6 / 16
6
しおりを挟む
ー医務室
看護師のミス.フローレンがヴィオラの一番酷い腕の傷をヒーリング魔法で治癒する。
決闘はヴィオラの敗北だった。
戦略は確実にヴィオラの方が勝っていた。しかし、ことごとく力業でねじ伏せられたのだ。
唇を噛み締めているとキャロルをはじめとしたファンたちがぞろぞろとお見舞いにやってきた。
「ヴィオラ様お怪我の具合は大丈夫ですの?」
キャロルは自分のことのように悔し泣きしている。
人というのは自分より取り乱している人を見ると逆に落ち着けるものだ。自然な笑顔を作ることができた。
「ミス.フローレンのお陰で綺麗に治りそうですよ」
「折角こんなにも美しい手なのですもの。傷跡は残せないわ」
ミス.フローレンはまさに白衣の天使と言った微笑みでそう言った。
学園の男子生徒がこぞって憧れるのも頷ける。
「授業はあと2コマあるのでしょう?
もう1時間は休んでいったら?他の細かい傷も治してあげる」
彼女の言う通り、ヴィオラは1時間たっぷり休んでから起き上がる。
どこにも痛みはなく、傷もすっかり綺麗だ。
「ありがとうございました」
最後の授業に出ようと思って気がつく。
よりにもよって魔力安定科だ…。
1時間サボろうかしらとも思ったが、変に意識するのもシャクだし…それに…
それに、キースに負けたことは悔しかった。
凄く悔しいから、今日もヨズキの部屋を訪ねる予定だったのだ。
魔力安定科の教室に入り、キャロルとルーナの近くに座る。
「ヴィオラ様、もう大丈夫なんですか?」
「魔安なんてサボっちゃってもいいんじゃないですの?」
「大丈夫です、心配ありがとう」
そう言ったところでヨズキが教室に入ってきた。
「授業始めます、教科書102ページ」
相変わらず気だるけな声だ。
今日の髪には寝癖がついている。
あのやる気のないだらしない男がサディストだと誰が思うだろうか。
…もう少し髪を整えて顔色を良くすればそこそこカッコいいだろうに……。
余計なことを考えてしまったので頭を振って変な考えを追い払う。
「魔力の質を安定させるにはバランスの取れた食事と7時間以上の睡眠と適度な運動…」
教科書の内容にヴィオラは「やってるわよ!」と心の中でキレる。
それをやってても、キースに敵わなかった。
幼い頃から血のにじむような努力してきた、それなのにそんな性行為ひとつで負けてしまうなんて、なんて虚しいのだろう。
でも、本当に性行為だけでこんなに実力差が出てしまうのだろうか?とも思ったが、それこそ恐ろしい。
そうだとするなら、それは決定的な敗北を意味するのだから。
ヴィオラは今、あのドSに頼るしかないのだ。
それにしても…
ヨズキは一度もこちらをチラリとも見ない。
全く意識してない。他の生徒と全く同じかのように、もしかしたら気づいてないんじゃないかと思うほどに見ない。
ヴィオラはキースに負けたフラストレーションもあって、久しぶりにイライラした。
授業後、ノックもせずに魔力安定科の教員室に入る。
作業中のヨズキはチラリと見てまた背を向けた。そのままの状態でヴィオラに話しかける。
「来ると思いました。フォックスにボコボコにされたそうですね」
「…ご存知なんですね」
「学園中が知ってますよ」
ヨズキは何か書き物をしていた紙の束をまとめてその辺にポンと置くと、振り返りながらタバコに火をつけた。
「まぁあまり気を落とさんことです、決闘は体格差があると不利ですし貴女は処女だし」
「だから来たんです」
ヴィオラは顔を赤くしながらヨズキを睨む。
「今日は、だから…私が途中で嫌だと言っても最後まで…よろしくお願いします…」
たどたどしくそう言うと、ヨズキはキョトンとしたような顔をしてから、クスクスと堪えるような笑いをする。
「ふふっ、いやあ…今のはマズいですよ」
まだ火をつけたばかりの長く残ったタバコを消した。
「今のおっしゃりかたは良くない」
「な、何故です」
ヴィオラに近づくと少し痛みを感じるほど強く顎を掴んで上げる。
「泣くまで虐めたくなる」
看護師のミス.フローレンがヴィオラの一番酷い腕の傷をヒーリング魔法で治癒する。
決闘はヴィオラの敗北だった。
戦略は確実にヴィオラの方が勝っていた。しかし、ことごとく力業でねじ伏せられたのだ。
唇を噛み締めているとキャロルをはじめとしたファンたちがぞろぞろとお見舞いにやってきた。
「ヴィオラ様お怪我の具合は大丈夫ですの?」
キャロルは自分のことのように悔し泣きしている。
人というのは自分より取り乱している人を見ると逆に落ち着けるものだ。自然な笑顔を作ることができた。
「ミス.フローレンのお陰で綺麗に治りそうですよ」
「折角こんなにも美しい手なのですもの。傷跡は残せないわ」
ミス.フローレンはまさに白衣の天使と言った微笑みでそう言った。
学園の男子生徒がこぞって憧れるのも頷ける。
「授業はあと2コマあるのでしょう?
もう1時間は休んでいったら?他の細かい傷も治してあげる」
彼女の言う通り、ヴィオラは1時間たっぷり休んでから起き上がる。
どこにも痛みはなく、傷もすっかり綺麗だ。
「ありがとうございました」
最後の授業に出ようと思って気がつく。
よりにもよって魔力安定科だ…。
1時間サボろうかしらとも思ったが、変に意識するのもシャクだし…それに…
それに、キースに負けたことは悔しかった。
凄く悔しいから、今日もヨズキの部屋を訪ねる予定だったのだ。
魔力安定科の教室に入り、キャロルとルーナの近くに座る。
「ヴィオラ様、もう大丈夫なんですか?」
「魔安なんてサボっちゃってもいいんじゃないですの?」
「大丈夫です、心配ありがとう」
そう言ったところでヨズキが教室に入ってきた。
「授業始めます、教科書102ページ」
相変わらず気だるけな声だ。
今日の髪には寝癖がついている。
あのやる気のないだらしない男がサディストだと誰が思うだろうか。
…もう少し髪を整えて顔色を良くすればそこそこカッコいいだろうに……。
余計なことを考えてしまったので頭を振って変な考えを追い払う。
「魔力の質を安定させるにはバランスの取れた食事と7時間以上の睡眠と適度な運動…」
教科書の内容にヴィオラは「やってるわよ!」と心の中でキレる。
それをやってても、キースに敵わなかった。
幼い頃から血のにじむような努力してきた、それなのにそんな性行為ひとつで負けてしまうなんて、なんて虚しいのだろう。
でも、本当に性行為だけでこんなに実力差が出てしまうのだろうか?とも思ったが、それこそ恐ろしい。
そうだとするなら、それは決定的な敗北を意味するのだから。
ヴィオラは今、あのドSに頼るしかないのだ。
それにしても…
ヨズキは一度もこちらをチラリとも見ない。
全く意識してない。他の生徒と全く同じかのように、もしかしたら気づいてないんじゃないかと思うほどに見ない。
ヴィオラはキースに負けたフラストレーションもあって、久しぶりにイライラした。
授業後、ノックもせずに魔力安定科の教員室に入る。
作業中のヨズキはチラリと見てまた背を向けた。そのままの状態でヴィオラに話しかける。
「来ると思いました。フォックスにボコボコにされたそうですね」
「…ご存知なんですね」
「学園中が知ってますよ」
ヨズキは何か書き物をしていた紙の束をまとめてその辺にポンと置くと、振り返りながらタバコに火をつけた。
「まぁあまり気を落とさんことです、決闘は体格差があると不利ですし貴女は処女だし」
「だから来たんです」
ヴィオラは顔を赤くしながらヨズキを睨む。
「今日は、だから…私が途中で嫌だと言っても最後まで…よろしくお願いします…」
たどたどしくそう言うと、ヨズキはキョトンとしたような顔をしてから、クスクスと堪えるような笑いをする。
「ふふっ、いやあ…今のはマズいですよ」
まだ火をつけたばかりの長く残ったタバコを消した。
「今のおっしゃりかたは良くない」
「な、何故です」
ヴィオラに近づくと少し痛みを感じるほど強く顎を掴んで上げる。
「泣くまで虐めたくなる」
0
あなたにおすすめの小説
ハイスペックな男(対象外)と私
イセヤ レキ
恋愛
神崎(かんざき)莉子(りこ)、27歳。
ハイスペックな男に恋をし、自分磨きに5年程邁進していた結果、その男はあっさりと新入社員にとられてしまった。
傷心した莉子の前に現れたのは━━?
ギャグ/ほのぼの//現代/社会人/ハッピーエンド/日常
密室に二人閉じ込められたら?
水瀬かずか
恋愛
気がつけば会社の倉庫に閉じ込められていました。明日会社に人 が来るまで凍える倉庫で一晩過ごすしかない。一緒にいるのは営業 のエースといわれている強面の先輩。怯える私に「こっちへ来い」 と先輩が声をかけてきて……?
禁断溺愛
流月るる
恋愛
親同士の結婚により、中学三年生の時に湯浅製薬の御曹司・巧と義兄妹になった真尋。新しい家族と一緒に暮らし始めた彼女は、義兄から独占欲を滲ませた態度を取られるようになる。そんな義兄の様子に、真尋の心は揺れ続けて月日は流れ――真尋は、就職を区切りに彼への想いを断ち切るため、義父との養子縁組を解消し、ひっそりと実家を出た。しかし、ほどなくして海外赴任から戻った巧に、その事実を知られてしまう。当然のごとく義兄は大激怒で真尋のマンションに押しかけ、「赤の他人になったのなら、もう遠慮する必要はないな」と、甘く淫らに懐柔してきて……? 切なくて心が甘く疼く大人のエターナル・ラブ。
続・上司に恋していいですか?
茜色
恋愛
営業課長、成瀬省吾(なるせ しょうご)が部下の椎名澪(しいな みお)と恋人同士になって早や半年。
会社ではコンビを組んで仕事に励み、休日はふたりきりで甘いひとときを過ごす。そんな充実した日々を送っているのだが、近ごろ澪の様子が少しおかしい。何も話そうとしない恋人の様子が気にかかる省吾だったが、そんな彼にも仕事上で大きな転機が訪れようとしていて・・・。
☆『上司に恋していいですか?』の続編です。全6話です。前作ラストから半年後を描いた後日談となります。今回は男性側、省吾の視点となっています。
「ムーンライトノベルズ」様にも投稿しています。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
暁はコーヒーの香り
氷室龍
恋愛
一之瀬明日香 28歳 営業二課主任
大口契約が決まり、打ち上げと称して皆で美味しくお酒を飲んでいたのだが…。
色々ハイスペックなのを隠してるOLとそんな彼女をどうにかしてモノにしたくてたまらなかったおっさん上司の体の関係から始まるお話
『眼鏡の日』『ネクタイの日』『コーヒーの日』ってワードから思い付きで書きました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる