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第26話 冒険者ギルド
しおりを挟む「やっと森を抜けたぞ」
あれから、2日かかり大森林を抜け出した。
レベルも2つ上がった。
問題だった食事は、氷漬けのカエルの魔獣をエアー・カッターで切り刻んで焼いて食べていた。ペロもカエルが大好物のようで好評だった。
だが、調味料は勿論、塩も持ってないので素焼きだし、匂いもキツい。
食べられるだけマシという感じだ。
木の実や別の薬草も手に入った。
これなら、地球に帰っても役に立つと思う。
森を抜けると一面が草原だ。地平線まで見えるようだ。
こんなところに街があるのか心配になるが、街までまだ10キロ近くあるらしい。
草原といっても人の手が入ってないので、草は伸び放題だし歩きにくい。
街道に出られれば、歩きやすいのだが……
この草原にも魔獣は多くいる。
普段、冒険者や狩人達は、こういった場所で討伐や狩をするようだ。
千里眼で街道を探す。
北方向に1キロほど行ったところに整備されていない街道を見つけた。
そして、その街道は途中にある林を抜けて街に出る街道に繋がっているようだ。
「エイシス、影渡りで転移みたいに移動できるんだよね」
『ええ、出来ますよ。その為の千里眼のスキルを組み込んだつもりなのですが、まさか理解してなかった、とは言いませんよね?』
そうかな?って思ってたけど自信はなかった。
では、やってみるか!
千里眼でできるだけ街の近くまで移動する場所を探す。
人気がない所がベストだ。
あった……あの木のところなら……
【影渡り】
魔法名を唱えて影に潜る。
周囲は薄暗いがちゃんと見えている。
地面の下から地上を覗く感じで進めるのだが、千里眼で見た場所をイメージするとその場所の地下に一瞬で移動できた。
「わあ、これ便利だよ。下から上を見るって変な感じだけど。そうだ、このまま街に入っちゃダメなのか?」
『マスターが街中で問題を起こさなければ大丈夫でしょう。もし、問題が起きたらどこから街に入ったのか追求されます。身分証もないですし、一度はきちんと門を通った方が無難だと思います』
そうだよね。一度きちんとした方が良いよね。
「でも、僕の素性とか、バレないかな?」
『犯罪履歴など確認する魔道具はあるようです。その為のスキル隠蔽の術式を組み込んだのですが、まさか……』
「理解してるよ。うん、大丈夫」
そうだったのか……知らなかった。
まずは、隠蔽を使って……
【隠蔽】
ほおー、ステータスを改竄できるんだ。
どれくらいの数値にすれば良いのだろう?
『名前、年齢、職業、レベル、犯罪歴の有無。それだけで大丈夫です。スキル等は通常の鑑定では見られませんので』
という事は例外はあるという事だな。
僕は数値を改竄するのは見送ってエイシスが言った箇所を書き換えた。
よし、【ステータス・オープン】
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ケンイチロウ・ミカド(15歳)人間 性別 男性
職業 薬師見習い
Lv5
犯罪歴 無し
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「これでどう?」
『身分の記載がありません。それに姓があるのは貴族かそれに準ずるものだけです。マスターは貴族になりたいのですか?』
まさか、そんなものなりたくもない。
『それと、ペロはどうするのですか?薬師見習いだとペロを連れて歩くのは不自然です。職業は召喚士にした方が無難でしょう』
そうだ、ペロのことすっかり忘れていた。
《えっ、私、忘れられてたの?噛むわよ》
もう、噛んでるんですけど……
もう一度直すか……
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ケンイチロウ(15歳)人間 性別 男性
平民
職業 召喚士(召喚獣 ペロ)
Lv 5
犯罪歴 無し
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「これでどう?」
『ええ、これならこの世界でも普通の状態です』
《却下、却下!私は神よ。獣じゃないわ》
「ペロが特別な存在なのはわかってるけど、神なんてバレたらどこかに閉じ込められちゃうよ。それでもいいの?」
《やだ、やだ。おうちに帰るんだもん》
「じゃあ我慢してくれる?」
《わかったわ、能ある蛇とかはってやつよね》
「能ある鷹はだよ」
ペロの説得に成功したので、周囲を伺って影から外に出る。
相変わらず首を噛んでるのはなんでだ?
では、街に行きますか?
『門に入る時、お金が必要なので代わりの魔石を用意しておいて下さい』
「わかった」
最後までぼくは締まらないな……
◇◇◇
街に着いた。
門の前には馬車1台と数人の人が並んでる。
門兵に何か、手形みたいなのを見せて通り過ぎて行ってる。
次は、僕の番だ。
「次、お前、奇妙な格好してるな。何処から来たんだ?それに首に巻いてるのは、ホワイトパイソンの幼体か?噛まれてるみたいだけど大丈夫か?」
何か、このおっさん兵士、僕をみて引きまくってる気がするんだが……
それにホワイトパイソンってペロのこと?
『この世界では白蛇の魔獣をそう呼ばれています』
《私は魔獣じゃないわ!神よ。こいつ噛んでいい?》
(落ち着けって、後で何か食べさせてあげるから)
《仕方ないわね》
ペロを説得するのにも骨が折れる。
「毒は無いので大丈夫です」
僕がそう言うと門兵は少し呆れたように呟いた。
「そういう問題じゃあないんだがな。まあ、いい。身分証の提示を頼む」
「身分証は無いです。大森林の近くにあった村に住んでいたのですが、魔獣に襲われて村は全滅。僕だけが生き残ってこうして街まで来たのです」
「そうだったのか、辛かったなあ」
「ええ……」
エイシスにそう言えば街に入れると、言われたのだが、他人にこうまで心配されると罪悪感で胸が苦しくなる。
「事情はわかったが、規則でな。この水晶球に手を置いてくれ。それと身分証の無い者は銀貨5枚もらっているのだが払えるか?」
「お金はないです。ここにくる途中、魔石とか薬草を採取したのですがそれで代用できませんか?」
そう言いながら水晶球に触れる。
白く光り門兵はそれを確認して話しかけてきた。
「犯罪歴は無いな。そうだな、冒険者ギルドに登録すれば魔石も薬草も買い取ってくれるしランク表は身分証替わりになる。よし、すぐそこだから俺が付き添ってやろう。まあ、監視も兼ねてるけどな。わははは」
裏表のない兵士のようだ。
こんなお人好しの兵士で大丈夫なのか、こちらが心配になる。
「すみません、助かります」
「いいって事よ。これも仕事だしな」
僕は兵士に案内されて冒険者ギルドまでやってきた。
扉を潜り、その兵士が受付のお姉さんに話をしている。
その間、周りを見渡してどのような場所なのか確認する。
時間的なものか知らないが、人はそれほど多くない。
脇には、テーブルがいくつも置かれており、食事ができるようになっていた。
兵士が手招きしてるので、受付に行く。
受付嬢は20歳前後の女性で愛想良くにこやかにしている。
「ようこそ、冒険者ギルドへ。ハンスさんから登録の手続きを頼まれたのですが、登録されますか?」
「はい、お願いします」
「畏まりました。では、こちらの器具に人差し指を入れて下さい。少しチクッとしますが大丈夫ですか?」
「ええ、お願いします」
針かなんかで採血する器具のようだ。
水晶球と連動しており、その結果がカードに刻まれるようにできているらしい。
僕は身体制御を使って身体の力を出来るだけ抜いた。
そうしないと、針が折れてしまう可能性がある。
指定された場所に指を入れて針が刺さった。
痛みは殆どないが、恐怖耐性がなかったら僕はビビっていたかもしれない。
水晶球が光りその結果が表示される。
そして、必要な事項がカードに刻まれた。
「ケンイチロウ様ですね。年齢は15歳でレベルは5。職業は召喚士という事で間違いありませんか?」
血だけでそれだけの情報を読み取れるのか?
すごい機械だな……
「間違いないです」
「登録料が銀貨5枚ほどかかりますが、ハンスさんから魔石や薬草で代用したいと聞いております。説明事項があるのですが、まずはこのカードを持って奥の受付に行って下さい。そこで買取が終わりましたら、また私のところにきて下さい」
言われるまま、僕は奥の受付に行った。
そこには、スキンヘッドのおっさんがダルそうにこちらを見ていた。
「すみません、魔石と薬草の買取をお願いします」
「おお、わかった。ここに置いてくれ」
ゴブリンの魔石3個とヒポク草、オトハ草を20本づつ台の上に置いた。
「これはゴブリンの魔石か?う~~ん、ゴブリンだと一個銅貨5枚だな。こっちはヒポク草とオトハ草だな。これは需要がある。10束で銀貨1枚だ。という事は銀貨3枚と銅貨5枚になるな」
う~~ん、これだと足りない。
「え~~と、魔獣の遺体があるのですがそれも買取りできますか?」
「はあ、どこにあるんだ?もしかしてアイテムボックス持ちか?」
「ええ、まあ……それで、ここでは狭くて出せないのですが」
普通の学校鞄なんだけどね~~
「わかった、奥の解体場に来てくれ。そこで直接買取をする」
この世界でアイテムボックスは、認知されてる程度には流通しているそうだ。
収納スペースはそれほど大きくないようだが、特に貴重ということもないらしい。
まあ、エイシスの受け売りだけど。
スキンヘッドのおっさんの後をついていき、広い場所に倉庫のような建物が建っている。少し血生臭いに匂いが立ち込めているのでここが解体場なのだろう。
「ここに出してくれ」
「わかりました」
エイシス、何を出せばいい?
『ゴブリンとオークですね。他のものはあらぬ疑いをかけられません』
(わかった)
エイシスと脳内会話をして、ゴブリンとオークをバッグから取り出すフリをしてストレージから引っ張り出す。
「ゴブリン6体とオーク6体か。お前が倒したのか?」
「ええ、魔法で倒しました」
「悪いがゴブリンは使い物にならない。遺体処理を含めると魔石があったとしても赤字になっちまう。だが、オークは素材として使えるし魔石も使えるので買取は可能だ。オーク1体で大銀貨3枚ってとこだな」
ゴブリンは使い物にならないのか?
森に行った時にでも捨てるか……
「わかりました。オークの買取をお願いします。ゴブリンは収納しておきます」
「わかった。じゃあ、さっきの受付のところで待っててくれ」
ゴブリンの遺体をバッグに入れる風を装ってストレージに収納する。
そして、受付で待っているとスキンヘッドのおっさんが来てお金をテーブルの上に置いた。
「合計で金貨1枚と大銀貨8枚、銀貨3枚と銅貨5枚が買取価格だ。明細は必要か?」
「いいえ、それで構いません」
僕が計算して結果と同じだったので文句はない。
スキンヘッドのおっさんはニカっと笑って「また、頼むな」と愛想良く言っていた。
お金を持ってさっきの受付嬢のところに行く。
登録料を大銀貨1枚で支払って銀貨5枚を受け取った。
その5枚の銀貨を飲食ができるテーブルに座っている兵士に渡す。
「おお、確かに。兄ちゃん頑張れよ~~」
と、言われた。
あの兵士はビールみたいなの飲んでるし、僕に付いてきたのってサボりたいから?
釈然としないまま、受付嬢のところに戻り説明を聞く。
「冒険者ギルドはランク制となっています。オリハルコン級ランクから木級ランクまでありまして、初めての方は全て木級ランクからのスタートとなります。ランクによって受けられる仕事が限られていますので、ご注意ください。仕事内容はあちらの掲示板に張り出されていますので、決まりましたらその紙をこちらにお持ちください。
それと、こちらがケンイチロウ様のカードになります。ケンイチロウ様は召喚士といことなので、その~~首に巻きついている白蛇さんが召喚獣なのでしょうか?」
《獣じゃないわよ。神よ神!》
ペロは僕の首を噛みつくのはやめて受付嬢の顔を見ながら紅舌を出し入れし出した。ペロの念話は受付嬢には聞こえていないようだ。
「そうです、名前はペロです」
「そ、そうですか。では、その旨、カードに記載させてもらいます。召喚獣には魔獣と区別するために、リボンとか付けて下さい。それと、召喚獣が他人に被害を与えた場合、召喚主の方の責任となりますのでご注意下さい」
「わかりました」
どこかでペロのリボンでも買おうか……
《私、ピンクがいい》
(わかったよ)
「こちらがケンイチロウ様のカードとなります。無くしますと再発行するのに大銀貨1枚必要になりますので無くさないように注意して下さい。それと、これはギルドの規約と冒険者を始める方のガイドブックです。必ず目を通して下さい。もし、わからない点が御座いましたら、私、サーシャにお聞きくださいね」
サーシャさんって言うらしい。
綺麗なお姉さんって感じだ。
「わかりました。その時はお願いします」
「はい、お願いされました」
と、受付嬢のサーシャはニコって笑った。
あの笑顔に騙される男がいるんだろうなあ~~と、捻くれた感想を抱いた。
参考資料 貨幣価値
ーーーーーーーーーーーー
銅貨1枚………100円
銀貨1枚………1000円
大銀貨1枚……10000円
金貨1枚………10万円
大金貨1枚……100万円
白金貨1枚……1000万円
ーーーーーーーーーーーーー
冒険者ランク
オリハルコン級
ミスリル級
金級
銀級
銅級
鉄級
木級
ーーーーー
201
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