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第3話 書斎で発見
しおりを挟む書斎は、隣の部屋だった。
窓から見える景色は上々だ。眼下には、街が広がっていた。
俺は、ここら辺一帯を治める男爵のようだ。
記憶はある程度引き継がれているが、前の人格は完全に消えている。
俺は、机に座り、積み上げられている資料に目を通す。
見たことない字だが、ちゃんと読める。
俺は、ペンを取り、インクにつけて文字を書いてみた。
「お~~ちゃんと書けるぞ」
それだけで、結構、感動する。
言葉もさっきせむし男と会話したから問題ないはずだ。
となると、俺は、男爵として生きていかねばならないって事だ。
「しかし、領主って何するんだ? 」
先ずは、そこから始めないとマズイのではないかと思い、手当たり次第、資料に目を通す。
「なになに、領民から税を取り立て、国に男爵領分の奉納金を一年分納めれば良いのか~~」
確か、ここは、ルノワード帝国、俺は、この国の辺境に位置する3つの村とここハイドの街を治めている。
(お婆ちゃん、お爺ちゃんの世話しかできない俺に領地経営なんて出来るのだろうか……)
その時、書斎のドアをノックする音がした。
「旦那様、お食事をお持ちしやした」
「中に入ってテーブルに置いといてくれ」
「よろしいのですかい? あっしが入っても……」
その時、胸が痛くなる。
「痛っ! 」
(まさか、疑っているの? そうか、こいつは、せむし男を書斎に入れなかったんだ……)
「いつもの通りにドアの外に置いておけ! 」
「へい、わかりやした」
胸の痛みが治まったよ~~良かった~~ふぅ……
これでわかった。
俺は、こいつになりきる事は無理だと……
死にたくないし、痛いのも嫌だし、どこかに逃げて新しい人生を送ればいいんだ。
そうと、決まれば、先立つ物は、お金、お金と……
前の持ち主の記憶でお金がある隠し扉の場所はわかっている。
しかも、書棚に並んでいる本をある順番で押し込むと自動で開く、優れものの装置だ。
俺は、本を差し込み、隠し部屋の扉を開いた。
なにこれ、金貨の山だ……
隠し部屋の中には、金貨の山のほか、宝石など見るからに高価そうな物ばかりある。
「凄い……」
俺は、しばらく、その眩いほどきらめく財宝を見て呆然としていた。
「あれ、これなんだ? 」
この場所に似つかわしくない大きくて汚い麻袋がある。
俺は、その中を見て、言葉も出なかった。
そこには、男の死体が詰まっていた……
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