私の人生リスタート

雷衣

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第二章

第28話

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「あのさ、2人とも最近忙しそうだけど何かあった…?」
と、セリーナが不思議そうに聞いた。
「制圧に行く準備と、婚約者の発表、ルーチェは認定試験もあるからな…。」
とランデルがルーチェの方を見て言った。
「2つ、3つも重なると大変よね…。どちらも、結構重要だし…。」
「そっか…。大変ね…。」
「でも、セリーナの日頃の生活よりはマシだと思うぞ。」
と、ランデルが笑顔で言った。
「そうよ。あの厄介な令嬢と関わらないからね。人間関係が1番大変よ。お互い頑張らなきゃね。」
と、ルーチェもランデルに続くように言った。
「そういえば、リシアール侯爵令嬢がこの前殿下の前で無礼なことをしたせいで、殿下や陛下からの信頼も下がったせいで八つ当たり状態よ。」
と、セリーナが笑って言った。
「令嬢が無礼を…?」
と、ルーチェと、ランデルが声を揃えて言った。
「あら、聞いてない?この前、陛下と殿下と令嬢で食事をしていたみたいなんだけど、ルーチェの認定試験の話になって、令嬢が女なのに剣を握ることに対して批判したみたいなんだけど…、」
「わ、私?! 」
と、ルーチェが驚いて言った。
「うん。でも、女だからなんだって陛下が仰ったの。これまで男の人にしか出来ないと思われていた騎士をチュトラリー公爵令嬢が、女人でも出来ると証明してくれたんだ、とも仰っていたわ。」
「あれ?私って女性初の騎士なの…?」
と、ルーチェは、2人を見て言った。
「そうだぞ。知らなかったのか?!」
と、ランデルが驚いたように言った。
「そんなこと気にしたこと無かったから…。」
「反対派もいるみたいだが、陛下がそんな風に仰ってくださるのなら心強いな。」
「そうね…。」
(リンデン侯爵からかなり前に刺客の件について言われてから何も起こっていない。いい事なんだけど…。ソードマスターになったから怖気付いているのかしら。)

「ルーチェ、あの招待状どうするの?」
と、セリーナが聞いてきた。
あの招待状とはフリジア伯爵令嬢から送られてきた招待状の事だった。
「断るのもあれだし一応行く予定よ…。セリーナは?」
「私は、迷ってたんだけど、ルーチェが行くなら行こうかな…。」
「頑張りましょ。」
(ランデルは、制圧の準備、婚約者の発表、認定試験って言ってたけど、それだけじゃないのよ…。認定試験終わっても気が抜けないわ…。フリジア伯爵令嬢のサロンに行かなきゃ…。気が重い…。)
「今日はありがとう。」
と、ルーチェがセリーナにお礼を言った。
「いえいえ、私も楽しかったわ。」
と、セリーナが笑顔で答えた。
「それなら良かった。」
と言ってラグチェ家の馬車を見送った。

「令嬢、お気をつけて。」
と、リンデン侯爵から帰り際に言われた。
(刺客のことかしら…。)
「ありがとうございます。本日は、ありがとうございました。侯爵様もお気をつけて。」
と、ルーチェは笑顔で答えた。
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