付き合う前から好感度が限界突破な幼馴染が、疎遠になっていた中学時代を取り戻す為に高校ではイチャイチャするだけの話

頼瑠 ユウ

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1章

第十六話:楽しい時間

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 ――クエストの制限時間が残り二十分となった頃。

 戦況は膠着し、戦場は崖のあるエリアに移った。

「って事で、チャンス到来だ」

「私がベッドに座ったから、横目で脚見放題って事?」

「そう――じゃ、ない、よ? 見てないよー、ゲームの話だヨー?」

「……ちょっと暑いなー」

 綾乃は少しだけ、スカートをたくし上げた。

 悠斗は一度、プレイミスをして体力を減らしながらも、

「今回のアップデートでは強化も入っている。俺の『バスターランサー』は強くなっているのさ!」

「へー?」

 クスクスと笑う綾乃に背を向けて、

「今まであった到達高度が解放され、エリアにあるオブジェクトの全てに登れる様になったのだ! つまりは――こう!」

 悠斗は崖に向かいシュバァッっとワイヤーを射出し、ブォワッっとブースターで上昇する。

 シュバァッ! ブォワッ! シュバァッ! ブォワッ! と繰り返し、崖の最上にへばり付く。

「どうだ!」

「悠斗素敵! 網戸に張り付くセミみたい!」

「ツクツクボーシ!」

 ちゃうねん! と、自身でツッコみ、右スティックでカメラを操作し暴れる竜人を画面に捉える。

「スキル《襲墜牙《しゅうついが》》は、上空から繰り出す落下技。発動する高度が高い程、攻撃力が上昇する! ということは!?」

「最高高度からの落下なら、威力は跳ね上がる!」

「イエス!」

「じゃあ、待って……! 《麻痺矢》撃つから。一発二発三発――はい、麻痺った!」

「イエェスぅ!! 行くぜ……行くぜ――とぉぅ!!」

 壁ジャンプと共にブースター移動。

 スキルを発動させ、操作キャラが下に突き出す様に大型ランスを構えた。

 ブースターを併用し、猛スピードで落下する。

「おらぁああぁー!!!! ――――――――――ぁ」

 悠斗の雄叫びの語尾が弱くなる。

 直後、ベターン!! と、彼のキャラがギャグ漫画みたいに地面に張り付いた。

 緑色の体力ケージが、一瞬で赤く染まり全損。


 綾乃のゲーム画面に『プレーヤー2 死亡:残り2回。リスポーンまで30秒』と表示される。


「――え?」

 彼女の呆け顔に、

「狙いが逸れて、普通に落下死しちゃったZE」

「何、やってんの……?」

「頭部クリティカルヒットを狙ったけど、的がちっちゃくてダメだったZE」

「何やってんの!」

「――やっちゃったZE」

「やりやがったわね!!」

 キャー! と綾乃が叫びながら麻痺が消えて暴れる竜人から逃げ回る。

「てへぺろ♪」

「そういうの良いから、早く戻って来てくんないかしら!?」

 プレーヤーが一人になった為に、集中攻撃を受ける綾乃は、悠斗のゲーム機から、聞き覚えのある独特な効果音を聴いた。

 シャッ、シャッ、シャッ――シャキーン!

「武器研いでなぁいぃ!?」

「いやーだって、鉛筆とランスは先っぽ、尖がってた方が良いじゃん?」

「折れてしまえ! 削り過ぎて鉛筆削りから出した瞬間に折れてしまう芯の様に折れてしまえ!」

 じゃらぁっちゃ♪じゃらぁっちゃ♪じゃらぁっちゃ、ちゃ♪――じゃん♪……おぉぅ(落胆)

「肉焼いて失敗してんじゃないわよぉ!!」

「上手く焼くコツってなんだろね?」

「最後の『じゃん♪』よりワンテンポ遅いタイミングでボタン押すと丁度良いから、後で試してみて!」

「え―マジー? まだ肉あったかな……」

「あ、と、で!! もう、良いから早く来て! 早く、ユート! 早く来て!」

「――俺はお前の傍にずっと居るよ?」

「くそぅ! ちょっとトキめく……。――じゃないわよ、とっとと来いよ!」

「わーってる、わーってる。もう着くよー……ほら、着いた!」

 『バスターランサー』の機動力でフィールドを駆け抜けてようやく合流する。

「待たせた――――なぁああぁああ!?」



『プレーヤー2 死亡:残り1回。リスポーンまで30秒』



「自分からブレスに突っ込んでんじゃないわよ!!」

 綾乃のゲーム機から、ピコン♪とチームチャットの通知音。


『てへぺろ(・ω<)』


「そういうの良いからぁ!!」

「あははは!」

「笑ってんじゃないっての!」

 悠斗の操作キャラの最後の再出撃準備が整う時間に、



『プレーヤー1 死亡:残り2回。リスポーンまで30秒』



「って私も死んだー!?」

その通知に悠斗は腹を抱えて身悶えた。

「綾乃綾乃!」

「何よぉ!?」

「俺、このゲームしてて今が一番楽しい!」

「私もよ!!」
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