踏み出した一歩の行方

たがわリウ

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ぐちゃぐちゃの感情

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ブー、ブー、と震えて着信を知らせるスマフォの画面には『多崎 空』の名前。
ベッドに横になりながらぼうっと眺めていると、震え続けていたスマフォが大人しくなる。画面を付けると、着信とメッセージアプリへのメッセージが大量に届いていた。
一日経っても空のことが分からなくて、そして自分の気持ちもぐちゃぐちゃで、空からの連絡には一回も返事をしていない。
また画面を暗くして、はぁ、とため息を吐く。どうしてこんなことになってしまったんだと思いながら、ようやくベッドから体を起こした。


「あれ、神田ひとり?多崎は?」
「ほんとだ、珍しい」
「今日は別々」
「なに、喧嘩?」
「まぁそんなとこ」
「ますます珍しい」

じゃあここいい?と空いている隣のふたつの席に座ってきた男友達は、俺と空が一緒に居ないことを珍しがる。
そんなに珍しくもないだろうと反論しかけたが、思い返してみると確かにいつも隣に空がいたため口を閉じた。

「あ、あれ多崎とミスコン優勝者の先輩じゃん」
「ほんとだ。アピールされてるって噂本当だったんだ。羨ましいなぁ」

隣の会話に教室の入口を見ると、空と美人の女性が入ってきたところだった。ミスコン優勝者だという女性は大胆にも空の腕に絡みつき、なにやら楽しげに話しかけている。
あぁ、空困ってるんだろうな、と思ってすぐに、なんで空の心配なんか、と急いで思考を止める。

「多崎イケメンだもんなぁ」
「性格も良いしな」
「俺ら勝ち目ないじゃん」
「うわ、虚しい」

確かに空はイケメンで性格も良く、誰とでも仲良くなれるタイプだ。そのためモテる。
虚しいといいつつも隣では笑い声が続く。そんな緩い会話に混ざれたらいいのに、と思っている俺の視線が、不意に後ろを振り返った空とぶつかった。
一瞬だけ重なった視線の先で、空は申し訳なさそうに眉を下げ、そして安堵の表情を見せる。その顔から、俺が授業に出ていることに安心していることが伝わってきた。
どっどっ、と急に速さを増した心拍を落ち着けようと視線を外し息を長く吐く。次に視線を上げた時には、空と先輩はふたりで空いていた席に座っていた。
そんなふたりの背中を見て、面白くない感情が湧き上がる。俺のことが好きなんじゃなかったのかよ。空の隣は俺の席だったのに。
そんなことを思って、ふと自分が拗ねていることに気づく。
空の気持ちを受け止めないで逃げたのは自分なのに、嫉妬とも呼べるような感情を抱く自分に呆れてまたため息を吐いた。
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