記憶喪失になったからと言って婚約破棄するのは構いませんが、あなた破滅しますよ?

coco

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記憶喪失になったからと言って婚約破棄するのは構いませんが、あなた破滅しますよ?<後>

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「…という約束やくそくです。あなたのお父様は、小娘こむすめ戯言ざれごとと思って、あなたに言わなかったんでしょう。でも私は本気よ?それで…私知ってますよ、あなたが他家たけ令嬢れいじょう浮気うわきしてる事。あなたは私を捨てて、彼女の所へ行くつもりでしょう。でも捨てたら、つぐないが待ってますからね。」

「す、捨てるなど、人聞きが悪い!俺は記憶喪失きおくそうしつになったから、お前の為を思って身を引くんだ!…悪気があって捨てるんじゃないから、約束を破った事にならないだろ?」

「だから、それがあなたの作戦でしょ。美味おいしい所だけ持って行こうとするおろものは、ゆるしませんよ?…先生、入ってらして?」

「お前、昨日診断書を書いた…何故なぜ、ここに居る!?」

「あなたは知らなかったでしょうね、彼が私の主治医しゅじいつとめてくれてる事。あなた、彼にお金を払ってにせの#診断書しんだんしょ__ルビ__#を書かせたそうね。彼から事前じぜんに知らせをもらったわ。」

「俺は何も知らないふりをして、お前の話に乗った。お前の浮気を彼女に伝えたのも俺だ。お前の相手の女は、俺の病院の患者かんじゃだ。少し前に前診に来て、子どもができたとさわいでいた。そのすぐ後にお前が来て、あんなことを言うじゃないか。何かろくでもない事をたくらんでいるのは、すぐに分かった。」

「私と婚約破棄こんやくはきするのは自由よ、でも約束通りつぐないはしてもらう。浮気した上にうその記憶喪失までえんじて私を捨てるんですもの、それ相応そうおう慰謝料いしゃりょうはらってね。」

「待てよ、そんな金払ったら、あいつに捨てられる…!」

「言ったでしょ?美味しい所だけ持って行こうとする愚か者は許さないって。私は今ここに、いかりの鉄槌てっついくだします─。」

※※※

 あれから元婚約者もとこんやくしゃは、浮気相手うわきあいての女にも捨てられた。
 慰謝料を払いお金が無くなった男は、用無ようなしだそうだ。
 
 結局子供ができたと言うのも彼女の勘違かんちがいだったし、父親としても必要無くなったものね…。

 そして彼は父親にも見限みかぎられ家を出され、そのまま行方不明ゆくえふめいになってしまった。

「…まだ、彼が忘れられないか?」

「先生…そんなんじゃないわ。悲しくて思い出してたんじゃないの。ただ、愚かな男が居たなって…。」

「そんな男より、今は俺を見て欲しい。」
 
 そう言って、私を抱きしめる先生。
 あれから私は、彼とお付き合いを始めた。

「だったら、約束して?私を、最期さいごまで愛し抜くと。もし私を捨てるような事があれば、それ相応そうおうの償いをしてもらいます。」

「もちろん…俺は、その約束をまもってみせる。」

 私と先生の間には、約束がある。

 そしてこれは、永遠えいえんやぶられることの無い約束だ─。
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