【完結】振られてばかりの幼馴染を寝取って絶対に幸せにします

りちょ

文字の大きさ
13 / 16

13話

しおりを挟む
小学3年生の頃、俺少し離れた街から転校してきた。
4月の登校初日と同時に新しい学校に通うことが決まって、不安よりも新しい環境への期待の方が少し勝っていた春を、まだ少し覚えている。

3年2組の後ろの席。
荻野楓と清水夏樹。
ちょうど名前順で机を並べた時に、うまいこと横並びになって、楓と出会った。
野良猫みたいなやつだなと思ったのを覚えている。

少し色素が薄い焦茶の髪に、切れ長な印象の目元。口元が昔可愛がってた近所の野良猫と似ていた。
隣の席だったから1番話す機会はあったけど、俺とは違って静かなタイプの楓とは、仲良くはなれなさそうだなと初めはぼんやり思った。
だから初めは特に俺から熱心に話しかけることは無く、俺にとって楓はただのクラスメイトだった。

明確に、楓に興味が湧いたのは、小3にしては渋いチョイスのギャグ漫画のクリアファイルを持っ ていたのを見かけてからだった。

シュールなギャグと若干の下ネタが中心のその漫画は、連載も少し前に終わっていて、世間でも小学生の間でもあまり流行ってはいないマイナーな漫画だった。
俺も親戚の中学生の兄ちゃんに借りた事がきっかけで好きになったのだが、まさかそれのグッズまで持ってるやつが同じクラスに居るなんて、信じられなかった。

しかもあの静かで、いつもむすっとしてるような、ちょっと暗いやつが。あの漫画読んでるんだ。
めちゃくちゃセンス良いじゃん。話が合いそうなやつを見つけてちょっとドキドキしたことを、今も覚えている。
それから楓と打ち解けるまでは早かった。

話してみて、確かなあんまり人懐っこいタイプではないが、人見知りなだけでとっつきやすいタイプなんだと分かった。
それでも愛想は良い方ではないし、誰と話す時も目が合わないけど。

慎重に言葉を選ぶタイプで、いつも人との距離を測っているような、なんか不器用なやつ。俺の楓の印象はこれで、お世辞にも明るいとか陽キャとか、そういう風には言えないと思った。

ただ、楓はいつもセンスが抜群に良かった。

楓が読んでる本は流行り物じゃないのにだいたい面白いし、映画だって外さない。
音楽だってそうで、楓がフェスで見に行きたいって言うバンドはステージの規模が小さくたって間違いなくカッコ良いから、俺はもう音楽のイベントには楓としか行かなくなった。

楓が勧めるものは絶対面白いって言う信頼が、もう俺の中にはあった。
だけど真似ばっかしているとバレるのは恥ずかしいから、いつもこっそり楓が好きだった本を買ったり、バンドのCDを借りたり、映画の続編を観に行ったりした。
…これは今でもそうで、この前俺が家に行った時にたまたま楓が1人で観ていた古いドラマを、帰ってから観てどハマりして1日で全部観てしまった。

ちなみに楓も、俺がハマった映画や漫画、お笑い芸人なんかは絶対にチェックしてくれる。
あれ良いねって言ってくれることもあって、そういうマメなところも長所だと思う。

マメだなと思うところは他にもあった。
大学生になってからは特に、俺が泊まりに行く日は俺が好きだって言ってたアロマに変えてあったり置きっぱなしの部屋着が綺麗に洗濯されていたり、食事だって甘党の俺に合わせて用意してくれていたりした。
普段の生活で何気なく言ったことを楓はよく覚えてくれていて、何食わぬ顔で好みに合わせてくれる。

一度、誕生日に俺がハマってたバスケチームの試合のチケットをくれた事があった。

楓はスポーツ観戦はあんまり好きじゃないから、楓の前ではあまりその話をした事は無かったのに、たった数回の会話で勘付いて用意してくれたのだから、その時はちょっと楓がカッコよく見えてときめいた。
こういう男が彼氏だったら、女の子はたまんないんだろうなとも思った。

大学生になっても楓は相変わらず人見知りで静かな方だったけど、子供の頃ほど愛想が悪いわけも、不器用な訳でも無くなっていた。
髪を茶色に染めてからなんだか垢抜けたし、重めの前髪と鋭い目つきは、雰囲気があって俺は良いと思う。
なにより楓は横顔が綺麗だった。
鼻筋がまっすぐ通っていて輪郭がくっきりしていて、顔の印象に華やかさは無いけれど、俺は好きだった。

なんでずっと彼女ができないのか、不思議で仕方なかった。
そう思うくらい楓は良いやつで、俺にとって自慢の親友だった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

腹を隠さず舌も出す

梅したら
BL
「後悔はしてるんだよ。これでもね」 幼馴染の佐田はいつも同じことを言う。 ポメガバースという体質の俺は、疲れてポメラニアンに変化したところ、この男に飼われてしまった。 ===== ヤンデレ×ポメガバース 悲壮感はあんまりないです 他サイトにも掲載

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

言い逃げしたら5年後捕まった件について。

なるせ
BL
 「ずっと、好きだよ。」 …長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。 もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。 ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。  そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…  なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!? ーーーーー 美形×平凡っていいですよね、、、、

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。

陽七 葵
BL
 主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。  しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。  蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。  だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。  そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。  そこから物語は始まるのだが——。  実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。  素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪

俺にだけ厳しい幼馴染とストーカー事件を調査した結果、結果、とんでもない事実が判明した

あと
BL
「また物が置かれてる!」 最近ポストやバイト先に物が贈られるなどストーカー行為に悩まされている主人公。物理的被害はないため、警察は動かないだろうから、自分にだけ厳しいチャラ男幼馴染を味方につけ、自分たちだけで調査することに。なんとかストーカーを捕まえるが、違和感は残り、物語は意外な方向に…? ⚠️ヤンデレ、ストーカー要素が含まれています。 攻めが重度のヤンデレです。自衛してください。 ちょっと怖い場面が含まれています。 ミステリー要素があります。 一応ハピエンです。 主人公:七瀬明 幼馴染:月城颯 ストーカー:不明 ひよったら消します。 誤字脱字はサイレント修正します。 内容も時々サイレント修正するかもです。 定期的にタグ整理します。 批判・中傷コメントはお控えください。 見つけ次第削除いたします。

ヤンデレだらけの短編集

BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。 【花言葉】 □ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡 □ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生 □アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫 □ラベンダー:希死念慮不良とおバカ □デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです! 【異世界短編】単発ネタ殴り書き随時掲載。 ◻︎お付きくんは反社ボスから逃げ出したい!:お馬鹿主人公くんと傲慢ボス

「これからも応援してます」と言おう思ったら誘拐された

あまさき
BL
国民的アイドル×リアコファン社会人 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 学生時代からずっと大好きな国民的アイドルのシャロンくん。デビューから一度たりともファンと直接交流してこなかった彼が、初めて握手会を開くことになったらしい。一名様限定の激レアチケットを手に入れてしまった僕は、感動の対面に胸を躍らせていると… 「あぁ、ずっと会いたかった俺の天使」 気付けば、僕の世界は180°変わってしまっていた。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 初めましてです。お手柔らかにお願いします。

処理中です...