太の母親から連絡が来たのは去年のことだった。

久しぶりの連絡に絵津子は喜んだ。

しかし、その気持ちは一瞬で崩れ去った。

《優太がいなくなった。》


詳しく話を聞くと、本当に突然いなくなったのだ。

趣味の写真を撮りに行くと言ったまま。

直ぐに警察に失踪届を出したが、未だに情報は来ていない。

生きているのか、死んでいるのかも分からない。

優太の母親は泣きながらそう教えてくれた。

絵津子はその話を聞いたとき、頭が真っ白になった。

ショックで食事も喉を通らない状態が続いた。

そんなとき、伊佐に引っ越すことを母親に聞いた。

チャンスだと思った。

警察は当てにできない。

自分で探すしかないと思ったのだ。


「よしっ。」

今まで住んでいた部屋には、もう何もない。

荷物はすべて引っ越しのトラックに詰め込んだ。

この家には本当に世話になった。

「今までありがとうございました。」

絵津子は一礼すると、部屋を出ていった。

部屋の中には、若い男性が笑顔で立っているだけだった。
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