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私が愛されないのは仕方ないと思ってた…だって、あなたの愛する人を傷つけた悪女だから。
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「仕方なくお前を連れて来てやったんだ、あまりベタベタするなよ。」
「…分かってます。」
せっかくのパーティーだと言うのに、気が重いわ…。
私は、婚約者の彼から嫌われていた。
仕方ないわ…私は、彼の愛する人を傷つけた悪女だもの。
今更後悔しても遅いのは分かってる…でもあの時、私はどうしてあんな事をしてしまったのかしら─。
私は彼の幼馴染を階段から突き落し、怪我をさせてしまった。
気が付いた時には、私は彼女の背中を押していた。
階段下で泣きわめく彼女と、その声に駆け付けて来た婚約者─。
彼女を抱き起した後、私を睨む彼の冷たい目…今でも忘れられないわ。
『いいか、お前との婚約は家同士の約束で仕方なくだ。俺が本当に愛してるのは…あの幼馴染だ。お前は俺の愛する人を傷つけた、悪女なんだよ!』
騒動の後、彼に突き付けられたこの言葉で、私は全く愛されていない事に漸く気付いたのだ─。
「…悪女の癖に、よくパーティーに出れたものね。」
声をかけて来たのは、私が傷付けた幼馴染だった。
「こんな女でも、俺の婚約者だからな…連れて行かないと父の小言がうるさいんだ。でも約束通り、君のダンスの相手は俺がするよ。…そういう事だから、お前はお前で好きにしろ。」
私は二人から離れ、壁際にポツンと一人立ち尽くした。
すると、そんな私にある人物が声をかけて来た。
そして私は、驚きの事実を知る事に─。
※※※
「…まだあの子と婚約破棄しないの?」
「父が許してくれないんだ。」
「せっかく私が体を張ったのに!わざわざ催眠術師を雇いあの女を操り、私を階段から突き落す様暗示をかけ…それであの女を悪女に仕立てたのに、それでもまだ駄目なの?」
「真面目で優しい彼女が、そんな事するはずないと言うんだ。だから、今度は別の作戦を考えてある…あの女を男に襲わせ、浮気をでっちあげるんだ。」
「流石にそんなふしだらな女、いくらお父様でもお許しにならないわね!」
「そう上手くはいきませんよ。」
「お前…か、勝手に入って来るな!この部屋は俺たちが貸し切って…!」
「私の従者はどうしたの、見張りを頼んだのに!」
「あの方なら帰られました。事情を話したら、厄介事に関わるのはご免だと言ってね。」
部屋に入って来た私に、二人は冷や汗をかき視線をさ迷わせた。
「どうして、あなたを階段から突き落すような非道を働いたのか…私はずっと分からないでいた。でも、催眠術で操られていたなら納得です。私と別れるのをお父様に許して貰えないからって、私を悪女に仕立てるとは…何と卑怯な!」
「だ、黙れ!」
「いいわ、そんなに別れたいなら婚約破棄しましょう。私から、あなたのお父様にそう言ってあげる。」
私の言葉に婚約者は驚き、幼馴染は喜びの声をあげた。
「それ本当!?後から復縁したいとか、言わないでよ!」
「言わないわ、絶対にね─。」
※※※
「という訳で父上、俺はあいつから婚約破棄された。向こうから断られたなら仕方ないだろう?だから俺は、愛する幼馴染と─」
「そうか分かった、ならばこの家を出て行け。」
「ど、どう言う事です!?」
「兄上の企みは俺が全て調べ、父上に報告済みです。催眠術師に続き、怪しげな男を雇うなど…この家の名誉に関わりますから。」
部屋に入ってきた弟を、俺は呆然と見つめた。
「もしや…あの女に真相を伝えたのも、お前か?」
「俺は彼女の事がずっと好きだった…あなたの様な心根の腐った人に、彼女は渡せません。」
「彼女は、改めてこの弟と婚約する事になった。今後は弟に、家も事業も任せる。」
「そんな…!」
※※※
その後彼は、身一つで家を追い出された。
そんな彼は、幼馴染に助けて貰おうと彼女の家に駆けこんだが…そこに彼女の姿はなかった。
何と彼女は、今回の事が原因で早々に家を出され、他国に嫁がされていたのだ。
娘の悪事が使用人の間に広まり、このままではいけないと思った父親の判断だというが…その相手はかなり年上の醜い男だそうで、彼女は泣く泣く嫁いで行ったという。
それを知った彼は大いに悲しみ、すぐにその後を追いかけたらしいが…お金も何も持ってないあなたが、そこまで辿り着けるとは思えない。
案の定、彼はその国に向かう途中で力尽き病に倒れ…その後は行方知れずとなってしまった。
そんな目に遭うのも、自業自得ね…人を不幸にし得た愛では、幸せになる事など決して出来やしないのよ─。
「…分かってます。」
せっかくのパーティーだと言うのに、気が重いわ…。
私は、婚約者の彼から嫌われていた。
仕方ないわ…私は、彼の愛する人を傷つけた悪女だもの。
今更後悔しても遅いのは分かってる…でもあの時、私はどうしてあんな事をしてしまったのかしら─。
私は彼の幼馴染を階段から突き落し、怪我をさせてしまった。
気が付いた時には、私は彼女の背中を押していた。
階段下で泣きわめく彼女と、その声に駆け付けて来た婚約者─。
彼女を抱き起した後、私を睨む彼の冷たい目…今でも忘れられないわ。
『いいか、お前との婚約は家同士の約束で仕方なくだ。俺が本当に愛してるのは…あの幼馴染だ。お前は俺の愛する人を傷つけた、悪女なんだよ!』
騒動の後、彼に突き付けられたこの言葉で、私は全く愛されていない事に漸く気付いたのだ─。
「…悪女の癖に、よくパーティーに出れたものね。」
声をかけて来たのは、私が傷付けた幼馴染だった。
「こんな女でも、俺の婚約者だからな…連れて行かないと父の小言がうるさいんだ。でも約束通り、君のダンスの相手は俺がするよ。…そういう事だから、お前はお前で好きにしろ。」
私は二人から離れ、壁際にポツンと一人立ち尽くした。
すると、そんな私にある人物が声をかけて来た。
そして私は、驚きの事実を知る事に─。
※※※
「…まだあの子と婚約破棄しないの?」
「父が許してくれないんだ。」
「せっかく私が体を張ったのに!わざわざ催眠術師を雇いあの女を操り、私を階段から突き落す様暗示をかけ…それであの女を悪女に仕立てたのに、それでもまだ駄目なの?」
「真面目で優しい彼女が、そんな事するはずないと言うんだ。だから、今度は別の作戦を考えてある…あの女を男に襲わせ、浮気をでっちあげるんだ。」
「流石にそんなふしだらな女、いくらお父様でもお許しにならないわね!」
「そう上手くはいきませんよ。」
「お前…か、勝手に入って来るな!この部屋は俺たちが貸し切って…!」
「私の従者はどうしたの、見張りを頼んだのに!」
「あの方なら帰られました。事情を話したら、厄介事に関わるのはご免だと言ってね。」
部屋に入って来た私に、二人は冷や汗をかき視線をさ迷わせた。
「どうして、あなたを階段から突き落すような非道を働いたのか…私はずっと分からないでいた。でも、催眠術で操られていたなら納得です。私と別れるのをお父様に許して貰えないからって、私を悪女に仕立てるとは…何と卑怯な!」
「だ、黙れ!」
「いいわ、そんなに別れたいなら婚約破棄しましょう。私から、あなたのお父様にそう言ってあげる。」
私の言葉に婚約者は驚き、幼馴染は喜びの声をあげた。
「それ本当!?後から復縁したいとか、言わないでよ!」
「言わないわ、絶対にね─。」
※※※
「という訳で父上、俺はあいつから婚約破棄された。向こうから断られたなら仕方ないだろう?だから俺は、愛する幼馴染と─」
「そうか分かった、ならばこの家を出て行け。」
「ど、どう言う事です!?」
「兄上の企みは俺が全て調べ、父上に報告済みです。催眠術師に続き、怪しげな男を雇うなど…この家の名誉に関わりますから。」
部屋に入ってきた弟を、俺は呆然と見つめた。
「もしや…あの女に真相を伝えたのも、お前か?」
「俺は彼女の事がずっと好きだった…あなたの様な心根の腐った人に、彼女は渡せません。」
「彼女は、改めてこの弟と婚約する事になった。今後は弟に、家も事業も任せる。」
「そんな…!」
※※※
その後彼は、身一つで家を追い出された。
そんな彼は、幼馴染に助けて貰おうと彼女の家に駆けこんだが…そこに彼女の姿はなかった。
何と彼女は、今回の事が原因で早々に家を出され、他国に嫁がされていたのだ。
娘の悪事が使用人の間に広まり、このままではいけないと思った父親の判断だというが…その相手はかなり年上の醜い男だそうで、彼女は泣く泣く嫁いで行ったという。
それを知った彼は大いに悲しみ、すぐにその後を追いかけたらしいが…お金も何も持ってないあなたが、そこまで辿り着けるとは思えない。
案の定、彼はその国に向かう途中で力尽き病に倒れ…その後は行方知れずとなってしまった。
そんな目に遭うのも、自業自得ね…人を不幸にし得た愛では、幸せになる事など決して出来やしないのよ─。
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