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ダルシムはアリシアが持っていた手紙を全部見直した。
自分が送ったものと、そうでないものを時系列順に分けて、考え込んでいる。
「相手は確実に手紙の内容を読んでいる。僕らの筆跡を真似て、それを元にした内容の手紙を作り上げることができるのだから、相当賢い相手だろう。しかし、もっと大事なことを書いている内容……例えばクリスマスプレゼントのリクエストを聞いている内容とか、次に会うのはいつ頃がいいか、などを変えてなかったのを考えると、手に入れることのできる手紙にも限度があるのだろう。となると、確実に毎回、どちらかの手紙は読める立場にある、ここの家やうちの家の使用人ではないね」
「なるほど……」
ダルシムの分析にアリシアは感心してしまった。
「僕がもらった手紙もここにあればすぐにわかりそうなものなのだけど、持ってきていないから推測で話すしかないなあ……確実に手紙に入れ替わりがあったのは、君が鳥が好きだと言ってたのと、結婚後に領地には住まないでこの領地で暮らしたいと言ってたというやつだけなんだよな。君が受け取ったのも思ったのだけど、内容全部の改ざんではなくて、お互いの嗜好に関わることや将来に関わることだけ、書き換えられてるんだよな」
ダルシムは考えをまとめるように思いついたことを全部言葉にしているようだ。
アリシアは思考の流れを邪魔しないように、黙って聞いていた。
「それから言えることは、あくまでも僕の憶測だけれど、狙いは僕らの婚約破棄であって、単なる嫌がらせではない」
「え!?」
「しかも手紙の入れ替わりがあったのは最近のものからで、あまり昔からではない。僕たちの婚約が産まれた時からの家同士が決定した強固なもので、ほぼ確定している未来であることを知ってたら、こんな温い横やりでは無理だと知らないんじゃないかな。僕らの手紙を見て遠距離恋愛でつけ入る隙があると思って、こんなことをしているという図々しさや、僕の方にだけ結婚後もうちの領地に来たくないという希望を書いてあったことからすると、君を慕う人間……男の可能性が強い」
いつの間にか自分を誰かが見ていて、そしてそのような行動をとっていたと聞かされてアリシアは恐ろしさにわが身を抱きしめた。
そんなアリシアを慰めるようにダルシムはその肩を抱きしめた。
「僕らのことことも中途半端にしか知らないから、あまり深く介入した内容改ざんができないのかな、と思うよ。となると、相手は君が書く手紙でしか君のことを知ることができないんじゃないかな」
ダルシムはそう言って、その存在は君の身近にいるわけじゃないから、と慰める。
「距離があるためせいぜい月に1度くらいしか往復できない僕たちの手紙。それを手に入れて相手に気づかれない期間内で送るなんてなかなかできない。時間的猶予ができるのは、手紙を即座に手に入れられる存在……僕は君の町の郵便局員が怪しいと思う」
そう言い切ったダルシムに、アリシアは大きく頷いた。
「それなら私はどうすればいいんでしょう?」
「まず、僕とデートしてくれ」
「……は?」
「こんなことをして、僕らにサプライズをしてくれた犯人へのお返しをしなきゃだよね。必要な道具を買いたいから町を案内してくれないか?」
茶目っ気たっぷりに言うダルシムにアリシアは頷いた。彼とあまり一緒に出掛けたことがないから嬉しくて仕方がない。
「そういうことなら喜んで!」
自分が送ったものと、そうでないものを時系列順に分けて、考え込んでいる。
「相手は確実に手紙の内容を読んでいる。僕らの筆跡を真似て、それを元にした内容の手紙を作り上げることができるのだから、相当賢い相手だろう。しかし、もっと大事なことを書いている内容……例えばクリスマスプレゼントのリクエストを聞いている内容とか、次に会うのはいつ頃がいいか、などを変えてなかったのを考えると、手に入れることのできる手紙にも限度があるのだろう。となると、確実に毎回、どちらかの手紙は読める立場にある、ここの家やうちの家の使用人ではないね」
「なるほど……」
ダルシムの分析にアリシアは感心してしまった。
「僕がもらった手紙もここにあればすぐにわかりそうなものなのだけど、持ってきていないから推測で話すしかないなあ……確実に手紙に入れ替わりがあったのは、君が鳥が好きだと言ってたのと、結婚後に領地には住まないでこの領地で暮らしたいと言ってたというやつだけなんだよな。君が受け取ったのも思ったのだけど、内容全部の改ざんではなくて、お互いの嗜好に関わることや将来に関わることだけ、書き換えられてるんだよな」
ダルシムは考えをまとめるように思いついたことを全部言葉にしているようだ。
アリシアは思考の流れを邪魔しないように、黙って聞いていた。
「それから言えることは、あくまでも僕の憶測だけれど、狙いは僕らの婚約破棄であって、単なる嫌がらせではない」
「え!?」
「しかも手紙の入れ替わりがあったのは最近のものからで、あまり昔からではない。僕たちの婚約が産まれた時からの家同士が決定した強固なもので、ほぼ確定している未来であることを知ってたら、こんな温い横やりでは無理だと知らないんじゃないかな。僕らの手紙を見て遠距離恋愛でつけ入る隙があると思って、こんなことをしているという図々しさや、僕の方にだけ結婚後もうちの領地に来たくないという希望を書いてあったことからすると、君を慕う人間……男の可能性が強い」
いつの間にか自分を誰かが見ていて、そしてそのような行動をとっていたと聞かされてアリシアは恐ろしさにわが身を抱きしめた。
そんなアリシアを慰めるようにダルシムはその肩を抱きしめた。
「僕らのことことも中途半端にしか知らないから、あまり深く介入した内容改ざんができないのかな、と思うよ。となると、相手は君が書く手紙でしか君のことを知ることができないんじゃないかな」
ダルシムはそう言って、その存在は君の身近にいるわけじゃないから、と慰める。
「距離があるためせいぜい月に1度くらいしか往復できない僕たちの手紙。それを手に入れて相手に気づかれない期間内で送るなんてなかなかできない。時間的猶予ができるのは、手紙を即座に手に入れられる存在……僕は君の町の郵便局員が怪しいと思う」
そう言い切ったダルシムに、アリシアは大きく頷いた。
「それなら私はどうすればいいんでしょう?」
「まず、僕とデートしてくれ」
「……は?」
「こんなことをして、僕らにサプライズをしてくれた犯人へのお返しをしなきゃだよね。必要な道具を買いたいから町を案内してくれないか?」
茶目っ気たっぷりに言うダルシムにアリシアは頷いた。彼とあまり一緒に出掛けたことがないから嬉しくて仕方がない。
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