現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜

涼月 風

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第16話 魔法って便利

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思ったよりも鑑定、ストレージのスキルが優秀すぎる。

まだ鑑定のレベルが低いので人物鑑定は名前と犯罪歴しか表示されてないが、他人に興味を持てなくて名前を覚えていない僕には重宝する。

それより、ストレージだ。
バッグが正直いらない。
キャンプに行く時にこのスキルがあったなら量を気にしないで必要なものをたくさん運べた。

楽しい……

これで魔法が使えるようになれば、僕は無敵だーー!

『マスター、気持ちはわかりますが今は自重をして下さい。決して能力の事はひけらかすような事をしないように』

「わかっているよ。これが知られたら大変な事になるくらい」

『そういう意味ではないのですが』

この世にも魔法はある。
異界の先のダンジョンでの話だが。
ダンジョン内では魔法が使えるのだが、ゲートを潜って地上に戻れば魔法は使えなくなる。

研究者達が地上でも魔法が使えないか試行錯誤しているようだが、未だ地上で使えたと言う話を聞いた事がない。

もし、僕が魔法を使えると知られれば研究対象として監禁されるかも知れない。

そんなリスクを背負う訳にはいかないし、僕にとっては目立つ事は回避すべき最重要事項なんだよ。

『まあ、今はそれで良いでしょう』

浮かれていた僕に釘を刺してくれるのはありがたい。
正直、自己顕示欲の強い人なら『ヒャッホー』しているだろう。

それと生活魔法の術式も見つけましたのでマスターが寝ている時に付与しておきました。

おおーー!新しいスキルを習得したの?
では、確認してっと。

【ステータス・オープン】
___________________________________
御門 賢一郎(15歳) 人間? 性別 男性
職業 高校生(1学年) 大賢者(仮)
Lv1
HP100
MP100

STR(力量)100
DEX(器用)100
VIT(防御)100
AGI(敏捷)100
INT(知力)100
MMD(精神) 11
LUK(運)  10
CHA(魅力) 68

オリジナルスキル
  ※大賢者(賢者の石 解放率0・8964%)
   【叡智システム】呼称 エイシス

所持スキル
 魔力操作 Lv1
 鑑定 Lv2
 ストレージ 
 言語翻訳 
 生活魔法 [ウォーター][ファイヤー][ライト][クリーン][ドライ](NEW)

________________________________

「本当だ。新しいスキルが増えてる。しかも、魔法を使えるっぽい。それに精神が1増えてる。何気に嬉しい」

『生活魔法は、飲み水を出せる[ウォーター]火をつけるための[ファイヤー]周囲を照らす[ライト]汚れを落とす[クリーン]乾かす為の[ドライ]があります。使うときは魔法名を唱えれば今のマスターでも使えるはずです』

「そうなんだ。では、早速使ってみるか」

『マスター、ランニングの時間です。今日からランニングは20キロ、腕立て、腹筋、スクワットは200回です。精進して下さい』

そうですよね~~トレーニングが先ですよね~~

僕は、朝のトレーニングメニューを消化するのだった。


◇◇◇


「お金が無い……」

朝、学校行く時にコンビニで朝食用のサンドイッチと飲み物、それと昼飯用のパンを購入して店内にあるATMでお金をおろしたところ残高が1万3千円と表示されていた。

今日おろしたお金は1万円。
これは、病院に行くのに保健の先生に借りたお金なので返さないといけない。
財布の中身は、572円。
実質、僕のお金は13572円しか無い。

「バイトしないと……」

『ですから、ポーションを作って売れば良いと何度も言ってますよね。バカなのですか?』

「わかっているけど、どうやってポーションを作るのさ」

『それは錬金術ギルドか王立図書館でポーション作りの本を読んで書き写してくれば……あ……』

「うん、そういう事ってあるよ。誰でも勘違いするし、エイシスが言ってるのはこの世界じゃないよね、きっと」

『おほんっ!マスター、スマホのメモ帳のアプリを開いて手を翳してください』

誤魔化す気、満々だよね~~

僕は言われた通り、スマホにメモ帳のアプリを開いた。
すると、メモ帳に勢いよく文字が書き込まれていく。

『ポーションの作り方のレシピを模写しておきました。それを見て作ればよろしいかと……』

僕は学校に向かって歩きながらスマホを確認する。
この世界の文字ではない文字がびっしりと書かれていた。
だが、言語翻訳のスキルがあるおかげか、見たこともない文字の意味が理解できる。

「これ、どこの世界の文字なの?」

『へファイトス神が管理の一端を担っているミストラル世界の共通言語文字です』

へファイトス神って賢者の石を作った神様だよね。
その世界の文字ってことか。

『そうです。何か問題でも?』

「問題はないけど、何で賢者の石がこの地球の日本にあったのかな?って思ってさ」

『へファイトス神は作る事に興味があって、作った後は興味を失います。賢者の石は、へファイトス神の社の宝物庫に入れてあったのですが、次元魔法を封じた魔法具が暴走して賢者の石を含む宝物庫の一部が次元の狭間に吸い込まれてしまいました。巡り巡ってこの世界の日本に流れ込んでマスターがあの川で拾ったのです』

へ~~そうなんだ。
言ってる事はわかるけど、それって大騒ぎものでは?

『へファイトス神は、恐らく気づいていないでしょう。他の物を夢中で制作している途中でしたので。気づいたとしても次元の狭間に飲み込まれた以上、探す手はありません。ですが、マスターがやらかした場合を除きますけど』

つまり、それって僕が賢者の石の力を解放して何かを行なった場合、へファイトス神に気付かれてしまうって事?

『賢者の石の力は膨大です。へファイトス神のみならず数多の神や悪魔達が周知する事になるでしょう』

うん、そんな目には会いたくないね。
のんびり生活できないじゃないか。

『全くです。私も勘弁してもらいたいです』

「まあ、細かい事はおいといて今日の放課後、ポーション作りをするぞ!」

『期待してます』

学校では特に変わった事はなかった。
あえて言えば、保健委員の樫村さんと何度か視線が合ったくらいか。
休み時間はスマホを取り出して小説投稿サイトの投稿小説を読むようにしている。
謎文字のポーション作りのメモを読むわけにはいかないからだ。
誰かに見つかったら確実に変人扱いされてしまう。

お金が無くてラノベの続きを買いたいが、来月にならないと無理そうなのでネットでいろいろ情報を得ていると素人が書いた小説を掲載しているサイトに巡り合った。
凄いことに、その投稿サイトから書籍化されアニメ化や実写化された作品がある事だ。
投稿数が多い中、ランキングで10位以内で、興味を引いたのはどんぐりモックさんの小説だった。読みやすいし内容も面白い。何冊も書籍化もされているようで現在はプロのラノベ作家さんだ。今、僕の一推しの作家さんになっている。

それと、来週から中間試験が始まるようだ。
休んでいた分もテスト範囲に含まれるらしい。
できればノートを誰かに借りたいが。ぼっちなので無理な相談だ。
実質テスト結果は落ちるだろうけど、期末試験で挽回するしかない。

放課後、いつもなら即行で帰るのだが、保健の先生にお金を返すのを忘れてた為、保健室に立ち寄った。

ノックして保健室に入ると見たこともない中年の女性が白衣を着て「どうぞ~~」と、返事をした。

「すみません、1年4組の御門と言いますが桐谷先生はいますか?」
「校医の桐谷先生ね。あの先生は金曜日にしか学校には来ないわよ。桐谷先生に何の用?」
「実は、先週の金曜日、教室で具合悪くなり、先生にタクシー代を借りて病院に行ったのでその時のお金を返そうかとお持ちしたんですけど」

その中年の女性の先生は、話を聞いて業務用の日誌みたいなのをめくって調べている。

名前がわからないのでこの中年の先生に鑑定をかけてみた。
………………………
田井中仁美(46歳)女性 人間 
職業 養護教員 スクールカウンセラー 
犯罪歴 交通違反(2回)
………………………

《ポン、鑑定のレベルが3になりました》

おお、鑑定のレベルが上がった~~
見られる情報が多くなってる。

ストレージは便利だし、言語翻訳も英語の授業では日本語と同じように理解できるし鑑定も情報が詳細に分けるようになって便利さが増している。

もう、これだけで良いのではないかと思ってたりしている。
そうだ、生活魔法のスキルもあった。
試してみた結果、
[ウォーター]は、少量の水が出せる。
[ファイヤー]は、指先からライター程度の火が出せた。
[ライト]は、ランタン程度の明るさだ。
[クリーン]は、身体の汚れや服の汚れを落とせる。
[ドライ]は、手のひらから温かい風を出せる。つまりドライヤーそのものだ。

こうして使ってみると魔法はとても便利だ。
この世界では廃れてしまったようだが、何とも勿体無い話だ。
だが、便利な分だけ危険でもある。
悪い事に使えば完全犯罪も可能となってしまう。
どんなに厳しく規制をしても向け道を探してしまうだろうしね。

「そうなんだ。お金を私が預かるわけにはいかないな。今週の金曜日に桐谷先生が登校するからその時に返してあげてくれる?」

「わかりました。また、金曜日にお邪魔します」

そう言って保健室を後にして、下駄箱に向かう。
靴を取り出そうと下駄箱をみると手紙が入っていた。

もしかして、ラブレター!?

こういう事は、初めての経験だ。
少しドキドキする自分がいる。

誰にも見つからないように近場のトイレの個室に行き、手紙の中身を見た。
…………………
御門君へ
樫村です。ラノベを持ってきたのですが、教室では話しかけられませんでした。
良かったら駅前のカフェ・ムーンバックスで待ってますのでその時にお渡しします。
樫村世理愛
…………………

樫村さんからだった。
そういえば、お気に入りのラノベを貸してくれると言っていた。
今日一日、目が合ってたのは、こういう意味だったのか。

ラノベは読みたいし、お借りしよう。

僕は駅前のカフェ・ムーンバックスに向かった。
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