ぼくらの国防大作戦

坂ノ内 佐吉

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第二章

Chapter.7 旅の別れ

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 旅の別れ

 22日目
 四人はバンコクに到着した。日本への帰国までは、バンコクではカオサンロードに滞在した。カオサンロードはバックパッカーの聖地と言われ、主に欧米人が集まり、常にとても賑わっている。
 旅の残りの日数はバンコクに滞在し、市内の観光。カオサンは旅行代理店が多いので、日帰りツアーでアユタヤ遺跡や、戦争に関係するカンチャナブリを訪ねたり、ゾウにも乗ったりして楽しんだ。
また、幸来紗は意外に格闘技観戦が好きで、幸来紗のリクエストでムエタイの観戦にも行った。

 バンコクでの夜、周人と智成は二人で飲みに出かけていた。
「周人、みっちー可愛いよな。顔が丸くてサバサバしてかわいいよな。性格も合うし。どう思う?」智成はほろ酔い気分だ。
「おっ、いいじゃん。仲良いいもんね。トライしてみればいいじゃん。でも、彼女、博多だからさ、日本に帰ったら超遠距離恋愛じゃん」
「そうなんだよね。現実的じゃないよな。彼女も希望通りの会社の内定もらってるって言うし、俺も就職先決まったし」智成は、少し寂しそうに言う。
「ところで、野島、幸来紗ちゃんとはどうなの? 何気にいい感じじゃない? 二人だけで話しているところも、何回も見てるぞ」
 周人は、一瞬ドキッとした。事実、カンボジアに入ったあたりから、幸来紗の魅力に惹かれ始めていた。 
「話していた内容は、ほとんど歴史関係だよ」
「いやー、まじめな二人だね。でも、それとは別に、正直、惚れたりしてないの? なんか、そっちもいい雰囲気に見えたけどね」
「うん、……とても魅力ある子だけど、恋愛感情とか、そういのはないかな。彼女は自分の考えをしっかり持っていて、芯があって素敵だよね。顔も綺麗なんだから、もっと垢抜ければいいのにね。それに幸来紗ちゃんって、一人の人間を愛せるタイプじゃないんじゃないかなって思うんだよね」
「どうゆうこと?」
「彼女は人一倍、平和主義で平等主義。冷静に物事を俯瞰して見ていてさ、すべての人間を平等に見ているから、ひとりだけを好きになるってことはないような気がする……」
「なるほどね。そういうふうに見えないこともない。彼女賢そうだよな。あの二人ともう少し関係を続けたいけど、このまま終わっちまう感じだよな」
「たぶん、そうだろうね」
 二人は、互いに寂しい感情を抱いていた。

 30日目
 最終日、周人と智成の方が、幸来紗と美智より3日帰国が早かった。
 飛行機は昼の便、幸来紗と美智は、周人と智成を空港まで見送った。
「やばい、ちょっと泣きそう」美智はウルウルしている。
「じゃあ、二人ともありがとう!」
 智成は、寂しい気持ちをごまかすように明るく二人にふるまう。
「二人とも元気でね。ありがとう。意外な旅の成り行きなったけど、歴史も勉強できたし楽しかったよ」
 周人は、幸来紗と美智に握手した。 
「そうそう、これ、俺と日坂から二人に。出会った記念に。後で見てみて」
 周人は、二人に小さな中身が入った小さな紙袋を渡した。
「なんだろうな? ありがとうね」
「なんかごめんね…… こっちからは何もないのに。四人で旅ができて楽しかったよ」美智に続いて、幸来紗は少し照れながら笑顔で言った。
「空港まで見送ってくれただけでもありがていやい。……みっちー、別れのハグでもするか」と智成が調子にのって言う。
 美智は、「はい、はい、しょうがないな」と答えハグをした。
 周人と幸来紗は笑いながら、その光景を見ていた。

 幸来紗はバンコクのホテルに戻った後、周人からもらった紙袋を開けると、中にはミサンガと周人からの手紙が入っていた。
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