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第五話 遊園地
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「悪い、待たせたか?」
ディスティニーランドの入場門前広場に立っている制服姿の花音に、俺は謝りながら声をかけた。
約束の時間よりはまだ早いが、相手が先に待ち合わせ場所にいた場合は必ず謝るようにと早苗さんにしつけられているのだ。
「……大丈夫、私も今来たところ」
花音は微笑を浮かべてそう返してきた。
「前を歩いてる凱にぃの姿が目に入ったから、私が先にたどり着けるように走って追い抜いて来た」
「気を遣ったわけじゃなく、マジで言葉通り今来たのかよ……」
確かによく見れば、花音は少しだけ頰を上気させて息も上がっている。
……なんかちょっとエロいな。いや、流石に欲情はしないけども。
「なんでわざわざ走ったんだ?」
雑念を頭から追い出しつつ、目的不明な行動を疑問に思って聞いてみると、
「……『ごめん、待った?』からの『ううん、今来たとこ』を一回やってみたかったから」
「それは別に俺を追い越さずとも、逆の立場でもできたんじゃねえの……?」
「凱にぃに謝るのがなんとなく癪だった」
微妙に不機嫌っぽい無表情で、そう告げる花音。
……いや、流石に理不尽。
可愛い従妹を待たせてしまったことに罪悪感を感じていた過去の俺に謝ってほしいんですけど。
「なんで微妙に酷えこと言うんだよ。俺なんかしたっけ?」
「凱にぃに出された昼食がカップラーメンだけだったことを報告したら、お母さんに怒られた」
「それ俺のせいじゃないよねぇ!? お前がそれでいいって言ったんだし、そもそも口止めした気がするんだけど!」
まあ、野菜の買い置きがないことを忘れてたのは悪いと思ってるけど、他の食べたかったなら普通に買いに行ってたから。あれでいいって言ったのお前だから。俺完全に悪くないから。
っていうか、え? マジで言っちゃったの? 嘘でしょ? 不摂生がバレた上に、従妹にそれを提供したことを早苗さんに知られたら、ありえんやばみがやばいんだけど。
しかも、花音の八つ当たりと早苗さんの教育的指導でダブルパンチな件。
「……嘘。お母さんには、ちゃんと普通の食事だったって言ってある」
「冷や汗という形で消えていった俺の体の水分を返せ!」
うっわぁ、焦ったぁ。
淡々と告げる花音に、安堵しながらも叫んだ。
ジョークだろうが、言っていいことと悪いことがあるんだぞ。
「っていうか、結局それじゃあ俺を若干ディスった理由がわかんねえままだし……」
「そこから既に冗談だから気にしないで」
口元を引きつらせながらぼやくと、花音は表情を変えないままそう言った。
「え、じゃあ何故に走ったんだよ」
「それも嘘。凱にぃが来た時にはとっくにここにいた」
今までの問答が時間の無駄だったことが証明されたんだけど。
追い抜いたわけじゃなかったのかよ。普通に待ってたのか。
「……あれ、でも午前中授業あったんだよな。そんな早くに到着するのって無理じゃないのか?」
「 ……楽しみだったから 、学校出てすぐに 走り始めただけ」
「え? ごめん、声が小さくて聞こえなかった。もう一回言ってくれ」
「なんでもない。……凱にぃは馬に蹴られて死ねばいいのに」
「なんで!?」
何かを堪えるような表情で辛辣なことを言う花音。
……そういえば、似たようなやり取りを最近した気がする。もしかして俺の耳が悪くなっているのだろうか。それで、何度も聞き返すようになってきた俺にイラついて暴言を……いや、流石に花音はそんなに怒りやすくないはず。
まあ、花音がああ言ったってことは大したことじゃないんだろうし、気にしなくてもいいか。
「それじゃあ、無駄話もなんだし入ろうぜ」
「うん」
花音は頷いた後、通学用のバッグを開いて、チケットを取り出し俺に渡した。それを受け取って、入り口近くにいる係員に見せ、俺たちはディスティニーランドの中に入った。
「さてと、まずは何をする?」
急な誘いだったのでノープランだし、そもそも俺は引きニート。遊園地になんて子供の頃数回行った程度なのだから、セオリー的なものも一切わからないのだ。
「……最初はやっぱりジェットコースター?」
「初っ端からハードなやつ行くのかよ。別にいいけど」
遊園地の花形、ジェットコースターご指名入りましたー。
まあ、特に否定する理由もない。花音が乗りたいならそれで良いだろう。
入場時に係員にもらった地図を頼りに、ジェットコースターのエリアまで向かった。
「……混んでるなー、おい」
五分ほどして着いてみると、そこにはまるで蟻のような大量の行列が。最後尾には『現在二時間待ち』と書かれたプラカードを持った係員がいる。
うっそだろ。地元にある超人気ラーメン屋でもこんなことにはならねえぞ。
「なあ、これマジで並ぶのか?」
「……嫌?」
「いや、並びたいならそれでもいいけど、それならもっと空いてるとこに行った方が楽しめるんじゃねえの?」
全く並んでないとは言わずとも、少なくともここよりは待ち時間が少ないアトラクションは数多くある。
一番楽しいのはジェットコースターかもしれないが、他だってつまらないなんてことはないはずだ。
「……でも、乗りたい。ダメ?」
上目遣いでそう言う花音。……仕方ないか。
「わかった、並ぼう」
「っ! ありがとう、凱にぃ」
俺の了承を聞くと、花音は一瞬嬉しそうな表情になってから、はっと何かを思い出したように無表情に戻った。
子供っぽく喜ぶ姿が恥ずかしかったのだろうか。照れずに可愛い反応を見せてほしい気持ちもあるが、これはこれで尊いな。
「そんなにジェットコースターが好きなのか?」
「いつもはもっとたくさん並んでて断念してるから、待ち時間が短い今日に乗ろうと思っただけ」
「……今日って少ないほうなの? え、これで!?」
マジかよ。いや、確かにただの平日でこれなら休日は更に酷いことになっているのだろうが、なんだその地獄絵図は。そうまでして乗りたい人がそんな多数いるって、どうなってんだ一体。リア充怖ぇ……。
「んじゃあ、これ以上増えないうちにさっさと行こうぜ」
そう言うと、花音は頷いて最後尾の所に歩いていった。俺はそれについて行き、二人一緒に列に並ぶ。
「……って、あれ? 花音、お前髪形変えたか?」
今日はじめて花音を後ろから見て気がついたが、昨日会った時とは色々と変化している。
後ろ髪には紺色のメッシュが入っていて、地毛の黒と調和していた。そして、その髪を尻尾のように纏めている。
というか、よく見たら前髪もレイニーに変わっていた。やべえ、全然気づかなかった。
……これ、「……遅い」みたいな感じで花音が不機嫌になる流れなんじゃね? 女ってそういう変化に鈍い奴のことは好まなそうだし。超偏見だけど。
どうしよう、どうやって誤魔化そう。
えっと、経験上、花音が怒りそうなときは適当に持ち上げとけば大抵何となるんだよな。……よし。
「前のシンプルなロングも良かったけど、こういうのも似合うんだな」
「――っ! そ、そう?」
お、なかなかの好感触。この意気で行こう。
「やっぱ素材がいいから、どんなものでも合うんだよな、花音は。うらやましい限りだ」
「あ、ありがとう……」
表情はあまり変わっていないが、わずかに頬を赤らめて照れたように髪の毛先を手で弄っている。
これはあれだろ。対応が大正解だったやつだろ。どうやら俺は女心をいつの間にか理解していたらしい。まったく、自分の才能が恐ろしいぜ……。
……いやまあ、本当に理解できてるなら今頃彼女ができているのだろうが。
…………。
勝手に調子に乗って勝手に落ち込んでいると、花音は嬉しそうにはにかんでいた。可愛い。
「 」
「え? もしかして、今日のためにわざわざ美容院に行ったのか?」
「――なんでこれは聞こえるの!?」
愕然とした表情の花音。……いや、そりゃあれだけ人の言葉聞き逃してたら、流石に気をつけて聞くようになるって。
「……う、うん。まあ、そう。一応、今日のため」
「マジか。……えーっと、ありがとう?」
やべえな、この場合なんて言うのが正解なのか全く分からねえ。オラにリア充力を分けてくれぇ!
……しかし、あれだな。今の俺と花音って青春オーラ半端ないよな多分。客観的に見たら砂糖吐きそうだなって分かるもん。
そんな俺たちでも全く浮かないどころか、それでようやく溶け込めるレベルって、ディスティニーランドのリア充率怖えぇ。
そして一番何が怖いって、人と触れ合う気ゼロの血走った目で単独行動してるガチ勢の方がやばい。すげえ楽しそうなのがやばい。
「そういえば、今日学校あったんだよな。メッシュって校則的には大丈夫なのか?」
「うちの学校、そういうのは緩いから」
「そうか……」
なんとか見つけた次の話題も、広がらずにすぐに終わってしまう。
――なんとなく気まずいような、楽しいような、微妙な雰囲気になっていると、何やら女子高生っぽい二人組が列の横から俺たちに近づいてきた。
「静宮先輩! 先輩も来てたんですねっ!」
ディスティニーランドの入場門前広場に立っている制服姿の花音に、俺は謝りながら声をかけた。
約束の時間よりはまだ早いが、相手が先に待ち合わせ場所にいた場合は必ず謝るようにと早苗さんにしつけられているのだ。
「……大丈夫、私も今来たところ」
花音は微笑を浮かべてそう返してきた。
「前を歩いてる凱にぃの姿が目に入ったから、私が先にたどり着けるように走って追い抜いて来た」
「気を遣ったわけじゃなく、マジで言葉通り今来たのかよ……」
確かによく見れば、花音は少しだけ頰を上気させて息も上がっている。
……なんかちょっとエロいな。いや、流石に欲情はしないけども。
「なんでわざわざ走ったんだ?」
雑念を頭から追い出しつつ、目的不明な行動を疑問に思って聞いてみると、
「……『ごめん、待った?』からの『ううん、今来たとこ』を一回やってみたかったから」
「それは別に俺を追い越さずとも、逆の立場でもできたんじゃねえの……?」
「凱にぃに謝るのがなんとなく癪だった」
微妙に不機嫌っぽい無表情で、そう告げる花音。
……いや、流石に理不尽。
可愛い従妹を待たせてしまったことに罪悪感を感じていた過去の俺に謝ってほしいんですけど。
「なんで微妙に酷えこと言うんだよ。俺なんかしたっけ?」
「凱にぃに出された昼食がカップラーメンだけだったことを報告したら、お母さんに怒られた」
「それ俺のせいじゃないよねぇ!? お前がそれでいいって言ったんだし、そもそも口止めした気がするんだけど!」
まあ、野菜の買い置きがないことを忘れてたのは悪いと思ってるけど、他の食べたかったなら普通に買いに行ってたから。あれでいいって言ったのお前だから。俺完全に悪くないから。
っていうか、え? マジで言っちゃったの? 嘘でしょ? 不摂生がバレた上に、従妹にそれを提供したことを早苗さんに知られたら、ありえんやばみがやばいんだけど。
しかも、花音の八つ当たりと早苗さんの教育的指導でダブルパンチな件。
「……嘘。お母さんには、ちゃんと普通の食事だったって言ってある」
「冷や汗という形で消えていった俺の体の水分を返せ!」
うっわぁ、焦ったぁ。
淡々と告げる花音に、安堵しながらも叫んだ。
ジョークだろうが、言っていいことと悪いことがあるんだぞ。
「っていうか、結局それじゃあ俺を若干ディスった理由がわかんねえままだし……」
「そこから既に冗談だから気にしないで」
口元を引きつらせながらぼやくと、花音は表情を変えないままそう言った。
「え、じゃあ何故に走ったんだよ」
「それも嘘。凱にぃが来た時にはとっくにここにいた」
今までの問答が時間の無駄だったことが証明されたんだけど。
追い抜いたわけじゃなかったのかよ。普通に待ってたのか。
「……あれ、でも午前中授業あったんだよな。そんな早くに到着するのって無理じゃないのか?」
「 ……楽しみだったから 、学校出てすぐに 走り始めただけ」
「え? ごめん、声が小さくて聞こえなかった。もう一回言ってくれ」
「なんでもない。……凱にぃは馬に蹴られて死ねばいいのに」
「なんで!?」
何かを堪えるような表情で辛辣なことを言う花音。
……そういえば、似たようなやり取りを最近した気がする。もしかして俺の耳が悪くなっているのだろうか。それで、何度も聞き返すようになってきた俺にイラついて暴言を……いや、流石に花音はそんなに怒りやすくないはず。
まあ、花音がああ言ったってことは大したことじゃないんだろうし、気にしなくてもいいか。
「それじゃあ、無駄話もなんだし入ろうぜ」
「うん」
花音は頷いた後、通学用のバッグを開いて、チケットを取り出し俺に渡した。それを受け取って、入り口近くにいる係員に見せ、俺たちはディスティニーランドの中に入った。
「さてと、まずは何をする?」
急な誘いだったのでノープランだし、そもそも俺は引きニート。遊園地になんて子供の頃数回行った程度なのだから、セオリー的なものも一切わからないのだ。
「……最初はやっぱりジェットコースター?」
「初っ端からハードなやつ行くのかよ。別にいいけど」
遊園地の花形、ジェットコースターご指名入りましたー。
まあ、特に否定する理由もない。花音が乗りたいならそれで良いだろう。
入場時に係員にもらった地図を頼りに、ジェットコースターのエリアまで向かった。
「……混んでるなー、おい」
五分ほどして着いてみると、そこにはまるで蟻のような大量の行列が。最後尾には『現在二時間待ち』と書かれたプラカードを持った係員がいる。
うっそだろ。地元にある超人気ラーメン屋でもこんなことにはならねえぞ。
「なあ、これマジで並ぶのか?」
「……嫌?」
「いや、並びたいならそれでもいいけど、それならもっと空いてるとこに行った方が楽しめるんじゃねえの?」
全く並んでないとは言わずとも、少なくともここよりは待ち時間が少ないアトラクションは数多くある。
一番楽しいのはジェットコースターかもしれないが、他だってつまらないなんてことはないはずだ。
「……でも、乗りたい。ダメ?」
上目遣いでそう言う花音。……仕方ないか。
「わかった、並ぼう」
「っ! ありがとう、凱にぃ」
俺の了承を聞くと、花音は一瞬嬉しそうな表情になってから、はっと何かを思い出したように無表情に戻った。
子供っぽく喜ぶ姿が恥ずかしかったのだろうか。照れずに可愛い反応を見せてほしい気持ちもあるが、これはこれで尊いな。
「そんなにジェットコースターが好きなのか?」
「いつもはもっとたくさん並んでて断念してるから、待ち時間が短い今日に乗ろうと思っただけ」
「……今日って少ないほうなの? え、これで!?」
マジかよ。いや、確かにただの平日でこれなら休日は更に酷いことになっているのだろうが、なんだその地獄絵図は。そうまでして乗りたい人がそんな多数いるって、どうなってんだ一体。リア充怖ぇ……。
「んじゃあ、これ以上増えないうちにさっさと行こうぜ」
そう言うと、花音は頷いて最後尾の所に歩いていった。俺はそれについて行き、二人一緒に列に並ぶ。
「……って、あれ? 花音、お前髪形変えたか?」
今日はじめて花音を後ろから見て気がついたが、昨日会った時とは色々と変化している。
後ろ髪には紺色のメッシュが入っていて、地毛の黒と調和していた。そして、その髪を尻尾のように纏めている。
というか、よく見たら前髪もレイニーに変わっていた。やべえ、全然気づかなかった。
……これ、「……遅い」みたいな感じで花音が不機嫌になる流れなんじゃね? 女ってそういう変化に鈍い奴のことは好まなそうだし。超偏見だけど。
どうしよう、どうやって誤魔化そう。
えっと、経験上、花音が怒りそうなときは適当に持ち上げとけば大抵何となるんだよな。……よし。
「前のシンプルなロングも良かったけど、こういうのも似合うんだな」
「――っ! そ、そう?」
お、なかなかの好感触。この意気で行こう。
「やっぱ素材がいいから、どんなものでも合うんだよな、花音は。うらやましい限りだ」
「あ、ありがとう……」
表情はあまり変わっていないが、わずかに頬を赤らめて照れたように髪の毛先を手で弄っている。
これはあれだろ。対応が大正解だったやつだろ。どうやら俺は女心をいつの間にか理解していたらしい。まったく、自分の才能が恐ろしいぜ……。
……いやまあ、本当に理解できてるなら今頃彼女ができているのだろうが。
…………。
勝手に調子に乗って勝手に落ち込んでいると、花音は嬉しそうにはにかんでいた。可愛い。
「 」
「え? もしかして、今日のためにわざわざ美容院に行ったのか?」
「――なんでこれは聞こえるの!?」
愕然とした表情の花音。……いや、そりゃあれだけ人の言葉聞き逃してたら、流石に気をつけて聞くようになるって。
「……う、うん。まあ、そう。一応、今日のため」
「マジか。……えーっと、ありがとう?」
やべえな、この場合なんて言うのが正解なのか全く分からねえ。オラにリア充力を分けてくれぇ!
……しかし、あれだな。今の俺と花音って青春オーラ半端ないよな多分。客観的に見たら砂糖吐きそうだなって分かるもん。
そんな俺たちでも全く浮かないどころか、それでようやく溶け込めるレベルって、ディスティニーランドのリア充率怖えぇ。
そして一番何が怖いって、人と触れ合う気ゼロの血走った目で単独行動してるガチ勢の方がやばい。すげえ楽しそうなのがやばい。
「そういえば、今日学校あったんだよな。メッシュって校則的には大丈夫なのか?」
「うちの学校、そういうのは緩いから」
「そうか……」
なんとか見つけた次の話題も、広がらずにすぐに終わってしまう。
――なんとなく気まずいような、楽しいような、微妙な雰囲気になっていると、何やら女子高生っぽい二人組が列の横から俺たちに近づいてきた。
「静宮先輩! 先輩も来てたんですねっ!」
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