怖気怪談。SS集

校内放送

　Jさんが、小学生のころに体験した話です。

　放課後に友達数人と校庭で遊んでいると、突然校内放送が流れました。

　ピンポンパンポーン…。
　校内放送をいたします。
　本日15時…○○町…○○店の前にて、自動車と自転車、事故…二年…、…。
　繰り返します。
　本日15時…○○町…○○店の前にて、自動車と自転車、事故…二年〇組…出席番号…、…。
　以上、校内放送を終わります。
　…ピンポンパンポーン。

　…何だ、今の放送？
　こんな放送初めて聞いた。
　不思議に思ったJさんは、さっそく友達に今の放送について尋ねました。

　すると意外な返事が返ってきました。
「放送？何それ、そんなのあった？」
「今の放送でしょう？俺も気になった。」
　何と、同じ場所にいたにもかかわらず、聞こえた者と、聞こえなかった者の両方に分かれたのです。
　皆一様に不思議がりましたが、なんだか気味が悪くなってきたため、その日はもう帰ることにしたといいます。

　その翌日、朝の学校集会が開かれ、校長先生のお話がありました。
「皆さんに悲しいお知らせがあります。昨日15時頃に、本校の二年〇組の○○■■さんが、車にはねられ亡くなりました。皆さんも自転車に乗るときは十分注意してください。」
　その話を聞いたJさんは、昨日の放送を思い出しました。
　放送の内容と、今回の事故…内容がよく似ている。

　集会が終わると、昨日の放送が聞こえたというメンバーがJさんに駆け寄ってきました。
「この事故って、やっぱり昨日の？」
「だよな、そっくりだよな。」
すると一人のメンバーが青い顔をしながらこう言いました。
「昨日家に帰って、兄ちゃんに校内放送のこと話したんだ。兄ちゃんこの学校の卒業生だから、なんか知ってるかと思って。そしたら、こう言うんだ。生徒が亡くなる前に、たまにそういう校内放送が流れるって。それは、死を呼ぶ校内放送って言われているんだって…。」

　そんな不吉な校内放送、どうして自分は聞こえちゃったのかな…と、Jさんは体を震わせました