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餓鬼憑き
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Tさんが山に登っていた時のことです。
突然急激な空腹に襲われ、その場で動けなくなってしまいました。
おかしいな、朝ごはんはちゃんと食べてきたはずなのに。
体調も悪くなかったし、途中で休憩もはさんで登ってきた。
途中で水分補給もできていた。
…長く山に登っているのに、こんなことは初めてだ。
Tさんの頭の中には、もう食べ物のことしかありませんでした。
とにかく、何かを、一刻も早く口の中に入れたくてたまりません。
ですが、お腹がすきすぎて動けないのです。
リュックから、食べ物を出す力も湧いてきません。
すると、近くを歩いていた人が声をかけてきました。
「大丈夫ですか?お腹が痛いんですか、苦しいんですか。」
Tさんは力を振り絞り、こう答えました。
「ち、違います…お腹が空きすぎて、動けない。」
すると声をかけてきた人は一瞬驚いた顔をしましたが、自分のリュックからおにぎりを差し出しました。
「さあ、これを食べて下さい。」
Tさんは我を忘れ、夢中でおにぎりを食べました。
そしてそれを食べ終わったとき、嘘のように体が楽になりました。
Tさんは、助けてくれた人にお礼を言い、おにぎりを頂いてしまったことを詫びました。
するとその人はこう言いました。
「気にしないで下さい。あれは予備のおにぎりですから。山の中ではね、急にお腹が空いて動けなくなることが、稀にあります。そういうのを餓鬼に憑かれたと言います。そんな時はすぐに食べ物を食べれば、元気になりますよ。予備のおにぎりは、そういういざという時の食べ物です。」
そして、その人は去っていったそうです。
その後Tさんは、山に登る時は必ずポケットに食べ物を入れておくことにしたそうです。
突然急激な空腹に襲われ、その場で動けなくなってしまいました。
おかしいな、朝ごはんはちゃんと食べてきたはずなのに。
体調も悪くなかったし、途中で休憩もはさんで登ってきた。
途中で水分補給もできていた。
…長く山に登っているのに、こんなことは初めてだ。
Tさんの頭の中には、もう食べ物のことしかありませんでした。
とにかく、何かを、一刻も早く口の中に入れたくてたまりません。
ですが、お腹がすきすぎて動けないのです。
リュックから、食べ物を出す力も湧いてきません。
すると、近くを歩いていた人が声をかけてきました。
「大丈夫ですか?お腹が痛いんですか、苦しいんですか。」
Tさんは力を振り絞り、こう答えました。
「ち、違います…お腹が空きすぎて、動けない。」
すると声をかけてきた人は一瞬驚いた顔をしましたが、自分のリュックからおにぎりを差し出しました。
「さあ、これを食べて下さい。」
Tさんは我を忘れ、夢中でおにぎりを食べました。
そしてそれを食べ終わったとき、嘘のように体が楽になりました。
Tさんは、助けてくれた人にお礼を言い、おにぎりを頂いてしまったことを詫びました。
するとその人はこう言いました。
「気にしないで下さい。あれは予備のおにぎりですから。山の中ではね、急にお腹が空いて動けなくなることが、稀にあります。そういうのを餓鬼に憑かれたと言います。そんな時はすぐに食べ物を食べれば、元気になりますよ。予備のおにぎりは、そういういざという時の食べ物です。」
そして、その人は去っていったそうです。
その後Tさんは、山に登る時は必ずポケットに食べ物を入れておくことにしたそうです。
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