【書籍発売中!】神のミスで転生したけど、幼女化しちゃった! 神具【調薬釜】で、異世界ライフを楽しもう!

一ノ蔵(いちのくら)

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第二章

第二十六話 おやつ配達便②

『えっさえっさ!えっさえっさ!』

(エイリュ殿、エイリュ殿!)

 ジョウの眷属は、念話でエイルに話しかけた。

(……その声は、おチビちゃんですか?)
(おチビちゃんとは……吾輩のことでしゅか?)
(ええ。ジョウの眷属であるあなたは、おチビちゃんでしょう?)

 獣神見習いのジョウの眷属だ。舌っ足らずな様子から見ても、おチビちゃんは間違いではない――だが、彼自身の矜持きんじが、それを許さなかった。

(吾輩は立派にゃ男子おのこでしゅよ!……吾輩にょしぇには、ミオしゃまから預かった大事な甘味があるにょですが……ぐふっ)

 神獣見習いの眷属に、魔が隙をつく。

(そうですね! 立派に役目を果たせる御仁です! ……今日は、どうしたんですか?)

 ミオの甘味と聞き、ころっと態度を変えたエイルに、立派な男子眷属は勝利を確信した。

(昨夜は王城でしたが、今はロックス伯爵邸に戻っておりゃれますか?)
(ええ、戻っていますよ)
(先ほど申し上げた通り、ただいまロックス伯爵邸方面に、差し入れを配達中でしゅ)
(ミオの甘味の差し入れですか。それは、ローリーたちも喜ぶでしょう。大変美味ですからね。気をつけて来てください)
(承知のしゅけ!)

(……しょうちのすけ?)
 と、首を傾げるエイルだが、彼が来る前に片付けるべき仕事を思い出し、エイルは重い腰をあげた。

 カツン。カツン。

 地下牢は全て剥き出しの石で作られており、地下へ降りる階段の足音も響きやすい。蝋燭の灯りを頼りに、エイルは薄暗い空間を進んでいく。

 ♢

「皆は、これでよいな?」

 国王――フィリップスの問いに、三人は頷いた。

【名前 ゼルト・ロックス
 身分 伯爵家当主

 犯罪名
 『特級窃盗教唆きょうさ罪』
 『特権階級者の義務不履行』

 国家的判決
 ・死刑
 ・ロックス伯爵家の廃籍。
 ・元ロックス家の財産全没収。
 ・元ロックス夫人との離縁。
 ・元ロックス伯爵家子弟との関係断絶。

 備考 
 ・被害者の恩赦により、加護者への不敬に対する『大逆罪』は不問とする。
 ・神託により、ゼルトの身柄は、フリータール王国賢者エイル・リュタ・ラ・マグワイアに預けることとする】


【名前 エレナ・ロックス
 身分 伯爵家正妻

 犯罪名
 『特権階級者の義務不履行幇助罪』

 判決
 ・元ロックス家当主との離縁後、フリータール北部修道院へ移送。以後、幽閉となる。
 ・元ロックス家当主ゼルトとの離縁。
 ・元ロックス伯爵家子弟との関係断絶】


「ありがとうございます」

 普段は面倒なうざ絡みをしてくる国王だが、今回ばかりは、礼を述べなければならない。

「ならば皆、血判を頼む」

 反論がない宰相ダニーロとローリー、エイルに向け、国王が差し出したのは、魔法契約の最上級【血の盟約書】だ。

 ウルシア様が右腕と褒めたディアトリ様は、罪と癒しを司っているが、宣誓の神としての一面も持つ。

 ミディアンナが働く療養院に飾られている神聖契約も、ディアトリ様が創られたものの一つ。【血の盟約書】は、そのなかでも強力な効果を発揮する契約魔法だ。国家間の外交や、大きな商談で使用されることもある。

 本来は裁判所を通す事案だった今回の出来事は、国の存亡を左右するものだ。その場合のフリータール王国の法では、国王以外の三名の同意を得て、判決を下す事が出来るとある。

 今回は、賢者である私と宰相ダニーロ、それと貴族である辺境伯ロレンツォが、その三名に連なるというわけだ。

「「「分かりました」」」

 我々は声を揃え、親指に針を刺し、血を滲ませる。そして、盟約書のサインに被せるように、それを押し付けた。

 なお、元ロックス伯爵の子弟たちは、王都に送られた後、王家運営の孤児院預かりになることが決定している。
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