13 / 121
お父さんの仕事場を偵察1
しおりを挟む
それからぼくらはタイムエイジマシンで、お通夜前日の八月二十三日の朝へと移動した。
茶トラ先生の話では、どうやらこれから偵察をするらしいのだ。
ところでこの時間、茶トラ先生は物理学会に出発する前なので、まだ家にいるはずだ。
だからもし二人の茶トラ先生が鉢合わせしたら…と、ぼくは少し不安だったから、ぼくがそれを言うと茶トラ先生は「わしはいつも昼過ぎまで豪快にグーグー寝ておるから、わしとわしが鉢合わせする心配はほとんどない」と言ったので、ぼくは少し安心した。
だけどそんなことより、その八月二十三日は、お父さんたちが大きな契約に成功し、その夜、お祝いのパーティーへ行き、そしてお父さんは事故に遭う運命の日なのだ。
とにかくそれが大問題なのだ!
それで、そのままお揃いの喪服を着ていたぼくらは、茶トラ先生の運転する360ccのボロ軽自動車でお父さんの会社へと出発した。
多分、偵察に…
でも探偵なら黒い喪服は都合がいいかもしれない。
目立たないからね。
実は茶トラ先生は、お父さんの会社のある場所なんかも、例の耳打ちしてくれた人からしっかりと聞き出していた。
お通夜の時、ぼくの家の庭先で、その人からいろんな情報を、根掘り葉掘り引き出しているようだったんだ。
それにしても茶トラ先生はすごい能力のある人だ。
ぼくはいつもながら感心する。
ところでぼくは、茶トラ先生の車の中でお父さんの会社へと向かう途中、「よくもまあそんなに詳しく話を聞き出せたよね」と、たずねてみた。
すると茶トラ先生は「それは、わしが作った頭脳透視装置のおかげだ」と、にやにやしながら言った。(きっとうそだ!)
そういう話は置いといて、それで茶トラ先生がその人から聞き出したという話、つまり、
「お父さんはラジコン飛行機の自動操縦飛行を見事に実演し、商談は成立!」
という話から、茶トラ先生は、その飛行が行われた場所を推理した。
それはラジコン飛行場だ!
それで茶トラ先生はそのラジコン飛行場へと車を走らせたのだ。
じつはその場所は、茶トラ先生がその人からきき出していたけれど、もちろんぼくも、普段お父さんの話から大体の場所は知っていた。
だけど実際に行ってみるのは初めてだった。
それで、お父さんの会社は意外と郊外にあった。
いやいや、郊外というより、周りには広い草原が広がっているような、豪快なとんでもない田舎だった。
それで、そこへ着いてから、会社の敷地のフェンス沿いに車を走らせると、ラジコン飛行場らしいものが見渡せる場所があって、そこのフェンス近くの小道に車を止めた。
そしてぼくらは車の窓から、フェンスの向こう側の様子を観察することにした。
そこはとても広い場所で、芝生が生えていた。
そしてその中央に、アスファルトで舗装された道があった。
いや道ではない。滑走路だ。
幅二十メートル、長さ百メートルくらい。
「ここが親父さんの会社所有のラジコン飛行場だ」
茶トラ先生が言った。
ぼくはそのとき初めて、ラジコン飛行場などというものを見た。
そして舗装された滑走路の脇には駐機場、つまり飛行機の「駐車場」があり、小さな飛行機が何機か置いてあった。
そしてその向こうには会社の建物が見え、その手前、駐機場の少し向こうにはトイレという感じの小さな建物があった。
ちなみにこういう細かいところまで見えたのは、茶トラ先生から借りた高性能の双眼鏡のおかげだ。
それにしても楽しそうな場所だ。
広い公園みたいな感じ。
お父さんがいつもこんなに楽しそうな場所で仕事をしているのなら、一度見せてもらいに来ればよかったと、そのときぼくは思った。
「わしの推理ではだな、まず間違いなくここで自動操縦飛行の実演が行われる」
茶トラ先生はそう言い、それからもぼくらは車の窓から、飛行場の観察を続けた。
ちなみに茶トラ先生は、もう一つの双眼鏡を使っていた。
茶トラ先生は少なくとも二つの双眼鏡を持っているらしい。
それからしばらく観察していると、駐機場にいろんな人たちがぞろぞろと集まり始めた。
何かの催し物でも始まりそうな雰囲気だ。
「おそらくこれから、自動操縦のデモフライトの準備が始まるのだろう」
「デモフライト?」
「要するにお前さんの親父さんが、ラジコン飛行機の自動操縦飛行を実演すると言うことだ。そしてそれに成功すれば、商談成立間違いなしという寸法だろう」
「商談が成立すると?」
「契約が成立し、今夜、お祝いのパーティーが開かれる」
「そしたらお父さんはトラックに…」
「だから何とかせんといかんのだ」
茶トラ先生の話では、どうやらこれから偵察をするらしいのだ。
ところでこの時間、茶トラ先生は物理学会に出発する前なので、まだ家にいるはずだ。
だからもし二人の茶トラ先生が鉢合わせしたら…と、ぼくは少し不安だったから、ぼくがそれを言うと茶トラ先生は「わしはいつも昼過ぎまで豪快にグーグー寝ておるから、わしとわしが鉢合わせする心配はほとんどない」と言ったので、ぼくは少し安心した。
だけどそんなことより、その八月二十三日は、お父さんたちが大きな契約に成功し、その夜、お祝いのパーティーへ行き、そしてお父さんは事故に遭う運命の日なのだ。
とにかくそれが大問題なのだ!
それで、そのままお揃いの喪服を着ていたぼくらは、茶トラ先生の運転する360ccのボロ軽自動車でお父さんの会社へと出発した。
多分、偵察に…
でも探偵なら黒い喪服は都合がいいかもしれない。
目立たないからね。
実は茶トラ先生は、お父さんの会社のある場所なんかも、例の耳打ちしてくれた人からしっかりと聞き出していた。
お通夜の時、ぼくの家の庭先で、その人からいろんな情報を、根掘り葉掘り引き出しているようだったんだ。
それにしても茶トラ先生はすごい能力のある人だ。
ぼくはいつもながら感心する。
ところでぼくは、茶トラ先生の車の中でお父さんの会社へと向かう途中、「よくもまあそんなに詳しく話を聞き出せたよね」と、たずねてみた。
すると茶トラ先生は「それは、わしが作った頭脳透視装置のおかげだ」と、にやにやしながら言った。(きっとうそだ!)
そういう話は置いといて、それで茶トラ先生がその人から聞き出したという話、つまり、
「お父さんはラジコン飛行機の自動操縦飛行を見事に実演し、商談は成立!」
という話から、茶トラ先生は、その飛行が行われた場所を推理した。
それはラジコン飛行場だ!
それで茶トラ先生はそのラジコン飛行場へと車を走らせたのだ。
じつはその場所は、茶トラ先生がその人からきき出していたけれど、もちろんぼくも、普段お父さんの話から大体の場所は知っていた。
だけど実際に行ってみるのは初めてだった。
それで、お父さんの会社は意外と郊外にあった。
いやいや、郊外というより、周りには広い草原が広がっているような、豪快なとんでもない田舎だった。
それで、そこへ着いてから、会社の敷地のフェンス沿いに車を走らせると、ラジコン飛行場らしいものが見渡せる場所があって、そこのフェンス近くの小道に車を止めた。
そしてぼくらは車の窓から、フェンスの向こう側の様子を観察することにした。
そこはとても広い場所で、芝生が生えていた。
そしてその中央に、アスファルトで舗装された道があった。
いや道ではない。滑走路だ。
幅二十メートル、長さ百メートルくらい。
「ここが親父さんの会社所有のラジコン飛行場だ」
茶トラ先生が言った。
ぼくはそのとき初めて、ラジコン飛行場などというものを見た。
そして舗装された滑走路の脇には駐機場、つまり飛行機の「駐車場」があり、小さな飛行機が何機か置いてあった。
そしてその向こうには会社の建物が見え、その手前、駐機場の少し向こうにはトイレという感じの小さな建物があった。
ちなみにこういう細かいところまで見えたのは、茶トラ先生から借りた高性能の双眼鏡のおかげだ。
それにしても楽しそうな場所だ。
広い公園みたいな感じ。
お父さんがいつもこんなに楽しそうな場所で仕事をしているのなら、一度見せてもらいに来ればよかったと、そのときぼくは思った。
「わしの推理ではだな、まず間違いなくここで自動操縦飛行の実演が行われる」
茶トラ先生はそう言い、それからもぼくらは車の窓から、飛行場の観察を続けた。
ちなみに茶トラ先生は、もう一つの双眼鏡を使っていた。
茶トラ先生は少なくとも二つの双眼鏡を持っているらしい。
それからしばらく観察していると、駐機場にいろんな人たちがぞろぞろと集まり始めた。
何かの催し物でも始まりそうな雰囲気だ。
「おそらくこれから、自動操縦のデモフライトの準備が始まるのだろう」
「デモフライト?」
「要するにお前さんの親父さんが、ラジコン飛行機の自動操縦飛行を実演すると言うことだ。そしてそれに成功すれば、商談成立間違いなしという寸法だろう」
「商談が成立すると?」
「契約が成立し、今夜、お祝いのパーティーが開かれる」
「そしたらお父さんはトラックに…」
「だから何とかせんといかんのだ」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる