孤高のミグラトリー 〜正体不明の謎スキル《リーディング》で高レベルスキルを手に入れた狩人の少年は、意思を持つ変形武器と共に世界を巡る〜

びゃくし

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第八十八話 貴方はワタクシの英雄ですの?

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 いまにして思えばワタクシがあの方を強く意識したのは、この場面だったのかもしれません。
 何でもない一つの提案。
 ワタクシたちが迷い次の行動に移せなかったあの時に発せられた言葉。
 
「……俺に一つ案がある」

 そう神妙な面持ちで提案したエクレアさんのお兄さんは、誰に何と言われようとも自らの意見を曲げることのない信念をお持ちでした。
 いまなら、あの光景を見た後ならそう思えますわ。





 ワタクシが長年子宝に恵まれることのなかったヴィンヤード家に生を受けた時、両親はそれはもう周りの貴族家の方々や配下の方々までもドン引くくらい歓喜していたとそう聞き及んでおります。

 父から受け継いだ紅く透き通った情熱を宿した瞳、母から受け継いだ絹のような滑らかな金糸の髪。
 両親の惜しみない愛を胸に、貴族の教示を教わり育ち、家庭教師からは魔法に関して天賦の才があると褒め称えられる今年のトルンティア王立学園入学者の中でも数少ない上級魔法因子習得者。

 そうワタクシの名はプリエルザ・ヴィンヤード。

 ヴィンヤード家の長女にして唯一の嫡女。
 最も国王陛下が認めなければ貴族の位を引き継ぐことは出来ませんからいまはただの淑女の一人。
 毎晩従者のフィルランタが丁寧に整えてくれる、母から受け継いだ金の髪はワタクシの自慢の一つ。

 貴族の淑女の髪型を熟知しているフィルランタから教わった、この縦ロールという流行りの髪型はワタクシのお気に入りですわ。

 愛情をもって接して下さる両親も、ワタクシ以外に子供のいないこともありその期待は大きなものでした。
 ですが、そんな両親の期待に答えるため、ワタクシは努力を惜しみませんでしたのよ。

 礼儀作法から始まり、丁寧で貴族に相応しい言葉遣い。
 常に自らを磨くことを忘れず、一流の家庭教師に師事し、勉学を弛まない。

 そんな自身を高める行為の中でも、ワタクシにとって最も得意であったのは魔法に関することでしたわ。
 ステータスに初めから記されていた闇魔法は、ワタクシの努力も相まって花開くようにその才を発揮していった、とはお父様のお言葉です。

 そんなワタクシが学園に入学できたのは必然といって良いでしょう。

 課外授業を受けるに当たってワタクシの懸念だったのは同じ班に誰を選ぶかということ。

 残念ながらフィルランタとラパシュ、二人のワタクシの専属従者を連れていけないと聞いた時には、この可愛らしい耳を疑ってしまいましたわ。

 まったくレリウス先生には困ったものですわ。

 ワタクシは同じ班の一員として、ワタクシですら使うことの出来ない回復魔法を習得し、読書が趣味だとおっしゃる物静かなエルフの女性フィーネさん、カイル男爵家のお嬢様でありながら常日頃から陽気なミケランジェさん、商人を目指すといって何故か付き纏ってくるエリオンさんの三人を伴って課外授業に赴くことになりました。
 
 そして、ワタクシたちは巻き込まれることになってしまったのですわ。
 数多の瘴気獣が闊歩する魔窟と化した迷わずの森の、忘れることの出来ない出来事に……。





 始まりは課外授業五日目、ワタクシたちの班だけでの単独行動の時間の時でした。

 唐突に現れた灰色の瘴気を纏った瘴気獣。
 あまりの非現実的な出来事に不意をうたれ、はしたなくも下品な叫び声を上げてしまったのは、貴族の嫡女としてあるまじき行為でしたわ。

 なんとかワタクシの高貴な魔法で瘴気獣を倒し、事なきを得たものの、迷わずの森のそこかしこから雄叫びのような声は、ワタクシたちだけが迷わずの森に取り残されてしまったと焦りと不安をもたらしたのはいうまでもありませんわ。

 ですが、偶然にも出会うこととなったエクレアさんのお兄さん率いる別の班の方々は、心細かったワタクシたちの心に僅かな希望をもたらしてくださいました。

 その後に遭遇することとなる黒いカマキリ、トールマンティス、その瘴気獣。

 激戦でしたわ。

 勝てるかどうかすらわからない相手。
 気丈に振る舞っても立ち向かう勇気すら折れてしまいそうな敵。

 ですが、ワタクシの周りには守るべき仲間がいる。
 ワタクシを信じて時間を稼ぎ、一緒に戦ってくださる友がいる。

 それだけで勇気をもらえましたの。

 



 途中、疲れ切ったワタクシたちの前に立ち塞がった瘴気獣を、氷魔法の一撃と共に撃破して下さったルインさんとおっしゃるエクレアさんのお兄さんのお知り合いを一行に加え、漸く拠点への帰還を果たしたワタクシたちを待ち受けていたのは想像だにしない現実でした。

 王都の御屋敷との余りの格差にショックを受けながらも、やっと慣れてきたテント生活。
 外でいただくお食事がこんなにも美味しいものだと教えてくれた、皆で囲んだ木製の食卓。

 あらゆるものが壊され、荒らされ、形を失っていってしまう直視に耐えぬ光景。

 そこで見たのはレリウス先生たちに襲いかかるカオティックガルムの瘴気獣でしたわ。

 率直にいってワタクシたちは悩みました。

 体力も魔力もなく、ワタクシたちの敵わないだろう強敵を前に、どう行動するのか。

 複数の瘴気獣たちが暴れ回る異常な状況で、なにをできるか。

 エクレアさんのお兄さんによって風前の灯だった魔力が半分近く回復した時、民を守る貴族としてワタクシの意思は決まっていました。
 ですが、他の方にまでその考えを強制することなど出来ません。

 辛そうな表情のフィーネさんたちを置いてワタクシたちは、レリウス先生たちの戦う拠点に近づきました。

 近づいて尚その脅威を実感させるカオティックガルム。
 かの瘴気獣を前にして、ワタクシの最大威力を魔法を当てるにはどうすればよいのか思案する中、エクレアさんのお兄さんはおっしゃいました。

「……俺に一つ案がある」

 それはワタクシたちが考えてもいなかったシンプルな答え。
 魔法を当てる隙を作れないなら、作れる相手に頼もうというある意味で他力本願な方法。

「俺がレリウス先生たちに知らせにいく。ここに戦況を変化させられる一手があることを」

 暫しの沈黙がありましたわ。
 誰もが無謀だと考えていました。

「それは……一人でいくってこと? この至るところで衝撃波の飛び交う戦場を抜けてレリウス先生たちの元まで一人で……」

「ああ」

「……ボクは賛成だ。この状況で彼らに何も知らせず高威力の魔法を放てたとしても徒労に終わる、あるいは状況を悪化させる結果になりかねない。なら盾を十全に扱えるクライに連絡役としていってもらうのは間違ってないと思う」

 エクレアさんがキッとルインさんを睨みました。
 彼女のあんな表情は見たことがありませんでしたから、少し怖かったのは内緒ですわ。

「……本当に行くつもりですの? ここを通り抜けるには怪我だけですまない可能性もありますのよ?」

 カオティックガルムの攻撃の余波は周囲の環境を一変させていましたわ。
 木々は折れ、大地は剥き出しになり、陥没、瓦礫の山のようになった箇所も見受けられます。

 何よりルインさんの説明してくださった聖属性と呪属性を併せ持ったかのような未知の属性は危険過ぎますわ。
 何故なら聖属性はともかく呪属性は、生命を有するものに対して絶大な威力を発揮する特性をもちます。
 あの黒と白の波動のようなものを受けただけでその身に重大なダメージを負うことが予想されますのよ。

 ですが、ワタクシの説明にもエクレアさんのお兄さんは一歩も引きませんでした。
 
「あの不利な状況を覆せるなら……俺にできることならやりたいんだ」

「……」

「エクレア、頼む俺にいかせてくれ。俺にレリウス先生たちの力にならせてくれ」

 暫くののち、エクレアさんは結局はお兄さんの提案を飲むことになりましたわ。
 ですが、その表情はいつもの感情の伺えないお顔と違って、悲しそうに見えたのはワタクシの気のせいではないと、そう思いますわ。





 天高く突き進む合図の鳴り矢の甲高い音が、ワタクシの耳に魔法を放つ絶好のタイミングを教えて下さいますわ。

 エクレアさん、セロさん、ルインさんの護衛の元、隠れていた場所から魔法を放つべき地点へ移動してその音を待っていたワタクシは、恐らく熟練した水魔法の使い手により行き場を失ったカオティックガルム目掛けて必殺の魔法を放ちます。

「近寄ってきた魔物は僕たちが抑えるからプリエルザさんはそっちに集中して!」

「【アイスボール・ダイブ3】! 彼女には近づけないよ!」

「……【ブルームアロー4】」

「守ってくださる、共に戦ってくださる仲間の助力を得たこの魔法、外す訳にはまいりませんわ!」

 さあ、見せて差し上げましょう。
 ワタクシの魔法を!!

「いきますわよっ! 【ダークキューブ・バリスタ】!!!」

 前方にかざした両手の中央を始点に、ワタクシの必殺の一手、高貴なる魔法が結実します。

 それは、彼方へと進む架け橋。

 空に黒いアーチを描き、我が敵を穿つ城塞崩しの一矢。

「当たった!」

 セロさんが大仰に驚いています。
 ですけどこれは当然のことですわ。

 見事に胴体に命中したワタクシの魔法はカオティックガルムに強烈な痛手を負わせたのは明白でしたわ。
 しかし、かの瘴気獣の耐久力はハンパではないものでした。

 そして、その行動も予想できるものではありませんでしたの。

「ぐ……なんだいまの咆哮は……」

「あの未知の属性を叫びに乗せたのか? こんなことまでできるなんてね。瘴気獣は本当に恐ろしい相手だ」

 ワタクシの魔法を受けても今だ健在なカオティックガルム。
 吹き飛ばされたレリウス先生たち四人は、それでも立ち向かおうと遠目からもボロボロの身体で立ち上がっていました。

 そして、そこに合流するワタクシたちの送り出した男の子が一人。

 その時ワタクシの視界の端で動く影がありました。
 それはいまにも戦場の中心に走りだそうとする影。
 
「エクレアさん! 何を、何すするお積もりですの!」

「……兄さんの元へ」

 振り返ったエクレアさんの表情を見てワタクシは悟りました。
 ああ、もう彼女を誰も止めることはできないのだと……。

 勿論ワタクシは止められないからといって、ただ突ったっているだけの女ではありませんことよ。

「……ワタクシたちも貴女についていきますわ。ですから、一人でいこうなんて考えないで下さいまし!」

 啖呵を切るワタクシにエクレアさんは初めて驚いた表情を見せて下さいました。
 それが、なんだか可笑しくてちょっと笑ってしまったのはワタクシだけの秘密ですわ。

 



「く……」

 二度目の衝撃を伴った咆哮。

 走り寄った戦場ではバラバラに吹き飛ばされてしまったレリウス先生たちがいます。
 それが致命的な隙だと近づいていたワタクシたちにもわかってしまった。

 舞う鮮血。

 予想だに、予想したくなかった事態。

「レリウス先生ッ!!」

 レリウス先生に走り寄るエクレアさんのお兄さん。
 負傷の代わりに与えた反撃で倒れるカオティックガルム。

 ワタクシたちはまだ距離が遠い。
 見守ることしか出来ない。

「不味いよ。誰も助けにいけない」

「ボクの魔法でも届かない距離だ。……あのカオティックガルムがもう一度立ち上がるようなことになったら……」

 ルインさんの不吉な予想は残念ながら当たってしまいましたわ。
 左目から灰色の瘴気を撒き散らしながらも再び立ち上がるカオティックガルム。

 ワタクシたちは英雄を見ましたわ。

 たった一人の戦う英雄の誕生を……。

 大地割く爪を躱し、その右手の蒼銀の盾で弾く。

 荒れ狂う巨体の躍動を押さえつけ登り、長い体毛を掴んで決して離さない。

「兄さん!」

 身体を、生命を蝕む黒と白の波動。

 それすらも意に介さず、決死の表情で振り解こうとするカオティックガルムの左目に致命の一撃を加える。

 これが英雄の所業でなくてなんというのですの?

 カオティックガルムが灰色の瘴気となって消えていったその場に……彼は立っていましたわ。

 すでに意識はなく、その身体は真紅の血に染まっていたとしても。

 貴族は民を守るもの。
 
 ワタクシはずっとそう教わってきましたわ。
 魔物や瘴気獣と戦うすべを持たない遍く民を、私利私欲なく救うこと。
 両親を尊敬するワタクシはそれを疑っていなかった。
 
 でもある日疑問に思ってしまいました。

 ならワタクシは?
 ワタクシを守ってくださるのは誰なの?

 誰にも相談出来ない悩み。
 胸の内に秘めた秘密。

 でも、ワタクシは今日出会ってしまった、立ち会ってしまった。

 英雄の誕生する瞬間に。

「孤高の……英雄」

 たった一人、強大な敵にも臆することなく立ち向かう孤高の英雄。

 彼は……。
 
 彼なら……。

 貴方は、貴方はワタクシの英雄ですの?

 ワタクシの儚い呟きは、静けさを取り戻していた戦場の空気に消えてなくなってしまいましたわ。
 それが残念でならなかった。
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