婚活SNSで王女と相互フォローになったんだが、ブロックを検討している……

蒼山りと

文字の大きさ
4 / 8

現実へと続く夢

しおりを挟む
 夢をみていた……。
荘厳な、しかし、楽しげでもある音楽が奏でられるなか、パレードを歩く王女とオレを、オレは道ばたから見ている。二人はどんどんと近づいてくる。

 やがて、オレは気づく……王女ではない栗髪のエリルだ! なんで? 王女なんかに変装しているんだ? 彼女はぐんぐんと歩みをすすめ……オレがいる場所で立ち止まる。そして僕をみつめていう。

「救国士アル……ううん……アっちゃん……ずっとずっと気持ちを隠していたの……大好き!」

そう言って彼女は僕に抱きついてくる! きゅーっと力強く……。
オレも彼女を抱き返す……。彼女は王宮で香っていたあの高貴なやわらかい女性らしい香水をしているように思えた……。

……え?……ちょっと待てよ? ……エリルちゃんは……香水嫌っていなかったか?
と気づく……。これ半分夢じゃない……。まさかと思うが……オレの腕の中に小柄な女性がいる?

「…………お願い……このまま……このまま……ずっとハグしていてください……」
どこか安心したような声でリファイア王女が耳元でささやく。

「って……その声は……王女さま?」
「……はい」
「ここオレの寝室だよな……」
「……うん。干し草の良い匂い……。おひさまの匂いだね?」
それだけじゃなくて、かすかに王女さまの高貴な香りもしているんだけどな……。
「ごまかすなよ……。なんで、ここに王女さまが居るんだ?」
「……その……いいづらいんですけど……大臣たちに……早く……魔方陣の向こうに行けと……追い立てられまして……」
「!」
「だから、帝国の貴族と……そういう関係になってもらわないと……この国はひどいことになってしまいますから……。仕方ありませんよね? 王女の宿命です……」
「……とりあえず、おれはベッドから出るよ、王女さまはゆっくり寝ていてくれ」
「あ、ああ……そんな! そんないいんです! アルさんが本当に村人なのはわかりました。本当に申し訳ないです! ……私は帝国の貴族と結ばれるのはイヤです……まして……人を傷つけるような嘘をつく人が私は大嫌いなのです」
「……ああ。まあオレは見ての通り、ただの村人だ」
「それで……アルさんは……本当のことを言っていただけで、私は勘違いで……」
王女は飛び起きると……ベットから出る。
「でもさ……なにもオレのベット入るのは……ちょっと女の子としてはうっかりさんすぎるのでは?」
「……良いんです! ずっと心細かった……。王宮ではみんな私の心配なんて誰もしてないんです」
「なるほど……でも……男のベットに入るのはまずいよ?」
「……全部覚悟の上です……」
「覚悟って?」
「言わせないでください……そうなっても構わないと思ったのです……」
つまり、帝国の貴族に傷物にされるぐらいなら……オレの方がマシってことか……。
「まあ、よくわからんけど……自分は大事にしとけよ?」

……おい……もう朝じゃないか! どのぐらい長く彼女とは一緒に寝ていたんだろうか? 変な寝言とか発してないといいんだが……。
「エリルさんって……誰ですか……アルさん……うなされていました……」
「……ああ、まあ、知り合いだよ、知り合い」
「……本当に?」
不思議そうな顔で僕を見つめる王女……
「アルさんの大事なひとなのではないか……と推察しておりました」
「まあ、大事なひと。だったよ……」
そうだ……あの場所に行くか……、こんなむさ苦し場所よりはマシだ……。

「なあ、景色の良い場所があるんだ……。そこで朝食でも一緒に食べよう……ずっと寝ていてすまなかったよ。おなか減っているだろ?」
「ありがとう……。本当に……うれしい」

そうしてオレはお気に入りの携帯食であるパオを二人分持って、果樹園の丘の上のとっておきの場所へと、彼女をエスコートした。

そこでオレは帝国の企てについて聞かされることになる……。
そして救国の英雄と呼ばれる……隣国の皇帝の策略とえげつない性格について知るのだ……。だれでも……それを聞いたら……許せないと感じるだろう。

だからオレも……ガラにもなく……この国を救わないといけないと思ってしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、すれ違いの末に離れ離れになった夫婦の物語。 再会したとき、二人が選ぶのは「離婚」か、それとも「再構築」か。 妻を一途に想い続ける夫と、 その想いを一ミリも知らない妻。 ――攻防戦の幕が、いま上がる。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

お久しぶりです旦那様。そろそろ離婚ですか?

奏千歌
恋愛
[イヌネコ] 「奥様、旦那様がお見えです」 「はい?」 ベッドの上でゴロゴロしながら猫と戯れていると、侍女が部屋を訪れて告げたことだった。

半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜

侑子
恋愛
 小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。  父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。  まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。  クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。  その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……? ※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。

「帰ったら、結婚しよう」と言った幼馴染みの勇者は、私ではなく王女と結婚するようです

しーしび
恋愛
「結婚しよう」 アリーチェにそう約束したアリーチェの幼馴染みで勇者のルッツ。 しかし、彼は旅の途中、激しい戦闘の中でアリーチェの記憶を失ってしまう。 それでも、アリーチェはルッツに会いたくて魔王討伐を果たした彼の帰還を祝う席に忍び込むも、そこでは彼と王女の婚約が発表されていた・・・

処理中です...