116 / 121
最強の抑止力
しおりを挟む
それから茶トラ先生はスワンボートを器用に操作して、ミサイルに接近し、そしてボートに付けられたワイヤー製のカウボーイの投げ縄をミサイルに掛けた。
まるでカウボーイが悪い奴を捕まえるみたいに。
「さて、この物騒な粗大ゴミは、宇宙の果てまで飛んでいってもらおう」
「宇宙の果て?」
「このワイヤーでミサイルを第三宇宙速度まで加速するのだ」
「第三宇宙速度って?」
「太陽系脱出速度だ。この速度まで加速すると、太陽の引力を振り切って、太陽系を脱出できる」
「へぇー、でどのくらいの速度?」
「毎秒42.1キロメートルだ」
「それって、1秒でフルマラソンなのね。まぢ、すごい!」
「それじゃ早速、みんなでこぐとするか。しかしこれも、月へ行けるほどスワンボートの性能が向上したおかげだな」
「じゃ、魔改造したかいがあったよね」
それからスワンボートは長いワイヤーでミサイルを引っ張り、第三宇宙速度プラスアルファまで加速した。
そしてスワンボートのワイヤーを切り離すと、ミサイルはワイヤーを付けたまま飛んでいった。
「これでミサイルは、太陽系脱出速度で飛行中だ。もちろんボートのコンピューターでの軌道計算では、太陽系のいかなる惑星にも衝突しないコースに乗っておる。だからこのまま無事に宇宙の果てまで飛んでいくだろう」
「だけど遠い遠い未来に、太陽系外のどこかの星に落ちて、そこに文明があったら、それってすごいはた迷惑なんじゃ? 放射能だよ!」
「仮にそこまで到達したとして、それまでに何億年、いや、何兆年かかることやら。だからそれまでには、プルトニウムは完全に無害な鉛の塊になっておるだろう」
「そうなんだ。だったらただの隕石みたいなものなんだね」
「ねえ、茶トラ先生、私思うのだけど、もしかしてどこか遠くの星の文明が、宇宙船か何かでこのミサイルを見つけたら、何と思うかしら?」
「そうだぜ! ゆりちゃん鋭いこと言うぜ! だってこれ人を殺す道具だぜ。遥か彼方のチキュウって星がの連中が、そんな人殺しの道具作ってたってばれたらさぁ。これってヤバいくらいダサいじゃん」
「たしかにわしもそう思う。人類とは全くバカげたものを作ったもんだ」
「そうよ。これまぢ、ばかげてるわよ。こんなの作った人、もうぶったた…」
「ねえねえ、それはそうと、もしかしてぼくらがやったこのミッションって、すごいことだよね。考えてみると人類が未来に核戦争をやらかしたとしても、ぼくらのタイムメールネットワークでそれを予知して、で、スワンボートでことごとく核ミサイルを捕まえて、ぼこぼこにしてから、ええと、ことごとく宇宙の果てへ飛ばせばいいんだもんね。つまりこれって、核兵器に対するすさまじい抑止力だよね」
「そうよ。そうすれば世界中の核ミサイルは、もはや意味をなさなくなるんんじゃないかしら?」
「そうだぜ。ゆりちゃんはいいことを言うぜ!」
「だったら私、核ミサイルの起爆装置を機関砲で壊すの、すごーく痛快だから、いくらでもやっていいよ。で、これって、ゲシュタルト先生が言っている、空手の『寸止め』に通じるものがあると思うの。つまりこうやって、核ミサイルを全部『役立たず』、つまり寸止めにしていけば、核兵器が無意味なものになって、核武装するなんていう馬鹿なことを考える政治家もいなくなるかも知れないし、そうしたら将来は核廃絶になるかも知れないし、だからこれからもどんどん核ミサイルが飛ばされたら、こうやってぶっ壊して、宇宙の果てに追放しようよ!」
「そうだよな。そうやって核兵器が無意味ってなれば、核のない平和な世界が訪れるかも知れないしな」
「ぼくもそう思う!」
「よしよし分かった。それじゃこれからもわしは、こうやって核兵器を無意味なものにするように、努力するとするか」
「そうだぜ! 先生がんばんな!」
「先生、頼んだわよ」
「でも私たちもがんばるよ。協力するよ」
「そうだね。みんなで力を合わせようね」
「ともあれ、わしの発明したいろんな機械が、未来のいろんな不幸な出来事を、未然に防いだり、そして核のない世界、すなわち世界平和に貢献できるとすれば、わしはこんな幸せなことはない。ともあれ、あ~、そうすれば地球はずいぶんと平和になる」
弾道ミサイル 完
アタゴ先生という新しいキャラを得て、またぼちぼち書いていきます。
よろしく
まるでカウボーイが悪い奴を捕まえるみたいに。
「さて、この物騒な粗大ゴミは、宇宙の果てまで飛んでいってもらおう」
「宇宙の果て?」
「このワイヤーでミサイルを第三宇宙速度まで加速するのだ」
「第三宇宙速度って?」
「太陽系脱出速度だ。この速度まで加速すると、太陽の引力を振り切って、太陽系を脱出できる」
「へぇー、でどのくらいの速度?」
「毎秒42.1キロメートルだ」
「それって、1秒でフルマラソンなのね。まぢ、すごい!」
「それじゃ早速、みんなでこぐとするか。しかしこれも、月へ行けるほどスワンボートの性能が向上したおかげだな」
「じゃ、魔改造したかいがあったよね」
それからスワンボートは長いワイヤーでミサイルを引っ張り、第三宇宙速度プラスアルファまで加速した。
そしてスワンボートのワイヤーを切り離すと、ミサイルはワイヤーを付けたまま飛んでいった。
「これでミサイルは、太陽系脱出速度で飛行中だ。もちろんボートのコンピューターでの軌道計算では、太陽系のいかなる惑星にも衝突しないコースに乗っておる。だからこのまま無事に宇宙の果てまで飛んでいくだろう」
「だけど遠い遠い未来に、太陽系外のどこかの星に落ちて、そこに文明があったら、それってすごいはた迷惑なんじゃ? 放射能だよ!」
「仮にそこまで到達したとして、それまでに何億年、いや、何兆年かかることやら。だからそれまでには、プルトニウムは完全に無害な鉛の塊になっておるだろう」
「そうなんだ。だったらただの隕石みたいなものなんだね」
「ねえ、茶トラ先生、私思うのだけど、もしかしてどこか遠くの星の文明が、宇宙船か何かでこのミサイルを見つけたら、何と思うかしら?」
「そうだぜ! ゆりちゃん鋭いこと言うぜ! だってこれ人を殺す道具だぜ。遥か彼方のチキュウって星がの連中が、そんな人殺しの道具作ってたってばれたらさぁ。これってヤバいくらいダサいじゃん」
「たしかにわしもそう思う。人類とは全くバカげたものを作ったもんだ」
「そうよ。これまぢ、ばかげてるわよ。こんなの作った人、もうぶったた…」
「ねえねえ、それはそうと、もしかしてぼくらがやったこのミッションって、すごいことだよね。考えてみると人類が未来に核戦争をやらかしたとしても、ぼくらのタイムメールネットワークでそれを予知して、で、スワンボートでことごとく核ミサイルを捕まえて、ぼこぼこにしてから、ええと、ことごとく宇宙の果てへ飛ばせばいいんだもんね。つまりこれって、核兵器に対するすさまじい抑止力だよね」
「そうよ。そうすれば世界中の核ミサイルは、もはや意味をなさなくなるんんじゃないかしら?」
「そうだぜ。ゆりちゃんはいいことを言うぜ!」
「だったら私、核ミサイルの起爆装置を機関砲で壊すの、すごーく痛快だから、いくらでもやっていいよ。で、これって、ゲシュタルト先生が言っている、空手の『寸止め』に通じるものがあると思うの。つまりこうやって、核ミサイルを全部『役立たず』、つまり寸止めにしていけば、核兵器が無意味なものになって、核武装するなんていう馬鹿なことを考える政治家もいなくなるかも知れないし、そうしたら将来は核廃絶になるかも知れないし、だからこれからもどんどん核ミサイルが飛ばされたら、こうやってぶっ壊して、宇宙の果てに追放しようよ!」
「そうだよな。そうやって核兵器が無意味ってなれば、核のない平和な世界が訪れるかも知れないしな」
「ぼくもそう思う!」
「よしよし分かった。それじゃこれからもわしは、こうやって核兵器を無意味なものにするように、努力するとするか」
「そうだぜ! 先生がんばんな!」
「先生、頼んだわよ」
「でも私たちもがんばるよ。協力するよ」
「そうだね。みんなで力を合わせようね」
「ともあれ、わしの発明したいろんな機械が、未来のいろんな不幸な出来事を、未然に防いだり、そして核のない世界、すなわち世界平和に貢献できるとすれば、わしはこんな幸せなことはない。ともあれ、あ~、そうすれば地球はずいぶんと平和になる」
弾道ミサイル 完
アタゴ先生という新しいキャラを得て、またぼちぼち書いていきます。
よろしく
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる