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前途多難
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レジーとアニスが部屋へ案内されていった後、ティアはダンテルとお茶を楽しんでいた。
「ティア、二人とは上手くやっていけそうかい?」
「レジーさんはとても柔らかい雰囲気のある方ですね。お父様が彼女に癒されていたのが分かります」
「そうだろう!」
父親はデレデレと相好を崩す。
「雰囲気だけじゃなく、中身もとても優しい人なんだ。きっとティアとも仲良くできると思うんだ」
「ええ、そうですね。……ですが、アニスさんのことが気に掛かります」
アニスのことを話し出すと、ダンテルも渋い顔をした。
「うーん、アニスか。あの反応は予想外だった。私が挨拶に行った時は嬉しそうにして懐いてくれたように感じたんだが」
「やはり同じ年齢の姉妹ができるというのは複雑なのかもしれませんわね。なにかと難しいお年頃ですし」
「いや、それはティアもだろう? 悟ったような発言をしているが」
ダンテルは苦笑する。
「あら、私だってこれでもショックを受けてますのよ。一人っ子だったから、義理とは言え姉妹ができるのを楽しみにしていたのですから」
「アニスは平民だからね、公爵家に来て、あまりの環境の変化についていけなかったのかもしれない」
「屋敷の者達にも気を付けて見ているように言っておいた方がよろしいかもしれませんね」
「そうだね。レジーもアニスも急に公爵家に来て戸惑いも大きいだろう。屋敷の者達には私から言っておくよ」
「お願いいたします」
しばらくすると、執事長が夕食の準備が出来たと呼びに来た。
食堂に向かって少しするとレジーとアニスがやって来た。
「今日はお二人の歓迎のためにシェフには腕を振るってもらいましたのよ。たくさん召し上がってください」
ティアは二人のために、いつもより豪華な食事を用意するように頼んでいた。
とはいえ、普段の料理でも、平民の彼女達には豪華なのかもしれないが、ティアが歓迎しているという気持ちの問題だ。
続々と給仕により運ばれてくる食事。
目の前に置かれた食事を前に二人は固まってしまった。
ティアとダンテルはそろって首をかしげる。
「あの、お気に召しませんでしたか?」
ティアが不安そうに問い掛けると、レジーは慌てて否定する。
「い、いえ、とんでもない! とても美味しそうなお食事です。でも……」
「でも?」
「あの、マナーを何も知らないもので」
テーブルには、それぞれいくつものカトラリーが並んでいる。
どれを取って食べて良いか分からないようだ。
貴族のマナーなど知らない彼女達には当然の戸惑いだった。
それを失念していたことをティアは恥じ入る。
「申し訳ございません。今日は無礼講といたしましょう。ね、お父様」
「そうだね。マナーはこれから学んでいけばいいよ。明日にでも講師を手配しておこう」
優しくそう言ったティアとダンテルにレジーはほっとしたようだ。
「よろしくお願いします」
「では、いただこう」
ダンテルの言葉を合図に、食事が始まる。
だが、さすがに無礼講とは言ったが、アニスが運ばれてきたスープ皿を両手で持って、そのままスープをすすったのには驚いた。
さすがのレジーでもスプーンを使うという判断はできたのに。
音を立ててズズズっと一気飲みするアニスに、レジーは恥じ入るように頬を染めた。
「アニス!」
レジーが嗜めるが、アニスには微塵も響いていないようで。
「わあ、美味しい。おかわり持ってきてよ」
唖然とする給仕に、からになったスープ皿を渡す。
ティアとダンテルは視線を合わせ、早急にマナー講師を迎えなければと考えた。
「ティア、二人とは上手くやっていけそうかい?」
「レジーさんはとても柔らかい雰囲気のある方ですね。お父様が彼女に癒されていたのが分かります」
「そうだろう!」
父親はデレデレと相好を崩す。
「雰囲気だけじゃなく、中身もとても優しい人なんだ。きっとティアとも仲良くできると思うんだ」
「ええ、そうですね。……ですが、アニスさんのことが気に掛かります」
アニスのことを話し出すと、ダンテルも渋い顔をした。
「うーん、アニスか。あの反応は予想外だった。私が挨拶に行った時は嬉しそうにして懐いてくれたように感じたんだが」
「やはり同じ年齢の姉妹ができるというのは複雑なのかもしれませんわね。なにかと難しいお年頃ですし」
「いや、それはティアもだろう? 悟ったような発言をしているが」
ダンテルは苦笑する。
「あら、私だってこれでもショックを受けてますのよ。一人っ子だったから、義理とは言え姉妹ができるのを楽しみにしていたのですから」
「アニスは平民だからね、公爵家に来て、あまりの環境の変化についていけなかったのかもしれない」
「屋敷の者達にも気を付けて見ているように言っておいた方がよろしいかもしれませんね」
「そうだね。レジーもアニスも急に公爵家に来て戸惑いも大きいだろう。屋敷の者達には私から言っておくよ」
「お願いいたします」
しばらくすると、執事長が夕食の準備が出来たと呼びに来た。
食堂に向かって少しするとレジーとアニスがやって来た。
「今日はお二人の歓迎のためにシェフには腕を振るってもらいましたのよ。たくさん召し上がってください」
ティアは二人のために、いつもより豪華な食事を用意するように頼んでいた。
とはいえ、普段の料理でも、平民の彼女達には豪華なのかもしれないが、ティアが歓迎しているという気持ちの問題だ。
続々と給仕により運ばれてくる食事。
目の前に置かれた食事を前に二人は固まってしまった。
ティアとダンテルはそろって首をかしげる。
「あの、お気に召しませんでしたか?」
ティアが不安そうに問い掛けると、レジーは慌てて否定する。
「い、いえ、とんでもない! とても美味しそうなお食事です。でも……」
「でも?」
「あの、マナーを何も知らないもので」
テーブルには、それぞれいくつものカトラリーが並んでいる。
どれを取って食べて良いか分からないようだ。
貴族のマナーなど知らない彼女達には当然の戸惑いだった。
それを失念していたことをティアは恥じ入る。
「申し訳ございません。今日は無礼講といたしましょう。ね、お父様」
「そうだね。マナーはこれから学んでいけばいいよ。明日にでも講師を手配しておこう」
優しくそう言ったティアとダンテルにレジーはほっとしたようだ。
「よろしくお願いします」
「では、いただこう」
ダンテルの言葉を合図に、食事が始まる。
だが、さすがに無礼講とは言ったが、アニスが運ばれてきたスープ皿を両手で持って、そのままスープをすすったのには驚いた。
さすがのレジーでもスプーンを使うという判断はできたのに。
音を立ててズズズっと一気飲みするアニスに、レジーは恥じ入るように頬を染めた。
「アニス!」
レジーが嗜めるが、アニスには微塵も響いていないようで。
「わあ、美味しい。おかわり持ってきてよ」
唖然とする給仕に、からになったスープ皿を渡す。
ティアとダンテルは視線を合わせ、早急にマナー講師を迎えなければと考えた。
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