【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)

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第三十話 緊急帰郷、決定!

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 手紙を開封すると、実家のアターキル辺境伯家に仕えるスチューからだった。簡潔に纏められた内容は、こうだった。

『ミディアンナ様への診療願い者あり。至急、帰られたし。日時は明後日午後以降の予定。帰郷が叶わぬ場合は、当主権限で立会いのもと、診療するものとする。なお、今回の診療は極秘扱いとなる為、一切の他言無用とする。 当主代筆者 スチュアート』
 
「これは・・・」

 手紙の内容に、私は二の句が継げなかった。
 国一番と言われた賢者エイル様をもってしても解析不能だったミディアンナの病を、今更診療したい者が現れたなんて・・・その人はエムなのだろうか?失礼だとは思うが、そんな疑惑しか湧かない。何故なら、関係者がこのことを知れば、嘲笑の的に自ら飛び込んで行っているとしか思えないから。

 極秘扱いとすると決めた兄さん側になにか理由があるかも知れないが、私はもう期待するのに疲れている。
 急遽帰郷しろって言っても、お金がいるんだ。徒労に終わる可能性が高い診療の為に、身銭を切る?それなら、娘のポーション代に当てた方がよほど有益だ。
 魔鳥を飛ばしてくれたスチューには申し訳ないけれど、今回は勝手にやってほしい。私は、どうしても薬師ギルド本部の上層部と合わなければならないんだ。

 そんな考えが頭を過ぎ去った時、薬師ギルド前に集まった群衆の噂を思い出した。

『なんでも、聖域の出入りが一切出来ないらしいぜ?聖国の猊下が申請を挙げているにも関わらず、全て却下されてるらしい。なんでも猊下の守銭奴商法が、ウルシア様の怒りを買ったと皆が噂してるが、この様子じゃ、この噂の信憑性も高いな』
『じゃあ、このままここで抗議しても意味なくねぇか?女神様の怒りを解く方法を考えた方が現実的か?』
『おまっ!?女神様の怒りを解くなんて、会ったこともないのにどうやって鎮めてもらんだよ!?唯一の頼りは、俺ら弱者のために奔放して下さってる枢機卿くらいか?』

「・・・帰りましょう!」

 何故か今までの考えは吹き飛び、なにかに気持ちを突き動かされるように、私の気持ちは帰郷一択となった。

「問題は、明後日の午後以降の診察なら輸送便ではギリギリだ。途中遅延にでもなれば、目も当てられない。少し足が出るが、高速便が確実か。後は明日一番で、切符売り場に赴かないと!」

 願わくば、乗船人数に空きがあることを祈るしかなかった。



 ―――翌朝

「じゃあララさん!ジョウにょ人化覚えてるんですにぇ?」
「はい…ミオ様と同じ黒髪で髪はさっぱりと整えられていて、瞳は金の色でした」

 休養が必要なはずのララさんが、いつものようにピシッとして私を出迎えたからびっくり!しかし、ついでとばかりにジョウのことを聞けば、ポッと頬がほんのり赤い…っていうか、気を失う寸前にガッツリ見てたのね。

「服装は東の異国にある民服のようなものを着ておられましたね。ジョウ様はあちらのご出身なのですか?」
「ん?東にょ国?」

 私は、ウルシア様の資料にもなかった国がでてきて、聞き返した。

「はい。島国が連なる小国群国家なのですが、獣人や亜人の里が点在する島々があるのです。かなり遠くて、船を一カ月くらい乗らないと行けないんです。ですので、話を伝え聞くぐらいですが…」
「そうなんですにぇ。別大陸については分からにゃいですが、ジョウは私にょところにょ出身ですよ」

 嘘は言ってない。私の今はこちらだが、元々は、地球の神様から期間限定で預かった異界の獣神見習いだ。結果的に、ララさんはジョウの人化を覚えていたが、特に問題は無さそうだ。

「とにかく、今日は休まなければいけませんよ!ゼフさんから休養を取るように聞いていませんか?」
「ですが、ミオ様のお世話をする者がいません」
「私は自分で出来ますから!さぁ、自分にょベッドで休んでください!」

 そんな朝の押し問答は、私室にいないララさんを探しに来たゼフさんに回収されていき、事なきを得た。全く・・・また倒れられる方がリスキーだ。今は、しっかりと休んで頂きたい。



「ミオ、食事の後に話があります」
(ミオ、この後に少々話がある)

 ララさんの話を思い出していたら、二人から同時に声がかかった。

「分かりました、師匠。ジョウは後でいい?」
「ジョウ様からも念話が?」

 なんで、師匠がそんなことを聞くのって・・・ジョウ

ガゥ様付けは止めろ!」
「申し訳ありません、ジョウ」
ガゥうむ、それでいい
「はい」

 嬉しそうに微笑む師匠に、私は軽くパニックになる。え?なんで?ジョウの念話を私が分かるのは問題ないが、何故エイルさんにも通じているんだ?

「「・・・・・・」」

 私とゼフさんは、視線をかち合った。
 ゼフさんも同じことを思っているらしく、ゼフさんの私への視線に圧を感じる!・・・だが、私はなにも存じません!

 ♢


 場所を移して、応接室サロンに移動しました。移動中も、師匠とジョウがソワソワと落ち着きなく感じて、二人に対して疑惑の視線を向ける私です。

「さて二人とも、私に言わなければにゃらにゃいことはありませんか?」
 
 私は菩薩の微笑みで二人に問いかける。

 さぁ、吐け。
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