義妹が勝手に嫉妬し勝手に自滅していくのですが、私は悪くありませんよね?

クレハ

文字の大きさ
6 / 9

前途多難

しおりを挟む
 レジーとアニスが部屋へ案内されていった後、ティアはダンテルとお茶を楽しんでいた。


「ティア、二人とは上手くやっていけそうかい?」

「レジーさんはとても柔らかい雰囲気のある方ですね。お父様が彼女に癒されていたのが分かります」

「そうだろう!」


 父親はデレデレと相好を崩す。


「雰囲気だけじゃなく、中身もとても優しい人なんだ。きっとティアとも仲良くできると思うんだ」

「ええ、そうですね。……ですが、アニスさんのことが気に掛かります」


 アニスのことを話し出すと、ダンテルも渋い顔をした。


「うーん、アニスか。あの反応は予想外だった。私が挨拶に行った時は嬉しそうにして懐いてくれたように感じたんだが」

「やはり同じ年齢の姉妹ができるというのは複雑なのかもしれませんわね。なにかと難しいお年頃ですし」

「いや、それはティアもだろう? 悟ったような発言をしているが」


 ダンテルは苦笑する。


「あら、私だってこれでもショックを受けてますのよ。一人っ子だったから、義理とは言え姉妹ができるのを楽しみにしていたのですから」

「アニスは平民だからね、公爵家に来て、あまりの環境の変化についていけなかったのかもしれない」

「屋敷の者達にも気を付けて見ているように言っておいた方がよろしいかもしれませんね」

「そうだね。レジーもアニスも急に公爵家に来て戸惑いも大きいだろう。屋敷の者達には私から言っておくよ」

「お願いいたします」



 しばらくすると、執事長が夕食の準備が出来たと呼びに来た。


 食堂に向かって少しするとレジーとアニスがやって来た。



「今日はお二人の歓迎のためにシェフには腕を振るってもらいましたのよ。たくさん召し上がってください」


 ティアは二人のために、いつもより豪華な食事を用意するように頼んでいた。
 とはいえ、普段の料理でも、平民の彼女達には豪華なのかもしれないが、ティアが歓迎しているという気持ちの問題だ。


 続々と給仕により運ばれてくる食事。

 目の前に置かれた食事を前に二人は固まってしまった。
 ティアとダンテルはそろって首をかしげる。


「あの、お気に召しませんでしたか?」


 ティアが不安そうに問い掛けると、レジーは慌てて否定する。


「い、いえ、とんでもない! とても美味しそうなお食事です。でも……」

「でも?」

「あの、マナーを何も知らないもので」


 テーブルには、それぞれいくつものカトラリーが並んでいる。
 どれを取って食べて良いか分からないようだ。

 貴族のマナーなど知らない彼女達には当然の戸惑いだった。
 それを失念していたことをティアは恥じ入る。


「申し訳ございません。今日は無礼講といたしましょう。ね、お父様」

「そうだね。マナーはこれから学んでいけばいいよ。明日にでも講師を手配しておこう」


 優しくそう言ったティアとダンテルにレジーはほっとしたようだ。


「よろしくお願いします」

「では、いただこう」


 ダンテルの言葉を合図に、食事が始まる。


 だが、さすがに無礼講とは言ったが、アニスが運ばれてきたスープ皿を両手で持って、そのままスープをすすったのには驚いた。

 さすがのレジーでもスプーンを使うという判断はできたのに。


 音を立ててズズズっと一気飲みするアニスに、レジーは恥じ入るように頬を染めた。


「アニス!」


 レジーが嗜めるが、アニスには微塵も響いていないようで。


「わあ、美味しい。おかわり持ってきてよ」


 唖然とする給仕に、からになったスープ皿を渡す。


 ティアとダンテルは視線を合わせ、早急にマナー講師を迎えなければと考えた。




しおりを挟む
感想 44

あなたにおすすめの小説

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……

karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。

婚約者が義妹を優先するので私も義兄を優先した結果

京佳
恋愛
私の婚約者は私よりも可愛い義妹を大事にする。いつも約束はドタキャンされパーティーのエスコートも義妹を優先する。私はブチ切れお前がその気ならコッチにも考えがある!と義兄にベッタリする事にした。「ずっとお前を愛してた!」義兄は大喜びして私を溺愛し始める。そして私は夜会で婚約者に婚約破棄を告げられたのだけど何故か彼の義妹が顔真っ赤にして怒り出す。 ちんちくりん婚約者&義妹。美形長身モデル体型の義兄。ざまぁ。溺愛ハピエン。ゆるゆる設定。

大切にしていた母の形見のネックレスを妹に奪われましたが、それ以降私と妹の運は逆転しました!

四季
恋愛
大切にしていた母の形見のネックレスを妹に奪われましたが、それ以降私と妹の運は逆転しました!

知りませんでした?私再婚して公爵夫人になりました。

京月
恋愛
学生時代、家の事情で士爵に嫁がされたコリン。 他国への訪問で伯爵を射止めた幼馴染のミーザが帰ってきた。 「コリン、士爵も大変よね。領地なんてもらえないし、貴族も名前だけ」 「あらミーザ、知りませんでした?私再婚して公爵夫人になったのよ」 「え?」

父は、義妹と義母の味方なのだと思っていましたが、どうも違っていたようです

珠宮さくら
恋愛
1話完結。短いです。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

処理中です...